歯内療法

当医院の歯内療法

痛みを有すると病変、瘻孔、深いポケットなどの所見が合致するか、拡大鏡、顕微鏡(マイクロスコープ歯科用コーンビームCT(CBCT等を用い、う蝕(むし歯)、穿孔、見落とし根管、歯根破折、破折ファイルの有無、歯周病咬合性外傷などとの関連性を精査し、根管治療を行います。

適切な治療をするためには設備が大切であり、加藤歯科医院では、拡大鏡(8倍)マイクロスコープCBCTNi-TiファイルEndoVac、垂直加圧充填用機器、歯科用レーザー装置歯科ユニットウォーターライン除菌装置超音波機器(P-MAX)を有しています。

しかし、一番大切なことは患者さんの言葉によく耳を傾け、検査結果、診断の根拠、治療方針、予想される予後やリスクをしっかり説明することだと考えています。
また、可能な限り「歯髄保存」、「歯牙保存」に努める治療を心がけています。

歯根の治療とは?

細菌に感染している神経(歯髄)や象牙質を除去し、殺菌し、詰め物をして密閉する治療で、抜髄治療根管治療とよばれます。
この治療がうまくいくと、本来なら抜くしか方法のなかった自分の歯を、保存して使い続けることができます。つまり歯根の治療とは、抜歯を避けるための最後の手段なのです。
そのため、当然ながらこの治療はコンマ何ミリの精度が要求され、しかも治療に時間がかかります。
また、過去にすでに歯根の治療がしてある歯を再治療する場合は、以前の治療の際に使われた詰め物を、歯を傷めないように最新の注意を払って除去してからの再治療となるため、さらに複雑で高度なテクニックを要します。

1.なぜ治療に時間がかかるのか?

の内部に入った細菌を徹底的に取り除くためです。大ざっぱな掃除でよいのならたしかに仕事は早く終わりますが四角い部屋を丸く掃いたような治療では取り残したしつこい細菌によってむし歯が再発するリスクが高くなってしまいます。
じっくり時間をかけたていねいな治療が歯を救います。根管が複雑に曲がる難症例ではさらに時間がかかることもあります。

2.治療中の痛みについて

チクッとしたのは、ファイルの先が歯根の先まで達して歯根膜に触れたからです。
ファイルが先まで達しているということはすみずみまで掃除ができている証拠。治療の手ごたえを正確に把握できる大切なサインです。
麻酔は痛みを一時的に隠します。その結果、麻酔し根管治療を行うと、ファイルが歯根の先端をつきぬけ、かえって細菌を歯根の先へと押し出してしまう、ということにもなりかねません。すると歯根膜に炎症が起きてしまうので、治療後麻酔が切れたときにひどく痛むこともあります。

3.治療後の痛みについて

のなかの掃除や薬の刺激で、炎症が歯根膜などに一時的に起こり数日間痛むことがあります。
でもこれは治っていくまでの一過程で、失敗ではありません。

4.治療用器具が折れた!?

ファイルなどの根管治療用の器具は、文献的に治療中に3~5%破折すると言われています。根管内が汚れていなければ、放置しておいても通常はとくに支障がないこともぜひお伝えしたいと思います。
仮に破折した器具が歯のなかに残ってしまっていても、歯のなかがきれいなら炎症は収まっていきます。

5.治療の中断はトラブルのもと!

仮封がもつのはせいぜい2週間。放置すると封が破れ再汚染してしまいます。最悪の場合、を救えなくなってしまう場合もあります。

加藤歯科医院では、患者さんのニーズにより高いレベルで応えるため、スキルアップ・最新器材の導入を積極的に行い、ていねいに時間をかけ精緻な治療を行っております。ご理解のほどよろしくお願いします。

歯根の洗浄とは?

1.洗浄とは?

根管洗浄とは、根尖部の細菌数を減少させるために細菌を除去しようとすることです。
一般的に言われる洗浄とは、ウィキペディアによれば、「水や洗剤などの洗浄液を用いて汚れを取り除く行為」となっています。工業分野では、環境への配慮からおもに水を用いるようになってきているようです。
また、医学分野の外傷の治療では、「水道水などの流水で物理的に汚れを洗い流し、細菌の絶対数を減らすというのがまず重要なことです」(京都の医療を考える若手医師の会)となっています。
根管内では、汚れ・細菌を除去することが重要です。医学分野でも、創面の消毒は、消毒薬は為害作用があるので、ほとんど使用しないという方向になってきているようです。歯科でも、それが正しい方向性だと考えられます。

2.根管洗浄はなぜ必要?

