歯・お口の状態について
Q321 | 根面う蝕について教えてください。 |
---|
A321 | 根面う蝕とは、歯の根元のむし歯のことです。 加齢や歯周病に伴う変化として歯の根面が露出します。根面は、歯冠部のように強固で分厚いエナメル質で覆われているわけではなく、脆弱できわめて薄いセメント質で覆われているだけであり、そのうえ露出した根面には、特に隣接面の根面にはプラークが停滞しやすくなります。さらに、患者さんにとって根面はブラッシングも行き届きにくく、根面う蝕の存在に患者さん自身も気づかない場合が多いのです。このような背景のため、露出した根面はう蝕に罹患しやすく、その存在に気付いた時には、すでに大きなう窩のため手遅れ状態であったり、咀嚼や歯ぎしりなどの外力により脆弱となった歯が歯頚部で破折する危険性も高くなります。 また、根面う蝕では、歯冠部のエナメル質う蝕とは異なり、脱灰軟化がたとえ深部まで進行していても、う蝕の表面には大きな欠損のみられない場合も多いのです。さらに歯頚部は、形態的に広範囲にプラークが停滞しやすいうえに、歯根面は耐酸性が低いため脱灰が側方に広がり、歯頚部を取り巻き環状に広い範囲に軟化が生じることも少なくありません。 このような根面う蝕は、病変の辺縁や深度も不明瞭であるため、削除する範囲も深さも判別が困難であることから、修復操作が容易ではありません。 ※参考書籍 |
---|
Q322 | 先天性欠如歯の原因は何ですか? |
---|
A322 |
先天性欠如歯とは、本来なら顎の中にできるはずの歯の芽(歯胚)ができなかったり、できても育たなかったことによって起こります。特定の病気や障害、放射線治療の影響などが原因の場合もなかにはありますが、ほとんどのケースでは原因は不明です。歯がないために噛み合わせや噛む効率が悪くなったり、見た目によくないなど、さまざまな問題が起こりがちなので注意が必要です。
※参考書籍 「nico 2015.9 クインテッセンス出版株式会社」 |
---|
Q323 | 口を開け閉めしているときに頭も動いているって本当? |
---|
A323 |
顎の開閉運動により、口は開いたり閉じたりします。 実は、顎の開閉運動では上の顎、下の顎を両方とも動かしているのです。 顎の過用や頻繁な噛みしめ、歯ぎしりにより、首や肩の“凝り”が生じるのは、これが原因となっているのです。
※参考書籍 |
---|
Q324 | 非定型歯痛って何ですか? |
---|
A324 |
原因不明の歯の痛みのことです。 歯以外が原因で起きる歯痛には、非定型歯痛の他にもさまざまな種類があります。 1.非定型歯痛リエゾン診療科・心療歯科・精神科 痛みが起こる神経ネットワークの異常によるものです。 2.筋・筋膜性歯痛歯科・口腔外科 筋肉の過度に収縮した部分からの信号を、脳が歯痛として感じます。(関連痛) 3.神経障害性歯痛脳神経外科・ペインクリニック 三叉神経痛や、帯状疱疹後の神経痛もこれに含まれます。 4.神経血管性歯痛神経内科・脳神経外科 片頭痛や群発頭痛の症状のひとつです。 5.心臓性歯痛内科・循環器科 狭心症や心筋梗塞の影響で歯に痛みが発生します。 6.上顎洞性歯痛耳鼻咽喉科・口腔外科 鼻炎や蓄膿症などによる痛みです。
他にも、メンタル面の可能性も考えられます。
※参考書籍 |
---|
Q325 | 歯周形成外科の手術前の注意点は? |
---|
A325 | 手術前に、必ずお願いしたいことがあります。 |
---|
Q326 | 口腔乾燥症(ドライマウス)に含嗽剤は有効なのでしょうか? |
---|
A326 |
含嗽剤は効きません。むしろ逆効果のこともあります。 口腔乾燥症は、原因がわかっても改善はきわめて困難な慢性症状で、対処療法がほとんどです。加齢変化でも唾液分泌量の減少は起こるため、これを増加させようとするのは、若返りを求めるのと同じことの場合もあります。この分野の臨床研究は、十分に行われていないのが現状で、今後よくデザインされたランダム化比較試験により、臨床のガイドとなる結果が得られることが望まれます。 口腔乾燥症は中高年に集中しており、不定愁訴が多いことが特徴です。治療に当たっては、漫然とした薬剤投与は避け、唾液代用剤などをうまく利用することで症状の緩和にもっていきましょう。 口腔乾燥における局所治療の効果についてのシステマティックレビュー(その1)
|
---|
Q327 | 最近噛みしめをするようになってから首が凝るのですが関連性はありますか? |
---|
A327 |
近年、咬合(噛み合わせ)と全身の関わりについて関心が高まっています。そして、多くの研究がされており、姿勢と下顎位の関連について解明されつつあります。 顎の開閉運動では、下顎を動かす咀嚼筋だけではなく、上顎を保定するために首や肩の筋肉も活動します。胸鎖乳突筋は屈曲にも伸展にも働くため、重要な筋肉です。 このことから、長時間強く噛みしめると、噛みしめに主に働く咀嚼筋だけでなく、頸部の筋肉も凝るのは当然であることが分かりますね。
関連Q&A
※参考書籍 |
---|
Q328 | 最近、年のせいか歯肉が下がって、いままで見えていなかった歯の根元が見えるようになりました。見た目も気になりますが、これって大丈夫なんでしょうか? |
---|
A328 | 歯の根元(根面)は、じつはとてもむし歯になりやすい場所。根面う蝕(根面のむし歯)と呼ばれとくに高齢のかたに増えています。「もともと歯が丈夫なのでむし歯になったことがない」という方も要注意のむし歯です。 ※参考書籍 「nico 2018.3 クインテッセンス出版株式会社」 |
---|
Q329 | 非定型歯痛はどこから来るのですか?つらい痛みが続くのはなぜですか? |
---|
A329 |
痛覚をつかさどる脳内の神経ネットワークが、過去の不快な治療経験やストレスなどの影響でバランスを崩すことが原因とされています。脳の痛覚をつかさどる所と感情をつかさどる所はさかんに連絡を取り合っているために、不安な感情が痛覚を増幅するという説があります。 原因が分からないまま歯科治療を繰り返し受け、それでも治らずに不安が増すほど、痛む場所が広がっていくという悪循環に陥りやすいのです。 非定型歯痛は、歯科治療のストレスをきっかけに起こることもあります。しかし、だからといって「歯を治療すれば治るはずだ」と治療を繰り返していると、痛みをこじらせてしまいます。原因不明の痛みがある場合は、「もしかしたら痛みを感じる神経バランスが変わってしまっているのかな?」と疑ってみてください。
※参考書籍 |
---|
Q330 | なぜ歯科治療がきっかけで非定型歯痛になることがあるのですか? |
---|
A330 |
口はからだのなかでも感覚が特別に鋭敏な器官です。それだけに、歯科治療によるストレスは、情動に影響を与えやすいのです。疲れていたり、気苦労の多いところへ歯科治療のストレスが加わることによって、その人のストレスの許容量を超えてしまうと痛みの神経ネットワークのバランスが崩れて非定型歯痛が起きてしまうことがあります。
※参考書籍 「nico 2016.2 クインテッセンス出版株式会社」 |
---|