歯・お口の状態について

Q61 テレビを見ていたら、顎は左右均等に使わないと顎関節症になったり、顎が変形すると言っていたのですが本当でしょうか?
A61

以下、日本歯科大学名誉教授の丸茂義二先生のコメントです。

顎関節症の専門医師としての診療をしていると、マスコミの被害者によく巡り会います。もともと顎関節症という病気は、たくさんある関節の一つのアゴの関節に症状が出る病気ですが、全身の関節は相互に関連があるので腰の調子が悪い時にアゴの関節が不調になったりします。また足を組むことにより骨盤が傾斜し、これがくせになったためにアゴがちゃんと動かせなくなる人も多いのです。

このような方には、いつ頃から調子が悪くなったかをよく問診をしてみます。そうすると雑誌に左右両方で噛まないとアゴが曲がると書いてあったので、一生懸命ガムを噛んで練習したなどという方がいます。いつも使わない所で噛むのには相当に努力が必要です。普通はすぐにやめてしまうのですが、頑張る人がアゴに障害を起こしてしまうこともあるのです。特に骨格の柔らかい子供のうちならいいですが、大人になって骨格が固まってしまうとどうも問題が起こりやすいようです。

物事の考え方は勝手なもので、このような両側を噛むことが正しいかどうかは、右利きで字を書く人は長年右手で字を書いていると体が曲がるとでも言うのでしょうか。手は片手だけ使っても大丈夫で、顎だけは片方だけではいけないとでもいうのでしょうか。アゴは右で噛んでも左側の筋肉も同時に使いますし、世の中の半数の人は噛むことに得意な側があるとも言われています。

このように、頭で考えることとは違って両方を使うことがかえって障害の原因になってしまうこともあるという事実こそ大切なことかもしれません。

多くのまじめな方は、テレビにあるいは雑誌に書いてあることを信じやすく、特に健康関連の記事はそのままの情報を鵜呑みにしてしまうかもしれません。大事にすべき生活習慣と改善すべき習慣を適切に判断することが生活の知恵と言えます。」

※引用
 日本歯科大学附属病院 関節症診療センター 初代センター
 日本歯科大学名誉教授 丸茂義二先生のコメント

Q62 歯周病かどうかを自分でチェックする方法はありますか?
A62

歯周病進行度セルフチェック

 

□歯肉がむずむずしてかゆい

□歯が浮いた感じがして腫れぼったい

□冷たいものがしみる

□歯を磨くと歯肉から出血する

□下の前歯の裏側に歯石が付いている(ザラザラした感じがする)

□朝起きたとき口の中がネバネバする

□歯肉を押すと血や膿が出る

□口臭を指摘された・自分で臭いと感じる

□「サ行」の音が発音しにくい

□歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい

□歯を押すとグラグラする★

□歯肉が下がり、歯が長くなった感じがする★

□以前とは歯並びが変わったような気がする★

 

0~2個 → 健康な歯、歯肉です
3~4個 → 歯周病の可能性があります
5個以上 → 歯周病である可能性がきわめて高いです

 

さらに・・・

★が付いている項目全てが該当 → 重症の歯周病である可能性が非常に高いので、すぐに治療を始めましょう。

 

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

Q63 根っこが割れて抜歯になってしまいました。神経を取った歯は弱いってホントですか?
A63

「神経を取った歯」というよりは、健康な歯質がより多く残っているかが重要です。たとえば、治療を繰り返している歯は健康な歯質が少なくなっているので、破折のリスクが増してしまうのです。

※参考書籍 「nico 2010.6 クインテッセンス出版株式会社」

Q64 何度も治療した歯はなぜ弱いのですか?
A64

大きなむし歯ができて治療した歯や治療を繰り返している歯は、健康な歯質が減っているため、歯に加わる力で傷みやすくなっています。その歯のもつ「治療の歴史」が歯の寿命を左右してしまうのです。治療が終わったからといって、その歯が以前より丈夫になるわけではありません。治療の繰り返しをどこかで止めて破折から救い出しましょう!

