歯・お口の状態について
Q101 | どうすれば酸蝕予防できますか?自分でもできますか? |
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A101 |
もちろんです。酸蝕のリスクを減らすための効果的な予防策をお教えしましょう。「これで万全」とは言い切れませんが大きなリスクを回避することができます。 1.酸性の飲食物を口にしたらそのあとすぐ水やお茶を飲む酸が口のなかに長く残らないよう、ことに酸性度の高いものを口にしたあとは、水やお茶で口をすすぐつもりで飲むとよいでしょう。健康のために酢やビタミンCドリンクなどを毎日飲む習慣を続けたいかたは、この方法をぜひ取り入れてください。チビチビ飲むより、グッと飲み切るほうがリスクを軽減できます。また、カプセル入りのサプリメントなら、酸蝕の心配がありません。 2.酸っぱいものを食べたら30分ほど歯みがきを控える食後すぐの歯磨きは、本来はむし歯を予防するためのとてもよい習慣です。ただし、酸に触れて軟らかくなっている歯をゴシゴシとみがくと、エナメル質の表面が削れてしまいます。そこで、酸っぱいものを食べた後は、まずお茶を飲み、唾液の力で軟化がおさまる30分ほど後に歯をみがくとよいでしょう。とくに、毎日の朝食にグレープフルーツなどの柑橘系のくだものを摂るかたは注意が必要です。 3.軟らかい歯ブラシを使う軟らかい歯ブラシを使い、ゴシゴシみがきをしないようにしましょう。おすすめは、日本の歯科専売メーカーのソフトタイプ。技術・工夫とも世界でピカイチです。1本1本の毛が軟らかく、植毛がみっちりされているので、ソフトですがプラークがしっかりと落ちます。ネックに弾力があるタイプはさらにGOOD。弾力が力を和らげ歯を傷めにくい構造だからです。 4.口が渇いているときは酸性の飲み物を避けるスポーツ直後の口が渇いているときには、唾液が減り、再石灰化の作用が充分に働きません。強い酸性の飲み物は避けてください。また、日常的にドライマウスの傾向のあるかたは、強い酸性のものを口にする際には注意が必要です。強い酸性の飲食物は、できれば避けていただきたいものです。健康飲料としての酢やビタミンCの摂取には、カプセル入りのサプリメントをおすすめします。 5.フッ素入り歯みがき剤やジェルを使うフッ素入りの歯みがき剤を使って、エナメル質をケアし歯質を強くしましょう。近ごろでは、たいていの歯みがき剤にフッ素が入っています。念のためお使いの歯みがき剤の表示を確かめてみてください。また、酸蝕歯予防専用の歯みがき剤も販売されています。歯みがきのあとには、研磨剤の入っていないフッ素入りのジェルを歯に塗るとより効果的です。 6.赤ちゃんに哺乳瓶でジュースを飲む習慣をつけない赤ちゃんはジュースやイオン飲料が大好き。でも哺乳瓶でこうした飲み物を飲む習慣がつくと、生えたての乳歯はたいへんなダメージを受けます。ちょうど飲み物に触れやすい前歯の裏側が溶けてしまうのです。乳歯は、永久歯が生えてくる際に先導役を果たす大切な歯。守ってあげたいですね。なお、熱を出したときなど、こまめなイオン飲料の摂取が必要な場合には、その後、それが習慣化しないよう気をつけましょう。 ※参考書籍 「nico 2009.1クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q102 | 咬耗の激しい患者に咬合挙上を行うときのポイントを教えてください。 |
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A102 |
●年齢の割に高度に歯が摩耗する原因は?年齢の平均よりも高度に摩耗した患者では、高度に摩耗する原因があります。この原因を無視して補綴をすると失敗する可能性がありますので、次に示すようないくつかの点に注意すべきです。 1.ブラキシズム(歯ぎしり)をしている可能性がある。 2.咬合力(咬む力)が強い。 3.固い食品が好き。 4.安静位空隙(顎の力を抜いたときの上下の歯の間に出来るすき間)が失われている。
1.咬合高径が低下している。 2.咬頭嵌合位が失われている。 3.顎位が前方に出ている。 4.顎関節に無理な力が加わっている。 5.顎関節のサイドシフト量が増加している。 などがあります。 ●咬合挙上時の注意点は?補綴物で咬合高径を挙上する場合には、次の点に注意する必要があります。 1.咬合高径を挙上すると、相対的に下顎が後退位になる。 2.筋肉位である中心咬合位と最後退位の距離が変化する。 3.安静位空隙が失われる可能性がある。 4.すべての歯を削るために元の顎位や顎運動情報が失われる。 5.すべての歯が補綴物になるので、咬合面の違和感が発生する。 このように患者さんは、すべての歯の咬合面形態や摩耗形態、咬合高径を変化させることによる咀嚼・発音・嚥下機能の変化が予想されるので、暫間被覆冠で十分に検討する必要があります。
