小児・妊娠中の治療について

Q91 妊娠してから歯ぐきが腫れやすくなりました。プクッと赤くふくらんで、歯みがきすると血が出ます。
A91

歯肉炎になっているのだと思います。歯科医院に受診し、治療とセルフケアの指導を受けましょう。歯肉炎は歯ぐきの周りのお掃除で簡単に治すことができます。出産した後は子育てで忙しく、自分の通院はつい後回しになり症状を悪化させてしまいがち。治すなら今のうちです!

※参考書籍
 「nico 2018.5 クインテッセンス出版株式会社」

Q92 妊娠中の歯科治療。受けられる時期と注意点は?
A92

妊娠前から予防をして、ずっと健康なお口で過ごせるのが理想とはいえ、妊娠中に悪化しても、基本的には通常の歯科治療を受けられます。

 

妊娠初期(妊娠0~15週)

つわりで繰り返し起きる嘔吐や、嗜好の変化と偏り、吐き気による歯みがき不足などのために、むし歯や歯周病になりやすいお口へと急激に変化しやすいです。

注意点

赤ちゃんの重要な器官がつくられる大切な時期。流産の危険性も考慮して、痛みや炎症をひとまず止めるための応急処置にとどめ、本格的な治療は安定期か産後に行います。かかりつけの歯科医院で必ず定期的に経過観察を受けましょう。

 

妊娠中期(妊娠16~27週)

徐々につわりがおさまって歯みがきが楽になってきます。一方、食欲が増して間食の回数が増えるなど、食習慣の変化がむし歯の原因になりやすい時期です。

注意点

胎盤が完成する安定期に入ります。産後まで治療を待てない場合、外科処置を含む一般的な歯科治療を受けることができます。激しい急性炎症を起こすような、進行した歯周病や親知らずの抜歯は、必ず産科の主治医の許可を得て行います。

 

妊娠後期(妊娠28~39週)

赤ちゃんが急激に成長して子宮が大きくなるので、胃が圧迫されて一度にたくさん食べられません。ちょこちょこ食べる必要があるので、むし歯のリスクが上がる時期です。

注意点

仰向けで診療を受けると大きくなった子宮に大静脈を圧迫され低血圧症を起こしやすくなります。産科の主治医に相談し、歯科受診の際はチェアの背を少し立ててもらって短時間の応急処置にとどめるなど、体調に合わせた治療計画を立ててもらいましょう。

 

CHECK

妊娠後期の仰向け姿勢で起きがちな低血圧症。からだを左側に傾けると、大静脈の圧迫を避けられ低血圧症を防ぐことができます。足を組み、タオルで背中を固定すると安定します。

 

※参考書籍
 「nico 2018.5 クインテッセンス出版株式会社」

Q93 歯科の局所麻酔について、赤ちゃんへの影響は大丈夫ですか?
A93

歯科の局所麻酔はお産に使われているのと同じ麻酔薬です。赤ちゃんのためにも痛みのストレスを我慢しないようにしましょう。

一般的な歯科治療でもっとも多く使われている麻酔薬リドカインは、無痛分娩や帝王切開にも使われ、妊娠全週で問題なく使用できる麻酔薬です。通常量を使ってもまったく問題ないとされています。

一方、プロピトカインという麻酔薬には、子宮を収縮させ分娩を促進させる作用があるため、妊娠後期の妊婦さんには使用しません。

※参考書籍
 「nico 2018.5 クインテッセンス出版株式会社」

Q94 妊娠中の歯科受診ではどんなことに気をつけたらよいですか?
A94

受診を躊躇するお気持ちもわからないではないですが、悪化する前に受診するほうが小さな治療で終わり、疲れずにすみますよ。

妊娠中だと教えてください

妊婦さんの治療では、使用する薬剤を妊娠期に合わせて配慮させていただいています。来院した際には妊娠中だと必ず伝え、「母子健康手帳」をお持ちください。また、産科の主治医に注意を受けていることがあれば教えてください。

治療の相談はお早めに

妊婦さんのお口のなかは、妊娠前と比べてむし歯や歯周病が進行しやすくなっています。治療を躊躇すると思わぬ悪化をまねくこともあるので、症状が軽いうちに歯科医院で検査を受け、体調に合わせて治療が受けられるように治療計画について相談しましょう。

産科の主治医にも相談を

歯科治療をご希望のかたは、妊婦健診の際に歯科の主治医に相談しておきましょう。妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにかかっていたり、外科などの大きな治療が必要な場合は、必要に応じて歯科と産科が連携し全身状態を把握して治療を進めます。ご安心ください。

 

CHECK 意外と多い!親知らずのトラブル

「親知らずの抜歯を先延ばししている」というかた、多いのでは?

