治療内容・方法について

Q71 レーザー治療って?
A71

レーザー治療とは、強いエネルギーをもった特殊な光を患部に照射して行う治療です。組織に吸収された光が熱エネルギーに変化し、分子構造を破壊して患部に作用して、治療効果をもたらします。

強いレーザー光線は、患部をメスのように切開したり、蒸発(蒸散)させて取り除いたり、殺菌効果や、切開した粘膜を瞬間的な熱効果で固める止血効果があります。術後の痛みが少なく、しかも処置中の痛みの伝達を抑制する効果もあるため、患者さんの負担を減らす治療に大活躍しています

レーザー治療は、外科領域の切開や蒸散などに用いられるだけではありません。光の出力を調整したり、少し離してやわらかくレーザー光線を照射すると、細胞を活性化して治癒を早める効果が期待できます。そこで、消炎に、治癒の促進にと、さまざまな治療に用いられています。さじ加減が難しく、機器を使いこなすには高度なテクニックが必要ですが、一台あるとさまざまな効果を生み出すスグレモノなのです。

レーザー治療は、歯科では1980年代の後半から、歯ぐきなどの粘膜の治療にまず使われるようになりました。90年代からは、歯などの硬組織や歯石にも使えるタイプの歯科用レーザーが誕生し、さらに現在では、骨の手術に適した機種も登場するなど、新たなタイプの歯科用レーザーが実用化されています。

現在国内で使われている主要な歯科用レーザーにはいくつかのタイプがあり、それぞれがたいへんすぐれた機能を持っていますが、得意な治療分野や持ち味が異なるため、歯科医師は各歯科医院に合った歯科レーザーを選んで導入しています

 

※参考書籍 「nico 2014.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q72 レーザー治療のメリットって?
A72

例えば、「すべての治療で麻酔が必要ない」というわけにはいきませんが、レーザーには傷みの抑制効果がありますので、麻酔なしで治療することも可能です。

ただ、レーザーならではの効果は、痛みの抑制だけではありません。たとえば歯ぐきを切開するとき、レーザーを使うとほとんど出血せず、術後の疼痛を格段に減らすことができます。しかも傷口の治りが格段に早くなります。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

それは、レーザー治療には痛みの抑制効果のほかに、止血効果殺菌効果細胞を活性化させる効果などがあるからです。非常に強い光線のエネルギーで切開をしながら、レーザーは同時に切開した傷口を熱効果で処理してふさぎ、止血をすることができます。そして傷口の殺菌もします。
これだけでも術後の疼痛が格段に減って傷の回復が早いのですが、拡散してやわらかくなったレーザー光線には、細胞を活性化して新陳代謝を促す効果(賦活作用)があります。そのおかげで、照射した周囲の治癒はますます早くなるというわけです。

レーザー治療には副作用と指摘されるようなものがほとんどなく口内炎治療にも、歯周病の治療にも、入れ歯の傷の治療にも、抜歯後の止血にも、歯ぐきの手術にも、最近ではむし歯の処置インプラント治療にもと、あらゆる治療で応用できるのが強みです。患者さんにたいへん喜ばれ、ときには、治りが早くて治療をした私たちまで驚いてしまうようなケースもあるほどです。

※参考書籍 「nico 2014.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q73 初めて総入れ歯を入れることになりました。これまでとどんなことが違いますか?
A73

総入れ歯を手に取ると、その硬さに気づくでしょう。柔らかい粘膜の上に硬いものを入れることになるため、痛みが発生します。

他にも、入れ歯が動いてうまく噛めないこともあります。

慣れないうちは、舌や頬を噛んでしまうこともあるでしょう。

構音障害が発生することもあります。

また、入れ歯が高すぎる場合は、土手に痛みを感じたり、嚥下しにくかったりします。

逆に入れ歯が低すぎる場合は、顎が突出したり、口角が落ちてへの字の口元になったりします。しわのせいで口角炎が発生することもあります。

もしそうであれば、歯科医院で早めに調整をするようにしてください。

ガムを食べることは控えましょう。

Q74 レーザー治療のデメリットや限界って?
A74

レーザー治療は、従来の治療法にくらべさまざまなメリットがありますが、使用されているレーザーは種類もさまざまで認められている使用範囲や効果・効能にはおのずと制限や限界もあります。治療を受ける際には歯科医師からしっかりと説明を受けておきましょう!

