Question

摂食機能療法で気を付けることはありますか?

Answer

摂食機能療法では、誤嚥や窒息のリスク管理が必要となります。

  1. 誤嚥や窒息が生じたときの対応

誤嚥が生じたときは、経過観察で問題ない程度の誤嚥であるのか、積極的に対応しないと肺炎になってしまうような誤嚥であるのかの見極めがポイントです。誤嚥したとしても、誤嚥物の量が少なくて呼吸器への為害性が弱く、その患者さんの体力・免疫力・喀出力が低下しているときは、吸引、呼吸リハビリテーション(ドレナージやスクイージング)を考慮します。

窒息は緊急性を要するため、生じたときには窒息の原因となった食物の除去(ハイムリッヒ法、吸引など)を試み、必要に応じて救急車を呼びます。喉頭鏡や経皮的気管穿刺針キットを準備しておくこともよいでしょう。

誤嚥や窒息を目の前にすると、どうしても気が焦って対応が遅れてしまいがちです。しかし、対応は一刻を争うときもあります。いつ誤嚥や窒息が生じても対応できるように、日々の臨床のときからシミュレーションしておく必要があります。

2.誤嚥や窒息が起きないように予防する

以上は起きてしまったときの対応ですが、もっと重要なのは誤嚥や窒息が起きないように予防することです。摂食・嚥下機能を十分に評価し、危険性のある食品は訓練に用いない、食事として提供しないといった対応が望まれます。

3.いざというときに備えたシミュレーションが大事

摂食機能療法を必要とする患者さんは、全身状態が悪い場合も多く、全身状態の急変のリスクもあります。意識レベル低下、呼吸停止、てんかん発作など、予測される急変を常に頭において、いざというときに対応できるようにシミュレーションしておきましょう。また、このときも予防が重要です。負荷がかかるような訓練・検査などを行うときは、あらかじめバイタルサイン(血圧、SpO2、体温)は計測するようにし、必要であればモニターしながら訓練を行いましょう。いつもと違うバイタルサインが計測されたときは、訓練・検査を撤退するというのもリスク管理の方法です。

主治医と良好な関係を築いておくことも、広い意味ではリスク管理といえます。全身状態の変化を常日頃からやりとりしていると、急変の予測に有用ですし、急変が生じたときも問い合わせがしやすくなります。

※参考書籍
 「開業医のための摂食・嚥下機能改善と装置の作り方 超入門」
 監著 前田芳信/阪井丘芳  クインテッセンス出版株式会社

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