顎関節症

Q1 私、顎関節症なんですが痛みをとる方法を教えてください。
A1

急性の痛みと慢性の痛みで対応方法は異なります。

急性の痛みの場合

 冷やす・大きく口を開けない・硬いものを食べない・安静に

慢性の痛みの場合

 温める・開口訓練(リハビリトレーニング)

 

また、次のような論文があります。

「TMDの疼痛緩和に有効な治療法としては、オクルーザルスプリント、鍼灸、行動療法、顎運動、姿勢訓練、および薬物療法の一部が挙げられた。また、電気生理学的療法や手術の効果に関する科学的根拠は不十分で、咬合調整は効果がないとされた。」

TMDの管理:システマティックレビューおよびメタアナリシスによる科学的根拠
J Oral Rehabil 2010;37(6):430-451.

※参考書籍
 「開業医のための口腔外科 重要12キーワードベスト240論文」
 監修 河奈 裕正  クインテッセンス出版株式会社

  「顎関節症のリハビリトレーニング」
 木野 孔司 編著  医歯薬出版株式会社

Q2 顎関節症とは何ですか?
A2

あごの関節(顎関節)周辺や、あごを動かす筋肉(咀嚼筋)に異常がある状態のことです。
これらは単独で症状が現れることもありますが、両者が混在した病状が現れることが多いです。
主な症状は「あごが痛い」「あごが鳴る(音が鳴る)」「口が開けにくい(口が開かない)」などがあり、慢性的な疾患です。
また、よくいわれる「あごが外れた」というのは脱臼のことであり、厳密にいうと顎関節症とは異なります。

Q3 顎関節症の原因と発症のメカニズムについて教えて下さい。
A3

現在では研究が進んで、顎関節症の病因は多因子であることがわかっています。例えば、「噛み合わせ」は何十もの病因のほんの一部。クセや生活習慣の改善からまずは試していきましょう。

 

顎関節症の原因は、大きく分けると次の3つに分けることができます。

1.精神的なストレス、ブラキシズムやその他の口腔習癖による筋の異常活動

 精神的ストレス・・・緊張、不安、抑うつなど

2.歯冠修復や補綴などの歯科治療による噛み合わせの変化

噛み合わせの異常、多数歯欠損

3.不良姿勢や偏った動作による下顎の変位

・習癖

TCH(上下歯列接触癖)、不良姿勢、噛みしめ、緊張時の食いしばり、頬杖、携帯電話・スマートフォンの操作、受話器の肩ばさみ、下あごを突出させる癖、筆・器具噛み、爪噛み、うつぶせ読書、テレビゲーム・携帯ゲーム

・食事

硬い食べ物が好き、ガム噛み、片噛み

・就寝時

ブラキシズム(クレンチング、グラインディング)、睡眠不足、高い枕・固い枕、うつぶせ寝、手枕・腕枕、就寝時の姿勢

・スポーツ

コンタクトスポーツ(マウスガードの装着義務がない種目で起きやすい)、柔道、剣道、球技、スキューバダイビング、ウィンタースポーツなど

・音楽

楽器演奏(クラリネット、サクソフォン(サックス)、オーボエ、トランペットなどの吹奏楽)、カラオケ(急な大開口・維持など)、発声練習

・社会生活

緊張する仕事、多忙な生活、精密作業、PC作業、重量物運搬、歯科治療時(急な大開口・維持など)、対人関係の緊張

他にも、解剖要因(顎関節や靭帯、筋肉が弱い)外傷要因(噛み違い、打撲、転倒、交通外傷)などによっても発症することがあります。

これらの要因により非生理的な下顎運動が引き起こされ、それが生体の適応の限界を超えた時、顎関節症を引き起こすと考えられています。さまざまな病因が積み上がって患者さんの耐性を超えないように「総量」を減らしましょう!

