日常生活での注意について
Q41 | 金属アレルギーがあります。歯科用インプラント治療を受けても大丈夫ですか? |
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A41 |
歯科用インプラントは、チタン(Ti)という、金属の中でも最もアレルギーを引き起こしにくい素材で作られています。しかし非常に稀ですが、近年ではチタンアレルギーやその疑い症例が報告されています。パッチテストなどでアレルゲンをしっかり特定しましょう。また、欧米ではジルコニアインプラントも使用開始しており、完全メタルフリーも実用化の段階です。
※参考書籍 |
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Q42 | レジンアレルギーがあるようですが、歯科用インプラント治療を受けても大丈夫でしょうか? |
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A42 |
チタン(Ti)やバナジウム(V)など、インプラント本体に使用される金属のアレルギーがなければ、インプラント自体は安全と考えられますが、上部構造体を装着する際に、レジン系のセメントを使用する可能性がありますので、レジン系材料のアレルギー検査は事前に受けておく必要があると思われます。
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Q43 | 「免疫力が高い」とは、どのような状態なのですか? |
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A43 |
一般的にいうと、病気やストレスなどに強い状態のことです。 免疫学的には白血球内の顆粒球が54~60%、リンパ球が35~41%の範囲にあり、両者のバランスがとれている状態をさします。免疫は自律神経(交感神経と副交感神経)と連動しており、交感神経が優位になると顆粒球、副交感神経が優位になるとリンパ球が増加します。自律神経のバランスが崩れ、いっぽうに偏った状態が続くと、顆粒球とリンパ球のどちらかが過度に増えたり減ったりして免疫は正常に働かなくなります。つまり免疫力が低下します。
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Q44 | レジンアレルギーは本当にあるのでしょうか? |
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A44 |
はい、あります。 金属アレルギーより症例は少ないですが、レジンアレルギーの患者さんはいます。歯科治療のレジンだけではなく、ジェルネイルやUVレジンの手芸用品で感作されている患者さんもいますので、問診で見出すことが重要です。
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Q45 | 歯ぎしりでどんなことが起こるの? |
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A45 |
次のようなことが考えられます。 1.過剰な磨耗とチップ1)自分で自分の歯を削ってしまう習慣的に強い力で歯ぎしり・食いしばりをしていると、歯が異常に磨耗したりエナメル質が欠けたりして、内側にある象牙質や、ときには神経がむき出しになってしまうことがあります。また、硬い金属やジルコニアなどの被せ物と噛み合っている歯の場合、より削れやすいので注意が必要です。 2)歯のチップにご用心!力が集中してかかりやすい場所のエナメル質に微細なヒビが入って楔状にチップすることがあります。プラークが溜まりやすいので、象牙質を傷めないようにやさしくブラッシングしてむし歯を防ぎましょう。 3)むし歯のリスク増!象牙質や神経がむき出しになると、刺激が伝わりやすくなるため知覚過敏の、そして細菌が侵入しやすくなるためむし歯のリスクが高まります。
2.歯周病の悪化1)過剰な力が歯槽骨へのダメージに歯ぎしり・食いしばりによる過剰な力が加わると、歯を支えている歯根膜や歯槽骨などの周囲の組織が圧迫を受けます。歯周病(歯周炎)の患者さんに、炎症による破壊に加えて過剰な力がかかることで、歯槽骨がより失われやすくなり、歯が揺さぶられて動いてしまうなど、症状が悪化しやすくなってしまいます。 2)歯周病の治療への悪影響も歯ぎしり・食いしばりの力が加わり続けていると、歯周病の治療をして炎症をよく取り除いても、歯の周囲の組織の回復に不利になってしまいます。歯周病になっている歯が毎晩歯ぎしりで揺さぶられていると歯槽骨が失われるスピードが速くなり歯が倒れる、動くなどの問題も起きがち。炎症を取り除く治療とともに力のコントロールがとても重要です。
3.被せ物が壊れる、歯が折れる1)被せ物が欠ける/外れる!歯ぎしりによる咬頭(歯の山になっている部分)にひっかけるような強い力や、食いしばりの強い力が日常的に加わっていると、被せ物に焼き付けてある白い材料(レジンやセラミックス)が割れて剥がれてしまうことがあります。また、被せ物全体が歯から外れてしまうこともあります。 2)歯が折れる/割れる!神経を取って被せ物をしてある歯は、なかに芯棒を立てて補強をしてあります(土台・コア)。通常の噛む力であればこの芯棒が治療の耐久性を高めますが、歯ぎしりや食いしばりの過剰な力が日常的に加わると、歯は徐々に傷み、ついには折れて抜歯が必要になることがあります。 ※金属の芯棒の場合、硬くて丈夫ですが、力を受けた時に歯と一緒にたわまないため、歯を傷めてしまうことがあります。現在ではたわむ芯棒である「ファイバー」に注目が集まっています。