歯内療法の成功は根管系から細菌を皆無にすることと、再感染を防止することにかかっています。根管洗浄は歯内療法において中心的な役割を果たします。つまり、根管洗浄で根管内から可能なかぎり細菌をなくすことによって、歯内療法を成功に導くことができます。現在までのところ、これができるのは根管洗浄しかありません。
細菌、細菌毒素、抗原・起炎性物質、歯髄組織、象牙質削片などを、根管内から除去するために根管洗浄は必要とされています。ここで、最も問題になるのは、細菌です。そして、根管充填の気密性を確保するためには、根管貼薬剤も、根管洗浄によって根管内から除去しなければなりません。
なぜ根管系から細菌を除去しなければならないかというと、根尖部の根管に細菌が残っていると再発してしまうからです。最近、歯内療法は治っていないことが多いことが、CTで予後を調べたりすることで明らかになってきました。アメリカの歯内療法専門医の学会であるAAE(American Association of Endodontists)でも、小さな根尖病巣が残っていても症状がないものは、治療としては成功であるというようなことを正式に表明しています。デンタルX線写真では、一見、よい治療のように見えても、何年かして腫れてくるような症例も最近数多く発生しています。これは根尖部に細菌が存在しているためだと考えられています。
また、術直後にはよい治療のように見えても根管充填材が吸収されると病巣が出現してきます。これは、根管充填材により埋め込まれた細菌が再び活動し始めるため、あるいは歯冠側からの細菌の侵入がより容易になったためであると考えられます。
小さな根尖病巣でも完全に消失させようとすると(完全な治癒)、根管系は複雑であるため、治療は極端に難しくなります。また、そのような理想的な治療をすべての人々に施そうとするのも、非現実であると考えられています。現在の日本の保険治療での歯内療法は、AAEよりもさらに志が低くなってきており、症状がなければよしとする傾向が強いものとなっています。しかし、どうしても確実に治してを残したい、といった状況も必ず存在するのであり、そのような局面では、ていねいに洗浄し細菌を残さないことが治療の成否の鍵となってきます。

歯根の治療の統計データ

1.神経の感覚反応
  Cold Hot EPT
生活歯髄 90% 83% 84%
壊死歯髄 11% 52% 12%

生活歯髄(神経のある歯)は、冷たい刺激は90%、熱い刺激は83%、電気的刺激は84%を感じます。一方で、壊死歯髄(神経のない歯)は、冷たい刺激は11%、熱い刺激は52%、電気的刺激は12%を感じます。神経がない場合の感覚反応は、周囲の歯などが感じてしまうこともあるため、信用性が低くなってしまいます。
特に熱い刺激は神経がない場合でも52%感じることがあるのです。

2.歯根破折の比較

歯根が破折する割合は、前歯が16%、臼歯が84%というデータがあります。臼歯のほうが圧倒的に割合が大きく、これは咀嚼機能によって臼歯を酷使することによります。前歯の中でも、下顎前歯の破折は最も少ないというデータもあります。歯の寿命も下顎前歯が一番長いことから、歯にかかる負担は最も小さく、損傷も少ないと言えるでしょう。

3.非外科的治療の成功率
根管治療 病変なし 病変あり
90%以上 約80%
再根管治療 病変なし 病変あり
根尖破壊あり
70~80% 約50%

非外科的治療の成功率は、根管治療の場合、病変なし・ありの場合でそれぞれ90%以上、約80%となっています。成功率は高いですが、100%とまではいかないことを認識していただきたいと思います。
また、再根管治療となると、成功率はさらに下がります。特に、病変あり・根尖破壊ありの場合は約50%にまで下がってしまうのです。

4.歯内療法のマイクロサージェリー(顕微手術)の成功率

従来の根尖切除成功率は59%、マイクロサージェリーによる根尖切除成功率は94%というデータがあります。
マイクロサージェリーを用いると成功率が格段に上がります。
上記の「3.非外科的治療の成功率」で、再根管治療で病巣あり・根尖破壊ありの場合の成功率は約50%となっていますが、マイクロサージェリーにより、これらののほとんどを救出することができます。
しかしながら、大臼歯のような奥歯の場合など、診療器具が届かないケースでは、マイクロサージェリーが適用できない場合もあります。

5.歯内療法と歯冠修復
  歯冠修復
良好 不良
歯内療法良好91.4%44.1%
不良 67.6% 18.1%

昔のとある文献では、根尖歯周組織の病変発現に関し、歯冠修復の技術水準のほうが歯内療法の技術水準よりも重要であるという報告があります。
両者とも良好は91.4%、歯内療法が良好で歯冠修復が不良では44.1%、歯内療法が不良で歯冠修復が良好では67.6%、両者とも不良は18.1%と結果が出ています。根管充填後の仮封(取れない蓋をする処置)はできるだけ短期間にする必要があると示されています。
加藤歯科医院では、水硬性セメント(ルミコン)とアイオノマーセメントの二重仮封により、完全な仮封状態を作っています。
予後の見通しを説明するとき、疫学調査の結果は大変参考になります。現在の共通見解は、歯内療法および歯冠修復の技術水準に有意差はなく、どちらも重要ということになっています。

参考書籍

「nico 2009.4」
クインテッセンス出版株式会社
「根管洗浄 よりよい治癒を目指して」
小林 千尋 著   医歯薬出版株式会社
「YEAR BOOK 2013 日常臨床で必ず使える!歯内療法克服の一手
歯を保存する診断、テクニック、マテリアルのすべて」
クインテッセンス出版株式会社

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