歯・お口の状態について
Q251 | 気になっていた変色が漂白できたら自分の口もとが好きになりました。このままずっときれいな歯でいたいですがどうしていくとよいですか? |
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A251 | お口のうつくしさと健康は別物のようでいて実は基本は同じです。 |
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Q252 | 睡眠時無呼吸症候群・いびきによる不眠症の改善法を教えてください。 |
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A252 | 睡眠時無呼吸症候群の治療でも、いびきによる不眠症の治療でも、太っているかたにお願いしたいのはなにはともあれ、まずはダイエット。肥満が気道に与え続けている負担を減らし息の通りをよくしていきましょう。 1.まずは痩せる!睡眠時無呼吸症候群の治療でも、いびきによる低呼吸で不眠症になっているかたの治療でも、太っているかたの場合、まずはじめていただきたいのがダイエットです。大きな舌がスリムになると、症状の改善の大きな鍵となります。また、太っていると息苦しさを感じがちです。患者さんのなかにはダイエットが成功するといびきがグッと改善するかたがいます。 2.枕を替えてみよう。枕によって就寝中の首の角度が変わると、グッと気道が広がり息をしやすくなります。首を胸のほうに曲げる姿勢では気道が狭くなってしまいますが、あごが少し上がるような姿勢をとると、気道が広がり息がしやすくなります。 3.鼻呼吸の習慣を!いびきをかくかたのほとんどが、就寝中に口を開けて呼吸をしています。口呼吸は下あごと舌が下がり気道閉塞の原因になるので、鼻呼吸にぜひ慣れていきましょう。鼻炎で鼻から呼吸できないかたは、治療を受け、点鼻薬を使うなどしてできるだけ改善させていきましょう。 ※参考書籍 「nico 2013.7 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q253 | 歯周病で歯ぐきがやせてしまいました。前歯が長く、歯根が見えて老けた印象です。若々しい口もとにしたいですが、歯ぐきって増やせるのでしょうか? |
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A253 | 大丈夫。歯周形成外科で改善できます。 歯科の治療には露出してしまった歯の根を移植した歯ぐきで覆う「根面被覆」があります。歯ぐきをお口のなかの別の場所から採取したり、隣の歯ぐきから移動させてくる外科治療です。根面被覆のメリットは、審美性の改善だけではありません。歯の根元を新たな組織で覆うことで、歯を長持ちさせる効果や知覚過敏の抑制が見込めますよ。 ただし、きれいな口もとを維持するには、手術だけでなくお口の健康管理が大前提です。
※参考書籍 |
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Q254 | 歯周病になりやすい人となりにくい人がいる? |
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A254 | たしかに、お口のなかの歯周病菌の数が仮に同じでも、歯周病になりやすい人となりにくい人がいます。細菌感染に対する抵抗力も、生活習慣も一人ひとり違うからです。 |
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Q255 | 歯の抜ける順序は決まっていますか? |
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A255 | 日本人の歯の抜ける順序は、 |
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Q256 | アゴのズレは全身に影響しますか? |
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A256 |
「食べるときアゴが痛い」「口を開けるとアゴが痛い」「口を開けると音が鳴る」「アゴがギシギシする」こんなことはありませんか? |
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Q257 | 気になる口臭原因は?? |
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A257 | 本人は意外と気付かないものですが、口臭は他人に大変な不快感を与えます。口臭の原因にはいろいろありますが、そのほとんどが口の中にあり、三種類に分類されます。 |
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Q258 | 「横向きの親知らずを抜いたほうがいい」と歯医者さんに指摘されました。いまはまだ歯ぐきがたまに腫れる程度です。それでも抜いたほうがいいのでしょうか? |
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A258 | やはり、早めに抜くことをおすすめします。横向きに倒れて生えている親知らずは、今後も決して真っ直ぐに生えてきません。一生のなかで、役に立つ機会はないでしょう。むしろ悪さばかりされて、下手をすると、隣の歯を失ってしまいます。 |
