Question

歯周病菌が口の中にいると必ず歯周病を発症するのですか?

Answer

細菌検査の検出感度が飛躍的に向上した結果、red complex(※後述参照)は予想されていたよりはるかに健康な、そして若い歯周組織に感染していることがわかりました。報告により大きくばらつきはありますが、15~40歳の健康な歯周組織からのred complexの検出率は20~50%程度です。近年の細菌検査法の精度の向上につれ、健康な歯周組織からのred complex検出率はさらに上昇しました。

この結果から、現在では、red complexは口腔常在菌と考えられるようになっています。歯周病菌が常在菌であるという事実には大きな意味があります。感染を受けていても発症しない人が少なからずいるということです。red complexは歯周病のリスクファクターですが、口腔内にred complexが定着しているからといって、必ずしも歯周病になるわけではないのです。実際、2010年に行われた中国人民解放軍・航空医学研究所の職員468人を対象とした調査では、歯周病患者の85.8%からP.gingivalisが検出されたが、62.2%の非歯周病患者からも検出されています。

T.forsythiaについては、歯周病患者の76.9%、非歯周病患者の77.3%から検出されています。「疾病の発症には特定病原体の感染が認められる」というコッホの条件を、歯周病は満たさないのです。細菌検査法の精度は今後さらに向上することが予想されます。もしかすると将来、「red complexは人類の大多数の口腔に定着している」という報告がなされるかもしれません。

※red complexとは

多数の細菌種の共生集団(microbial complex)の中でも、もっとも歯周病原性が高い集団を「red complex」といいます。

PCR法などの最新の細菌検査法を用いた報告でも、おおむね重篤な歯周病ともっともよく関連して検出される細菌種がred complexで、菌種はP.gingivalisT.forsythiaT.denticolaがあります。これら“要注意”3菌種は歯周細菌検査のターゲットとなっています。3菌種の中でもP.gingivalisがとくに歯周病原性が強いとされ、歯周治療後の歯周状態の改善と、歯肉縁下プラーク中のP.gingivalis菌数の大幅な減少には明らかな相関があることが報告されています。

一方、red complexの3菌種は、互いの病原性を高め合う性質をもち、細菌の代謝産物が他の細菌種の病原遺伝子の発現を促進し、相乗効果を発揮していると考えられています。しかし、そのメカニズムはいまだよくわかっていません。

※参考書籍
 「ビジュアル 歯周病を科学する」
 監修 天野敦雄 岡賢二 村上伸也 クインテッセンス出版株式会社

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