麻酔

Q1 外科処置前に痛み止めを飲むのはなぜでしょう?
A1

術後の疼痛管理は、単に患者さんの痛みを取り除くだけでなく、痛みによって二次的に引き起こされる、呼吸・循環器の合併症を予防する効果があります。

また、先取り鎮痛という取り組みも積極的に行われています。手術によって生じた侵害刺激は、脊髄や延髄にある侵害刺激を受容するニューロンを長期にわたって興奮させることが知られています。その結果、疼痛過敏が生ずることがあります。そのため、術前から鎮痛薬を投与したり侵害刺激を与える前に術野に局所麻酔を施して、痛みの伝達の抑制を図るのです。全身麻酔下でも口腔外科手術では出血をおさえ、術野を明視するために欠陥収縮薬添加の局所麻酔薬を注射しています。

局所麻酔薬を使用することは、術後の鎮痛にも大いに役立っています。また、術中に鎮痛薬を使用する、麻酔覚醒前に鎮痛薬を投与する、術後の鎮痛薬の持続投与などを行って積極的に鎮痛を図っています。

※参考書籍
 「知ると得する歯科麻酔」
 大井 久美子  一般財団法人 口腔保健協会

Q2 麻酔が効いているのにおなかがすいたら?
A2

麻酔を打つと、個人差はありますが、長くて2~3時間はしびれた感じが残ります
局所麻酔がまだいくらか効いているときには、飲食はしないほうが無難です。感覚が麻痺しているので、温度がわからずひどいヤケドをしてしまうことがありますし、頬の内側や舌を食べ物と間違えて噛んでしまうこともあります。
第一、口からこぼしてしまうと思います。

※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」

Q3 麻酔後1日たってもまだしびれるのですが…?
A3 大学病院などのペインクリニックに行くことをおすすめします。麻酔注射がもとで起こることは大変まれですが、神経が傷付いてしまった可能性があります。
多くの場合はビタミン剤の服用で回復しますが、まれに手術で神経をつなぐこともあります。

※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」
Q4 子供の麻酔で気をつけることは?
A4 小さなお子さんや障害のあるかたなどで、麻酔後にピリピリするくちびるが面白くて、手でいじったりチュウチュウと吸ったりしてしまうことがあります。
あまりすると、くちびるが内出血したり、腫れあがったりしてあとでたいへん痛いので、保護者のかたはぜひ気をつけてあげてください。

※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」
Q5 局所麻酔をしたくないので、痛みを我慢しながら治療したいのですが・・・。
A5

局所麻酔をせずに痛みを我慢していると、歯髄神経の発芽・増生を惹起します。その結果、象牙質の痛みの受容野が拡大、重複し、痛みに過敏な状態を作ることになります。

※参考 「下野正基エンドセミナー」

Q6 体調が悪いのですが麻酔をしても大丈夫でしょうか?
A6 体調が悪いときは、できれば歯科の治療は避けたほうがいいでしょう。ただでさえ、歯科の治療の際には緊張しますし、血圧が上がったり、ドキドキしたりするかたは多いのです。
無理をなさらず、事情を話して予約日を変更してもらいましょう。
歯科治療だってからだの一部を治療するわけです。このことをぜひ忘れないようにしてください。

※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」
Q7 持病があるのですが麻酔をしても大丈夫でしょうか?
A7 問診表や、診療のなかでの問診で、病気のことや、飲んでいるお薬のことなどについて、かならずお教えください。麻酔薬の成分が影響することもないとはいえません。
ことに高血圧症や心臓病、動脈硬化、重篤な糖尿病のかたは注意が必要です。
お口もからだの一部だという意識をぜひもっていただきたいと思います。

※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」
Q8 歯医者さんで注射をするとクラクラと気分が悪くなります。麻酔のアレルギーじゃないかととても心配です。
A8

麻酔が必要なとき、アレルギーを心配するかたはよくおられます。
しかし、麻酔でいのちが危険なほどアレルギーが起きる頻度は、じつはきわめて少ないと言えるでしょう。
その後気分が落ち着かれてご自分で歩いて帰れたならまずアレルギーではありません。どうぞ安心なさってください。

