小児・妊娠中の治療について

Q81 おしゃぶりの目的と使用期間を教えてください。
A81

おしゃぶりは使う目的と使用期間を理解することが大切です。

目的

  • あやすためではない
  • 子育て手抜きするためのものではない
  • お口の機能を高めるために使用する

使用期間

  • 遅くても2歳半くらいまでには止める

※参考 床矯正研究会

Q82 うちの子、転んで歯をぶつけたんですけど、別に血も出てないしもう痛くないって言うんです。放っておいても大丈夫ですか?
A82

出血や痛みがなくても、歯の根っこや歯の周りの組織にダメージが及んでいることがあります。そうしたダメージは専門家の検査でないとわからないものですし、あとになって痛みが新たに生じる危険性もありますのでできるだけ速やかに歯科医院を受診してください。

乳歯をぶつけたときに恐いのが、生え替わる永久歯への影響。じつは「乳歯が抜けた」というケガは、永久歯への影響がいちばん大きいことがわかっています。

東京医科歯科大学歯学部附属病院の小児歯科外来のデータでは、初診時に乳歯が抜けて来院された場合、70%の確率であとに生えてくる永久歯に何かしらの異常が見られました。生え替わる永久歯のためにも、歯をぶつけたときには、歯科で検査を受けましょう。

※参考書籍 「nico 2017.10 クインテッセンス出版株式会社」

Q83 歯をぶつけたとき、そのダメージは歯だけにとどまらないそうですね。具体的にはどういうことですか?
A83

歯をぶつけたときには、歯そのものへのダメージと、歯の周りの組織やあごの骨へのダメージが考えられます。また、乳歯をぶつけた場合は、乳歯の奥でつくられている永久歯への影響も考えられます。ですから、ぶつけた歯が欠けたり、グラグラになったりしていなくても、見えないところにダメージを受けている可能性があるんです。

永久歯の芽である永久歯胚は、お子さんの成長とともにだんだんと歯の形になっていきます。最初はゼリーのようにやわらかく、徐々に硬くなっていくのですが、乳歯がまだ生えている時期の永久歯胚は、学校で使うチョークのようなやわらかさ。ですから、ぶつけた乳歯が押し込まれて当たると、簡単に削れたり変形してしまうんです。

※参考書籍 「nico 2017.10 クインテッセンス出版株式会社」

Q84 うちの子が転んで歯をケガしてしまいました!とにかくすぐに歯科医院に連れて行けばいいんでしょうか?
A84

まずはお子さんの様子を見て、頭部や全身の症状があるようなら、先に医科を受診してください。心配な点はないようでしたらここでお話しする応急処置をしつつできるだけ早く歯科への受診をお願いします。

■まずは全身をチェック!

歯科を受診する前に、お子さんの脳や目に異常がないかをチェックします。次の症状があるなら、まずは医科の受診を。

吐く、鼻血・鼻水が続く、ふらつく、頭痛がする、目が見えにくい、記憶が欠けている、顔色が悪い、短時間でも意識がなかった、目の動きがおかしい、歩き方がおかしい

いちばん危険なのは、耳介後部出血(パンダ耳)と、眼窩周囲の皮下出血(パンダ目、ブラックアイ)です。1時間以内に医科を受診してください。

〇記録を取りましょう。

余裕があれば、お子さんがケガをした場所や状況・時刻などをメモしておきましょう。医師がケガの種類や範囲、程度を診察し推察する際の助けとなります。

■歯が抜けた場合

・歯のケガのうち、緊急度ナンバーワン。抜けた永久歯は早く植え治してもらうほど、元に戻る可能性が高まります。

・抜けた永久歯が残せるかどうかは、時間との闘いです。お子さんの場合、ゴールデンタイム(治療の成功率が高い時間)は3時間といわれています。

・乳歯が抜けた場合、植え治すことは原則としてありませんが、あとに生えてくる永久歯への影響も考えられますので、受診をおすすめします。

〇抜けた永久歯の扱い方

・乾燥は大敵

ラップやビニールで包んで乾燥を防ぎ、1時間以内に受診を。すぐの受診が難しい場合は、牛乳*に入れて冷蔵庫で保存しておきます(もつのはひと晩ほど)。学校や幼稚園には、子どもの歯のケガに備えて、「歯の保存液」が備えられているところもあります。

*牛乳アレルギーのお子さんの場合は避けましょう。

・水洗いはNG

水道水には塩素が含まれるため、泥や砂がついていても、抜けた歯を水で洗うのはNG。再植前に歯科医院で徹底的に洗浄しますので、泥や砂は気にしなくて大丈夫です。どうしても洗いたければ牛乳*で。

