治療後の痛み・違和感

Q1 抜歯後の回復に影響するものは何ですか?
A1

以下のものがあります。

1.年齢

2.性別

3.喫煙習慣

4.経口避妊薬の使用

5.歯冠周囲炎の既往

6.術者の熟練度

7.手術時間

8.予防的抗菌薬投与

「埋伏第三大臼歯抜歯.術後回復に影響する因子の縦断的前向き試験」
Capuzzi P, Montebugnoli L, Vaccaro MA.
Oral Surg Oral Med Oral Pathol 1994; 77(4): 341-343.

※参考書籍
 「開業医のための口腔外科 重要12キーワード ベスト240論文」
 河奈 裕正 監修  クインテッセンス出版株式会社

Q2 先週削って詰めた歯が、まだときどきシミます。気になって歯医者さんに相談したら「もう少し様子を見ましょう」とのことでした。本当に放っておいていいのか心配です。
A2

シミなくするには神経を取る選択肢もありますが、実際には自然に症状が治まることが多いのです。つらくて仕方がない、というほどでなければ、拙速に次の治療をせず「様子を見よう」というのは信頼の出来る歯科医師だと思います。

また、神経を取ったあとにシミる場合もありますが、感染した象牙質を取り除いて詰めるには、象牙質を通る細い神経の末端もいっしょに削り取らざるを得ないのです。
自然に症状が治まることがほとんどなのでしばらくは様子を見ていきましょう。

※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q3 治療する前はたいして痛くなかったのに、神経を取る治療をはじめたら猛烈な痛みと腫れが起きました。治療が失敗したのでしょうか?
A3

その可能性も考えられますが、どんなに腕のいい専門医が治療しても、約3%起きるという発作的な炎症(フレアーアップ)も考えられます。この場合、失敗ではありませんのでご安心ください。しっかりとよい治療をするほど起きやすく、歯科医師の悩みの種になっています。

術後に痛みが発生することをフレアーアップ(術後疼痛)といいます。

術後48時間から72時間にかけて起こり、研究により、

「再治療の方がフレアーアップする確率は高く、根尖病変が存在すればより高くなる」

と報告されています。

Flare-up Rate of Single-Visit Endodontics ; M Trope, IEJ 1991y
Factors Associated With Endodontic Flare-Ups:A Prospective Study ; Imura & Zuolo, IEJ 1995y
Preoperative and operative factors associated with pain after the first endodontic visit ; JM Genet, IEJ 1987y 

フレアーアップに関して、以下の専門医のデータが得られています。

・フレアーアップ(定義:術直後に救急処置が必要なケース)

6つの論文のメタ解析を行ったIgorらは982例中82例(8.4%)

Tropeは474例中12例(2.53%)

Waltonらは、フレアアップの発現率を(3.17%)

Morseらは168例中33例(19.6%)


※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」
※参考サイト 「E.E.デンタル ブログ」

Q4 歯医者で治療しましたが、違和感が続きます。どういうことでしょう?
A4

治療が終わったあと、すぐにスッキリとラクになればよいのですが、噛むと痛い、歯が浮くような感じがするなどの違和感が少なくとも数日間続きます。

例えば、歯の根っこの治療の後に違和感が出ることがあります。神経の一部を切り取るという外科的な処置を行ったことが原因でもありますが、歯の内部の細菌を取り除いたあとも歯の外側の歯根膜やセメント質に多少細菌が残っていることが影響しています。生体の力によって細菌が抑え込まれるまで、しばらく違和感が残りますが、強く噛まずに大事にしていると、徐々に消えていきます。歯の周りには多くの神経が張りめぐらされています。歯の神経を取っても、痛みや違和感があるのはそのせいです。

 

また、次のような可能性も考えられます。

口腔内の異常感などの自覚症状が長く続くと、「何が原因だろう」とその原因を特定しようとする因果論的思考を働かせるようになります。つまり、思考をつかさどる大脳皮質の神経回路網が関与し、過去の記憶が動員され、症状についての色々な情報を取り込み、さまざまな関連付けを始めるようになります。このような思考を頻繁に繰り返すことで、回路網全体の処理機構を変化させる可能性があります。

このような過程で“歯(咬合)と全身症状の関連付け”が形成されていくのではないかと考えられます。

「気にしすぎるから痛い」のではなく、「痛いから気になる」。「疾病利得」というより、先に症状があり、それゆえにさまざまな心理社会的障害をきたしていると考える方が自然だと言えるでしょう。

※参考書籍
 「歯科心身症への新しいアプローチ」
 豊福 明, 口病誌 2007, 74/3

 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q5 今日、新しい被せ物が入ったのですが、隣の歯が押されるような違和感があってなんだか落ち着きません。
A5

隣のとのあいだに物が挟まらないよう最初はいくらかキツめにしてあります。少しずつが動き違和感が消えますので1週間ほど様子を見ましょう。

※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q6 先日、むし歯の治療で麻酔を受けました。そうしたら、針を刺したあたりが少し痛く、噛むたびに歯が浮くような感じもします。注射の仕方が下手だったのでしょうか?
A6

お口のなかにはばい菌がたくさんいるので注射の傷に軽い炎症が起きているのでしょう。とくに歯根膜に注射をすると、よく効くかわりにしばらく歯が浮くような感じになります。
数日で症状は消えるのでご安心ください。

