むし歯

Q41 むし歯が母子感染するというのは、本当ですか?
A41

本当です。
生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、 むし歯の原因となるミュータンス菌はいません。
ところが、口移しでものを食べさせたり、 大人が使った箸で赤ちゃんに食事をさせたりすることで、 お母さんや家族からむし歯菌を もらってしまうことが多いのです。

お子さんへの感染を防ぐには、 まずはご自分のお口のむし歯菌を減らす 努力をしてください。
虫歯があれば治療を受けて下さい。歯みがきはていねいに。
定期的歯科医院に通いお口の中をケアしましょう。

Q42 うちの小学生の娘は歯が弱くて、すぐにむし歯になってしまいます。母親の私も歯が弱いので遺伝したのかも。どうすればよいのでしょうか?
A42

お口のなかのむし歯菌など、むし歯のリスクを歯科医院で調べてもらいましょう。
お二人ともむし歯菌が多いのかもしれません。
歯のクリーニングとフッ素塗布シーラントもおすすめです。

Q43 子供の歯みがきをきちんとしているのにむし歯になります。なぜ?
A43

子供のむし歯は、歯科知識の普及とお母さん方の関心の高まりとともに、今では随分減りました。でも安心してはいけません。乳歯はおとなの歯に比べ象牙質やエナメル質が薄く、しかも子供は甘いものを口にする機会が多いので、むし歯になりやすいのです。
ちょっと気を抜くとすぐむし歯になります。
まずは子供が大好きなおやつ。これを上手に与えて子供をむし歯から守りましょう。

おやつは1回で食べる量を決めましょう。
ベタベタ歯にくっつくものは避け、いつまでも口に甘さの残るものも要注意です。
よく噛むおやつをオススメします。
咀嚼は消化を促進し脳の発達もうながし、バランスのとれた美しい顔をつくります!!
おやつは「牛乳も一緒に」がよいでしょう。
食べた後は歯磨き頑張ってくださいね。

Q44 歯の神経を取るということは、抜くことに限りなく近いということですが、よくないことなんでしょうか?
A44

臨床研究では、「有髄歯に比較し、無髄歯は前歯部で1.8倍、臼歯部では7.4倍の喪失リスクがある」と報告されています。

 

Caplan DJ, Cai J, Yin G, White BA: Root canal filled versus non-root canal filled teeth: a retrospective comparison of survival times. J Public Health Dent, 65 (2): 90~96, 2005.

 

※参考書籍
 「日本歯科医師会雑誌 2021 vol73 No.12」 日本歯科医師会

Q45 もう人生後半を迎えました。今から口のなかがネバネバになることはないだろうとタカをくくっています。実際はどうなんでしょうか?
A45

むし歯リスクは生涯にわたり変化します。

田上順次、花田信弘、桃井保子 編:う蝕学 -チェアサイドの予防と回復のプログラム-. 永末書店, 東京, 2008年.

その様子を健康日本21の人生の6段階ごとに表したものが次の表です。

年齢(歳) 人生の6段階
(健康日本21)
むし歯リスクが高くなる特徴的な要因 口腔健康の目標
0~4 幼年期 育つ
  • 乳歯がはえそろう
養育者が日常生活の中でむし歯予防を実践し、健全な乳歯列を完成させる。
5~15 少年期 学ぶ
  • 永久歯が生え始める
  • 永久歯と乳歯の混合歯列期
学校歯科医とかかりつけ歯科医の連携で、健全な永久歯列を完成させる。
16~24 青年期 巣立つ
  • 部活・受験・一人暮らし
  • 不規則な食生活
  • 養育者や学校に管理されず、歯科検診からもれる時期を含む親知らずの萌出
自己管理能力を身に着けさせる時期として非常に重要。つづくライフステージへの波及効果が高い。
25~44 壮年期 働く
  • 修復物や歯冠補綴物の装着
  • 公的歯科検診からもれる
  • 生活習慣病
健全な永久歯列を維持し働き盛りを支える。口腔健康の獲得は健康ではつらつとした高年期への導入として重要。
45~64 中年期 熟す
  • 根面露出
  • 唾液分泌量の低下
  • 義歯の装着
  • 公的歯科検診からもれる
  • ブラッシングスキルの低下
健全な永久歯列を維持し働き盛りを支える。口腔健康の獲得は健康ではつらつとした高年期への導入として重要。
65~ 高年期 実る
  • 根面露出
  • 唾液分泌量の低下
  • 義歯の装着
  • 公的歯科検診からもれる
  • ブラッシングスキルの低下
咬合崩壊の防止を考える。
要介護
  • 摂食・嚥下の要である口腔を健康に保つことは、障害を持つがゆえに重要。
  • 健康な口腔を獲得することは尊厳に満ちた人生を送ることに大きく貢献する。

