Question
抗がん剤を飲むようになって最近口腔粘膜炎ができるようになったのですが、どうしたらいいでしょう?
Answer
口腔粘膜炎を起こしやすい抗がん剤には、細胞傷害性薬と分子標的薬があります。
細胞傷害性薬
代謝拮抗薬 |
フルオロウラシル(5FU) メトトレキサート |
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抗腫瘍性 抗生物質 |
ドキソルビシン ダウノルビシン |
微小管阻害薬 |
パクリタキセル ドセタキセル |
分子標的薬
mTOR阻害薬 |
エベロリムス テムシロリムス |
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口腔粘膜炎への考え方としては、栄養の管理、感染の防止、疼痛のコントロールの3要素が欠かせません。
1.栄養の管理
栄養の管理については、次の5つに注意しましょう。
- 十分なカロリー摂取と栄養バランス
- 食事内容や調理方法の工夫
- 十分な水分摂取
- 輸液や人工的な栄養補給も考慮
- 精神状態
2.口腔内の保清・保温
感染の防止については、口腔内の保清・保温に注意します。
口腔内の保清
- セルフケアが基本
- がん治療開始前の周術期等口腔機能管理
- 口腔清掃状態、口腔粘膜の状態、唾液量と性状、舌苔と口臭、歯や義歯の状態
- 含嗽・ブラッシング、歯石除去・PMTC
口腔内の保温
- スプレー等で頻回に少量の水分を口に含む
- アイスボールをなめる
- 保湿剤の使用(液状やジェル状、味、価格、好み)
- 過度含嗽は逆効果
※色々な方法を組み合わせて行ってみることが大切です。
3.疼痛のコントロール
疼痛のコントロールには5つの方法があります。
1)冷却法
- アイスボール
2)局所麻酔薬
- 生食水+4%キシロカイン®
- キシロカイン®ビスカス
3)NSAIDs
- シロップ、錠剤
4)オピオイド
- モルヒネ、オキシコドン塩酸塩
- フェンタニルクエン酸塩
5)口腔粘膜保護材
- エピシル®口腔用液
口腔粘膜炎の予防は困難であり、症状の重篤化を防ぐことが大切です。
口腔健康管理(口腔内保清、口腔内保湿、疼痛緩和)を行うことによって二次感染を防止します。
※参考
「歯科医療の原点と将来を見据えて DVD」より
【開業医にもできるがん患者の口腔健康管理 杉政和先生】