麻酔
Q1 | 全身麻酔で手術を受けることになりました。周術期口腔ケアについて教えてください。 |
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A1 | 全身麻酔の手術前後に口腔ケアが必要です。 口腔ケアを行うことで誤嚥性肺炎・口腔内の炎症・二次感染を予防できます。経口摂取維持や経口摂取早期再開につながるとともに、入院期間の短縮にもつながります。 1)肺炎予防歯石・歯垢(細菌の塊)を取り除きます。歯の表面やお口の中の粘膜には多くの細菌が付着しています。口の中が汚れていると、全身麻酔の際に気管チューブと一緒に肺の中に細菌も入ってしまい、術後に重篤な肺炎を起こす危険性があります。 2)歯の脱臼・脱落防止専用の接着剤で固定したり、マウスピースで保護したりします。歯がぐらぐらしていると、全身麻酔の際に歯が抜け落ちる危険性があります。保存不可能な歯であれば術前に抜歯します。 3)感染症予防重症のむし歯や歯周病の細菌が原因となり、口腔内の炎症・手術部位の感染症・肺炎を発生させることがあります。手術前に詳しい検査(X線検査・歯周ポケット検査など)を行い、感染症の原因となる歯科疾患の治療を行います。
口腔ケアに関してご不明な点があれば、お気軽にスタッフにお声掛けください。
※参考資料 |
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Q2 | 外科処置前に痛み止めを飲むのはなぜでしょう? |
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A2 | 術後の疼痛管理は、単に患者さんの痛みを取り除くだけでなく、痛みによって二次的に引き起こされる、呼吸・循環器の合併症を予防する効果があります。 また、先取り鎮痛という取り組みも積極的に行われています。手術によって生じた侵害刺激は、脊髄や延髄にある侵害刺激を受容するニューロンを長期にわたって興奮させることが知られています。その結果、疼痛過敏が生ずることがあります。そのため、術前から鎮痛薬を投与したり侵害刺激を与える前に術野に局所麻酔を施して、痛みの伝達の抑制を図るのです。全身麻酔下でも口腔外科手術では出血をおさえ、術野を明視するために欠陥収縮薬添加の局所麻酔薬を注射しています。 局所麻酔薬を使用することは、術後の鎮痛にも大いに役立っています。また、術中に鎮痛薬を使用する、麻酔覚醒前に鎮痛薬を投与する、術後の鎮痛薬の持続投与などを行って積極的に鎮痛を図っています。 ※参考書籍 |
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Q3 | 麻酔が効いているのにおなかがすいたら? |
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A3 |
麻酔を打つと、個人差はありますが、長くて2~3時間はしびれた感じが残ります。 |
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Q4 | 麻酔後1日たってもまだしびれるのですが…? |
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A4 | 大学病院などのペインクリニックに行くことをおすすめします。麻酔注射がもとで起こることは大変まれですが、神経が傷付いてしまった可能性があります。 多くの場合はビタミン剤の服用で回復しますが、まれに手術で神経をつなぐこともあります。 ※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q5 | 子供の麻酔で気をつけることは? |
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A5 | 小さなお子さんや障害のあるかたなどで、麻酔後にピリピリするくちびるが面白くて、手でいじったりチュウチュウと吸ったりしてしまうことがあります。 あまりすると、くちびるが内出血したり、腫れあがったりしてあとでたいへん痛いので、保護者のかたはぜひ気をつけてあげてください。 ※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q6 | 局所麻酔をしたくないので、痛みを我慢しながら治療したいのですが・・・。 |
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A6 | 局所麻酔をせずに痛みを我慢していると、歯髄神経の発芽・増生を惹起します。その結果、象牙質の痛みの受容野が拡大、重複し、痛みに過敏な状態を作ることになります。 ※参考 「下野正基エンドセミナー」 |
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Q7 | 体調が悪いのですが麻酔をしても大丈夫でしょうか? |
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A7 | 体調が悪いときは、できれば歯科の治療は避けたほうがいいでしょう。ただでさえ、歯科の治療の際には緊張しますし、血圧が上がったり、ドキドキしたりするかたは多いのです。 無理をなさらず、事情を話して予約日を変更してもらいましょう。 歯科治療だってからだの一部を治療するわけです。このことをぜひ忘れないようにしてください。 ※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q8 | 持病があるのですが麻酔をしても大丈夫でしょうか? |
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A8 | 問診表や、診療のなかでの問診で、病気のことや、飲んでいるお薬のことなどについて、かならずお教えください。麻酔薬の成分が影響することもないとはいえません。 ことに高血圧症や心臓病、動脈硬化、重篤な糖尿病のかたは注意が必要です。 お口もからだの一部だという意識をぜひもっていただきたいと思います。 ※参考書籍 「nico 2007.12 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q9 | 歯医者さんで注射をするとクラクラと気分が悪くなります。麻酔のアレルギーじゃないかととても心配です。 |
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A9 |
麻酔が必要なとき、アレルギーを心配するかたはよくおられます。 麻酔アレルギーには2タイプあります。 一方、ショック症状を起こし命にかかわるほど激しいアレルギー(アナフィラキシー)も、きわめて少数ですがないわけではありません。数十万件に1件ともいわれていますが、とある歯科大学病院の年間20万人の患者さん(あらゆる症例のかたがいる)で数年に1人いるかどうか、というほどたいへんまれです。 具体的な調査結果があるわけではないのでエビデンスはないのですが、「麻酔の注射のときにアレルギーで気分が悪くなった」と心配なさる患者さんの相当数は、緊張のあまり血圧が急上昇したり、脳貧血、過喚起発作などとアレルギーを混同なさっているのではないかと思われます。 ※参考書籍 |
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Q10 | お腹に赤ちゃんがいるのですが麻酔をしても大丈夫でしょうか? |
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A10 |
赤ちゃんの気管が形成される妊娠初期から4ヶ月くらいまでは、麻酔は避けたいものです。ただし、麻酔薬自体は帝王切開に使われても赤ちゃんに影響がないことからもわかるように、安全性が確認され、信頼されている薬剤です。この点については安心していただいてよいでしょう。どうしても必要な場合、局所麻酔なら妊娠中期であれば可能です。 |
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