■歯が欠けた、折れた場合

・歯のかけらを見つけたら、牛乳に入れるなどして、乾燥を防いで歯科医院にお持ちください。

・歯の神経(歯髄)を守るためには1日以内に受診するのがおすすめです。半日くらい経つと痛みが強まることが多いので、放置は危険です。

■くちびるや歯ぐきが切れた場合

・傷口を清潔なガーゼなどで軽く押さえて、止血しておきます。腫れを防ぐためにできるだけ早く氷で30分冷やします。腫れてからは水とタオルで冷やします。

・土やアスファルトなどは、たとえ粉のような細かい異物でも、傷のなかに残ると傷跡になりかねません。ですので、その日のうちに歯科医院で十分に洗浄してもらいましょう。同時に歯をぶつけていることがあるので、歯の検査も受けましょう。

■歯がグラグラする、噛むと痛い場合

・歯が抜けかけていたり、歯の根っこや、歯を支えるあごの骨が骨折している可能性があります。

・外れそうな歯を飲み込まないように注意して、少なくとも3日以内に受診してください。

※参考書籍 「nico 2017.10 クインテッセンス出版株式会社」

Q85 うちの子の歯のケガを歯医者さんで診てもらい、ひと安心です。今後は定期的な受診をすすめられましたが、それはなぜなのでしょうか?
A85

歯をケガした場合、ダメージはたいてい歯や歯の周りの組織にも及びますが、そのなかには時間がたってわかってくるものもあります。何かトラブルの芽が見られたら速やかに対応することが歯を残すために大切。ですから、歯科医院での経過観察は欠かせないんです。

※参考書籍 「nico 2017.10 クインテッセンス出版株式会社」

Q86 妊娠すると歯周病になりやすいのですか?
A86

女性ホルモンの変化と歯周病の発現・進行

女性ホルモンの急激な変化

  • 歯周病原最近の増殖を助ける
  • 血管の透過性を高め、炎症・出血が起きやすくなる
  • 唾液の粘稠性を高め、口腔内の自浄性を低下させる

歯周病(歯肉炎・歯周炎)の発現・進行

 

生活習慣の変化とう蝕・歯周病のリスク

食生活:つわりによる食嗜好や食事回数の変化、胎児の発育による食事回数の増加
歯みがき習慣:つわりによる歯みがきの困難、食事回数の増加による口腔ケア不足

  • 食渣の口腔内停滞、自浄性の低下(酸の産生)
  • プラークの増加、口腔細菌の増殖

う蝕・歯周病のリスクが高まる

 

妊娠中は口の中の衛生状態が悪くなりがちです。妊娠中期から後期になると、女性ホルモンの血中濃度が高まります。歯周病の原因菌のあるものはその女性ホルモンを利用して増殖するため、歯ぐきからの出血や歯ぐきが赤くなったり、腫脹が起きやすくなります(妊娠性歯肉炎といいます)。
また、つわりなどの妊娠症状により、お口のケアがしづらくなることにより、歯周炎になりやすくなる場合もあります。
出産とともに元に戻りますが、しっかりとプラークコントロールを行うことで炎症を最小限におさえることができます。
一方、歯周病にかかっている患部から、毒素や炎症をひきおこす物質が血液中に入り、胎盤を刺激すると、胎児の成長に影響を与えたり、子宮の収縮を促したりして、低体重児出産(2500g未満)早産(37週未満)のリスクが高まることが明らかにされています。
母親が進行した歯周病にかかっている場合、低体重児を出産する率が7倍以上になるともいわれています。歯周病を防ぎ、軽度のうちにしっかり治療をして、丈夫な赤ちゃんを産みましょう。

歯根や歯槽骨の状態についてはレントゲンやパントモで確認することができます。
妊婦に関する放射線の被曝については、こちらのQ&Aをご覧下さい。
現在妊娠していてレントゲン撮影に不安があります。防護でどのくらい放射線をカットできるのでしょうか?
まだ妊娠安定期に差し掛かっていません。安全なレントゲン撮影の限度について教えてください。

※参考書籍
 「プレママと赤ちゃんの歯と口の健康 Q&A」
 井上 美津子  藤岡 万里  医学情報社

倉岡

Q87 今度子どもがパノラマレントゲンを撮ります。被ばく量ってどれくらいですか?
A87

約0.01mSvとされていますので、私たちが宇宙や大地から受ける自然被ばく量(年間)の約200分の1、東京~ニューヨーク間を飛行機で往復する際の被ばく量、約0.2mSvの20分の1程度、と考えるとわかりやすいかもしれません。お子さんのレントゲンは、放射線量を減らして撮影しますし防護エプロンをすればさらに被ばくを減らせます。

※参考書籍 「nico 2017.8 クインテッセンス出版株式会社」

Q88 子どもの永久歯が生えたのですが、本数が少ないです。まだ歯を抜いたこともないのにどうして?
A88

「永久歯は、28本全部生えてくるのが当たり前(親知らずを除く)」と思っていませんか?

