Question
左の永久歯は出ているのに、右の同じ部位の歯が出てこないんですが?
Answer
歯種にかかわらず、平均的な歯の萌出時期より10~12カ月以上遅延が認められている場合や萌出時期の左右差が6カ月以上ある場合は、萌出遅延があると考えるべきです。(前述の通り、正常あるいは平均的な萌出時期から遅れているだけでは埋伏歯の診断は困難ですが、“埋伏歯の疑いがある”とは考えるべきです)。
なお、10歳を過ぎても上顎乳犬歯が動揺もなく残存し、頬側の膨隆が触知されなければ、犬歯が埋伏している可能性があり、さらなる検査が必要となります。
診査については、視診・触診・レントゲン診が行われます。
永久歯の先天欠如の可能性もあります。そのため、レントゲン診が必要となります。
先天欠如は系統発生学的原因などによって起こる歯の発育異常です。
日本小児歯科学会が行った全国調査によると、「第三大臼歯を除く、永久歯の先天欠如の発現頻度は10.09%であった。また、永久歯先天欠如は上顎より下顎に多く、歯種別では、下顎第二小臼歯がもっとも多く、次いで下顎側切歯、上顎第二小臼歯、上顎側切歯の順に認められるということであった。」ということです。
永久歯先天欠如の歯種別発現頻度(上下顎上位4歯)
歯の萌出
最初の乳歯は、生後6か月から8か月にかけて下の真ん中の2本から生えてきます。離れたり少しねじれたりして出てくることもありますが、あまり心配はいりません。この歯は乳中切歯と呼ばれ、少し遅れてその隣の乳側切歯や、相対する上の乳切歯が生えてきます。1歳半くらいになると1本離れたところに奥歯の第一乳臼歯が、また、2歳までには乳側切歯と第一乳臼歯の間に乳犬歯が生え、最後に一番後ろの乳歯である第二乳臼歯が2歳半から3歳頃にかけて生えてきます。
歯の萌出の標準年齢(日本小児歯科学会1988)
乳歯の萌出時期
男(平均月日)
上顎 | 下顎 | |
乳中切歯 | 10か月 | 8か月 |
乳側切歯 | 11か月 | 1歳0か月 |
乳犬歯 | 1歳6か月 | 1歳7か月 |
第一乳臼歯 | 1歳4か月 | 1歳5か月 |
第二乳臼歯 | 2歳5か月 | 2歳3か月 |
女(平均月日)
上顎 | 下顎 | |
乳中切歯 | 10か月 | 9か月 |
乳側切歯 | 11か月 | 1歳0か月 |
乳犬歯 | 1歳6か月 | 1歳7か月 |
第一乳臼歯 | 1歳4か月 | 1歳5か月 |
第二乳臼歯 | 2歳6か月 | 2歳3か月 |
永久歯の萌出時期
男(平均月日)
上顎 | 下顎 | |
中切歯 | 7歳3か月 | 6歳3か月 |
側切歯 | 8歳5か月 | 7歳3か月 |
犬歯 | 10歳10か月 | 10歳2か月 |
第一小臼歯 | 10歳0か月 | 10歳2か月 |
第二小臼歯 | 11歳1か月 | 11歳4か月 |
第一大臼歯 | 6歳8か月 | 6歳5か月 |
第二大臼歯 | 13歳3か月 | 12歳5か月 |
第三大臼歯 (親知らず) |
17歳4か月 | 17歳3か月 |
女(平均月日)
上顎 | 下顎 | |
中切歯 | 7歳0か月 | 6歳1か月 |
側切歯 | 8歳0か月 | 7歳0か月 |
犬歯 | 10歳2か月 | 9歳3か月 |
第一小臼歯 | 9歳4か月 | 9歳7か月 |
第二小臼歯 | 10歳7か月 | 10歳9か月 |
第一大臼歯 | 6歳7か月 | 6歳2か月 |
第二大臼歯 | 12歳9か月 | 11歳8か月 |
第三大臼歯 (親知らず) |
17歳8か月 | 17歳5か月 |
※個人差があるため、これは目安です。
※参考書籍
「小児歯科・矯正歯科の基本を大切にした小児期からの咬合治療」
石谷 徳人 著 東京臨床出版
「生きる力をはぐくむ口腔機能」
一般社団法人 日本学校歯科医会