Question

小児の外傷について教えて下さい。

Answer

●外傷後に見られる特徴

1.歯冠の変色

脱臼性の損傷後は歯冠の変色が起こりやすくなります。受傷当初は歯髄内の充血によるものが多く、やや赤みを帯びることがあります。受傷後3ヶ月以降には、歯髄壊死による灰褐色の変色が始まります。

2.歯髄の壊死

根未完成歯ほど発生しにくい傾向にあります。脱臼性損傷では、根尖部における循環障害に陥りやすく、歯髄壊死が生じやすくなります。

3.歯根の吸収

炎症性の歯根吸収は、感染歯髄を放置することで象牙細管を通過した壊死物質や細菌が歯根表面に達して炎症反応が起き、その結果出現する破骨細胞によって引き起こされます。歯髄壊死の早期発見と治療により、拡大を防止することができます。

●歯冠破折の治療法

(Sane J : Maxillofacial and dental injuries in contact team sports. Proc Finn Dent Soc, 84 : 1-45, 1998.

1.不完全破折(亀裂)

冷水痛がある場合には、エナメル質表面をレジンでコーティングします。

2.露髄を伴わない破折

破折片がある場合には、できるだけ破折片を接着します。
破折片がない場合には、接着性レジン修復により、歯冠形態を回復します。
また、重度な象牙質破折の場合には、水酸化カルシウム製剤で覆髄後、接着性レジン修復で歯冠形態を回復します。

3.露髄を伴う破折

根未完成歯では、露髄の程度と状況に応じて、直接覆髄か部分生活断髄法、あるいは生活断髄法を行います。そして、覆髄面を含めた破折面を封鎖性が確実なセメント、または接着性レジンで仮封します。破折片がある場合には、水に浸漬し冷蔵庫で保管します。1,2ヶ月後、仮封剤を除去し、歯冠形態を回復します。

根完成歯で露髄面が新鮮な場合(受傷後、おおむね24時間以内のもの)には、根未完成歯と同じ方法で治療します。露髄面が陳旧性である場合には、抜髄または根管治療を実施します。

●歯根破折の治療法

(Sane J : Maxillofacial and dental injuries in contact team sports. Proc Finn Dent Soc, 84 : 1-45, 1998.

1.歯根破折

受傷歯は隣在歯を固定源として2、3ヶ月間、しっかりと固定します。変色などの歯髄壊死の徴候が現れるまで根管治療は行いません。

2.歯冠・歯根破折

歯冠部歯髄まで達している場合には、歯冠破折の露髄を伴う治療法に準じて対応します。歯肉縁下深部にまでおよぶ場合には、歯の保存が難しくなり、抜歯することになります。

●脱臼の治療法

脱臼性の外傷に対する治療法はこちらをご覧下さい。
Q.歯に外傷をおったときはどうすればよいですか?

※参考書籍
 「要説 スポーツ歯科医学」
 編集 石上惠一 上野俊明 川良美佐雄 前田芳信 安井利一
 医学情報社

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