小児・妊娠中の治療について
Q121 | 生えたばかりの歯なのですが、むし歯ができたような茶色い歯が生えてきました。これは何ですか? |
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A121 | 歯の形成異常(MIH)かもしれません。 MIHでは、第一大臼歯と切歯に限局して左右非対称な白濁や変色、時に実質欠損を生じます。 日本人小児の少なくとも10%以上は罹患していると考えられており、臨床での遭遇頻度は高いものとなっています。 MIH罹患歯では萌出当初に変色を認めるだけであっても、突然、歯質の欠損を生じることがあるため、定期的な経過観察が欠かせません。 MIHを生じた歯質は、コンポジットレジン修復に必要な接着が十分に得られず、脱離やさらに大きな範囲の実質欠損を招きやすいので注意が必要です。 軽度のMIHにはフッ化物などによる歯質強化と経過観察、実質欠損を伴うMIHの場合は可能であれば充填修復(コンポジットレジン修復)、顕著な実質欠損であれば全部被覆(被せもの)が主な対応となります。 乳歯についても、歯にMIHがみられる原因は明らかになっていません。遺伝要素は低く、妊婦や乳児の日光浴(ビタミンDが関係)や栄養、疾患、タバコ、薬剤などの後天的な環境因子との関連性が示唆されています。さらに、歯のMIHは低出生体重児との関連性も指摘されています。
※参考書籍 |
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Q122 | 私はむし歯が多いです。赤ちゃんもむし歯になりやすいですか? |
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A122 |
むし歯になりやすい歯並びや歯の性質、だ液の量など遺伝的なものも確かにあります。それよりも、赤ちゃんが育つ環境に左右されることのほうが多いです。 倉岡 |
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Q123 | エナメル質がもろい(エナメル質形成不全症)とどんなことが起きるのでしょうか? |
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A123 |
おもに問題になりやすいのが奥歯のエナメル質の欠けや崩れです。また、エナメル質が失われることでむし歯も進行しやすいので注意が必要です。お子さん本人にとってはこれが通常の状態と思い、問題に気づいていないことがほとんどです。普段からかかりつけの歯科医院を持ち定期的に診てもらいましょう。 ※参考書籍 「nico 2015.7 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q124 | 矯正治療費はいくらくらいかかるのでしょうか?早い時期に始めた方が早くすむと言われましたが・・・? |
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A124 | 矯正治療の費用は自由診療(自費)なので、一律ではありませんが、一般的な相場はあります。 【矯正治療に必要な一般的な費用(総額)】永久歯列になってからの矯正治療約70万~150万円 子どものころの矯正治療(乳歯と永久歯が混在する頃)約30万~60万円 また、早い時期に始めた方が、必ずしも安くすむわけではありません。
※参考書籍 |
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Q125 | 歯列矯正治療の継続中に妊娠が分かった場合、どうしたらよいですか? |
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A125 | 基本的には、妊娠中でも歯列矯正治療は続けられます。 ※参考書籍 |
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Q126 | うちの子はエナメル質形成不全症です。まだ低学年で歯医者さんが苦手ですが歯が崩れる前に神経を取って被せ物をしたほうがよいのでしょうか? |
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A126 |
歯が多少崩れてきても大丈夫です。レジンで小さく補修をし補強しながらできるだけ歯をもたせていきましょう。将来、本格的な治療が必要になるまでは可能な限り神経は保存しておきましょう。 ※参考書籍 |
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Q127 | 指しゃぶりを効果的に治したいです。今は19歳ですが未だにやめられません。いろいろやめるようには努力はしてきました。絆創膏を貼る、ひたすら我慢する等です。でももうかなり頑固な癖になってきてしまいそう簡単にはやめられそうにありません。助けてください。よろしくお願いします! |
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A127 |
指しゃぶりについて院長をはじめ、スタッフからも色々意見が出ましたので、ぜひ参考にしていただければと思います。 |
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Q128 | 7~8ヶ月の乳幼児健診で保健師さんから指摘されたのですが、舌小帯が短いと切らなきゃいけないんですか? |
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A128 | 哺乳に問題がないならひとまず経過観察でよいでしょう。 舌小帯とは、舌の裏にあるスジ。これが短かったり舌の先のほうに付いていると、舌の動きが妨げられるのです。舌小帯が短いと起きやすいのが、①飲み込みにくい、②発音しにくい、③舌が低い位置にあるため歯に舌の力がアンバランスにかかって歯並びが悪くなる、ということ。 ただ、「舌小帯が短い=手術が必要」というわけではありません。哺乳を妨げて育ちに影響するようなら、早いうちに舌小帯を切るべきですが、体重が増え元気に育っているようなら、急いで切る必要はないでしょう。 舌はふだんからよく動かすので、舌小帯の付着位置も成長とともに変化が見られます。また、意識して動かしたり、トレーニングすることで、いまより舌が伸びるようになる可能性もあります。飲み込みに問題がないのなら、舌足らずで困ったりしたときに、あらためて手術を検討するのでもよいと思います。 舌小帯が短く、舌がつねに下あごのところにあり、上あごの定位置につかないと、お口ポカンの原因にも。小学校に入る頃になってもタ行、サ行、ラ行が舌足らずの場合、舌小帯が原因のひとつかもしれません。一度小児歯科でご相談ください。
※参考書籍 「nico 2020.12 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q129 | 夜間、MRC矯正装置(トレーナー)が子どもの口から落ちてしまいます。どうしたらよいでしょうか? |
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A129 |
夜間の仕様が困難な場合は、日中の使用を増やしてください。 治療初期の場合や、口呼吸、舌の突き出しなどの問題で口から外れてしまうことがあります。筋機能に問題のない子どもは夜間でも外れません。 |
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Q130 | MRC矯正装置(トレーナー)に副作用はありますか? |
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A130 |
副作用はありません。筋組織や呼吸を訓練する二次的で非常に柔軟性のある装置ですので、副作用を与える可能性はほとんどありません。 しかし、定期検診にお越しいただくことは必要です。軟組織の改善が進行していること、炎症が生じていないこと、歯列の変化が周辺の構造によって支持されていることを確認すべきです。 |
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