1.挙上の量は、臨床歯冠長が少ないので、臼歯の咬合面を削合しなくてすむように決定する。大臼歯部で咬合面を削合しないで2~3mmの挙上が必要である。 2.安静位空隙があれば、これから2~3mm低下した位置に設定する。 3.咬合採得は患者固有の位置で採得するように心がけ、暫間被覆冠で咀嚼発音嚥下機能が確保されていることを十分に確認する必要がある。 ●補綴物の摩耗に対する注意点補綴をしても依然として咬耗の激しい患者さんでは補綴物が摩耗します。 1.摩耗を防ごうとして犬歯誘導にすると、咀嚼機能を阻害し患者には不評である。 2.摩耗を防ごうとして陶材で咬合面を製作すると、陶材は破折する。 3.咬合力のある男性は、臼歯部がパラジウム合金でも摩耗が進行するが、力のない女性では咬合面が軟らかい金合金(20K)を使用するほうが咬合性外傷が発生しにくいと思われる。 4.摩耗を許容する形にしないと、長期的には不調和が発生する可能性がある。 5.長期的には摩耗が進行し、再度補綴を行う必要性があることを患者さんに話しておく。 補綴物破壊防止のためにスプリントなどを使用すると、顎位が変化してしまうので使わないようにします。
※参考書籍 |
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Q103 | 歯ぐきの検査のときに出血があると言われました。なぜそんなことに? |
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A103 | 状態の悪い歯周組織の上皮は薄くなり、炎症性細胞がたくさん浸潤しています。出血するような歯肉溝の中では、歯周病菌が暴れている可能性が高いと考えられます。
※参考書籍 |
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Q104 | 顎関節症と耳症状は相関関係がありますか? |
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A104 | 「顎関節症患者は診断時、耳痛(65%)、耳鳴り(60%)、耳閉感(90%)を訴え、無症状患者のうち25%が耳鳴りを訴えた。耳症状は、顎関節部の筋肉や顎関節触診時の圧痛、口腔顔面症状と相関があった。」 顎関節症の耳症状と口腔顔面領域への口腔筋機能療法の効果 ※参考書籍 |
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Q105 | 歯肉退縮が起こり、冷たいものがしみるようになってきました。どうしたらいい? |
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A105 | 歯肉退縮の原因大きく分けて、炎症性のものと非炎症性のものがあります。 炎症性のものは、歯周病が原因です。 非炎症性のものは、①ブラッシング・フロス、②矯正、③裂開、④小帯の位置・小帯の異常が原因です。
歯肉退縮の影響①痛み(特に冷痛、知覚過敏が80%)、②審美、③むし歯、④くさび状欠損、⑤骨吸収、などがあります。
歯肉退縮の処置知覚過敏に対する処置が必要です。 ①塗布薬、②CR(コンポジットレジン)、③グラスアイオノマーセメント、④根面被覆(歯周形成外科)などがあります。
※参考書籍 |
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Q106 | 親知らずを抜くと咬み合わせが悪くなりませんか? |
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A106 | 必ずしも親知らずが原因で咬み合わせが悪くなるとはかぎりません。 |
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Q107 | おとなのむし歯の特徴は? |
