Question
インプラント治療後、肝硬変が発覚しました。影響ありますか?
Answer
肝硬変になった場合、注意が必要です。
進行するまでは慢性肝炎と同じような対応を行うことができますが、進行した肝硬変(肝がんを含め)では、肝臓で合成される凝固因子の低下を招いて出血傾向がみられるようになり、歯肉出血が起こりやすくなります。すなわち、肝硬変によって肝組織の線維化が進み、門脈血流のうっ血により門脈圧亢進が起こり、脾腫が生じるようになります。
その結果、血小板減少や肝細胞によるタンパク合成能の低下のため血液凝固因子の産生量の低下を起こし、一次止血・二次止血が障害され易出血性となります。
ブラッシングなどの刺激によっても出血するようになるため、出血を恐れてブラッシングを含めた口腔ケアが消極的になりがちです。
このような状態になるとインプラント体に付着したプラークの除去が困難となり、周囲歯肉に炎症を惹起して歯周炎を発症したり歯周炎を悪化させたりし、より出血しやすくなるという悪循環に陥ります。こうして口腔のケアはさらにおろそかになり、インプラント周囲炎を発症する危険性が高くなります。
※参考書籍
「65歳以上の患者へのインプラント治療・管理ガイド」
編著 窪木拓男、菊谷 武
株式会社ヒョーロン・パブリッシャーズ