麻酔アレルギーには2タイプあります。
麻酔関連のアレルギーでむしろときどきあるのは、表面麻酔薬に添加されている防腐剤や安定剤などによる湿疹などの小さなアレルギーです。
スプレーやチューブ入りの表面麻酔薬は、開封後しばらく使用できるよう、市販されている化粧品などと同様の防腐剤が添加されていることがあります。
また、使いやすく粘性をもたせる安定剤が入っていることもあります。
そのため、化粧品で湿疹ができやすいかたの歯ぐきに、小さな湿疹ができることがあります。
ただ、目立たない場所の場合、気付かないうちに治ってしまいます。

一方、ショック症状を起こし命にかかわるほど激しいアレルギー(アナフィラキシー)も、きわめて少数ですがないわけではありません。数十万件に1件ともいわれていますが、とある歯科大学病院の年間20万人の患者さん(あらゆる症例のかたがいる)で数年に1人いるかどうか、というほどたいへんまれです。
やはり麻酔薬自体より添加物に対する反応が多いといわれています。
ご心配なかたは皮膚科のアレルギー検査をぜひおすすめします。

具体的な調査結果があるわけではないのでエビデンスはないのですが、「麻酔の注射のときにアレルギーで気分が悪くなった」と心配なさる患者さんの相当数は、緊張のあまり血圧が急上昇したり、脳貧血、過喚起発作などとアレルギーを混同なさっているのではないかと思われます。
そこで、また起こりはしないかと不安なかたには、まずはアレルギー検査をおすすめし、そして大丈夫であれば、体調のよいときに精神鎮静法を用いて治療を行います。すると問題なく治療ができる患者さんがほとんどです。
 「前に麻酔したときに気分が悪くなった」というようなかたの多くは、おそらくアレルギーではありませんが、ご心配であれば歯科医院・歯科麻酔専門医や総合病院の口腔外科、大学病院の歯科麻酔科などにお気軽にご相談ください。

 ※参考書籍
 「nico 2015.3 クインテッセンス出版株式会社」
 「nico 2013.3 クインテッセンス出版株式会社」
 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」

Q9 お腹に赤ちゃんがいるのですが麻酔をしても大丈夫でしょうか?
A9

赤ちゃんの気管が形成される妊娠初期から4ヶ月くらいまでは、麻酔は避けたいものです。ただし、麻酔薬自体は帝王切開に使われても赤ちゃんに影響がないことからもわかるように、安全性が確認され、信頼されている薬剤です。この点については安心していただいてよいでしょう。どうしても必要な場合、局所麻酔なら妊娠中期であれば可能です。
妊娠初期と後期は、麻酔薬が悪さをしないとも限らないので避けましょう。
しかし実際のところ、麻酔が必要になるような歯科治療を受ける場合、エックス線写真撮影はもちろん、外科処置を伴うケースも多いことでしょう。妊婦さんの精神的、肉体的なストレスを考えると、可能な限り避けていただくほうが望ましいと思います。

※参考書籍
 「nico 2013.3 クインテッセンス出版株式会社」
 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」

Q10 前に麻酔がなかなか効かなかったことがあります。
A10

患者さんの服用しているお薬によっては、麻酔がまるで効かないことがあるので、歯科医師にどんな薬を服用しているかを必ず伝えましょう。
また、残念ながら、炎症が大きくなるほど、局所麻酔が効きにくくなってしまいます。炎症が大きいほど、その場所は強い酸性になります。アルカリ性の麻酔薬を注入すると、中和してしまい、思うように麻酔薬の効果が発揮されないからではないか、と考えられています。
まして、痛むところに注射すると思うだけでも、痛みに対する閾値(感覚の敏感さ)は高くなるものです。歯の痛みを我慢せず、早めの来院をお願いいたします。
とくに麻酔が効きにくいのは下あごです。浸潤麻酔をする場合、下あごの歯槽骨は硬く厚い骨で覆われているため、患者さんによっては歯槽骨の内側にある海綿状の骨までしっかりと薬剤を浸み込ませにくいことがあります。
そうしたときは、浸潤麻酔を何本か追加するか、伝達麻酔でガッチリと麻酔をかける、あるいは精神鎮静法と併用するなどして対応をします。
ただ、精神鎮静法にも限界があり、「絶対に寝ないぞ」と頑張るかた、興奮が著しいかたの場合十分に効かないことがあります。そうした患者さんに全身麻酔ならばしっかりと効きます。

※参考書籍 「nico 2013.3 クインテッセンス出版株式会社」

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