Question

歯がなくなると顎堤(土手)がなくなると言われていますが、どれくらいなくなるのでしょうか?

Answer

顎堤吸収は、上顎と下顎でその進行が異なります。1年間における下顎の顎堤吸収は上顎の2倍であり、吸収が進むと4倍にもなるという報告があります。1)

また、顎堤吸収の進行は骨の構造や筋から受ける圧力の影響で、上顎では頬側、下顎では舌側から進んでいきます。

吸収速度に影響を与える因子については、いくつか報告されています。

義歯を装着していない欠損部の顎堤は、「吸収速度が遅い」、「対合の残存歯から過度な咬合力を受けると、吸収が進行する」などが報告されており2)、粘膜が受ける圧力が、顎堤の吸収速度に影響を及ぼしていると考えられます。不適合な義歯の使用は、粘膜に対する圧力の分散がなされていないため、一般に顎堤吸収を促進させるといわれています。また、レストを設置していない部分床義歯は、残存歯への咬合力の伝達がされずに粘膜に過剰な圧力がかかるため、やはり顎堤吸収を促進します。

全身疾患との関連では、骨粗しょう症の既往が顎堤吸収を進行させることが報告されています。3)

1) Kovacić I, Celebić A, Knezović Zlatarić D, et al: Influence of body mass index and the time of edentulousness on the residual alveolar ridge resorption in complete denture wearers. Coll Antropol, 27(Suppl 2): 69-74, 2003.

2)Bagga R, Robb ND, Fenlon MR: An investigation into the prevalence of combination syndrome. J Dent, 82: 66-70, 2019.

3)Bandela V, Munagapati B, Karnati RK, et al: Osteoporosis: Its Prosthodontic Considerations – A Review. J Clin Diagn Res, 9(12): ZE01-ZE04, 2015.

※参考書籍
 「聞くに聞けない補綴治療100」
 監修 河相安彦、鷹岡竜一 デンタルダイヤモンド社

お探しの情報は何ですか?

関連記事

このページを見た人は以下のページも見ています