※参考書籍 「nico 2010.6 クインテッセンス出版株式会社」

Q65 根っこが割れて抜歯になってしまいました。違和感があっただけでたいして痛まなかったし、「まだ使えたのでは?」って思うんですけど。
A65 破折した歯は、細菌が入り炎症が起きてそのままでは遅かれ早かれダメになってしまいます。それどころか、放置すると、周囲の骨までダメージを受けて、つぎの治療の選択肢が狭くなってしまいます。おそらく、抜歯して正解だったのです。

※参考書籍 「nico 2010.6 クインテッセンス出版株式会社」
Q66 治療をした歯を使い続けるために、どんなことに注意したらよいですか?
A66

大切なのはまずは私たち歯科医師が可能なかぎり歯質を残した、よい治療をご提供することです。そして治療終了後は、その歯を傷めないように大切にケアして保存していきましょう。いくつか大切なポイントがあるのでお教えします。

1.むやみに硬いものを食べない。

「治療が終わったから」と油断して、硬いもの、とくに噛みちぎって食べるようなものを食べるのは止めましょう。とくにスルメ、のしイカ、フランスパンなどは避けたほうが無難です。グッと噛みこむうえ、ちぎるときに引っぱる力が働き、歯根に強い負担がかかります。せんべえなど、パリッと割れてくれるもののほうが、まだしも負担が軽いというものです。残念ですが我慢してください。

2.歯ぎしり噛みしめにはマウスピースを。

歯ぎしり、噛みしめは、自覚しにくいのが特徴です。でも、習慣的にしているかたの歯は、確実にそのダメージを受けています。そこで、歯科医院で歯ぎしりを指摘されたり、ご家族に指摘されたかたには、夜間、マウスピースの装着をおすすめします。歯を磨耗や力による被害から守ることができます。あなたの噛み合わせにピッタリのオーダーメイドのマウスピースを歯科医院で作ってもらいましょう。

3.むし歯を予防しよう。

クラウンをかぶせた歯でも、歯根は天然歯ですのでむし歯になります。むし歯菌の多いお口は酸性に傾きやすく、その酸がクラウンの下に入り込んで歯質を溶かしてしまうのです。神経を取った歯は傷まないので、気付きにくいのも困る点です。そこで、毎日ていねいに歯みがきをして二次う蝕を防いでいきましょうフッ素入りの歯みがき剤や、フッ素ジェルを使うと効果的です。

4.定期的なメインテナンスを受けよう。

治療後、治療した歯に慣れしばらくは快適に過ごせても、使っているうちに噛み合わせがずれて、治療した歯に偏った力がかかっていることがあります。また、うっかりして歯みがきがおろそかになっていることも、めずらしいことではありません。そこで、定期的に歯科医院のメインテナンスを受け、噛み合わせやお口の状態をチェックしておくと安心です。

※参考書籍 「nico 2010.6 クインテッセンス出版株式会社」

Q67 歯肉から膿が出ていないので、歯周病ではないですよね?
A67

歯周病はかつて歯槽膿漏と呼ばれていたせいか、漢字どおり「歯肉がぷよぷよして『膿』が出る」といった状態をイメージしている人が多いようです。膿が出るのは確かに歯周病の症状の一つです。ただ、このような症状に気づく頃には、歯周病はかなり進行してしまっています。

初期には、歯肉の腫れやむずがゆさ、歯を磨いたときの出血といった症状が現れますが、いずれも自分では気づきにくいもの。しかし、この段階で治療を始めれば歯を失うことはなく、早く良くなります。

歯周病初期はなかなか自分では気が付くことができない、自覚症状が出るころには歯周病はかなり進行しているということを知っておきましょう。

 

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

Q68 歯周病予防は中高年になってやればいいですよね?
A68

歯周病は「高齢者の病気」と捉えられることが多いようです。

しかし、若者が歯周病にならないわけではありません。厚生労働省が2011年におこなった「歯科疾患実態調査」によると、すでに15~19歳で4.5%、20代は約14%、30代になると5人に1人が歯周病になっています。また、歯周病の中でもとくに重篤化しやすいタイプの「侵襲性歯周炎」は「若年性歯周炎」ともいわれ、10代20代で発症します。

将来、歯がボロボロになって後悔しないように、若いうちからむし歯予防だけでなく歯周病予防も始めましょう。

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

Q69 私はむし歯がないので、歯周病にならないですよね?
A69

むし歯がなくても歯周病を発症するリスクはあります。

むし歯も歯周病も、もともとの原因は細菌感染ですが、細菌の種類は異なるため、むし歯になりにくいからといって歯周病にもなりにくいなどということはありません。

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

Q70 機能性ガムを噛んでいれば歯周病にならないって本当ですか?
A70

近年、「歯を丈夫にする」「むし歯予防」などの機能性ガムが登場してきました。

しかし、ガムを噛むだけでは、むし歯や歯周病は防ぐことができません。とくに歯周病の場合は、歯ぐきの根元のプラーク(歯垢)を歯ブラシで機械的に落とす必要があるのです。

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

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