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Q259 | 親知らずを抜かないとどうなるのですか? |
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A259 |
代表的なトラブルは以下になります。 1.隣の歯がむし歯になることがある。歯ぐきの下にできたむし歯の治療は技術的にむずかしく大がかりになりがちです。細菌や食べかすが親知らずの下に入り込むと、取り除くのがむずかしく不潔になりやすいためにむし歯ができてしまいます。 2.歯を支える歯を失う可能性がある。(智歯周囲炎)炎症のために歯を支える骨が溶け支えを失った隣の歯がグラグラになります。親知らずの下に入り込んだ細菌や食べかすのために炎症が起き、歯ぐきが腫れて、歯を支える周りの骨まで失ってしまいます。 3.歯並びや噛み合わせが悪化することがある。親知らずに押された歯が倒れ矯正治療が必要になります。 ※参考書籍 「nico 2012.3 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q260 | 口が乾く原因は何ですか? |
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A260 | 1.薬の副作用口渇の副作用をもつおもな薬剤
他にも、風邪薬(消炎酵素剤など)、花粉症に対する薬、胃酸を抑える胃薬(H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害剤)や、降圧剤(カルシウム拮抗剤)、消化性潰瘍治療薬、抗不整脈薬、気管支拡張薬、骨粗鬆症に対する薬、抗がん剤や免疫抑制剤、利尿薬、抗炎症薬など、700種類以上あるといわれています。 しかしながら、ご自分の判断で治療薬を飲むのを止めないでください。必ず主治医との相談が必要です。減量する場合や、同じような効能の薬に変えてもらえる場合もありますが、ドライマウスよりも病気の治療を優先しなければならない場合もあるためです。また、酒類や麻薬や覚醒剤も、ドライマウスを引き起こします。
2.ストレス人はストレスを感じると口や喉に渇きを覚えます。大勢の聴衆の前で話をする人のために、水差しが用意されるのもそのためです。唾液を分泌する唾液腺は「自律神経」に支配されています。緊張すると、交感神経が優位になり、サラサラとした唾液の分泌を止め、ネバネバとした唾液を少し分泌します。口の中が粘つくのはそのためです。リラックスした状態では、サラサラした唾液が多くでます。スポーツや仕事をやり終えたとき、温泉に入ったり、映画を見たり音楽を聴いたりなど、心がくつろいでいるときは、サラサラの唾液です。
3.能力低下と老化老化も唾液分泌を低下させるとされていますが、唾液分泌の良好な高齢者も大勢おられます。 筋肉量の減少(サルコペニア)は30歳頃から始まり、生涯を通じて進行し、筋力が低下します。唾液腺は筋肉に囲まれていて、その刺激を受けて唾液を分泌しているため、筋力低下は直接、唾液の減少につながります。また、筋力低下した舌が重力により下がるため、就寝時に舌が気道を閉塞すると口呼吸が進み、口腔乾燥が生じます。老化により唾液腺も萎縮することも考えられますが、むしろ筋力低下が大きな原因だと言われています。しっかり食べるなどして、筋肉量の減少を予防すれば、高齢者でも十分に唾液が分泌されます。
4.シェーグレン症候群シェーグレン症候群は自己免疫疾患の1つで、自分のリンパ球が外分泌腺を破壊する疾患であり、唾液腺と涙腺の分泌低下から、ドライマウスやドライアイを引き起こします。リンパ球は白血球の一種で、免疫の中心的役割を担っています。攻撃対象は、唾液腺だけでなく、その他外分泌腺、すなわち涙腺や鼻腔、消化器などに及びます。そのため、目や鼻の乾燥、胃酸の分泌低下による胃炎などを引き起こすこともあります。 現在、唾液腺の機能を回復させるような根本的な治療法は開発されていません。対症療法として、塩酸セビメリンや塩酸ピロカルピンなどの唾液腺分泌刺激剤を処方し、症状の軽減をはかることが可能となってきていますが、重篤な症状の場合には効果が乏しいこと、消化器症状や発汗の副作用があり、シェーグレン症候群であっても処方できない場合があります。 唾液分泌刺激剤を保険適用で投与できる以外は、通常のドライマウスに対する対症療法と同じです。リウマチなどの自己免疫疾患を合併していることもあり、注意が必要です。
5.放射線治療を受けた方口や顔面のがん治療や、甲状腺の病気などで放射線を照射された場合、唾液腺が障害を受け、ドライマウスの症状が出ることがあります。唾液腺や涙腺などの腺組織は、放射線に対して感受性が高く、破壊されやすいことが知られています。医療の進歩により照射法が工夫され、症状の軽減化がはかられていますが、病変の位置や大きさにより、唾液腺機能を復活させることはできなくなります。 現在、シェーグレン症候群と同様な唾液分泌刺激剤の処方により唾液分泌を促すことができるようになり、治療の幅が広がりつつありますが、薬剤の効果を実感できないほど、腺組織にダメージを受けている場合もあります。 しかしながら、実際には照射領域すべての唾液腺が破壊されているとは限りません。通常のドライマウスの原因が重なっていることも多いのです。 放射線の影響だからとあきらめずに、副作用のある内服薬を飲んでいる、ストレスや筋力低下、口呼吸など、原因となる事項を確認し、あわせて積極的に口腔ケアを含めた対症療法を行うことが大切です。