※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q7 新しい入れ歯で食べると痛いのはなぜですか?
A7

新しい入れ歯ができ上がり、歯科医院ではいい具合だったので、帰ってさっそく使ってみたら、噛むたびに入れ歯がずれ、歯ぐきに擦り傷ができてがっかりしてしまうかたがよくおられます。あまりの痛さにそれ以上試せなくなり、なかには「もとのなじみの入れ歯のほうがいい」、と使わなくなってしまうかたもいます。
新しい入れ歯は、実際にお使いいただきながら不具合を見つけ、何度も調整を繰り返して完成させていく必要があります。それは、精密にお口の型を採って製作しても、実際に食事をするときのお口の筋肉の動きに合うかどうかは、製作中に確認することができないからです。
そこで、いったん入れ歯ができあがったら、少しずつ使って慣れていただきながら、噛む力がバランスよく土手に分散してかかり噛んだときにずれないように、何回か通って噛み合わせの調整をし、徐々に完成させていきましょう。

1.何度か調整に通い入れ歯を完成させましょう。

新しくできた入れ歯は、実際に使っていただきながら何度も調整をしていく必要があり、まだ完成品とはいえません。ゆっくりと慣れていく過程では、噛む筋肉が戻ってきたり、それとともに頬も豊かになるなど、さまざまな変化も生まれてきます。そうした変化にも応じた調整を行っていきますので、気長にお付き合いをお願いいたします。

2.最初は軟らかいものから試していきましょう。

新しい入れ歯で、いきなりもとのなじんだ入れ歯と同じように食べると、ひどい擦り傷を作ってしまいがちです。
擦り傷が痛むと、その後の試しや調整を中断しなくてはならなくなってしまいます。最初はごく軟らかいものから食べはじめ、ゆっくりと新しい入れ歯に慣れていくようにしましょう。


※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q8 抜歯後の強い痛みはなぜですか?
A8

抜歯後の痛みのなかで、とくに痛みの強いものがあります。それが、抜歯後の抜いた傷がふさがらず、あごの骨が露出してしまう症状、ドライソケットです。通常は抜歯をすると骨からジワジワと出血があり、これが溜まって血餅となって傷口をふさぎ、自然に治癒へと向かいます。抜歯後1日ほど血がにじみ心配する患者さんがおられますが、じつはこの出血こそが治療への鍵です。
ところがなかには、ほとんど出血をしないかたがおられます。硬く丈夫な下あごはもともと出血しにくい場所で、とくに奥歯の抜歯は要注意です。
また、抜歯後に気になって舌で触ったり、うがいをし過ぎたりすることも、血餅が取れドライソケットの原因になってしまいます。ドライソケットは1週間ほどひどく痛みますが、麻酔の軟膏や抗生物質の軟膏を穴に入れそっとしておくと、徐々に傷口がふさがっていきます。
抜歯後の痛みを抑える予防方法をご紹介しましょう。

抜歯後の注意事項

1.ブクブクうがいはしないでください。

血がにじむのが気持ち悪いからと、ブクブクうがいをするのはやめましょう。せっかく溜まった血が流れてしまいます。
口をゆすぐときは、口に含んだ水で傷口を浸し吐き出す程度にしてください。

2.歯みがきはそっと、傷口に触れないように。

感染を防ぐため、お口の中を清潔に保つことも大事ですので、歯磨きはそっとしてください。
傷口がふさがるまでは傷口の周囲を避け、注意しながら歯みがきをしましょう。

3.舌でさわるのはやめましょう。

傷口を舌で触ったり吸って陰圧をかけるのは絶対にやめましょう。
出血が溜まってできかけた血餅が取れてしまいます。とくに数日間はそっとしておくのが一番です。

4.冷やしすぎると治りが遅くなることも。

抜歯後に熱をもっていても、極端に冷やすのは止めましょう。血行が悪くなり傷の治りが遅れて痛みも長引いてしまいます。ぬれたタオルなどで軽く冷やす程度にとどめましょう。

※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

 

Q9 治療を始めた途端、今まで痛まなかったところが痛み始めました。大丈夫なのですか?
A9

治療を始めて歯をいじった途端、突然歯が浮いたような違和感激しい痛みに襲われる方がいます。これは進行したむし歯の治療や歯周病の治療中によく見られる現象です。
原因は様々ですが、簡単にいうと、治療によって歯に刺激が加えられ、それまでほとんど気付かずにいた炎症が急性化して起きたのです。特に細菌に侵された根管の治療を行ったときなどによく見られます。
もしこのような症状があらわれたときは、すぐに私たちにご連絡ください。また、治療中に痛んだり、違和感を感じられた時はどんな場合でもご遠慮なくお申し出ください。

Q10 抜歯後に腫れて熱をもっているのですがひやしても良いですか?
A10 腫れて熱をもち、つらい時は氷水で濡らしたタオルを当てると楽になるでしょう。ただし、氷で極端に冷やしすぎると血行が悪くなり、治りも遅くなって痛みもかえって長引いてしまいますのでやめましょう。
気持ち良く軽く冷やすのがベストで、アイスノンはダメです。熱を持っていなければ冷やす必要はありません。

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