顎関節症の発症メカニズム

 

※参考書籍
 「nico 2015.2 クインテッセンス出版株式会社」

 「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
 姫野 かつよ 著  砂書房

 「顎関節症 Q&A 自分でできる予防と治療のアドバイス」
 中沢 勝宏  医学情報社

Q4 顎関節症の痛みの原因にはどのようなものがありますか?
A4

いろいろ原因はありますが、主に次のようなものがあります。

  • 噛み合わせによるもの
  • ストレスによるもの(社会環境、家庭環境)
  • 顎関節に由来するもの(関節円板のずれ、変形)
  • 筋肉に由来するもの(筋肉の緊張など)
  • 心理的原因に由来するもの(内的因子による情緒不安定)
  • 神経筋機構に由来するもの
  • その他

 

※参考書籍
 「美しい表情は噛み合わせから」 
 稲葉歯科医院顧問 元日本歯科大学教授 稲葉 繁
 稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子

Q5 顎関節症といっても、いくつかの種類があるそうですね?私はどのタイプかを知りたいです。
A5

大きく分けて4つのタイプがあります。日本顎関節学会による分類を使ってそれぞれの特徴をご説明しましょう。患者さんによっては複合型もあるのでまずは歯科医院で診てもらいましょう。

1.筋肉のトラブル

TMJのタイプ1 筋肉のトラブル

咀嚼筋の筋肉疲労による筋肉痛がきっかけ。慢性化する場合もあり、原因についてはまだ謎も多い。口を開け閉めしたり、筋肉を触ると痛む。初期治療と生活指導を受け、リラックスを心がけよう。症状が長引く場合は専門医へ。

2.関節円板のトラブル

TMJのタイプ2 関節円板のトラブル

関節円板のズレにより起きる。異音、口が開けにくいなどの症状のほか、強い痛みを伴うことも。歯科医院の初期治療と生活改善により痛みが軽減することが多いが、痛みが強かったり、症状が長引く場合は専門医へ。

3.靭帯や関節包のトラブル

TMJのタイプ3 靭帯や関節包のトラブル

顎関節の周囲にある靭帯などが肉離れや捻挫を起こして痛む。硬い食べ物を避けるなどしながら大事にしていると、通常は自然に回復する。

4.骨の変形のトラブル

TMJのタイプ4 骨の変形のトラブル

下顎頭の変形や顎関節の周囲の組織の損傷のために起き、症状は軽度のものから重度のものまで幅がある。顎関節への負担を取り除くことによって顎関節が動くようになると、専門医の治療を受けずに治るケースも。症状が長引く場合は専門医へ。

※参考書籍 「nico 2015.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q6 私は顎関節症になったことがあります。治療のときにずっと口を開けているとまたあごが痛くならないかと心配です。
A6

1回の治療時間を短くしたり、休憩を挟むなど治療の際に配慮をさせていただきますので、ご心配なことがありましたら顎関節症の既往歴を問診票に書き込んだり、歯科医師や歯科衛生士に必ずお伝えください。

※参考書籍 「nico 2015.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q7 テレビを見ていたら、顎は左右均等に使わないと顎関節症になったり、顎が変形すると言っていたのですが本当でしょうか?
A7

以下、日本歯科大学名誉教授の丸茂義二先生のコメントです。

顎関節症の専門医師としての診療をしていると、マスコミの被害者によく巡り会います。もともと顎関節症という病気は、たくさんある関節の一つのアゴの関節に症状が出る病気ですが、全身の関節は相互に関連があるので腰の調子が悪い時にアゴの関節が不調になったりします。また足を組むことにより骨盤が傾斜し、これがくせになったためにアゴがちゃんと動かせなくなる人も多いのです。

このような方には、いつ頃から調子が悪くなったかをよく問診をしてみます。そうすると雑誌に左右両方で噛まないとアゴが曲がると書いてあったので、一生懸命ガムを噛んで練習したなどという方がいます。いつも使わない所で噛むのには相当に努力が必要です。普通はすぐにやめてしまうのですが、頑張る人がアゴに障害を起こしてしまうこともあるのです。特に骨格の柔らかい子供のうちならいいですが、大人になって骨格が固まってしまうとどうも問題が起こりやすいようです。

物事の考え方は勝手なもので、このような両側を噛むことが正しいかどうかは、右利きで字を書く人は長年右手で字を書いていると体が曲がるとでも言うのでしょうか。手は片手だけ使っても大丈夫で、顎だけは片方だけではいけないとでもいうのでしょうか。アゴは右で噛んでも左側の筋肉も同時に使いますし、世の中の半数の人は噛むことに得意な側があるとも言われています。

このように、頭で考えることとは違って両方を使うことがかえって障害の原因になってしまうこともあるという事実こそ大切なことかもしれません。

多くのまじめな方は、テレビにあるいは雑誌に書いてあることを信じやすく、特に健康関連の記事はそのままの情報を鵜呑みにしてしまうかもしれません。大事にすべき生活習慣と改善すべき習慣を適切に判断することが生活の知恵と言えます。」

