顎関節症

人口の半分が症状を経験するかもしれないという病気でありながら、
あまりひどい状態にならずに回復する顎関節症
しかし、中には「口が大きく開けられない」、「痛みがずっと続いている」、
「硬いものを食べられない」
といったつらい症状に何年も苦しんでいる患者さんもいらっしゃいます。

顎関節症患者に見られる典型的な症状

  • 1.口が開けにくくなる(口が開かない)、開口障害
  • 2.痛み(口を開けると顎が痛い)
  • 3.関節雑音(音が鳴る)

このような顎関節に直接かかわる症状のほかに、体の各部位にさまざまな症状がみられる場合もあります。

耳と平衡感覚
耳鳴り、耳の痛み、難聴、耳閉感(耳がつまったような感じ)、めまい、立ちくらみなど
充血、涙目、視力低下など
鼻・のど
鼻閉感(鼻がつまった感じ)、のどの閉塞感(のどがつまった感じ)、鼻やのどの圧迫感など
頭痛
その他
肩こり、腰痛、全身のだるさ、疲労感、手足のしびれや痛み、頸椎ヘルニア、腰椎ヘルニアの症状など

どうして起こるの?

原因となる因子がいくつも積み重なると、積み木全体としての高さがその人の持っている許容範囲を超えてしまいます。
そのような状態になると顎関節症の症状が出てくると考えられます。

顎関節部形態異常、悪い咬み合わせ、歯の接触部・歯ぎしり、精神的緊張などの原因が積み重なって、その患者さんの関節力や筋肉の耐久力・許容量を越えると顎関節症の症状が出てくる

顎関節症になってしまったら?

問診、診査を行った上で、顎関節症に対し悪影響を及ぼす生活習慣についてお話しし、改善を目指します。また、同時にストレスのかかった筋肉に対し、自宅で行っていただけるストレッチをお教えし、 行っていただきます。

2週間後、その後の経過を聞かせていただきます。この時点で3分の2以上の方がよくなったと言われます。改善がみられなかった方については、以下の治療をよく説明した上で、受けていただいています。

安心・安全な咬合治療の流れ

注:いずれの段階においてもTCHの発見および是正に努めること

顎関節症の症状(+)

Ⅰ.整復・ストレッチ
(1)頚椎整復 (2)頭軸圧法 (3)割りばし整復 (4)徒手整復

顎関節症の症状(+;残っている)/(-)治療とみなす→経過観察

Ⅱ.マイオモニターによる治療顎位で可撤式スプリント(要顎機能検査)

可撤式スプリント治療までにする。Ⅲへは進まない。Ⅰ、Ⅱの繰り返し。 スプリント装着時顎関節症の症状(+;残る場合)/(-)治療とみなす
→経過観察もしくはⅢのメンタルスプリント治療へ

Ⅲ.マイオモニターによる治療顎位で固定式メタルスプリント(≒全顎補綴)

顎関節症の症状(+;残っている)/(-)治療とみなす→経過観察

顎機能検査による顎位の再評価(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの繰り返し)

咬合治療を受けられる方の原因として、「歯の咬み合わせのずれ」が挙げられます。
「歯の咬み合わせのずれ」とは、顎の関節の位置が後方にずれておきるものです。
また、ずれた咬み合わせによる咀嚼筋の不調和や、筋肉のこり、姿勢の悪さ、顎関節と頸椎の不調和、
筋肉のこりによる脳血流の低下
(筋肉のこりによって交感神経が緊張し、頸動脈や椎骨動脈の血流が低下して脳血流の低下がおこる)など、全身症状との関連性も考えられます。

ではなぜ「咬み合わせのずれ」がおきるかといえば、自然発生の場合もありますが、
「歯医者での治療が原因」となっている場合もあります。
たとえばむし歯の治療によって歯を削ったり充填したりした場合、ブリッジをかけたり入歯を入れた場合などのほか、顎関節のぐあいが悪くなっているのに不用意に咬み合わせの治療をうけて、かえって咬み合わせがずれてしまう場合などです。

しかし人間には人それぞれがもつ許容できる範囲があり、また、いくつかの原因があわさって起こるものですから、症状が出ないまま過ごされている場合の方が圧倒的に多いと思います。そんな方は治療も必要ありません。
ですがもし症状が出た場合不可逆的な治療(咬合調整、全顎補綴、矯正治療など)は、咬み合わせが安定し、症状がなくなってから行うことが大切です。

もしわからないことがあれば、メールでお問い合せください。

医院内での説明、治療については予約制となります。
また顎関節症の治療については原則自費治療となります。
患者さんの状態で処置内容も変わってきますので、診査・診断にて詳細な治療内容と治療費用をご説明します。

スプリント

スプリントは正しく使えば、生体本来の治癒能を引き出してくれます。生体は力に対して全て反応して形を変えます。スプリントは矯正装置と同じです。力が加わっている所の歯は沈み込み、咬合が低くなります。力が加わっていない歯は挺出してきます。したがって、間違ったスプリントを長期使用するとスプリントを入れておかないと咬合出来なくなり「スプリント依存症」「スプリント依存シンドローム」がおこります。

スプリントの定義

スプリント療法とは、主として顎機能障害の治療において、歯列などをレジン製のプレートなどで覆い、一時的に咬合や顎間関係を変えて、症状の改善を図ることを目的とした治療法です。(臨床咬合顎辞典より)

スプリントの目的

診断用スタビリゼーションスプリント
1.顎位を探す。早期接触をとる。
2.筋肉のスパズムをとる。
3.咬合を一時的に排除する。

アムステルダム型スプリント
4.鑑別診断
5.バイトアップ
6.元に戻す(バイトアップ、顎位、咬合平面、歯軸など)

⇒

診断用スタビリゼーションスプリント

アムステルダム型スプリント

スタビリゼーションスプリント
スタビリゼーションスプリント

アムステルダム型スプリント
アムステルダム型スプリント

スプリントの目的
(1)垂直的な動き
・自然挺出(すかせる)
・圧下(テーブルをつけて咬合力による)

(2)顎位をかえる
・前方
・側方

ただし、スプリントだけですべて治癒するわけではありません。他要素として、患者さんの責任分担、術者側の責任、歯牙の形態再付与、プロビ修復、修復的歯牙移動など、組み合わせないと元に戻らないことが多々あることに注意しましょう。

参考書籍・研修会

「新 顎関節症はこわくない」
木野 孔司・他 著 (砂書房)
「TCHのコントロールで治す顎関節症」
木野 孔司 著 (医歯薬出版株式会社)
「歯医者さんに行ったら病気になった?!」
藤田 和也 著 (はまの出版)
「咀嚼機能を支える臨床咬合論」
河野 正司 著 (医歯薬出版株式会社)
スプリントに強くなろう(研修会)
筒井歯科・矯正歯科医院 筒井照子

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