来院される前に

Q21 歯科医院に通うと菌血症になるの?
A21

近年、SRP(Scaling root plaining)やプロービングなどさまざまな歯周治療で、菌血症が発生することが報告されています。

血液中の細菌は高速度で全身を循環し、多くは肝臓に捕獲され処置されていきます。そして、そのほとんどが1時間以内にほぼ検出されなくなります。したがって、健常者にとってはこの一時的な菌血症はほとんど問題になりません。しかしながら、一部の疾患および状態においては、生存した菌が体内のさまざまな臓器に定着し、重篤な影響を及ぼすことがあります。

1. 感染性心内膜炎

感染性心内膜炎(IE : infective endocarditis)とは、細菌により心内膜や心臓弁に生じた感染症のことです。人工弁置換術の既往がある患者さんや心臓弁に障害がある患者さんに細菌感染が起きると、心内膜や心臓弁に細菌が接着・増殖し、心内膜炎を引き起こすことがあります。下記に感染性心内膜炎になりやすい基礎疾患をまとめました。中でも、最高リスク群の患者さんにこの疾患が生じると、合併症を起こしやすく死亡率も高くなります。そして重要なことですが、この疾患は歯科治療後に発症するケースが多いということが知られています。

<感染性心内膜炎になりやすい基礎疾患および予防投与推奨度>

1)最高リスク群(予防すべき患者)
ClassⅠ 特に重篤なIEを引き起こす可能性が高い心疾患

・人工心臓弁置換者
・感染性心内膜炎の既往を有する患者
・チアノーゼ性先天性心疾患
・体循環系と肺循環系のシャント作成術が実施された患者

 2)高リスク群(予防したほうがよい患者)

ClassⅡa IEを引き起こす可能性が高い心疾患

・ほとんどの先天性心疾患
・後天性弁膜症
・閉塞性肥大型心筋症
・現逆流を伴う僧帽弁逸脱

3)リスク群(予防を行う妥当性を否定できない患者)

ClassⅡb IEを引き起こす可能性が必ずしも高いことは証明されていない心疾患

・長期にわたる中心静脈カテーテル留意患者
・人工ペースメーカーあるいは植込み型除細動器使用者

「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)」より

2.人工関節置換術後の感染

近年、整形外科分野では関節の変形やリウマチ、骨頭壊死などに対し、人工関節置換術が多く行われています。この手術は細菌感染が絶対禁忌のためにクリーンルームにて無菌状態で行われます。感染は術中だけでなく、術後も避ける必要があります。しかしながらあくまでも異物であり、かつ複雑な構造をしている人工関節周囲では、まれに血行性の感染が起きてしまいます。治療はきわめて困難となり、最悪の場合は人工関節を除去する必要が出てきます。そしてその原因としては、尿路感染や歯科治療による菌血症が危険因子とされています。

3. 免疫力低下者

現在、歯周病とさまざまな全身疾患との関連が示唆されています。そのため、菌血症が歯周病と全身疾患とを取り持つ因子である可能性も考えられます。免疫疾患患者や重度の糖尿病患者、および免疫力が低下した高齢者には抗菌薬の予防投与が必要と思われます。

※参考書籍
 「ぺリオドンタルメディスンに基づいた抗菌療法の臨床」
 編集 三辺正人 吉野敏明 田中真喜  医学情報社

Q22 前歯と奥歯の形が違うのはなぜですか?
A22

歯にはそれぞれ役割があるためです。
「前歯は食べ物を切る」、「犬歯は食べ物を捕まえる」、「臼歯は噛み砕く」役割をもっています。
肉食動物であるライオンはエサを捕まえて噛み切るため、犬歯が発達しています。
一方で、草食動物である馬や牛は草を奥歯で多く噛むため臼歯は平らになっています。
私たち人間は雑食動物で肉も野菜も食べるので、どちらを食べても効率がよいように複雑な歯の形をしているのです。

Q23 歯ぐきが下がって根が見えたり、歯が欠けたりするのは何故でしょうか?
A23

歯ぐきが下がる原因の1つは、歯周病ではれていた歯ぐきが健全な状態に戻った場合。
または、ブラッシング圧が強く歯ぐきを傷付けてしまった場合にも歯ぐきは下がります。
あとは、歯ぎしりや、くいしばりなどにより過度な力がその歯にかかってしまうと、歯がゆすられ歯がかけてしまい、歯ぐきを下げてしまう原因となります。

Q24 歯ぐきが黒ずんでいます。歯周病でしょうか?
A24

歯ぐきの黒ずみは歯周病の他にメラニン色素の沈着先天的なもの薬剤の影響歯ぐきの決行が悪い場合にもそうなる場合があります。
まずは受診してみることをオススメします。

Q25 神経を抜くと歯はどうなりますか?
A25

神経がなくなると、もしその歯がまたむし歯になった時に歯自体に痛みを感じる神経がないため発見が遅くなったり、血管が無くなるので水分が失われ歯が脆くなったり色も黒ずんだりします。強い炎症や感染症などを起こしている場合、神経はどうしても取らなければならなくなります。むし歯が進行する前に早目の治療を心がけましょう!

