他疾病
Q61 | 現在透析を行っていますが、歯科治療は可能ですか?可能な場合、どのタイミングで行ったらよいですか? |
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A61 | まず、透析を受けている場合に歯科治療はできるのか?について説明します。 歯周治療では抗菌薬を投与することがあり、抗菌薬の種類によっては体内からの排泄速度に影響を与えるものがあります。そのため、歯周治療に伴う抗菌薬などの投与に関しては、主治医に相談し、適切なものを選択する必要があります。また、透析日は抗凝固剤服用の可能性があるため、観血的な歯周治療は避けるなどの対応が必要になります。 次に、歯科治療のタイミングについて説明します。 移植前(血液透析時)は、ヘパリンなどの抗凝固薬を服用しており止血困難が予想されます。また、免疫機能の低下により、易感染性です。抜歯などの観血的な歯科治療は、血中の老廃物の除去や電解質補正が行われている透析の翌日に行います。感染予防に対して1時間前に抗菌薬の投与を行い、血中濃度を上昇させておきます(*)。抗菌薬は、腎機能が低下していると血中濃度が上昇し、有害事象が起こりやすくなったりするため、クレアチニンクリアランスに応じて、投与の減量や投与回数の減少を行わなければなりません。 腎移植の術後6カ月以降は、観血的処置を含めた通常の歯科治療は基本的に可能となります。 *椙山加綱. 慢性腎臓病患者の歯科治療. In: 西田百代 監修. 椙山加綱 著. 有病高齢者歯科治療のガイドライン 上. 東京: クインテッセンス出版, 2013: 228-247.
腎移植前(血液透析患者)の歯科治療時の注意点1.易感染性観血的処置は、術前1時間前に抗菌薬の投与を行う。
2.易出血性ヘパリンなどの抗凝固薬を使用しているため、十分な止血を行う。抜歯時などは止血用シーネの作製や縫合を行う。
3.血圧血圧が高いこともあるため、必要に応じてモニタリングを行う。血圧は、シャントを造設している反対側の腕で測定する。
4.歯科治療の時期透析の翌日に行う。
5.抗菌薬の投与腎排泄性の薬剤は、投与量の減量や投与感覚の延長を行う。
6.鎮痛薬の投与非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)は避け、アセトアミノフェンを用いる。
※参考書籍
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Q62 | 視力と歯はどのような関係があるのですか? |
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A62 |
「歯」が脳の機能を守るために大きく関与しているとしたら、どのような機能に影響を及ぼしているのでしょうか? その一つとして、“食物の軟化が視力に影響しているのではないか”ということについて十数年間研究が続けられています。 研究結果によると、「5歳のときに噛む力が弱い人は、5年後10歳になっても弱いままである。そのためには離乳期からの咀嚼のトレーニングが必要である。ただし、このトレーニングには市販の離乳食では無理であり、その理由の一つとして、親が食べないものを子どもに与えることに問題があり、このことは、ひいては食文化の伝承も絶たれてしまうことになる」と危惧しています。 ※参考書籍 島田 彰夫:縦断的に見た視力低下の現状とその要因 民族衛生 「臨床家のための矯正YEAR BOOK ’03 いま、「矯正臨床」の実像を探る」 |
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Q63 | 舌が黒いのですが、なぜでしょうか? |
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A63 |
舌が黒くなるのは様々な原因が考えられます。代表的なものを治療法・対処法と合わせてご説明します。 舌が黒くなる病気・原因と治療法・対処法黒毛舌服用している抗菌薬の服用ストップ(ただし、処方した医師の確認が必要です) 咬舌による内出血自然治癒を待つ、そして噛まないように気を付ける 悪性黒色腫早期に外科手術(舌にできることはあまりないですが、黒い斑点となり現れます。) メラニン色素原病(副腎)の治療と、副腎皮質ホルモン製剤等の投与とともに、栄養の改善を図る 血小板が少ない原因・治療も様々 着色飲食物・嗜好品により着色することがあります。
これらを防ぐためには、日頃からしっかりお口の中を清潔に保つことが非常に重要です。ご自身では気づかないことをチェックしてもらうためにも、問題がない場合でも定期検診を受診するように心がけましょう。
※参考サイト |
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Q64 | 舌痛症ってどんなもの? |
