だ液
Q11 | 最近口がよく乾きます。今後この状態が続くとどうなりますか? |
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A11 |
そのような状態を口腔乾燥症(ドライマウス)といいます。 口が乾く原因はだ液が出ないためです。もちろん口をあけたままにしていても乾燥します。
ドライマウスになると以下のような症状が表れます。 1.喉が渇いて常に水分がほしくなる2.口の中がネバネバし、カラカラになって不快3.パンやクッキーなど、パサパサした質感の食品がうまく食べられない4.味覚の異常5.食べ物を飲み込みにくくなる6.舌が痛い7.入れ歯を入れていられない8.むし歯や歯周病になりやすい9.風邪をひきやすくなる10.肺炎を発症しやすくなる
口の中には多くの微生物が存在し、微生物の集団を形成しています。すでに住み着いている微生物は、外から新しく入ってくる細菌が定着するのを嫌うので、そのことが感染を防ぐことにつながっています。 しかし、だ液が減少し、その性質が変わってしまうと、口の中の微生物のバランスが崩壊し、口での防御作用が損なわれてしまいます。高齢者や手術後の患者さんなどは、免疫力・体力が落ちているときにドライマウス状態になると、感染を防御することができずに、有害な細菌が繁殖して、それが口の中のみならず全身にも悪影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。 ドライマウス症状1ドライマウス状態です。水分がなく、舌が乾燥しているのが分かります。白い斑点は舌苔です。細菌が繁殖しています。 ドライマウス症状2ドライマウス状態の高齢要介護者の口腔内です。口から食べない方の場合、特にケアが必要となります。口の機能が衰えたことに加え、口の中が不潔であると、肺炎発症のリスクが高まります。 ドライマウス症状3ドライマウスに伴い、カンジダ性口角炎を発症したケースです。ひび割れしやすく、自然治癒しにくい状態となっています。ステロイド軟膏を塗布し続けているケースが多く、注意しなければなりません。抗真菌剤が効果的です。 ※参考書籍 |
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Q12 | 最近よく口が乾くのですが、病気でしょうか? |
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A12 |
近年、口の乾きや唾液が出ないといったドライマウス(口腔乾燥症)を訴える人が増えています。 ドライマウスの判定は…?安静時と刺激時の唾液分泌量を測定して判定します。 安静時唾液1.5ml/15分間(15分間の唾液量)以下 刺激時唾液10ml/10分間(ガムを噛んだときの唾液量)以下 ドライマウスの原因は?
ドライマウス対応策
ドライマウス危険度チェック
上のリストで3つ以上当てはまる人は要注意です |
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Q13 | 居眠りすると“ヨダレ”を垂れるのはなぜですか? |
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A13 |
居眠りすると咀嚼筋のなかにある筋紡錘も眠ってしまいます。そうすると、下顎は重力のため、安静位よりさらに落ちた(開口した)状態になり、嚥下機能も働かなくなります。その上、居眠り状態では副交感神経が優位になるため唾液腺の活動が活発となり、口の中で溢れた唾液が“ヨダレ”として垂れてしまうのです。
※参考書籍 |
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Q14 | 口が乾く原因は何ですか? |
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A14 | 1.薬の副作用口渇の副作用をもつおもな薬剤
他にも、風邪薬(消炎酵素剤など)、花粉症に対する薬、胃酸を抑える胃薬(H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害剤)や、降圧剤(カルシウム拮抗剤)、消化性潰瘍治療薬、抗不整脈薬、気管支拡張薬、骨粗鬆症に対する薬、抗がん剤や免疫抑制剤、利尿薬、抗炎症薬など、700種類以上あるといわれています。 しかしながら、ご自分の判断で治療薬を飲むのを止めないでください。必ず主治医との相談が必要です。減量する場合や、同じような効能の薬に変えてもらえる場合もありますが、ドライマウスよりも病気の治療を優先しなければならない場合もあるためです。また、酒類や麻薬や覚醒剤も、ドライマウスを引き起こします。
