日常生活での注意について

Q81 ブラキシズムによって歯が磨耗するってどういうことですか?
A81 強い力で繰り返し歯ぎしりをすると、歯がツルツルに磨耗してしまいます。外側の硬いエナメル質が磨耗して内側のより軟らかい象牙質がむき出しになると、歯の強度が落ち、削れやすく欠けやすくなっていきます。象牙質がむき出しになった場所から刺激が神経に伝わり知覚過敏が出やすくなるだけでなく、細菌が歯の内部に入りやすくなるため、むし歯のリスクも高くなります

※参考書籍 「nico 2014.3 クインテッセンス出版株式会社」
Q82 ブラキシズムによって歯が折れるってどういうことですか?
A82

治療をしていない自分の歯は元来とても丈夫なものです。ところが睡眠時ブラキシズムの強い力に継続的にさらされると、ついには傷んで折れてしまうことがあります。歯が折れてしまうと、抜歯せざるを得ないことがほとんどで、歯を失う原因になってしまいます。

※参考書籍 「nico 2014.3 クインテッセンス出版株式会社」

Q83 日中のブラキシズムをコントロールする方法はありますか?
A83

日中のブラキシズムをコントロールする方法は3つのステップがあります。

1.口を閉じる

2.歯を離す

3.顔の力を抜く

 

これは自己弛緩訓練法というものですが、これだけで筋肉のリラクゼーションを獲得するのは難しいでしょう。そこでおすすめしたいのは呼吸法です。

 

呼吸法には、お腹を動かす腹式呼吸胸を動かす胸式呼吸があります。

日中ブラキシズムの強い患者さんはできるだけ日常は鼻呼吸を使用した腹式呼吸を実施して下さい。

 

腹式呼吸

肺の下部にある横隔膜(本当は膜ではなく筋肉)を上下させることにより呼吸します。この方法は副交感神経の働きが強くなるためリラクゼーションに向いています。

 

いきなり吸うのではなく、まず息を吐くことから始めます。

1.口から息を吐く
2.鼻から吸う
3.口から細く長く息を吐く

このようにするのがポイントです。段々と上手にできるようになります。

 

胸式呼吸

胸部筋肉により胸部を拡げたり縮めたりすることにより呼吸します。交感神経の働きが強くなり興奮しやすいため、スポーツに向いた呼吸です。

 

※参考書籍
 「筋の生理から運動指導・手技療法まで 歯科臨床が変わる筋機能学こと始め」
 竹内 正敏  砂書房

Q84 睡眠中のブラキシズムはなぜ起こるのですか?ストレスのせいなのでしょうか?
A84

睡眠時ブラキシズム(SB)が起きる原因については、中枢性、咬合性またはそれらの混合した因子だと言われていますが、残念ながらまだ解明されていません。ストレス発散のために睡眠時ブラキシズムを行っているという見解もありますが、証明はされていません。

ただ、どんなときにブラキシズムが起こるかはすでに明らかになっています。眠りが浅くなるとブラキシズムがおきるのです。

臨床観察からの考察

ブラキシズム評価用オクルーザルスプリントを使用した臨床で観察を実施した報告があります。

「2週間ごとに使用したスプリントの咬合面に形成されたファセット(咬耗)を観察してみると、ファセットが強いタイプの人はいつもファセットが強く形成され、中程度の人はいつも中程度に、弱いタイプの人は弱く発現していました。

つまり、ファセットの強いタイプの人は、ストレスからの開放の有無に関わらずファセットが強く発現し、弱いタイプの人はストレスを受けても、多少の変化が見られますが、弱いままであるということです。

以上から、睡眠時ブラキシズムの原因はストレスではないと考えることができます。」

文献からの考察

咬合性因子が睡眠時ブラキシズムの原因であることについての論文がありますが、否定的な意見が多くを占めている一方で、研究者の間でも一致した見解は見られていません。

「0.5~1.0mmの高い冠を人工的に作って被験者に装着させ、歯ぎしりが起こるかどうかの実験が行った。この実験では睡眠時ブラキシズムは起こらず、この結果から、睡眠時ブラキシズムの原因は咬合性因子ではなく、中枢性因子であると考えられる。」

Rugh JD, Solberg WK: Electromyographic studies of bruxist behavior before and during treatment.
J Cam State Dent. Assoc. 3: 56-59, 1975.