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A64 | 舌に疼痛ないし違和感を訴える疾患の中で、器質的(肉眼的)な変化が見られず、さらに神経痛や関連痛等を除いた、いわゆる“原因不明”の舌痛症状が持続する病態を「舌痛症」といいます。 舌痛症の特徴1.男女比は1:4~1:8で女性、特に40~50歳の中高年の発症例が多い 2.痛みの訴えは舌尖、舌縁に多い 3.歯科治療が発症のきっかけとなることがある 4.痛みの表現が「ヒリヒリ」「ピリピリ」「チリチリ」など、疼痛より異常感を感じる 5.この異常感は、食事のときには消失するか軽減する 6.飴やガムなどを常食して痛みを和らげている 7.QOL(生活の質)には影響しないが、一日中、切実に悩んでいる 8.仕事や好きなことなど何かに集中している時には感じず、何もしていないときに強く感じる 9.感じる部位に意識を向け、セルフモニタリングを常にしている 10.手鏡などで舌の形態・色調を頻繁に観察する 11.舌粘膜の一部や舌苔を舌癌ではないかと疑い、「癌恐怖」を伴うことがある
※参考書籍 |
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Q65 | 咬合違和感症候群って何? |
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A65 | 日本補綴歯科学会では、「咬合の異常の有無にかかわらず、咬合の違和感を訴える病態の包括的症候群」と定義しています。 咬合違和感症候群の特徴1.年齢は20~80歳である 2.発症後の経過は長く、おおむね10年以上である 3.男女比はほぼ同じである 4.歯科治療後の咬合の微妙な変化による顎の動きの変化を受け入れられない 5.正常な咬合感覚を誤って、ないしは過度に認識したりする 6.必ずしも咬合に関する治療が行われていなくても発症する 7.すべての身体症状が咬合に起因していると信じて疑わない 8.ドクターショッピングを繰り返し、心理的、社会的そして職業的損失を受けている 9.頻繁に自分の咬合や顎位のチェックを行う 10.他覚的にみて咬合に異常が認められない場合でも「自分のかみあわせは異常である」と信じて疑わず正常咬合へ執拗にこだわる 11.新たな歯科医院を受診するとき、過去の治療装置(補綴装置やテンポラリークラウン(仮歯)など)、長い手紙や自分で描いた絵などを持参する 12.精神疾患を認める場合でも、精神科の受診を強く拒否することが多く、薬も服用してくれないことが多い
玉置勝司ほか:咬合違和感症候群. 日補綴会誌, 5(4): 369-386, 2013.
この病態の患者さんには原因が未だ不明の点も多く、脳機能との関連性等が報告されています。 豊福 明:歯科心身症への新しいアプローチ. 口病誌, 74(3): 161-168, 2007.
※参考書籍 |
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Q66 | 老年性症候群とはどんな症状ですか? |
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A66 |
1.認知症
2. 転倒による骨折
3. 嚥下障害a)嚥下障害に伴う脱水や栄養障害b)肺炎などの呼吸器合併症を起こしやすいc)食べる楽しみが失われる
4. 食欲低下・低栄養
5. うつ
6. 褥瘡 |
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Q67 | HAEとは何ですか? |
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A67 | HAE(遺伝性血管性浮腫)とは、Hereditary angioedemaの略で、全身に突然むくみ・腫れが起こる病気です。その症状は30分~96時間続きます。HAEは全国で約2,500人の患者さんがいると言われています。 歯の治療で唇や顎が腫れたことはないですか? また、家族にそのような症状はありませんか? これらの場合、歯を抜いてはいけません。 |
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Q68 | 「手足口病」について教えてください。 |
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A68 | 手足口病ってどんな病気?手足口病は、口の中や手足などに水疱性の発疹が出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。 どのように感染するの?感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染すること) があります。 どんな人がかかりやすいの?乳幼児がかかりやすいと言われています。特に集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは注意が必要です。 どんな症状が出るの?感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1程度にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はありません。 どのくらい症状は続くの?ほとんどの場合、数日間のうちに治ります。しかし、まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの注水神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。