 

特に、壮年期・中年期、そして高年期は注意が必要です。

壮年期・中年期

社会的使命が最も求められる時期です。

口腔内に修復物や補綴物が多くなり、歯根露出が始まれば口腔内環境は一変します。また喫煙や飲酒、運動不足などの生活習慣が続けば歯周疾患のリスクも高くなります。

この時期に良好な口腔環境を整備しておくことは、はつらつとした高年期への導入として重要です。

 

高年期

加齢による唾液分泌量の低下、根面の露出、義歯の使用などがむし歯のリスクを高めます。

その一方、高齢者ではエナメル質や根面象牙質の石灰化度が高くなっているために、口腔環境を整えさえすれば、むし歯の進行は若年者に比べてはるかに緩慢となります。また、唾液量が少ないことは、一方で、口腔内でフッ化物イオン濃度が高いまま維持されることになるため、フッ化物の有用性を高めることにつながります。

高齢者に特有の根面のむし歯は、不用意に切削するとかえって歯の寿命を短くしてしまいます。対処には、非侵襲(非切削)で、活動性のむし歯を非活動性にし、むし歯の重篤化を回避することが有利な場合が多いです。

 

※参考書籍
 「日本歯科医師会雑誌 2021 vol73 No.12」 日本歯科医師会

Q46 放射線治療をすると歯頸部にう蝕ができるって本当ですか?
A46

唾液の役割には再石灰化作用、浄化作用、酸緩衝作用、抗菌作用などがあります。このため、唾液の減少は、う蝕発症の重大な要因です。日本歯科保存学会『う蝕ガイドライン』でも「放射線性う蝕」に注目しています。

頭頸部を照射野にした放射線治療では、有害事象として唾液腺障害が起き、これにともない唾液分泌の低下が起きます。このため、放射線治療開始前から終了後も、計画的に口腔ケアを継続することが、多発性う蝕を防止する意味で非常に重要です。頭頸部放射線治療を受ける患者さんはすべて、う蝕ハイリスク者とみなしたほうがよいでしょう。

 

※参考書籍
 「日本歯科医師会雑誌 2021 vol73 No.12」 日本歯科医師会

Q47 2才の子をもつ母ですが、うちの子にむし歯ができてしまいました。罪悪感でいっぱいです。どうすればいいのでしょうか?
A47

あなたは悪くありません。フッ素を活用しましょう。

養育者は子どもの口にう蝕ができることを自分の歯磨き不足のせいであると考え、子育て上の失敗であると認識してしまいがちです。

3歳以下の子どものう蝕の発生と仕上げ磨きの関連性を調査した研究では、

  • 「う蝕発生と仕上げ磨きは関係性が低い」(1987年)1)
  • 「う蝕発生と仕上げ磨きは優位ではないが関連がある」(2003年)2)
  • 「う蝕発生と仕上げ磨きは関連がある」(2004年)3)

 

と、現在に近づくにつれてその関連性が高くなる傾向が見られます。

この理由の一つとしてフッ化物入りの歯磨剤の普及率が2000年前後に急速に上昇した4)ことが関係していると考えられます。

 

日本におけるフッ化物配合歯磨剤のシェア

日本におけるフッ化物配合歯磨剤のシェアのグラフ

 (ライオン歯科衛生研究所ホームページのデータを基に作成)

