審美全般

Q1 歯が全体的に大きく前歯2本が前に出ています。その出っ歯をセラミック治療で治したいと考えています。治療費や治療回数など気になり問い合わせいたしました。
A1

前歯2本がどの程度出ているかで変わってきます。時と場合によっては、隣接する歯を削ったり、矯正をしたりすること考えるかもしれません。前歯2本の処置のみで終えれるのであれば、治療回数は4回程度、費用はおよそ2本で20万円前後+保険の治療費となります。

Q2 年齢と共に、歯が黄色くなりました。何故ですか?
A2 歯の表面は、エナメル質という半透明の硬い組織で覆われています。そのエナメル質の中には黄色の象牙質という組織があります。歯の色はエナメル質と象牙質、それぞれの色で決められています。毎日食事をし、歯を磨くことにより、歯の表面のエナメル質は磨耗していき、薄くなります。そのため、中にある象牙質が透けて見えてきてしまい、歯が黄ばんで見えるのです。
Q3 歯と歯の間にすき間があるのですが治りますか?
A3

ある程度のすき間ならば、レジンでつめて歯と歯の間のすき間を治すことができます。
また、歯の表面を削り(削らない場合もあります)、セラミックス素材を用いた非常に薄いシェル(つけ爪のようなもの)を特殊な樹脂系のセメントで接着するラミネートベニアを使うこともあります。

しかし、すき間が大きい場合や治すところが多いときには、事前に矯正治療をして歯を動かしてから上記の方法で治した方がよい場合もあります。

Q4 ホワイトニングについて教えて下さい。
A4

未治療のむし歯や亀裂がなく、歯根の完成した永久歯(萌出後5年程度)であれば、通常何歳でも受けられます。ただし、クラウンや詰め物はブリーチできませんので、ホワイトニングをしたあと、その白くなった歯に色を合わせて入れ直すことになります。ホワイトニングの効果が薄れてきたら必要に応じて追加ホワイトニング(タッチアップ)します。薬剤の効果が高いほど知覚過敏が出やすいですが、最近はマイルドで効果のある薬剤が増えています。
「歯の色を白くしたい」と研磨剤でゴシゴシこする人がいますが、大切なエナメル質が薄くなって歯にダメージを与えるだけでなく、象牙質が透けて歯の色が濃く見えてしまうことも。
こすりすぎる前にホワイトニングにトライしましょう。

※参考書籍 「nico 2012.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q5 ラミネートベニアって何?
A5

ラミネートベニアの治療では、クラウンを被せるよりはずっと削る量が少なくてすみますが、基本的には薄くエナメル質を削らなければなりません。また、強い力が加わると剥がれたり欠けたりすることがあります。定期的にメインテナンスを受け、治療を長持ちさせていきましょう。

※参考書籍 「nico 2012.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q6 歯医者に行くとやたら自費の被せものであるセラミックを勧められます。どうしてですか?
A6

セラミックスはアマルガム、レジン、金合金と比較して表面が滑沢であるという特徴があります。各材質の表面が滑沢であるほどプラークや糖の付着は大きく減少します。

つまりセラミックスという材質は細菌だけでなく細菌の「餌」さえもが付着しにくいことになります。したがって、セラミックスと生体上皮によって生物学的封鎖ができている症例においては、歯科的にベストな材質であるといえます。

Kawai K,  Urano M. Adherence of plaque components to different restorative materials. Oper Dent 2001 ; 26(4) : 396-400.

また、金属やプラスチックなどに比べて、セラミックスは表面が滑沢で生体親和性が高いという特徴があります。そのため、被せものはセラミックスがおすすめです。

 

※参考書籍
 「基礎と臨床がつながる歯周解剖」
 牧草一人 クインテッセンス出版株式会社

Q7 セラミックの特徴を教えて下さい。セラミッククラウンについても教えて下さい。
A7

オールセラミックもメタルセラミックもセラミックです。
セラミックとは陶材のことで、日用品の陶磁器(お茶碗など)に使用されています。

セラミック材料の特徴をご説明します。
1.生体親和性・化学安定性が高く、プラークがつきにくく、アレルギー反応がありません。
2.吸水性がないため、着色・変色がなく、臭いもつきにくくなっています
3.セラミックはプラスチックより強度があり、年数が経っても変化はほとんどなく、長く利用できます

セラミッククラウンについて

これからクラウンを入れる方へ

セラミックに強度を持たせるには一定の厚みが必要で、必然的に歯を削る治療にならざるを得ません。
その分歯に負担がかかるので、健康な歯に審美治療のためだけにセラミッククラウンをお考えなら、まずはホワイトニングやコンポジットレジン修復、ベニアなど、小さなものから試してみることをおすすめします。
神経が死んで歯根が濃い色に変色している場合、支台歯を白くしても歯ぐきに色映りしやすいことがあります。

