おとなの矯正治療

Q41 矯正治療によって歯周病は改善されるの?悪化するの?
A41

プラークコントロールの点から矯正治療をみると、矯正装置を装着すると、ポケットが増加し、歯肉縁下の細菌叢がより嫌気的に変化することが報告されています。また、感染した歯根を矯正移動した場合、歯肉縁上プラークを歯肉縁下に位置づけることになり、かえって歯周組織の破壊を引き起こすことも報告されています。さらに矯正治療後の患者は、歯根吸収歯の割合が高いことや、歯肉の厚みが減少する方向への矯正的歯牙移動によって歯肉退縮が起こることも報告されています。このことから矯正治療は、歯周組織にとって好ましくない影響を与えるかもしれないという側面があることも理解する必要があります。

矯正治療と歯周病の関係について、論文で次のように報告されています。

・矯正装置を装着すると、PPD(ポケット)が増加し、歯肉縁下の細菌叢がより嫌気的に変化する(Diamanti-Kipioti 1987

歯周治療を受けた後に矯正治療を行った患者のアタッチメントロスの量は、矯正治療を受けた健常者と比べて差がない(Boyd 1989

・矯正治療を行った場合は、行わない場合と比べて歯肉退縮が0.03mm、歯槽骨吸収が0.13mm、PPD(ポケット)の増加が0.23mm多い(Bollen 2008

※参考書籍
 「科学的根拠に基づく歯周病へのアプローチ」
 清水宏康 著 医歯薬出版株式会社

Q42 前歯が重なっているのですが、抜かずに削って矯正すると言われました。削ってもよいのですか?また、どれくらい削ってもよいのでしょうか?
A42

歯の側面の部分を少し削り(ディスキング)、特にその方法をIPR(Interproximal Enamel Reduction)と呼びます。歯を並べるスペースを作るため、固定式矯正装置やマウスピース型矯正装置とともに行う治療方法です。軽度・中度の叢生はIPRで治療することができます。

IPRのメリット

1.歯を並べるためのスペースを作るができる
2.ブラックトライアングルを減少することができる
3.歯の形態を整えることができる
4.上下顎の噛み合わせを調整することができる
5.大きい歯を小さくすることができる

などがあります。

 

以下の図はFillionが考案したIPRチャートです。

IPRチャート

 

上記チャートを一部改変し、まとめたものが以下です。

IPRチャート改変 上顎

 

IPRチャート改変 下顎

 

これは、1つの歯に存在するエナメル質の幅から導き出したもので、可能なIPRの最大量を示しています。このプロトコールに従って隣接面のエナメル質を削合すれば、それによりカリエスリスクが増えることはありません。必ずしもIPRチャートと口腔内が完全に一致しているとは限りません。

計画した歯の移動を確認し、コンタクトがきつく実現が不可能と判断した場合には、IPRが必要となります。

 

 

※参考書籍
 「アライナー矯正治療」
 ワーナー・シュープ、ユリア・ハウブリッヒ 著
 丸善プラネット株式会社

Q43 歯はどうやって骨の中を移動するのでしょう?
A43

骨中に植立している歯に力が加わると、歯根周囲の歯周靭帯や骨のある部分は「圧迫」され、その反対側の部分は「牽引」されることになります。
そして、圧迫された部分の骨は消失し、牽引された部分には新しい骨が添加され、その結果骨中を歯が移動することになります。
失活歯であっても、生活歯と比べて矯正力による歯の移動に差はないと考えられています。

※参考書籍  「矯正歯科の基礎知識」  飯塚 哲夫 著  愛育社

Q44 歯の移動率はどんなことに影響されますか?
A44

患者さんの年齢、薬物服用、食餌、いくつかの全身状態、固有の遺伝的要素などがあります。その他、移動させようとする歯に隣在する歯との接触状態とか、対合歯との咬合干渉なども、歯の移動率に影響を与えるものとして挙げられています。

※参考書籍  「矯正歯科の基礎知識」  飯塚 哲夫 著  愛育社

Q45 矯正で歯を動かしています。今、どのくらいの力がかかっているのでしょうか?
A45

歯の動かし方によってかかる力は変わってきます。
1歯あたりに加えられる力は次のようになると言われています。

1.傾斜移動

35~60g

2.歯体移動

70~120g

3.直立

50~100g

4.回転

35~60g

5.挺出

35~60g

6.圧下

10~20g

Jepsen A. Root surface measurement and a method or X-ray determination of root surface area. Acta Odontol Scand 1963; 21: 35-46

 

※参考書籍
 「Elements of Orthodontics 高田の歯科矯正の学び方-わかる理論・治す技術-」
 高田 健治 編著  株式会社メデジットコーポレーション

Q46 上下前歯6本ずつのみの部分矯正が可能な場合、金額はおいくらからになりますか?〈目安で構いません〉
A46

上下前歯6本ずつの部分矯正は可能で、状況によって金額が変わってきますが、下記の税込金額を参考として下さい。

A) 矯正相談料

¥11,000

B) 診査・診断料

¥55,000

C) 基本料(永久歯列期)

¥550,000~
・基本的にインプラントを用いた矯正治療を実施します。アンカースクリュー(TADs)を使用しますので、別途費用が発生します。
片顎 + ¥110,000
上下顎 +¥220,000