※引用
 日本歯科大学附属病院 関節症診療センター 初代センター
 日本歯科大学名誉教授 丸茂義二先生のコメント

Q8 顎関節症の治療費について教えてください。
A8

顎関節症の治療についてですが、残念ながら日本の保険制度ではカバーされていません。保険治療で可能な治療は非常に限られているからです。そのため、顎関節症の診断と治療は保険治療外(自費)で対応させていただいております。

最初の初診時にカウンセリングを実施し、症状の把握、場合によっては応急処置をします。次に、噛み合わせの診査やレントゲン撮影、その他詳しい診断をします。症状によって、顎機能検査、スプリント療法が必要になります。費用については、最初のカウンセリングの時に詳細をお伝えします。

噛み合わせの治療は1回で終了することもあれば、時間をおいて様子をみながら再度噛み合わせの治療をすることもあります。

 

※参考書籍
 「美しい表情は噛み合わせから」 
 稲葉歯科医院顧問 元日本歯科大学教授 稲葉 繁
 稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子

Q9 どんなクセや習慣が悪くて顎関節症になるのですか?
A9

顎関節症を発症・増悪させる原因を減らすために、日常生活で何気なく行っているクセや習慣を見直しましょう。気づいて改善していくと症状がグッと楽になります。ぜひお試しください!

1.背筋を伸ばそう

つい猫背になっていませんか?猫背になると顎が前に出て顎関節に負担がかかりがちです。とくに仕事や勉強で長時間集中するかたは要注意です。ふだんの何気ないクセを直していきましょう。

2.上下の歯を離そう

仕事や家事、運転中や勉強中に歯を噛み締めたりして、上下の歯を触らせてはいませんか?上下の歯が触るのは、食事を含めても、通常1日20分程度と言われています。上下の歯を触らせるクセがあると、あごの筋肉を疲労させてしまいます。

3.睡眠を十分取ろう

睡眠不足になると緊張状態に陥りやすく、リラックスしにくくなります。また、睡眠の質が悪い歯ぎしりが増えることがわかっています。生活のリズムを整えて十分な睡眠を取りましょう。うつぶせや高めの枕は避け、できるだけ上向きで寝ましょう。

4.頬杖をやめよう

テレビを見ながら、おしゃべりしながら、つい頬杖をついていませんか?偏った力があごに加わって余分な負担をかけるだけでなく、バランスを取るためにあごの筋肉が緊張し筋疲労の原因にもなります。

5.仕事の合間に休憩しよう

仕事や家事、勉強の合間に休憩を取りましょう。緊張したり集中したりしている時間が長く続くと、あごの周りの筋肉も緊張しがちです。お茶を飲んだり、軽くストレッチをしたりして一息つきましょう。

6.電話の肩ばさみをやめよう

電話の肩ばさみは、あごの筋肉を疲れさせ、偏った力をあごにかけてしまいます。また、長電話はあごの疲れの原因に。口を開けると音がするかたや、あごに違和感のあるかたは、ひとまず長電話は控えましょう。

7.うつぶせで読書をしない

うつぶせ読書は、下あごが前に突き出てあごに負担がかかります。読書はつい同じ姿勢を長時間続けやすく、何気なく続けているうちにあごを傷めてしまいます。読書はよい姿勢でしましょう。

8.硬い食べ物は控えて

痛みのあるかたはもちろん、あごを動かすと音がするかたや違和感のあるかたは、なるべく硬い物・大きな物を食べるのは控えて、しばらくあごを養生させましょう。せんべい、スルメなどはもちろん、フランスパンなども避けたほうがよいでしょう。

※参考書籍 「nico 2015.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q10 顎関節症の自覚的症状について教えてください。
A10

次のようなものがあります。

  • 歯のすり減り
  • 歯の神経が炎症を起こす
  • 歯の根っこのあたりが痛くなる
  • 歯ぎしり
  • 顎関節が痛い
  • 頭痛、肩や首の筋肉が痛む
  • 耳が痛い、耳鳴り
  • 耳の前あたりの雑音
  • 口を開けた時に音がする
  • 口を開けたり、閉じたりがスムーズにできない
  • 手足のしびれ
  • 難聴
  • 肩こり、腰の痛み
  • 姿勢が悪い
  • その他

 

※参考書籍
 「美しい表情は噛み合わせから」 
 稲葉歯科医院顧問 元日本歯科大学教授 稲葉 繁
 稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子

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