2.ストレス人はストレスを感じると口や喉に渇きを覚えます。大勢の聴衆の前で話をする人のために、水差しが用意されるのもそのためです。唾液を分泌する唾液腺は「自律神経」に支配されています。緊張すると、交感神経が優位になり、サラサラとした唾液の分泌を止め、ネバネバとした唾液を少し分泌します。口の中が粘つくのはそのためです。リラックスした状態では、サラサラした唾液が多くでます。スポーツや仕事をやり終えたとき、温泉に入ったり、映画を見たり音楽を聴いたりなど、心がくつろいでいるときは、サラサラの唾液です。
3.能力低下と老化老化も唾液分泌を低下させるとされていますが、唾液分泌の良好な高齢者も大勢おられます。 筋肉量の減少(サルコペニア)は30歳頃から始まり、生涯を通じて進行し、筋力が低下します。唾液腺は筋肉に囲まれていて、その刺激を受けて唾液を分泌しているため、筋力低下は直接、唾液の減少につながります。また、筋力低下した舌が重力により下がるため、就寝時に舌が気道を閉塞すると口呼吸が進み、口腔乾燥が生じます。老化により唾液腺も萎縮することも考えられますが、むしろ筋力低下が大きな原因だと言われています。しっかり食べるなどして、筋肉量の減少を予防すれば、高齢者でも十分に唾液が分泌されます。
4.シェーグレン症候群シェーグレン症候群は自己免疫疾患の1つで、自分のリンパ球が外分泌腺を破壊する疾患であり、唾液腺と涙腺の分泌低下から、ドライマウスやドライアイを引き起こします。リンパ球は白血球の一種で、免疫の中心的役割を担っています。攻撃対象は、唾液腺だけでなく、その他外分泌腺、すなわち涙腺や鼻腔、消化器などに及びます。そのため、目や鼻の乾燥、胃酸の分泌低下による胃炎などを引き起こすこともあります。 現在、唾液腺の機能を回復させるような根本的な治療法は開発されていません。対症療法として、塩酸セビメリンや塩酸ピロカルピンなどの唾液腺分泌刺激剤を処方し、症状の軽減をはかることが可能となってきていますが、重篤な症状の場合には効果が乏しいこと、消化器症状や発汗の副作用があり、シェーグレン症候群であっても処方できない場合があります。 唾液分泌刺激剤を保険適用で投与できる以外は、通常のドライマウスに対する対症療法と同じです。リウマチなどの自己免疫疾患を合併していることもあり、注意が必要です。
5.放射線治療を受けた方口や顔面のがん治療や、甲状腺の病気などで放射線を照射された場合、唾液腺が障害を受け、ドライマウスの症状が出ることがあります。唾液腺や涙腺などの腺組織は、放射線に対して感受性が高く、破壊されやすいことが知られています。医療の進歩により照射法が工夫され、症状の軽減化がはかられていますが、病変の位置や大きさにより、唾液腺機能を復活させることはできなくなります。 現在、シェーグレン症候群と同様な唾液分泌刺激剤の処方により唾液分泌を促すことができるようになり、治療の幅が広がりつつありますが、薬剤の効果を実感できないほど、腺組織にダメージを受けている場合もあります。 しかしながら、実際には照射領域すべての唾液腺が破壊されているとは限りません。通常のドライマウスの原因が重なっていることも多いのです。 放射線の影響だからとあきらめずに、副作用のある内服薬を飲んでいる、ストレスや筋力低下、口呼吸など、原因となる事項を確認し、あわせて積極的に口腔ケアを含めた対症療法を行うことが大切です。
6.糖尿病糖尿病の患者さんの尿には糖が含まれています。糖を含んだ尿は浸透圧が高くなり、水を尿管のほうに引っ張る力が強くなります。その結果、多量の尿が排泄され、脱水症状とともにドライマウスが生じることになります。対策として、糖尿病の治療が先決ですが、完治までに時間もかかりますし、治療することが難しい疾患です。関連性も高い歯周病を予防する意味でも、積極的な口腔ケアが必要になります。 また、余談ですが、糖尿病は感染症にもかかりやすくなり、歯周病との関連も報告されています。 健康な方でも知らないうちに唾液を誤嚥している(不顕性誤嚥)こともあるのですが、身体の免疫機構が働いて感染を制御したり、気管に存在する小さな毛が動いて汚れを押し上げる線毛上皮運動が起こり、細菌とともに喀痰として吐き出しています。これらの機能が低下するとさらに感染が進行しやすくなります。
7.脳血管障害脳梗塞・脳出血などにより口の機能に麻痺が生ずると、唾液が減少することがあります。口に関連する機能には、脳のさまざまな領域がかかわっていることが知られています。脳血管障害の患者さんには、嚥下障害(食べ物を飲み込みづらい)や構音障害(うまく話ができない)という症状が出ることがあります。唾液腺自体の機能は正常であっても、咀嚼機能が衰えたり、筋力が低下したりすると、唾液腺が刺激されないのでドライマウスになります。 また、唾液分泌は脳幹の一つである間脳の視床下部の支配を受けています。脳幹は自律神経やホルモン、呼吸にまで影響を及ぼしているため、障害を受けると、命そのものが危機にさらされます。当然、唾液分泌も障害されることになります。 脳血管障害でも唾液腺自体の機能はいくらか残っているケースも多くあります。脳血管障害だけでなく、他の要因も関連していることが予想されます。対応法は、病態によりさまざまですが、唾液腺マッサージや口腔ケアが有効です。このことは医療機関だけでなく、さまざまなメディアや論文でも取り上げられています。