D) 保定装置

片顎 ¥11,000~

E) 処置料(管理料)・観察料

1受診毎 ¥5,500
(治療中のCT撮影等の診査料も含む)
※通常2週間に1回

≪オプション≫

・T21(審美性に優れているクリアブラケット)
片顎 + ¥22,000
上下顎 + ¥44,000
・3Dプラン(アメリカに解析依頼)
+¥33,000

詳しくはこちらをご覧ください。

診療内容-矯正

Q47 歯並びが悪く大人の矯正に興味があり相談にうかがいたいのですが相談料はいくらかかりますか?
A47

矯正の相談につきましては、簡単なものは相談料をいただいておりません。診査・診断になりますと55,000円(税込)となります。

Q48 けん引後歯ぐきの整形をしますと言われました。痛いですか?またなぜする必要があるんですか?
A48

けん引するとその歯と一緒に周りの骨もついてあがってきます。
骨の高さを揃えるために必要となります。
麻酔をするので痛みもありませんし、30分程度で終わるので安心して下さい。

加藤

Q49 歯並びをよくするためにはどうしたらよいですか?
A49

歯並びとは、顎の上に歯がどのように並んでいるかということですが、歯並びがよいか悪いかについては、二つの見方があります。

一つは見た目の歯並びのよさで、もう一つはものを食べるのに都合のよい歯並びです。多くの人は、歯並びというと見た目のことを気にしますが、身体にとって本当に大切なのは、ものを食べるのに都合のよい歯並びかどうかということです。

どのような歯並びになるかは、顎の発育の程度と歯の大きさ、そして歯が生えてくる頃にどのような顎の使い方をしていたかなど、さまざまな因子により変わってきます。

歯の大きさは遺伝により決まっていて、どのような大きさの歯が生えてくるかは生まれる前から決まっています。

では、顎の大きさはどうでしょう。顎は、全身の骨格の一部ですから、全身の骨の発育と大きな関係があります。そのため、身体が発育する時期に悪い姿勢でいると、顎の発育はその影響を受け、ゆがみやずれを生じてしまいます。

なかでも大切なのは、食事のときの姿勢で、茶碗の持ち方や箸の使い方等、正しい作法を身につけることが重要です。正しい姿勢で食事をすると、奥歯でしっかりと食べ物を噛むことができますが、姿勢が悪いと奥歯でしっかり噛むことができません。また、姿勢が悪いと、かたい食べ物をしっかり噛むこともできません。

奥歯で正しくものを噛むことは、とくに子供の頃に大きな働きをします。実際、赤ちゃんは、生後6ヶ月頃から乳歯が生えてきますが、歯が生え始めると何かを噛みたくなります。このとき、どんどん噛ませることで大人の身体では想像もつかないような発育が始まりますし、噛む力も強くなっていきます。そして、さらに噛むことによって顎の骨も発育していくのです。

顎の骨が正しく発育すれば、歯の生えるスペースが十分に確保され、きれいな歯並びになります。これに対して、顎の骨の発育が不十分な場合は、歯の大きさと顎の大きさとがアンバランスになり、歯がきれいに並びきれずに、乱杭歯や八重歯になるなどしますし、顎にも負担がかかります。

正しい姿勢で、奥歯でしっかり、回数多く噛むことは、顎の発育をうながし、よい歯並びを導きます。日頃から、噛みごたえのある食べ物をしっかり食べて、顎を鍛えましょう。

 

※参考書籍
 「POSTURE(ポスチャー) 1998年11月号」
 丸茂 義二先生
 一般財団法人 第一生命財団
 (旧 一般財団法人 姿勢研究所)

Q50 “かみぐせ”は治したほうがよいのですか?
A50

噛み方にもクセがあります。左右の歯でバランスよく噛むのではなく、主として片側だけで噛むようなクセです。この“かみぐせ”は、治すべきかそのまま放っておいてよいのでしょうか?結論から先にいうと、治すにこしたことはないのですが、大人で“かみぐせ”はあるけれど噛むときの姿勢はきちんとしているという場合は、そのまま放っておいても大丈夫です。このような人の場合、長年に渡ってつくられてきたその人なりのバランスを無理に治そうとすると、かえって身体に負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあるためです。

骨や筋肉の発育における左右差には、成長する過程で姿勢の良し悪しが深く関係しています。ですので、片側で噛んでいることもまた、いままでの日常生活における姿勢のあり様の結果と考えることができるのです。そのため、根本的な原因である日常生活を正すことをしないで噛み方だけを変えようとすると、かえって無理をすることになり、顎関節症のような症状が現れてくるのです。

子供の頃から左右の偏りのない正しい姿勢で生活することは、左右の顎をバランスよく使うために必要なことです。しかし、すでに骨格の固まった大人が、生活様式はそのままで、噛み方だけ変えることは問題がすり替えられているだけのように思われます。

普段の姿勢に問題がある人の場合は、噛み癖を治すより先に姿勢を正すことの方が根本的かつ全体的な治療になります。そして姿勢がよくなってくると、噛み癖も良い方向に変わってくるのです。

※参考書籍
 「POSTURE(ポスチャー) 1998年11月号」
 丸茂 義二先生
 一般財団法人 第一生命財団
 (旧 一般財団法人 姿勢研究所)

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