4.インプラントが壊れる1)上部構造が壊れる!歯ぎしり・食いしばりの力によって、上部構造のレジンやセラミックスが欠けてしまいます。欠けたところを補修したり、上部構造全体を作り直したりして修理します。 2)インプラント体が折れる!過剰な力のために、チタン製のインプラント体がポキリと折れてしまうこともあります。こうなると修理は効かず、インプラント体を抜かなければなりません。
5.顎関節症1)痛い!音がする!口が開きにくい!顎関節に加わる過剰な圧力のために顎関節症を発症することがあります。咬筋や側頭筋の疲労、力の衝撃や歯の咬耗による噛み合わせの変化が原因の顎関節の傷み、関節円板のズレなどが原因で起こります。
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Q46 | 加齢で免疫力は低下しないのですか? |
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A46 |
免疫には、涙腺・扁桃・腸管などで細胞の異変を監視する古いシステムと、胸腺・リンパ節・脾臓などで外来抗原に対抗する新しいシステムがあります。後者は加齢によりはたらきが弱くなりますが、前者はむしろ活性化します。つまり、若いときは新しい免疫システムが中心で、年とともに古い免疫システムが中心となり、体内の異変を監視するだけでなく、外来抗原にも対応するようになります。
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Q47 | アレルギーが生じやすいレジンのタイプはあるのでしょうか? |
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A47 |
残念ながら現在は特定されておりません。 患者さんごとにアレルゲンが異なるので、一人ひとり確認する必要があります。ただし、未重合モノマーはアレルギーの報告も多くあるので注意が必要です。新たな感作を生まないためにも、未重合モノマーを極力少なくする配慮を普段の診療から心がけるとよいでしょう。
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Q48 | はしかに「二度かかり」しないのはなぜ? |
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A48 |
免疫には、体にもともとそなわっている「自然免疫」と、生きていく家庭で得る「獲得免疫」があります。はしかやおたふく風邪にかかると、その抗原に対する抗体ができます。これが獲得免疫で、次に同じ抗原が体に入って来ると発病する前に排除します。そのため、はしかに二度かかることはありません。ところが、風邪のウイルスには膨大な種類があり、同じウイルスでも変異している場合が多いのです。そのため、獲得免疫が機能せず、何度も風邪をひいてしまいます。
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Q49 | 自分の免疫力を知る方法はありますか? |
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A49 |
体温を測ってみましょう。人間の体が活発に機能するために必要な深部体温は37.2℃です。わきの下で36.5℃前後です。血管を収縮させたり拡張させたりして熱の放出をコントロールし、体温維持をしているのが自律神経です。そのため、自律神経のバランスが崩れると体温が低下します。免疫力は自律神経と連動していますから、わきの下の体温が36℃以下の低体温の人は免疫力も下がっている可能性が高いのです。
■測定部位とベストな体温舌下 36.5~36.8℃ 舌の下に体温計を入れて測る。わきの下よりも深部体温に近く、測り方で差が出ない。 わきの下 36.5℃前後 体温計の挟み方などによって正確な温度が出ないことも。舌下よりも温度が低い。 直腸 36.5~37.0℃ 深部体温に近いが家庭で測るのは難しい。病院での治療時などに測られることがある。 深部体温 37.2℃ 脳や内臓などからだの深部の温度。37.2℃で酵素がはたらきやすく、代謝が活発になる。
※参考書籍 |
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Q50 | セラミックスアレルギーはあるのでしょうか? |
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A50 |
セラミックスは非常に安定している材料なので、アレルギーを生じることはないと考えられています。しかしながら、セラミックスを装着する際に使用するレジンセメントに対してアレルギーが生じる場合があるので、セラミックス治療の際にもアレルギーに留意する必要はあります。
※参考書籍 |
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