Question
歯周病の進行に個人差はあるのでしょうか?若いうちは歯周病の心配はしなくてもいいですか?
Answer
同じ民族で、同じ場所に住み、同じようなものを食べていても、歯周病の進み方は人によって違うことが分かっています。先進国でも歯周病患者の10%前後は重症になることが報告されています。また、日本臨床歯周病学会がおこなった歯周病実態調査では、30~40代の若い世代でも重度歯周病患者が15%ほどを占めていました。
喫煙や糖尿病が歯周病のリスク因子であることはよく知られていますが、それとは関係なく、歯周病の約1割は「侵襲性歯周炎」という5~10年で急速に進行するタイプであることがわかっています。侵襲性歯周炎には「若年性歯周炎」という別名があり、その名の通り10代20代という若い頃に発症し、そのままにしておくと歯がグラグラになって、40代ですべての歯を失ってしまったというケースもあります。
早い段階で発見し治療すれば進行を止めることもできますが、若い世代には歯周病という自覚がなく、歯肉が腫れる、出血しているという症状が出ていても見過ごしてしまうことが多いのが現状です。一般の歯科医師もあまりこの病気の認識がなく、早期発見の機会を逃してしまうことがあります。
侵襲性歯周炎の人が家族にいる場合は、遺伝的な素因や生活習慣も似ているため、発症する確率が高く、より注意することが必要です。また一般的な歯周治療では治らないことも多いので、異常に気づいたらできるだけ早く「歯周病専門医」を受診してください。
※参考書籍
「日本人はこうして歯を失っていく」
日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
朝日新聞出版