Question

骨粗しょう症の薬を飲んでいますが、歯科治療にどんな影響があるのですか?

Answer

ビスフォスフォネート製剤(BP剤)は、骨粗しょう症の治療薬として大変評価の高い薬です。たとえば、閉経後の女性の骨密度アップに飲み薬、乳がんや前立腺がんなどの骨転移を防ぐ薬として注射薬などが用いられています。

ところが、この薬を継続的に使っていると(3年以上使用するとリスクが高くなります)、抜歯などのキズがきっかけであごの骨が壊死するという副作用が起きることがわかっています。

頻度としては、とある大学の調査では飲み薬で0.3%程度(オーストラリアの調査では0.01~0.04%)と、それほど高いものではありません。しかしひとたび起こると難治性で、たいへんつらい副作用です。

「BP剤を飲んでいるのを知らずに歯を抜いてしまった」というようなことがあってはいけませんので、服用している場合は必ず問診票に書き、お薬手帳をお持ちください。

代表的なBP剤には、フォサマック、アクトネルがあります。

BP製剤

 ●骨粗しょう症の薬を飲んでいる方の歯科治療について

1.原因のひとつは細菌です。お口を清潔に!

すでにBP剤を飲んでいるかたは、毎日の歯みがきをていねいに行い、歯科のクリーニングに定期的においでください。お口の中の細菌は、あごの骨が壊死するリスクになってしまいます。そこで発症の予防に効果があるのが口腔ケアです。

これから服用するという方は、その前に歯科を受診し、抜歯などの必要な治療をあらかじめ済ませましょう。服用を開始してからも定期的にお口の健康チェックを受け、お口の清潔を保っていきましょう。

入れ歯によるキズも骨壊死のきっかけになります。キズや炎症を防ぐため、入れ歯の清掃をていねいにし、調整には定期的に通いましょう。

2.抜歯をするなら休薬してから。

抜歯などの外科治療が必要な場合は、歯科医師が骨粗しょう症の治療の主治医と連携を取り、歯科治療の準備のための休薬の相談をします

医科の主治医の判断で休薬をすると、約3ヵ月後にはあごの骨の代謝が一巡し、薬の影響が減ってきます。抜歯後はしっかりと縫合して、細菌感染を防ぎます。

ただ、がんの転移を防ぐ注射薬のBP剤をお使いの患者さんは、休薬が望ましくないことも多いです。この場合は通常、抜歯よりもがん治療を優先することになります。

(別注)

近年骨粗しょう症治療薬の承認を受けた分子標的薬(デノスマブ/ランマーク)についても、抜歯のキズなどの感染をきっかけにあごの骨の壊死が起きることが報告されています。これからはこうした新薬にも注意を払う必要があります。

なお、歯科としては骨粗しょう症治療薬の有益性にかんがみ、基本的には骨粗しょう症の治療を優先させ、「BRONJに対するポジションペーパー」に基づいて治療に臨むとともに、副作用の予防に徹底した口腔ケアが重要と考えられています。

※参考書籍 「nico 2015.3 臨時増刊号 クインテッセンス出版株式会社」

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