 

「歯をわずか0.1mm高くして咬合の不調和を作り出す実験を行った。咬合のわずかな不調和によって歯ぎしりが起こっている。噛み合わせのわずかな不調和が上位中枢に興奮を惹起させ、睡眠時ブラキシズムを起こすと考えられる。」

武田悦考:ヒトの睡眠中のBruxismに関する臨床的研究-実験的咬合干渉付与前, 除去後における筋電図, 脳電図, 眼球運動図, 心電図, 呼吸曲線, 精神内分泌の反応, ならびに臨床所見の経日的比較検討-. 歯学. 71 (2): 276-337, 1983.

 睡眠時ブラキシズムにおける咬合性因子の影響

「睡眠時ブラキシズムにおいて、咬合性因子が影響を及ぼしているかどうかを検討するために、睡眠時ブラキシズムの評価が安定している人に、咬合の不調和を与えるようにスプリント上に早期接触を作り、そのスプリントを2週間使用してもらった。咬合の不調和を与える前の評価と比較して、咬合の不調和の睡眠時ブラキシズムへの影響を調査した。

睡眠時ブラキシズムのファセット変化

被験者85人のうち50.6%が咬合の不調和によって睡眠時ブラキシズムが増加し、44.7%の人が変化せず、4.7%の人は減少した。睡眠時ブラキシズムの原因はわからないが、咬合性因子への影響のある人は55.3%(50.6%+4.7%)であるので、この人たちは咬合性因子が睡眠時ブラキシズムの影響があるのではないかと考えられる。」

菅原哲夫, 池田雅彦, 加藤 熈: 夜間のブラキシズムに与える咬合性因子と中枢性因子の役割に関する研究. 日歯保存誌, 43: 1220-1227, 2000.

 

※参考書籍
 「nico 2014.3 クインテッセンス出版株式会社」

 「月刊 ブラキシズムは治る!1,600症例から見えたこと」
 池田 雅彦 著  デンタルダイヤモンド社

Q85 タバコは歯や歯科治療にどんなダメージがあるの?
A85

タバコの煙のなかに含まれる有害物質が歯にしつこい汚れを付着させ、また、体内では免疫機能を低下させるため細菌にとって好都合な環境ができあがり被害が拡大して、病状が悪化します。

※参考書籍 「nico 2012.7 クインテッセンス出版株式会社」

Q86 私は夜中に歯ぎしりをしてしまいます。どうすれば止められますか?
A86 睡眠中のブラキシズムは無意識にするので残念ながら、止めるための有効な手段は現状ではまだ見つかっていません。ただし、健やかな眠りでブラキシズムを減らしスプリントで被害を最少にすることは可能です。眠りの改善方法をお教えします。
1.いびきを治そう!
2.タバコを止めよう!
3.なるべくストレスを減らそう。
4.寝酒をやめよう!
5.逆流性食道炎を治そう!
6.向精神薬を考慮することも。

※参考書籍 「nico 2014.3 クインテッセンス出版株式会社」
Q87 寝酒を止め自分なりに努力していますが、歯ぎしりがなかなか減りません。歯ぎしりの害を減らすために、もっと効果のある方法はありませんか?
A87 歯科医院で睡眠時ブラキシズム対応型のスプリントを作ってもらいましょう。歯や治療が次々に壊れてお困りのかたにおすすめです。強い力を歯列全体に分散させるので、歯や顎関節への被害をグッと減らせます。

※参考書籍 「nico 2014.3 クインテッセンス出版株式会社」
Q88 「口呼吸」と「歯並び」には、どんな関係があるんでしょうか?
A88

口呼吸は、歯並びが悪くなる大きな原因です。
口呼吸を続けていると、不正咬合を生み出す悪循環が起こります。

1.気道が狭い・鼻がつまる

体質的なものもあるかもしれませんが、子どものうちは扁桃腺が腫れやすいため、アデノイドが大きくなって気道が狭くなりがちです。また、鼻の粘膜が炎症をおこしやすい時期でもあります。
気道が狭くなったり、鼻がつまったりすると、鼻から呼吸ができなくなるため、口で呼吸をするようになります

