歯周病

Q71 早期接触って問題なんですか?
A71

 一瞬ですが、早いことが大問題になります。

噛むとき歯同士がぶつかり合う力は非常に強く、普通はこの力が、上下のあごにそれぞれ十四、五本ある歯に分散されていますが、早期接触が生じると、浮いた歯が一身にこの力を受けます。

早期接触がよく見られるのは、修復物―詰め物・冠・差し歯・入れ歯などが合っていない場合です。修復物が高ければ、すぐに早期接触が起きて「当たる」感じになります。逆に修復物が低い場合は、他の複数の歯にジワジワと早期接触が起こります。これはゆっくり発生するために、患者さんが気づきにくいという問題があります。修復物のための早期接触で、膿漏が悪化しているケースは大変多くあります。よほどよく注意して修復してくれる歯科医にかからないと、大切な残存歯に高い確率で咬合異常が起こります。

歯が抜けたままだと、自然に片側で嚙む癖がつきます。この噛み癖(片噛み)で咬合の中心が狂い、「噛む側の歯列」の第一小臼歯や、噛まない側の第二大臼歯などが、軽い早期接触を起こしていることもあります。これらの歯が歯槽膿漏になりやすいのは、ある意味で早期接触が基盤となっているとも言えるでしょう。

 

※参考書籍
 「歯槽膿漏 抜かずに治す」 片山 恒夫 著  恒志会

Q72 歯周治療と矯正治療を同時に行っても大丈夫ですか?
A72

 歯周治療矯正治療を同時進行で行っても、歯周治療完了後に矯正治療を行っても、歯周組織の治癒に差異がなかった」という研究報告があります。

Eglė Zasčiurinskienė, Nomeda Basevičienė, Rune Lindsten, Christer Slotte, Henrik Jansson, Krister Bjerklin: Orthodontic treatment simultaneous to or after periodontal cause-related treatment in periodontitis susceptible patients. Part I: Clinical outcome. A randomized clinical trial. Journal of Clinical Periodontology, 45(2): 213-224, 2018.

※参考書籍
 「海外文献120編から読み解く ペリオの世界」
 関野 愉  株式会社デンタルダイヤモンド社

Q73 歯周病に罹患していますが、広範囲のブリッジは大丈夫ですか?
A73

「歯周炎患者に広範囲のブリッジを装着した場合でも、適切なSPTを続ければ長期的に良好な予後が得られる。」という研究報告があります。

Alexander Heschl, Michael Haas, Josef Haas, Michael Payer, Walther Wegscheider, Raoul Polansky: Maxillary rehabilitation of periodontally compromised patients with extensive one-piece fixed prostheses supported by natural teeth: a retrospective longitudinal study. Clinical Oral Investigation, 17(1): 45-53, 2013.

SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

 

※参考書籍
 「海外文献120編から読み解く ペリオの世界」
 関野 愉  株式会社デンタルダイヤモンド社

Q74 歯周病になりやすい人となりにくい人がいる?
A74

たしかに、お口のなかの歯周病菌の数が仮に同じでも、歯周病になりやすい人となりにくい人がいます。細菌感染に対する抵抗力も、生活習慣も一人ひとり違うからです。
喫煙習慣や糖尿病があると、感染への抵抗力が落ち、当然歯周病になりやすくなります。また、生活習慣病である歯周病にとって、歯みがきの仕方や間食、軟食などの生活習慣の影響はたいへん大きいです。
「家族ぐるみで歯周病になりやすい」というかたは、原因として生活習慣を疑ってみるのも大事です。歯周病のご両親からお子さんに歯周病菌がうつることも多いので注意しましょう。

※参考書籍 「nico 2011.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q75 歯周病は何歳くらいから気をつければよいのでしょうか?
A75

歯周病の原因は磨き残しで歯に付着するプラーク(バイオフィルム)と呼ばれるものです。よって、日々その原因が蓄積されますので、歯が生えた時点から注意する必要があります。一般的な歯周病は40歳前後に発症する場合が多いと言われています。

※参考サイト 「日本歯周病学会」

Q76 治ったときに、歯ぐきが下がって老けて見えると困ります。
A76

これは、歯科医師にとっても悩ましい問題です。
歯ぐきが腫れているときは目立たなかったのに、治療が終わって歯ぐきの腫れが引くと、歯槽骨が失われている歯ほど、歯ぐきが下がって見栄えが悪くなってしまいます。
そこでご心配なかたは、手術ではなくSRPで炎症を抑え、あとは定期的なメインテナンスで管理を徹底するか、あるいは再生療法を受けるかなど、歯周治療を専門的に行っている歯科医師からリスクについても説明を受けて、じっくり検討しましょう。
何度も言いますが、歯周病の治療は早期にはじめることが肝心。歯槽骨がたくさんなくなる前に治療をしましょう。

※参考書籍 「nico 2011.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q77 歯磨きをせず、治療を受けなかったら、歯周病はどの程度進行するの?
A77

治療を全く受けなかった場合、8%が急速に、81%がゆっくりと進行し、残りの11%はほとんど進行しなかった。(Löe 1986)

※参考書籍
 「科学的根拠に基づく歯周病へのアプローチ」
 清水宏康 著 医歯薬出版株式会社

Q78 歯周治療を受けた場合、歯を失わずにすむの?
A78

Hirschfeld & Wassermanは、歯周治療を行った患者の予後を平均して22年間観察した結果、77%は0~3歯を失い、15%は4~10歯、そして残りの8%は10歯以上を喪失したと報告しました。このことは、適切な歯周治療を受けた場合、約8割の人は長期間大多数の歯を保存することができますが、それでも1割の人は急速に歯を失っていくことを意味しています。

※参考書籍
 「科学的根拠に基づく歯周病へのアプローチ」
 清水宏康 著 医歯薬出版株式会社

Q79 歯肉溝からの排膿は歯周病が原因なのでしょうか?
A79

歯周病だけでなく、根管由来の感染が原因の排膿もあります。

初発病変はエンド由来で、歯肉溝から排膿しているような例を、まず念頭において診断をするべきです。

 

エンド-ペリオ病変の分類方法についてのナラティブレビュー
Al-Fouzan KS. A new classification of endodontic-periodontal lesions. Int J Dent 2014; 2014: 919173.

 

※参考書籍
 「抜歯・小手術・顎関節症・粘膜疾患の迷信と真実」
 湯浅秀道、安藤彰啓 編著  クインテッセンス出版株式会社

Q80 歯周病にかかっている人はインプラント周囲炎になりやすいってホント?
A80

インプラント周囲炎の発症率に関しては、歯周炎のグループが28.6%であったのに比べ、その他のグループでは5.8%と歯周病のグループが有意に高い。(Karoussis 2003)

※参考書籍
 「科学的根拠に基づく歯周病へのアプローチ」
 清水宏康 著 医歯薬出版株式会社

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