Question

顎骨壊死を誘発する薬剤にはどんなものがありますか?

Answer

骨吸収抑制薬と血管新生阻害薬に加え、さまざまな薬剤がその可能性をもっています。

しかし、すべての骨粗鬆症治療薬がMRONJを引き起こすわけではありません。顎骨壊死を引き起こすことがはっきりとわかっている薬剤は、BP製剤とデノスマブの2種類だけ1)~4)です。

BP製剤とデノスマブ以外の薬剤は、その病理組織像を詳細に調べていないことや報告数が少ないため、あえて「MRONJに類似した疾患」としています。

骨粗鬆症や悪性腫瘍などの患者さんはBP製剤やデノスマブを投与していることもありますので、問診にてお聞きしたり、お薬手帳を見たり、または医科主治医に紹介状を書いたりして確認します。

 

薬剤の適応症

骨吸収抑制薬は、次のために使用されます。

1.悪性腫瘍の高カルシウム血症

2.乳がん・前立腺がん・肺がんなどの固形腫瘍における骨転位に関連した骨関連事象

(skeletal related event:SRE)

3.骨密度を増加して骨折の予防

 

ビスフォスフォネート経口薬は、骨粗鬆症治療の第1選択薬のため、超高齢社会の日本では頻用されています。慢性関節リウマチなどでコルチコステロイドを投与している患者さんでは、コルチコステロイド性骨粗鬆症を予防するためにビスフォスフォネートを投与している場合があります。

 

血管新生阻害薬は、胃・腸腫瘍、腎細胞がん、膵神経内分泌腫瘍、非小細胞肺がん、肝細胞がんなどに有効です。

 

※骨関連事象(SRE)とは?

痛み、病的骨折、脊髄圧迫、高カルシウム血症は、がんの骨転位に伴う症状です。

この痛みを除く、1.病的骨折、2.脊髄圧迫、さらにこれらに関連した3.放射線療法、4.外科療法、を合わせた4つの事象(高カルシウム血症を含めることがある)をまとめて、骨関連事象(skeletal related event:SRE)と称します。骨転移診療ガイドラインでは、ゾレドロネート、パミドロネート、デノスマブは、骨転移を有する肺がん、乳がん、前立腺がん、多発性骨髄腫に対して、SREを抑制するために有効であるとされています。

1)Ruggiero SL, Dodson TB, Aghaloo T, Carlson ER, Ward BB, Kademani D. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons’ Position Paper on Medication-Related Osteonecrosis of the jaw 2022 Update. 2022. Doi: https://doi.org/10.1016/j.joms.2022.02.

2)Ruggiero SL, Dodson TB, Fantasia J, Goodday R, Aghaloo T, Mehrotra B, O’Ryan F; American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons’ Position Paper on medication-related osteonecrosis of the jaw 2014 Update. J Oral Maxillofac Surg 2014; 72(10): 1938-1956.

3)Aliya A Khan, Archie Morrison, David A Hanley, Dieter Felsenberg, Laurie K McCauley, Felice O’Ryan, Ian R Reid, Salvatore L Ruggiero, Akira Taguchi, Sotirios Tetradis, Nelson B Watts, Maria Luisa Brandi, Edmund Peters, Teresa Guise, Richard Eastell, Angela M Cheung, Suzanne N Morin, Basel Masri, Cyrus Cooper, Sarah L Morgan, Barbara Obermayer-Pietsch, Bente L Langdahl, Rana Al Dabagh, K Shawn Davison, David L Kendler, George K Sándor, Robert G Josse, Mohit Bhandari, Mohamed El Rabbany, Dominique D Pierroz, Riad Sulimani, Deborah P Saunders, Jacques P Brown, Juliet Compston; International Task Force on Osteonecrosis of the Jaw. Diagnosis and management of osteonecrosis of the jaw: a systematic review and international consensus. J Bone Miner Res 2015; 30(1): 3-23.

4)厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル(平成30年6月改訂版):ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死(平成21年5月). https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1l01.pdf(2022年5月16日アクセス)

※参考書籍
 「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死 MRONJ・BRONJ」
 著・訳 柴原 孝彦  クインテッセンス出版株式会社

 「MRONJのリスクがある患者の歯科治療を行う時に読む本」
 著 黒嶋伸一郎、澤瀬隆、米田俊之
 クインテッセンス出版株式会社

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