6.糖尿病糖尿病の患者さんの尿には糖が含まれています。糖を含んだ尿は浸透圧が高くなり、水を尿管のほうに引っ張る力が強くなります。その結果、多量の尿が排泄され、脱水症状とともにドライマウスが生じることになります。対策として、糖尿病の治療が先決ですが、完治までに時間もかかりますし、治療することが難しい疾患です。関連性も高い歯周病を予防する意味でも、積極的な口腔ケアが必要になります。 また、余談ですが、糖尿病は感染症にもかかりやすくなり、歯周病との関連も報告されています。 健康な方でも知らないうちに唾液を誤嚥している(不顕性誤嚥)こともあるのですが、身体の免疫機構が働いて感染を制御したり、気管に存在する小さな毛が動いて汚れを押し上げる線毛上皮運動が起こり、細菌とともに喀痰として吐き出しています。これらの機能が低下するとさらに感染が進行しやすくなります。
7.脳血管障害脳梗塞・脳出血などにより口の機能に麻痺が生ずると、唾液が減少することがあります。口に関連する機能には、脳のさまざまな領域がかかわっていることが知られています。脳血管障害の患者さんには、嚥下障害(食べ物を飲み込みづらい)や構音障害(うまく話ができない)という症状が出ることがあります。唾液腺自体の機能は正常であっても、咀嚼機能が衰えたり、筋力が低下したりすると、唾液腺が刺激されないのでドライマウスになります。 また、唾液分泌は脳幹の一つである間脳の視床下部の支配を受けています。脳幹は自律神経やホルモン、呼吸にまで影響を及ぼしているため、障害を受けると、命そのものが危機にさらされます。当然、唾液分泌も障害されることになります。 脳血管障害でも唾液腺自体の機能はいくらか残っているケースも多くあります。脳血管障害だけでなく、他の要因も関連していることが予想されます。対応法は、病態によりさまざまですが、唾液腺マッサージや口腔ケアが有効です。このことは医療機関だけでなく、さまざまなメディアや論文でも取り上げられています。
1~7の他にも、更年期障害や腎不全などが原因となることもあります。 また、年齢によって、ドライマウスの原因候補は異なってきますので、以下を参考にしてください。 ●特に年齢の高い方1.不必要な薬高齢者の場合、なんらかの病気をもっていて、何種類もの薬剤を服用している方が多いことと思います。60歳以上の初診の患者さんの内服薬の種類は、62人中47人がなんらかの薬剤を内服しており、その数は平均4.5種類という調査報告があります。降圧剤、抗不安薬、胃薬、睡眠薬、高脂血症治療薬、骨粗鬆症治療薬などが使用頻度の高い薬です。 このような場合、多剤服用に伴う薬剤の副作用が出現します。文献によると、5種類以上の薬剤を内服する場合の副作用出現率は、4種類以下の場合に比較して著しく上昇することが知られています。 高齢者は身体組成が変化します。すなわち、体重あたりの筋肉量が減少し、体脂肪率が高まることにより、実際の体重よりも薬剤の適応量が低下し、臓器の老化に伴い、代謝速度が低下することが知られています。 2.筋力の衰え筋肉量の減少(サルコペニア)は30歳頃から生涯を通じて進行し、筋力が低下します。唾液腺は筋肉に囲まれていて、刺激を受けて唾液を分泌しているため、筋力低下は、直接、唾液の減少につながります。また、筋力低下した舌が重力により下がり、舌が気道を閉塞すると口呼吸が進み、口腔乾燥が生じます。筋力を鍛えることにより、筋肉量の減少を予防すれば、高齢者でもドライマウスの進行を予防することができます。 3.睡眠高齢者の場合、睡眠の質も変化し、幼児期と同じような睡眠のパターンになり、夜間に深い眠りをとることが自然に困難になってきて、昼間に仮眠をとることが増えます。「夜眠れない」と気にして睡眠薬を毎晩服用すると、ドライマウスが強くなります。夜間に眠りが浅くても、日中の昼寝で睡眠時間を補えば問題ありません。 現在の医学では、身体に耐性を作らない夢のような「睡眠薬」は存在しません。薬の服用を続けると量をどんどん増やさないと、「飲んでも効かない」ようになります。睡眠薬の量が増えても薬が効かなくなり、その副作用で口が乾くことになります。睡眠薬を服用せず、運動をして生活のリズムを一定にし、朝できるだけ日光にあたるなどの薬以外で対処する方法がよいでしょう。質のよい快適な睡眠がとれることも知られています。
●若い方1.ストレスストレスが蓄積すると交感神経が優位になり、ドライマウスの状態が続きます。楽しくスポーツをしたり、好きな音楽を聴いたり、リラックスした時間をもつことが大切です。 2.花粉症鼻が詰まると口呼吸を行う機会が増え、口が渇きやすくなります。また、アレルギー症状を抑える薬も、ドライマウスを引き起こします。できれば、点鼻薬や点眼薬、マスクなどの局所に対する方法で症状を緩和できるとよいでしょう。早めに予防対策をすることが大切です。 3.うつうつはSSRI(抗うつ剤)という薬の導入により、治療可能となってきています。うつはストレスが原因であるため口がかわきますが、抗うつ剤の副作用にも口渇があり、ドライマウスを引き起こします。 4.開口開口の習癖があるとドライマウスになりやすく、むし歯もできやすくなります。生活環境の変化や学校受験などがストレスとなりドライマウスを訴える子どもも増えてきています。鼻呼吸に切り替え、状況によっては室内の加湿やネブライザー、マスクを用いるとよいでしょう。
※参考書籍 |
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