歯ぐきが腫れやすく、むし歯も進行しやすい妊娠中は、急に親知らずが悪化して抜くはめになるかたが意外と多いんです。「将来赤ちゃんが欲しいな」と思ったら、親知らずは抜いておきましょう。

 

※参考書籍
 「nico 2018.5 クインテッセンス出版株式会社」

Q95 歯科でもらうお薬について、赤ちゃんへの影響は大丈夫ですか?
A95

お薬の安全性については、お腹の赤ちゃんに実際に試してみるわけにいかないため、確認されているお薬はありません。歯科では、比較的安全性が高いとされるお薬を、その効果が赤ちゃんへの影響を上回ると判断した場合に限り、必要最小限の処方をしています。

■抗菌薬

比較的安全性の高いのがペニシリン系やセファム系の抗菌薬です。ペニシリン系やセファム系の抗菌薬にアレルギーがあるかたには、マクロライド系の抗菌薬が第2選択肢となります。治療上の効果がお腹の赤ちゃんへの影響を上回ると判断される場合に、最小限を処方します。

■消炎鎮痛剤

比較的安全に使用できるとされているのがカロナール、アルピニー、ピリナジン(アセトアミノフェン)です。「妊娠中比較的安全に使用できる」とされていますが(「産婦人科診療ガイドライン産科編2014」)、痛みがありどうしても必要なときにだけ、最小限を処方します。

※参考書籍
 「nico 2018.5 クインテッセンス出版株式会社」

Q96 生まれてくる赤ちゃんにむし歯菌をうつしたくありません。今はつわりがひどくて歯みがきがていねいにできないのですがどうしたらいいですか?
A96

体調のよいリラックスタイムに、1日1回でよいのでていねいに歯みがきしましょう。下を向いて唾液が口のなかに溜まらないようにして歯みがきすると、嘔吐感が刺激されにくくみがきやすいです。

それも無理な場合には、食後に強めのブクブクうがいをしたりキシリトールガムを噛んだりしてつらい時期を乗り切りましょう。小型ヘッドの歯ブラシや柄付きのフロスを使うと嘔吐感を刺激しにくいのでおすすめです。

※参考書籍
 「nico 2018.5 クインテッセンス出版株式会社」

Q97 妊娠すると、胎児にカルシウムを供給するため、むし歯になりやすいのですか?
A97

それは間違いです。

妊婦が食事からカルシウムをほとんど摂らなくても、胎児には必要量のカルシウムが供給されます。

これは妊婦が自分の骨のカルシウムを犠牲にして歯のカルシウムを犠牲にするのではない)、胎児にカルシウムを供給するためです。歯のカルシウムは利用されないカルシウムであるのに対して、骨のカルシウムは利用できるカルシウムです。つまり、妊娠で歯のカルシウムを胎児に供給してむし歯になりやすくなるということはありません。

 

※参考書籍
 「新骨の科学」 須田立雄 医歯薬出版株式会社

Q98 うちの子の前歯の生え代わりが遅いので歯科医院に相談したら今度レントゲンを撮りましょうとすすめられました。なぜレントゲンが必要なのですか?
A98

余分な歯ができ前歯が生えるのを邪魔していないか、あごの骨のなかで永久歯がうまく育っているかを確認する必要があるからです。あごの骨のなかで起きていることは外側から診てもわからないのでレントゲンを撮ってよく調べてもらいましょう。

※参考書籍 「nico 2017.8 クインテッセンス出版株式会社」

Q99 乳歯が抜けても前歯がなかなか生えてこないなあと心配で、歯科で検査を受けたら余分な歯ができていて、それが前歯の邪魔をしているとのことなんです。驚きました。どんな治療をするのですか?
A99

手術をして前歯が生えるのを妨げている余分な歯を取り除きます。放っておくと、余分な歯が大切な永久歯の生える力を奪ってしまうことがあるので早めに発見できて本当によかったですね。

※参考書籍 「nico 2017.8 クインテッセンス出版株式会社」

Q100 左の永久歯は出ているのに、右の同じ部位の歯が出てこないんですが?
A100

歯種にかかわらず、平均的な歯の萌出時期より10~12カ月以上遅延が認められている場合や萌出時期の左右差が6カ月以上ある場合は、萌出遅延があると考えるべきです。(前述の通り、正常あるいは平均的な萌出時期から遅れているだけでは埋伏歯の診断は困難ですが、“埋伏歯の疑いがある”とは考えるべきです)。

なお、10歳を過ぎても上顎乳犬歯が動揺もなく残存し、頬側の膨隆が触知されなければ、犬歯が埋伏している可能性があり、さらなる検査が必要となります。

診査については、視診・触診・レントゲン診が行われます。

永久歯の先天欠如の可能性もあります。そのため、レントゲン診が必要となります。

先天欠如は系統発生学的原因などによって起こる歯の発育異常です。

日本小児歯科学会が行った全国調査によると、「第三大臼歯を除く、永久歯の先天欠如の発現頻度は10.09%であった。また、永久歯先天欠如は上顎より下顎に多く、歯種別では、下顎第二小臼歯がもっとも多く、次いで下顎側切歯、上顎第二小臼歯、上顎側切歯の順に認められるということであった。」ということです。

永久歯先天欠如の歯種別発現頻度(上下顎上位4歯)

永久歯の先天性欠如:上下顎の発現率の割合が高い歯種を表した図

 

※参考書籍
 「小児歯科矯正歯科の基本を大切にした小児期からの咬合治療」
 石谷 徳人 著  東京臨床出版

 「生きる力をはぐくむ口腔機能」
 一般社団法人 日本学校歯科医会

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