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A107 | 歯周病になって歯ぐきが退縮したり、詰めたりかぶせた治療の痕があったり、長年使っている歯の傷みのために、エナメル質に守られていない箇所が多いのがおとなの歯の特徴です。エナメル質の内側にあるセメント質や象牙質はやわらかく、酸に弱いため、おとなのお口はむし歯になりやすいのです! |
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Q108 | スポーツ時の顎関節症の予防について教えて下さい。 |
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A108 |
スポーツにおける噛みしめは無意識に行われています。そのため、回避することは難しく、顎関節・咀嚼筋を保護するためのマウスガード装着、噛みしめ後のケアが重要になってきます。 マウスガードの装着は外傷を著しく減少することができるため、スポーツにおいて過度に噛みしめる選手は歯、顎関節、咀嚼筋の保護を目的に、非義務化競技でもマウスガードを装着することが必要となってきます。 マウスガードを装着しても顎関節・咀嚼筋に負荷はかかるため、スポーツにおける噛みしめ後のケアとしては、徒手的開口訓練があります。 市販品のマウスガードは咬合や下顎位を考慮しておらず、顎関節症を発症することがありますので、歯科医院で専用のマウスガードを作ってもらうほうがよいでしょう。 ※参考書籍 「要説 スポーツ歯科医学」 |
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Q109 | 歯周形成外科って何?どういう時に必要? |
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A109 | 歯周形成外科とは、「歯肉または歯槽粘膜に現われる解剖学的、発生学的、外傷性あるいは歯周治療後の形態異常を是正あるいは予防するために行う歯周外科処置(Grossary of periodontal terminology,1996,APP)」と定義されています。 例えば、歯ぐきが薄いまたは下がってきた場合、お口の他の部位から歯ぐきをとってきて足りない場所に移植し、歯ぐきの再生を行います。 歯周形成外科は次のような特徴が見られるときに必要になります。 1.形態的特徴
2.形態的・機能的・審美的特徴
3.続発的特徴
※参考書籍 |
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Q110 | 歯周病の治療に基本治療と外科治療があるみたいですが、違いは何ですか? |
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A110 |
1.基本治療歯周病の進行の程度にかかわらず、初めに行われるべき治療が歯周基本治療です。歯垢・歯石の除去、根っこの面の滑沢化、ぐらぐらする歯の噛み合わせの調整などの治療をします。 例えば・・・ ・プラークコントロール歯垢の除去のことで、ほとんどはご自宅でのセルフチェックとなり、場合によっては、歯科医院で行うこともあります。 ・スケーリング歯の表面や根の表面の歯垢・歯石を専用の器具で取り除くことです。 ・ルートプレーニング歯の表面がざらざらしたり、歯石で満たされていたり、毒素や微生物で汚染された表層を除去する方法で、多くの場合スケーリングと同時に行われます。 また、歯周病の進行により歯が動いてきますが、動揺する歯で噛むと負担がかかってしまうため、歯を削るなどして噛み合わせを調整します。それでも噛みにくいときは歯科用の接着材で隣の歯と接着し、ぐらぐらを抑えます。 基本治療で歯周組織が改善され、ポケットの深さが浅く(2~3mm)維持されればメインテナンス(定期検診)に移行します。 2.外科治療基本治療では一部のポケットの深さが改善されず、ポケット内に細菌が生息しブラッシングで除去できない状態や、歯周病が進行してしまった状態に対して外科的にポケットの深さを減少させる手術があります。再生療法や移植などがありますが、それぞれの病態にあった方法が適応されます。 ポケットが改善されれば、メインテナンスに移行します。
※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」 |
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