実は、日本小児歯科学会が2007~2008年に1万5000人余りのお子さんを調査したところ、その10.1%が、生まれつき永久歯の本数が少ない、先天性欠如歯だったことがわかりました。

つまり、先天性欠如歯は、誰に起きても不思議のない疾患なのです。あせらず、治療が必要か、経過観察でよいかを、お子さんの治療に慣れた歯科医師に診てもらいましょう。

乳歯がよい状態で残っているのなら、むし歯を予防して乳歯を大事にもたせ、経過観察して、大人になって乳歯がダメになってからブリッジやインプラントを入れるという方法をとります。成人になっても乳歯がもつケースも珍しくありません。

乳歯が抜け、治療が必要な場合、お子さんの歯や顎はこれから成長するので、成長変化を阻害するブリッジやインプラントは選択できません。矯正治療で歯を並べたり、場合によっては自分の歯を移植する(生え代わり時期で成長途中の永久歯は生命力が強く、移植の成功率はおとなの歯よりも高い)など、治療方法は患者さんによってさまざまです。

欠如歯の治療は、将来を見越しながら進めていくことが大事。ぜひ気長にお付き合いください。

そのような症状を「歯数不足症」ともいいます。

歯数不足症の発現率

民族の分布と性別で分析すると、白人女性が最も高く155人中14人(9.03%)、ラテン系米国人男性が最も低く47人中2人(4.26%)であり、部位別では下顎第二小臼歯が最も多く、次いで上顎第二小臼歯、上顎側切歯の順に多く先天性欠如が認められたという報告があります。

病因

歯数不足症の原因は、さまざまなものが考えられます。

■遺伝要因

■環境要因

    • アレルギー
    • 顔面の外傷
    • 妊娠中の母親に対する薬物療法
    • 内分泌異常
    • 妊娠中の母体の健康状態
    • 妊娠中の風疹(三日ばしか)
    • 歯性の進化
    • 歯形成の初期における局所的な炎症や感染
    • 全身疾患(くる病、梅毒)
    • 異形成症候群(外胚葉異形成症)と外胚葉組織の奇形
    • 化学療法と放射線療法

 

※参考書籍
 「早期治療」
 著 Alialbar Bahreman
 訳 嶋 浩人/石谷 徳人
 クインテッセンス出版株式会社

 「nico 2015.9 クインテッセンス出版株式会社」

 「nico 2017.8 クインテッセンス出版株式会社」

Q89 妊娠中に歯が弱くなるというのは本当ですか?
A89

確かに、妊娠中はむし歯ができやすかったり、歯肉炎を起こしやすかったりします。 俗に、妊娠中だと歯のカルシウム分が胎児にとられるため、母親の歯が弱くなると言われていますが、歯は一度歯ぐきから生えた後、身体のカルシウム代謝と関係がなくなりますので、歯からカルシウム分が取られてしまうことはありません。
妊娠中は生活リズムの変化やつわり等で食生活が変化し、歯磨きがおろそかになったり、口の中の衛生状態が悪化することがあります。
また、女性のホルモン分泌のバランスが変わり、妊娠性歯肉炎を起こしやすくなります。妊娠中も規則正しい食生活をして、歯磨きを丁寧にすることが大切です。
また、歯周病により早産、低体重児出産のリスクが高まることが分かっています。

Q90 妊娠すると歯が悪くなるって聞きますけど、私はもともとむし歯が少ないし歯科健診には行かなくても大丈夫だと思います。
A90

妊娠すると、つわりで歯みがきがつらくなったり食の好みがガラリと変わったり一度に食べられないので間食が増えたりして、むし歯菌が喜ぶような変化がお口のなかに起きやすいんです。ぜひ歯科検診を受けて歯を守っていきましょう。

リスク1 つわり

  • 歯ブラシを口に入れるとオエッとなりやすく、歯みがきが難しくなる。
  • 歯みがき剤の味が苦手になると、歯みがき剤に入っているむし歯予防に有効なフッ素を利用できない。
  • お口に胃液が逆流し、強い酸に触れた歯の表面が溶けてしまう。

 

リスク2 食の好みの変化

  • 甘い物が好きになると、むし歯菌の大好物、「砂糖」をたくさんとるようになる。
  • 酸っぱい物が好きになると、強い酸が歯に触れる機会が増え、歯の表面が溶けやすくなる。

 

リスク3 間食

  • ちょこちょこ食べると、そのたびにむし歯菌はエサをもらえて大喜び。とくに甘い物をよく食べるとむし歯になりやすくなる。

 

リスク4 唾液の減少

  • 妊娠によるからだの変化にともなって分泌量が減るため、唾液の粘り気が増し、お口のなかが洗い流されにくくなる。
  • 唾液が減ると、むし歯になりかかった歯を修復してくれる唾液の再石灰化作用が弱まってしまう。

 

CHECK

酸っぱい物が上がってきたり、酸味の強いものを食べたあとは、無図でブクブクうがいをしましょう。

※参考書籍
 「nico 2018.5 クインテッセンス出版株式会社」

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