Q26 口の中を健康に保つにはどんなことに気をつければいいの?
A26

共通したリスクファクターへのアプローチとして、口腔健康促進の合理的な基盤を分析した研究報告があります。

口腔健康は、食事口腔衛生喫煙アルコールストレス外傷によって決定されます。これらの原因はいくつかの他の慢性疾患と共通するため、連動したアプローチを採用することは、特定の疾患一つに対してのアプローチより合理的です。共通したリスクファクターへのアプローチはさまざまな方法で実行でき、食品政策の実施と健康促進教育の開始は口腔健康の促進方法として効果的な一例です。

Sheiham A, Watt RG. (Community Dent Oral Epidemiol 2000; 28(6): 399-406.)

※参考書籍
 「ペリオのための重要16キーワードベスト320論文」
 和泉雄一/伊藤公一/佐藤秀一 監修
 クインテッセンス出版株式会社

Q27 先週削って詰めた歯が、まだときどきシミます。気になって歯医者さんに相談したら「もう少し様子を見ましょう」とのことでした。本当に放っておいていいのか心配です。
A27

シミなくするには神経を取る選択肢もありますが、実際には自然に症状が治まることが多いのです。つらくて仕方がない、というほどでなければ、拙速に次の治療をせず「様子を見よう」というのは信頼の出来る歯科医師だと思います。

また、神経を取ったあとにシミる場合もありますが、感染した象牙質を取り除いて詰めるには、象牙質を通る細い神経の末端もいっしょに削り取らざるを得ないのです。
自然に症状が治まることがほとんどなのでしばらくは様子を見ていきましょう。

※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q28 治療する前はたいして痛くなかったのに、神経を取る治療をはじめたら猛烈な痛みと腫れが起きました。治療が失敗したのでしょうか?
A28

その可能性も考えられますが、どんなに腕のいい専門医が治療しても、約3%起きるという発作的な炎症(フレアーアップ)も考えられます。この場合、失敗ではありませんのでご安心ください。しっかりとよい治療をするほど起きやすく、歯科医師の悩みの種になっています。

術後に痛みが発生することをフレアーアップ(術後疼痛)といいます。

術後48時間から72時間にかけて起こり、研究により、

「再治療の方がフレアーアップする確率は高く、根尖病変が存在すればより高くなる」

と報告されています。

Flare-up Rate of Single-Visit Endodontics ; M Trope, IEJ 1991y
Factors Associated With Endodontic Flare-Ups:A Prospective Study ; Imura & Zuolo, IEJ 1995y
Preoperative and operative factors associated with pain after the first endodontic visit ; JM Genet, IEJ 1987y 

フレアーアップに関して、以下の専門医のデータが得られています。

・フレアーアップ(定義:術直後に救急処置が必要なケース)

6つの論文のメタ解析を行ったIgorらは982例中82例(8.4%)

Tropeは474例中12例(2.53%)

Waltonらは、フレアアップの発現率を(3.17%)

Morseらは168例中33例(19.6%)


※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」
※参考サイト 「E.E.デンタル ブログ」

Q29 歯医者で治療しましたが、違和感が続きます。どういうことでしょう?
A29

治療が終わったあと、すぐにスッキリとラクになればよいのですが、噛むと痛い、歯が浮くような感じがするなどの違和感が少なくとも数日間続きます。

例えば、歯の根っこの治療の後に違和感が出ることがあります。神経の一部を切り取るという外科的な処置を行ったことが原因でもありますが、歯の内部の細菌を取り除いたあとも歯の外側の歯根膜やセメント質に多少細菌が残っていることが影響しています。生体の力によって細菌が抑え込まれるまで、しばらく違和感が残りますが、強く噛まずに大事にしていると、徐々に消えていきます。歯の周りには多くの神経が張りめぐらされています。歯の神経を取っても、痛みや違和感があるのはそのせいです。

 

また、次のような可能性も考えられます。

口腔内の異常感などの自覚症状が長く続くと、「何が原因だろう」とその原因を特定しようとする因果論的思考を働かせるようになります。つまり、思考をつかさどる大脳皮質の神経回路網が関与し、過去の記憶が動員され、症状についての色々な情報を取り込み、さまざまな関連付けを始めるようになります。このような思考を頻繁に繰り返すことで、回路網全体の処理機構を変化させる可能性があります。

このような過程で“歯(咬合)と全身症状の関連付け”が形成されていくのではないかと考えられます。

「気にしすぎるから痛い」のではなく、「痛いから気になる」。「疾病利得」というより、先に症状があり、それゆえにさまざまな心理社会的障害をきたしていると考える方が自然だと言えるでしょう。

※参考書籍
 「歯科心身症への新しいアプローチ」
 豊福 明, 口病誌 2007, 74/3

 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

Q30 今日、新しい被せ物が入ったのですが、隣の歯が押されるような違和感があってなんだか落ち着きません。
A30

隣のとのあいだに物が挟まらないよう最初はいくらかキツめにしてあります。少しずつが動き違和感が消えますので1週間ほど様子を見ましょう。

※参考書籍 「nico 2014.2 クインテッセンス出版株式会社」

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