1.ほとんどの場合自費治療になります。

小さなむし歯などで健康保険の診療が認められる場合(Er:YAGレーザーでの小さなむし歯除去と、歯ぐきを切開して行う歯周病の治療の歯石除去)もありますが、レーザーを使う治療のほとんどは、自費治療になります。それほど高額にはならず、たいへんメリットが大きい治療法ですので、ぜひお気軽にお尋ねください。

2.従来の治療より時間がかかります。

光線の照射で粘膜を蒸散させたり、切開したり、歯を削ったりするため、メスやドリルを使う従来の治療にくらべて治療に時間がかかります。大きなむし歯の穴を削って掃除するには、レーザーだけでなく麻酔注射やドリルを併用するほうが向いている場合もあります。

3.歯を精緻に削るのが少し苦手です。

水分に吸収された光が熱エネルギーに変化し、微細な爆発をする力で歯を削るため、歯を精緻に削るのが少し苦手です。そのため、被せ物や詰め物をピタリとはめるために歯を形成する仕事には不向きで、小さなむし歯をレジンで詰めるときなどによく使われます。

4.重度の歯周病では歯ぐきの切開が必要。

重度の歯周病を治すには、レーザーを歯周ポケットに差し入れて照射するだけでは不十分な場合があります。歯根の分岐部など、歯周ポケットのさらに奥へのレーザーの到達度や除菌効果に限界があるからです。その際にはレーザーで歯ぐきを切開して、歯周ポケットの奥深くに隠れたプラークや歯石、汚れた根面を掃除し、ただれた粘膜をきれいに除去して治療をします。

5.麻酔を併用する場合もあります。

小さなむし歯を削ったり、中等度程度の歯周病や、歯ぐきのメラニン色素の除去などの治療の際には、通常麻酔を使わずに治療ができますが、歯ぐきの切開など大きな治療をする場合は、麻酔を併用して行います。ただし、レーザーの鎮痛効果のおかげで麻酔の使用量を通常より減らすことができ、また術後の痛みも少なくできます。

6.レーザーの種類はいろいろ。治療には向き不向きが。

レーザー治療の機器はたいへん高価なので、1医院がいろんなタイプのレーザーをそろえるというわけにはなかなかいきません。歯科医師は、治療方針や得意分野に合ったレーザー機器を導入しています。患者さんのご希望の治療に医院のレーザーがたまたま適していない場合もあるかもしれません。レーザー治療をご希望の際には、まず歯科医院にご相談ください。

鎮痛、止血、消炎、賦活効果と、メリットの多いレーザー治療。ただし万能というわけではないことは知っておきましょう。 

※参考書籍 「nico 2014.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q75 レーザーで歯石が取れるって本当ですか?
A75

Er:YAGレーザーによる治療は術後6か月において超音波スケーラーと同様な臨床的改善を示したことが報告されています。

A. Sculean, F. Schwarz, M.Berakdar, G.E. Romanos, N.B. Aweiler, and J.Becker: Periodontal treatment with an Er:YAG laser compared to ultrasonic instrumentation: a pilot study. J Periodontol, 75: 966-973, 2004.

術後1年と2年においてEr:YAGレーザー超音波スケーラーより有意に高い臨床的改善を示したことも報告されています。

R. Crespi, P. Cappare, I. Toscanelli, E. Gherlone and G.E. Romanos: Effects of Er:YAG laser compared to ultrasonic scaler in periodontal treatment: a 2-year follow-up split-mouth clinical study. J Perodontol, 78: 1195-1200, 2007.

このように、Er:YAGレーザー治療が従来法より有意に高い、あるいは同等以上の長期的な臨床的改善効果を示すことが複数の論文で示されています。

欧州歯周病学会でのシステマティック・レビューでは、Er:YAGレーザーは慢性歯周炎の治療に最も適した特性を有し、安全性と効果は従来の機械的治療の範囲内と考えられるとしています。

F. Schwarz, A. Aoki, J. Becker and A. Sculean: Laser application in non-surgical periodontal therapy: a systematic review. J Clin Periodontol, 35: 29-44,2008.

 

※参考文献
Mizutani K, Aoki A, Ishikawa R, Izumi Y: Application of Er:YAG Laser in Periodontal Therapy. JJSLSM Vol.32 No.1: 43, 2011.

Q76 歯医者にどれくらいの間隔で行けばいいですか?
A76

歯周病の原因であるプラークは歯ブラシや専門の器具を使って取り除きます。しかし取り除いた後もプラークは、毎日少しづつ歯と歯肉の間にたまっていき、おおよそ12週間ぐらいで元のような状態になると言われています。
ですので、治療終了後、3、4ヵ月後に来院いただき、プラークが悪い作用を起こす前に、専門家によるメインテナンス、ケアを受けて、プラークを取り除き歯周病の再発を防止することが大切です。