クラウンがすでに入っている方へ

すでに何度かクラウンのやり替えをした歯は、さらにやり替えると歯の寿命が短くなってしまうことがあります。これまでの治療について歯科医師に話してよく相談しましょう。
また、神経を取った歯は、クラウンの下にむし歯が入り込んでも気付きにくく手遅れになりがちです。定期的なメインテナンスでトラブルを予防し、治療を長持ちさせていきましょう。クラウンのやり替えで歯ぐきの黒ずみが消えにくい際は、レーザー治療などが必要になるばあいがあります。

※参考書籍 「nico 2012.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q8 ジルコニアって何?
A8

ジルコニアは、Zirconium(原子番号:40)の安定酸化物である二酸化ジルコウム(ZnO2)の総称です。

 

Zirconiumは金属、Zirconiaは「セラミック」、その中でも「ファインセラミック」の一つとされ、天然で採取されるジルコン砂(Zircon sand)から湿式で精製され、加熱により粉末になります。

 

純粋なジルコニアは常態で白色の個体、融点が約2715℃、沸点が4300℃と高く、白色顔料、耐火物、高温接着剤に応用されており、種々の元素と固溶することで相変位を安定化させ、性質を変えることができます。このような特性を活かし、宝飾品、光ファイバー用コネクタ、酸素センサー、排ガス浄化触媒、人工関節骨頭にも応用されています。

 

ジルコニアには3つの結晶系が存在し(単斜晶、正方晶、立方晶)、温度により転移します。また、応力によっても変態を起こします。

 

純粋なジルコニアは室温では単斜晶系が最も安定します。Y(イットリウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Ce(セリウム)などのイオンを固溶することで、常温で安定した正方晶、立方晶になり、温度の変化による破壊を抑制でき安定、または準安定となります。(例:立方晶ならキュービック・ジルコニア)

 

固溶量を少なくすると正方晶が常温で安定します。この状態のものをPSZ(Partially Stabilized Zirconia)と呼びます。PSZの中でも、Yが3mol%(5.4w%)、またはCeが10~12mol%のときは、常温で正方晶を100%にすることができます。TZP(Tetragonal Zirconia Polycrystal)は正方晶多結晶体と呼ばれます。

 

※参考書籍
 「日本臨床歯科CADCAM学会誌 Vol.6 No.1 2017.3」
 一般社団法人 日本臨床歯科CADCAM学会

Q9 ジルコニアのメリット、デメリットは何ですか?
A9

ジルコニア修復物は金属や他のグラスセラミックの修復物と比較して、次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

1.溶け出しにくく、アレルギーを起こさない、アレルゲンにならない

2.透光性があり、色調再現が自在で審美性に優れる

3.価格が安い

4.熱伝導率が低い(エナメル質と同等)

 

デメリット

1.CAD/CAM装置やシンタリングファーネスなどの専用の機械が必要

2.ロウ着ができない

3.口腔内装着後の撤去が困難

4.長期的臨床データが少ない

 

金属修復物のアレルギー、毒性、細菌付着性、グラスセラミックの強度の低さと比較すると、デメリットよりもメリットのほうが大きいと考えられます。

 

※参考書籍
 「日本臨床歯科CADCAM学会誌 Vol.6 No.1 2017.3」
 一般社団法人 日本臨床歯科CADCAM学会

Q10 オールセラミックとメタルセラミックの違いはなんですか?
A10

オールセラミックは金属を使わず全てセラミックで作り上げた物です。
メタルセラミックはメタルボンドとも呼ばれていますが、内部に金属を使ってそこにセラミックを焼き付けた構造になっていて昔から使われてきました。一般に保険のきかない白い歯といえばこのメタルセラミックになります。金属は質の良いものでも微弱な電流が流れることやアレルギーの原因となることなど体への影響を考えて、できれば避けるのが望ましいとされています。
ただしブリッジ(歯のないところに固定で歯をいれる方法)や弱った歯で連結が必要なケースで、つなぐ本数が多いものでは強度の点でオールセラミックは不可となります。


両者には構造による特性、治療方法などの違いがあります。

オールセラミック メタルセラミック
光の透過性 透明感が優れており、自然な感じが得られる。 土台の歯や歯肉に黒ずみが発生する。
被せ物の境目の位置 歯周組織に優しい。
メンテナンスしやすい。
歯ぐきの中に入れるため歯周組織を傷める。
手入れが不十分だと、再度入れ直す可能性がある。
歯質削除量 少ない。 多い。

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