手足口病にかかったこどもの経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。 感染しないようにするためにどんなことに注意すればよいの?手足口病には有効なワクチンはなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。一般的な感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりとすることと、排泄物を適切に処理することです。特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では、感染を広げないために、職員と子ども達が、しっかりと手洗いすることが大切です。特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください。 手洗いは流水と石けんで十分に行ってください。また、タオルの共用はしてはいけません。 治療方法はあるの?手足口病に特効薬はなく、特別な治療方法はありません。また、基本的には軽い症状の病気ですから、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。まれに合併症などが起こる場合がありますので、経過観察をしっかり行い、高熱が出る、発熱が2日以上続く、嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに応じない、呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。 ※参考サイト |
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Q69 | 骨髄炎、骨炎、骨壊死の違いは何ですか? |
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A69 | 骨髄炎骨髄炎は、骨髄腔における感染症で、その多くが細菌感染です。感染により髄腔内の内圧が上昇し炎症反応が起こるため、血液供給が圧迫されて骨髄が失活し、骨の一部が壊死します。激しい痛みを伴う急性期の後に排膿が始まり、破骨細胞により壊死骨が分離されて腐骨が形成される。腐骨が除去されれば治癒へ向かうが、除去されなければ腐骨内で感染が持続し難治性となり、慢性化して周囲骨に硬化性変化が生じます。 骨炎骨炎は、骨表面の炎症であり、ドライソケットで露出した骨などにみられます。小規模の腐骨が形成されることもありますが、感染は髄腔内へ侵入・拡大しません。 骨壊死骨壊死は、骨が失活した状態であり、その多くは血液供給の途絶や、血管新生阻害薬あるいはBP製剤が原因です。初期の段階では無菌状態ですが、外部への曝露により細菌感染が生じます。骨への放射線照射は動脈内膜炎を誘発し、血管を狭窄させ最終的には壊死させるので、骨壊死に至る場合があります。骨粗鬆症の予防や治療、癌の骨転移、代謝性骨疾患のためにBP製剤を服用している患者において、骨壊死が増加しています。 ※参考書籍 |
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Q70 | 口の中が痛いので歯医者に来ました。頬の粘膜が白色と紅色の斑になっているのですが、病気でしょうか? |
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A70 | 白色と紅色の病変で潰瘍を伴っている場合は、次の3つの疾患のうちのいずれかである可能性が高いと考えられます。 扁平苔癬中高年に好発する慢性疾患で、診断候補の3つの疾患のなかでは最も一般的です。外観は委縮型(びらん性)疾患に典型的なもので、角化性の白斑に紅斑および浅在性潰瘍が合併します。通常、臼歯部頬粘膜の病変の範囲はそこまで広くなく、膨隆しています。 苔癬様薬物反応苔癬様の副作用を生じる薬剤は多くあります(例えば、血糖降下薬など)。 苔癬様反応は局所的(例えば、修復物に対する反応)あるいは全身的に発生し、通常は薬剤が原因です。扁平苔癬ではなく苔癬様薬物反応と考えられる場合の特徴は、急性発症、広範な潰瘍、非対称的な病変の分布、重症度の高い舌背部などが挙げられます。また、扁平苔癬の発症頻度が低い口底などに認められることもあります。苔癬様反応は臨床所見から扁平苔癬と鑑別することはほぼ不可能で、頬粘膜の所見は苔癬様反応と一致しています。 エリテマトーデス円状・全身性エリテマトーデス(SLE)の症状が口腔に出現している可能性もあります。両者の口腔症状は識別不可能です。臨床所見は扁平苔癬および苔癬様反応と類似していますが、いくつかの特徴が診断に役立ちます。エリテマトーデスでは病変の中央部に潰瘍もしくは紅斑があり、その周囲には放射状に広がる線条がみられることが多いのですが、これに対して扁平苔癬では線条の分布はランダムなパターンを示すのが一般的です。また、病変は通常非対称で、硬口蓋と軟口蓋にも認められます。扁平苔癬や苔癬反応がこれらの部位に生じることはほとんどありません。エリテマトーデスは前述の2症例よりはるかに稀です。 ※参考書籍 |
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