Q77 メタルタトゥ-と診断されました。Yagレーザ-で除去できると聞いた事がありますが、歯肉の形態は変化しないでしょうか?
A77

メタルタトゥーについては、私の経験上、表在性のものは少ないと考えています。

表在性のものであれば、Yagレーザーを用いて除去することは可能です。

深部に渡ってみられる場合、歯肉移植を行った後に着色部をレーザーで取り除くことになるでしょう。そのままレーザーをあててしまうと言われているように歯肉退縮がおきてしまい、審美的に問題が起きてしまうので、上記の手順で除去していきます。

Q78 歯周再生療法の結果に影響を与える因子について教えてください。
A78

大きく分けると、「①患者関連因子」、「②患歯関連因子」、「③使用材料」、「④外科手技と術者の技術」の4つの項目があります。

「①患者関連因子」は、患者さんの健康状態や生活習慣、年齢により影響される因子です。

下記のように、歯周再生療法に対する評価を行っています。

歯周再生療法の結果に影響を与える因子

因子 評価
A B C
①患者関連因子
patient related factors
全身疾患の有無 健常者 軽度の糖尿病 中~重度糖尿病
外科治療禁忌の患者
プラークコントロール PCR15%未満 PCR15~30% PCR30%以上
喫煙習慣 非喫煙者 10本未満/日 10本以上/日
年齢 40歳まで 40~60歳 60歳~
協力度 協力的   非協力的
②患歯関連因子
bone defect & tooth related factors
骨欠損形態 3~2壁性、
カップ状
1壁性、クレーター状、
根分岐部病変Ⅱ度
根尖におよぶ骨欠損
根分岐部病変Ⅲ度
水平性骨欠損
骨欠損の位置 直視・直逹可能な部位 直視・直逹がやや困難 病変部の廓清が非常に困難な部位
軟組織の状態 thick-biotype、
角化歯肉が多い
thin-biotype、
角化歯肉が少ない、
歯肉退縮
thin-biotype、
角化歯肉が少ない+小帯の高位付着、
口腔前提が狭小
咬合状態 動揺なく、安定している 動揺はあるが、咬合調整・T-fixなどで
コントロール可能
動揺のコントロールが困難な歯
③使用材料
bio-materials
EMD単独、EMD+骨移植、EMD+骨移植+膜、骨移植材の種類など
④外科手技と術者の技術
surgical techniques & skills
切開・乖離・デブライドメント・縫合の確実性、手技のスピードや繊細さ、など

 

※参考書籍
 「歯周再生療法を成功させるテクニックとストラテジー」
 著 宮本 泰和、尾野 誠 クインテッセンス出版株式会社

Q79 筋機能訓練法(MFT)って何ですか?
A79

MFT(Myo functional Therapy)とは、舌突出癖や口呼吸により弛緩した口唇を、舌や口唇の訓練によって調和のとれた状態に改善する療法です。また、咀嚼、嚥下、発音、安静時の舌位や口唇位、呼吸などの口腔機能の改善を目指して舌や口腔顔面筋を訓練し筋肉を強調させる療法でもあります。

※参考書籍
 「バイオプログレッシブ・スタディクラブ会誌 No19 2009
  開口の診断と治療に考慮すべき事項」
  根津 浩、Carl F.GUGINO

Q80 歯の治療に時間がかかるワケを教えてください。
A80

削って詰めればオシマイ!…ではありません

むし歯の治療は、削って詰めてオシマイ…と思っていませんか?
確かにむし歯の歯1本は“治った”かもしれません。しかし、その歯は、本当に“機能を回復している”のでしょうか?
歯はたとえ1本でも、かみ合わせと深く関係しています。かみ合う相手の歯がなければ歯としての機能を果たせません。
そのため私たちは、削ったり詰めたりする前に周りの歯や歯肉の状態を調べ、あなたのお口の中全体の健康を考えて診療にあたっています。治療に時間がかかるワケをどうぞご理解ください。

土台づくりをまず先に…

土台づくりをまず先に… 図説

家を建てるとき、最初にすることは地ならしと土台を作ること。歯科治療でも同じです。
土台である歯を支える組織に問題があれば、歯はやがて抜けてしまいます。
そこで私たちは、治療を始める前には歯肉の検査をし、歯石を除去したり歯周病があればその治療をしたりしてお口の環境を整え、それから詰めたり被せたりする治療を行います。こうしたお口の土台づくりが、治療の結果を長持ちさせるのです。

治療はかみ合わせを考えて行います

かみ合わせ 図説

歯を失ってしばらく経っていると、なくなった歯にかみ合う相手の歯は、相手を失っていたために動いています。また、なくなった歯の両隣の歯は、互いを支える歯がないので寄ってきています。
こういう場合、歯だけを治療すると、かみ合わせが狂っているので顎関節症や体調不良を起こす原因になります。
そこで、義歯やブリッジなどの治療を始める前には、これらの動いた歯を元の位置に戻し、先にかみ合う面をそろえる治療を行うのです。

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