2.口呼吸をする

口を開けたまま呼吸をするので、口の中が乾き、唾液による殺菌作用が不充分になり、むし歯や歯周病、口臭などの原因になります。また、風邪をひきやすく、咽頭炎や扁桃炎にかかりやすくなります
口呼吸をするときは空気をスムーズに通そうとして、舌を本来あるべき正しい位置よりも下げています。

3.舌の位置が悪くなる

口呼吸をするときは、気付かずに舌の位置を低くしたり(低位舌)、前に出しています。このクセがつくと、はっきりと発音できなかったり、食べ物をうまく飲み込めなくなったりします。
舌の変なクセは、歯並びにも影響します。上あごが狭くなり、下あごが後ずさりして「上顎前突」になったり、舌の位置によっては「開咬」になったり、下あご全体を突き出して「反対咬合」になったりします。舌の位置が悪いと、奥歯でしっかり噛むこともできません。

※正しい舌の位置とは・・・

リラックス時や物を飲み込む時は上の前歯の少し後ろのポコっとした膨らみ(スポット)に舌の前端が位置しています。スポットに舌があると、上顎が舌の筋肉に押し広げられ大きくなって、歯が並ぶスペースを確保することができます。後から成長する下顎も広がり、歯並びが良くなります。歯並びがきれいな人は上顎の形と舌の形が同じです。

4.頬の圧力が上の歯列にかかりやすくなる
5.上あごが狭くなる

遺伝で上あごの骨が狭い人もいますが、奥歯できちんと噛まないために上あごの骨が広がらず、狭いままになる人もいます。
上あごの骨が狭いと、前歯が並ぶ場所が足りず、はみ出して「叢生」や「上顎前突」になります。
上あごの骨の裏には鼻腔(鼻の穴の奥)があるため、上あごが狭いと鼻腔も狭くなり、鼻気道を充分に確保できません

6.下あごが狭くなる または 下あごの位置が悪くなる
7.さまざまな不正咬合が生じる

叢生
叢生

上顎前突
上顎前突

開咬
開咬

反対咬合
反対咬合

Q89 「口呼吸をしている」って、どうしたらわかりますか?
A89

ふだんの様子や話し方、歯並びや舌の位置でわかります。
子どものクセや状態をチェックしてみましょう。
2つ以上当てはまれば「口呼吸」かもしれません

●鼻がよくつまる。
●口をポカンと開けていることが多い。
●前かがみで、姿勢が悪い。
●食べているときにペチャペチャ音をたてる。
●話すときの舌の位置がどうもおかしい。
●何かを飲み込む時に舌が前に出てくる。
●上の歯列の形が逆V字型になっている。
●上あごの天井が高い。
●扁桃腺が腫れたり、風邪をひきやすい。
●中耳炎になりやすい。
●夕方には眠くなってしまう。
●びっしょりと寝汗をかく。
●大人顔負けのいびきをかく。
●寝ている時に苦しそうにヒューヒューという。
●楽に呼吸できる体勢を探すため、寝相が悪かったり、眠ったまま立ったり座ったりする。
●寝起きが悪い。

Q90 歯は弱い力でも動くって本当?
A90

指しゃぶりや舌の癖が歯並びを悪くすることは、よく知られています。歯は、根っこが骨の中にしっかり埋まっているのですが、持続的な力を加えると動きます。矯正治療では、その原理を応用して歯を動かしているのです。ただ、矯正治療の専門家の中では、姿勢(頬杖など)や睡眠態癖では歯は動かないと考えられてきました。もっと長時間、持続的に力が加わらないと歯は動かないと考えられていたのです。ところが、1日1時間でも繰り返し間歇的な力が加わる場合にも歯が動いてしまうことが分かってきたのです。

※参考書籍 「態癖と生活習慣のアドバイス(小冊子) 著者:筒井塾 筒井照子」

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