Question

歯周炎の既往がある人は、既往がない人に比べてインプラント治療の予後はあまりよくないのはなぜですか?

Answer

「歯周炎の既往歴がある患者に対してインプラント治療を行った場合、インプラントの生存率は非歯周炎患者に比べ低かった」という研究報告があります。

Heitz-Mayfield LJA, et al: History of Treated Periodontitis and smoking as Risks for Implant Therapy. Int J Oral Maxillofac Implants; 24 (suppl): 36-68, 2009.

 

また、多くの研究で歯周炎はインプラント治療のリスク要因の1つになるのではないかという報告があります。文献的に明らかであるように、歯周病の既往歴がある人がインプラント治療を受ける場合、治療結果に大きなリスクがあるといえます。

これまで数多くの研究がなされてきましたが、研究結果に基づいたインプラント周囲炎の治療法は確立されておらず、インプラント周囲炎に罹患しないように予防することが一番大切です。

治療順序を間違えないようにし、まず残存歯の歯周治療を徹底的に実施し、できるだけ歯周病原細菌を駆除した後にインプラントの植立手術をすることが重要です。

また、治療終了後は定期的なメインテナンス(SPT)による炎症のコントロールを実施し、少しでもリスクファクターを減少させることも大切です。喫煙などの環境因子がインプラント周囲炎のリスクを増加させることも分かっていますので、環境因子の改善にも努めましょう。

 

「10年間のメインテナンス中に慢性歯周炎によって歯を失った患者のインプラントは、歯周炎以外の理由で歯を失った患者のインプラントよりも、生存率が低く生物学的な合併症率も高かった。歯周炎に罹患した天然歯と同様に、臨床的に炎症兆候を示すインプラント部の歯肉炎下細菌叢は、健全なインプラント周囲で認められるものとは大きく異なる。すなわち慢性歯周炎で認められる細菌叢と、インプラント周囲炎で認められる細菌叢は酷似している。」

Karoussis IK, et al: Long-term implant prognosis in patients with and without a history of chronic periodontitis: a 10 year prospective cohort study of the ITI Dental Implant System. Clin Oral Implants Res 14(3): 329-339, 2003.

 

「歯周病原細菌であるグラム陰性嫌気性桿菌がインプラント周囲炎と関連があり、歯周疾患の既往がインプラント周囲炎のリスクファクターとなる。」

Leonhardt A, et al: Microbial findings at failing implants. Clin Oral Implants Res 10: 339-345, 1999.

 

「欠損がなく歯周病の既往のない歯列と比較して、歯周病の既往のある患者の口腔内に埋入したインプラントでは、3~6ヵ月後にインプラント周囲溝から高い確率で嫌気性の歯周病原性と思われる細菌が検出された。」

Mombelli A, et al: The microbiota of osseointegrated implants in patients with a history of periodontal disease. J Clini Periodontol 22: 124, 1995.

 

「慢性歯周炎の既往のある患者と歯周組織が健全である患者の間にはインプラントの短期、長期の生存率に統計学的な有意差はないが、慢性歯周炎の既往のある患者は長期にわたりプロービング深さ、辺縁骨の喪失、インプラント周囲炎の発症率が有意に高い可能性がある。」

Karoussis IK, et al: A comprehensive and critical review of dental implant prognosis in periodontally compromised partially edentulous patients. Clin Oral Implants Res 18(6): 669-679, 2007.

 

「非常に粗い表面のインプラントを使用した場合、もしくはSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)が行われなかった場合、歯周炎の既往歴がある患者群ではインプラントの喪失数がほぼ3倍になっていた。しかし、リスクファクター(喫煙、口腔衛生、糖尿病など)の評価がなされていないため、決定的な結論を出すことはできない。」

Heitz-Mayfield LJA, et al: History of Treated Periodontitis and smoking as Risks for Implant Therapy. Int J Oral Maxillofac Implants; 24 (suppl): 36-68, 2009.

 

「侵襲性歯周炎の既往歴がある患者(再生骨にインプラント埋入)10名と歯周状態が健全な患者10名とで比較をしたところ、3年後の生存率は100%であったが、侵襲性歯周炎患者群ではインプラント辺縁の骨吸収が大きかった。」

Heitz-Mayfield LJA, et al: History of Treated Periodontitis and smoking as Risks for Implant Therapy. Int J Oral Maxillofac Implants; 24 (suppl): 36-68, 2009.

 

「侵襲性歯周炎の既往歴のある患者へのインプラント治療は、より大きな骨吸収が起こる。」

Hänggi MP, et al: Crestal bone changes around titanium implants. Part I. A retrospective radiographic evaluation in humans Comparing Two Nonsubmerged Implant Designs With Different Machined Collar Length. Journal of periodontology 76: 129-140, 205.

 

「歯周病の既往のある患者へのインプラント失敗率はわずかに高い程度である。しかし、徹底したSPTを行っていくことで長期に機能しうる。臨床家は歯周炎とインプラント周囲炎の細菌叢が類似しているため、口腔内での歯周病原細菌の転移がインプラントの長期予後を危うくする可能性があることを考慮すべきである。」

Quirynen M, et al: Impact of supportive periodontal therapy and implant surface roughness on implant outcome in patients with a history of periodontitis. J Clin Periodontol 34(9): 805-815, 2007. Review.

 

※参考書籍
 「歯周病患者におけるインプラント治療の実践」
 特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 編集  医学情報社

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