 

WHOが指針の中で「う蝕抑制のためのブラッシングはフッ化物入り歯磨剤を用いると効果的でありその効果はブラッシングそのものというよりむしろフッ化物の活用によってもたらされているものである」5)と述べているように、フッ化物入り歯磨き剤を用いた仕上げ磨きはう蝕予防に高い効果があります。

こうして時代とともに「仕上げ磨きを行わないこと」つまり「フッ化物入り歯磨き剤の使用などフッ化物応用の習慣がないこと」とう蝕発生との関連が上昇する要因となったと推測しています。

一方で、含糖飲料の摂取とう蝕の発生の間には、いずれの研究でも仕上げ磨きとの関連性以上に非常に高い関連性が認められています1)~3)

以上からう蝕予防に関しては、含糖飲料を乳幼児期である早期から摂取することはう蝕の発生リスクを大いに高めるため避けたほうがよいでしょう。仕上げ磨きとう蝕の発生については養育者が恐れるほどでもないので安心してください。う蝕発生のリスクが比較的高い場合にはフッ化物入り歯磨剤ジェルの使用がリスクの軽減に役立ちます。

 

1)佐久間汐子, 他:3歳児う蝕罹患状況に関わる多要因分析および歯科保健指導の効果に関する研究. 口腔衛生会誌, 37(3): 261~272, 1987.

2)溝口恭子, 他:関東都市部における1歳6か月時から3歳時にかけてのう蝕発生と授乳状況ならびに関連する要因の検討. 日本公衛誌, 50(9): 867~878, 2003.

3)阿部晶子:2歳6ヵ月児のう蝕発病と関連要因の追跡調査. 口腔衛生会誌, 54(1): 17~27, 2004.

4)米満正美:う蝕の疫学. 岩医大歯誌, 37(2):63~73, 2012.

5)石井俊文, 他:口腔疾患の予防方法と予防プログラム-WHOの指針-初版, 22, 口腔保健協会, 東京, 1986.

 

※参考書籍
 「日本歯科医師会雑誌 2021 vol73 No.12」 日本歯科医師会

Q48 むし歯の治療をしてもしばらくするとそこがダメになり、また次の治療が必要になってしまいます。どうしたら今の状態から抜け出せるのでしょう?
A48 エナメル質を削って治療した場所はその分細菌や酸が入り込みやすいのです。
お口の環境を根本的に改善し、治療後の経過をチェックするために定期的なメインテナンスがお役に立ちます。

※参考書籍 「nico 2009.2 クインテッセンス出版株式会社」
Q49 歯と歯の間からむし歯が広がっていると言われました。なるべく削らずに治療できますか?
A49

材料・術式の進歩により、最近最小の歯質削除による修復処置がもてはやされる時代になりました。しかし予後成功率は低くスロットプレパレーションでは69~100%トンネルプレパレーションでは46~96%となっています。失敗として判定され再修復が必要となった主な理由は、二次う蝕の発生と辺縁隆線の破折でした。よって加藤歯科医院としてはあまりおすすめできません

スロットプレパレーション・トンネルプレパレーション

スロット・プレパレーション
a,b:バーティカルスロット
c:ホリゾンタルスロット

トンネル・プレパレーション
a:トータルトンネル
b:パーシャルトンネル

スロットプレパレーション・トンネルプレパレーション

※参考書籍 「細菌のこと知ってください 治癒をめざして」
        監修 前田信子 中川洋一  永末書店

Q50 被せもののフチからむし歯になっていると言われました。なぜなってしまったんでしょう?
A50

主な理由としては以下のものがあげられます。

1.歯質接着性材料の接着界面浸水による早期劣化
2.唾液や血液による被着面の汚染
3.繰り返し荷重
4.温度変化、細菌、あるいは口腔内の酵素による分解

※参考書籍 「細菌のこと知ってください 治癒をめざして」
      監修 前田信子 中川洋一  永末書店

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