1~7の他にも、更年期障害や腎不全などが原因となることもあります。 また、年齢によって、ドライマウスの原因候補は異なってきますので、以下を参考にしてください。 ●特に年齢の高い方1.不必要な薬高齢者の場合、なんらかの病気をもっていて、何種類もの薬剤を服用している方が多いことと思います。60歳以上の初診の患者さんの内服薬の種類は、62人中47人がなんらかの薬剤を内服しており、その数は平均4.5種類という調査報告があります。降圧剤、抗不安薬、胃薬、睡眠薬、高脂血症治療薬、骨粗鬆症治療薬などが使用頻度の高い薬です。 このような場合、多剤服用に伴う薬剤の副作用が出現します。文献によると、5種類以上の薬剤を内服する場合の副作用出現率は、4種類以下の場合に比較して著しく上昇することが知られています。 高齢者は身体組成が変化します。すなわち、体重あたりの筋肉量が減少し、体脂肪率が高まることにより、実際の体重よりも薬剤の適応量が低下し、臓器の老化に伴い、代謝速度が低下することが知られています。 2.筋力の衰え筋肉量の減少(サルコペニア)は30歳頃から生涯を通じて進行し、筋力が低下します。唾液腺は筋肉に囲まれていて、刺激を受けて唾液を分泌しているため、筋力低下は、直接、唾液の減少につながります。また、筋力低下した舌が重力により下がり、舌が気道を閉塞すると口呼吸が進み、口腔乾燥が生じます。筋力を鍛えることにより、筋肉量の減少を予防すれば、高齢者でもドライマウスの進行を予防することができます。 3.睡眠高齢者の場合、睡眠の質も変化し、幼児期と同じような睡眠のパターンになり、夜間に深い眠りをとることが自然に困難になってきて、昼間に仮眠をとることが増えます。「夜眠れない」と気にして睡眠薬を毎晩服用すると、ドライマウスが強くなります。夜間に眠りが浅くても、日中の昼寝で睡眠時間を補えば問題ありません。 現在の医学では、身体に耐性を作らない夢のような「睡眠薬」は存在しません。薬の服用を続けると量をどんどん増やさないと、「飲んでも効かない」ようになります。睡眠薬の量が増えても薬が効かなくなり、その副作用で口が乾くことになります。睡眠薬を服用せず、運動をして生活のリズムを一定にし、朝できるだけ日光にあたるなどの薬以外で対処する方法がよいでしょう。質のよい快適な睡眠がとれることも知られています。
●若い方1.ストレスストレスが蓄積すると交感神経が優位になり、ドライマウスの状態が続きます。楽しくスポーツをしたり、好きな音楽を聴いたり、リラックスした時間をもつことが大切です。 2.花粉症鼻が詰まると口呼吸を行う機会が増え、口が渇きやすくなります。また、アレルギー症状を抑える薬も、ドライマウスを引き起こします。できれば、点鼻薬や点眼薬、マスクなどの局所に対する方法で症状を緩和できるとよいでしょう。早めに予防対策をすることが大切です。 3.うつうつはSSRI(抗うつ剤)という薬の導入により、治療可能となってきています。うつはストレスが原因であるため口がかわきますが、抗うつ剤の副作用にも口渇があり、ドライマウスを引き起こします。 4.開口開口の習癖があるとドライマウスになりやすく、むし歯もできやすくなります。生活環境の変化や学校受験などがストレスとなりドライマウスを訴える子どもも増えてきています。鼻呼吸に切り替え、状況によっては室内の加湿やネブライザー、マスクを用いるとよいでしょう。
※参考書籍 |
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Q15 | 口腔乾燥症(ドライマウス)に含嗽剤は有効なのでしょうか? |
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A15 |
含嗽剤は効きません。むしろ逆効果のこともあります。 口腔乾燥症は、原因がわかっても改善はきわめて困難な慢性症状で、対処療法がほとんどです。加齢変化でも唾液分泌量の減少は起こるため、これを増加させようとするのは、若返りを求めるのと同じことの場合もあります。この分野の臨床研究は、十分に行われていないのが現状で、今後よくデザインされたランダム化比較試験により、臨床のガイドとなる結果が得られることが望まれます。 口腔乾燥症は中高年に集中しており、不定愁訴が多いことが特徴です。治療に当たっては、漫然とした薬剤投与は避け、唾液代用剤などをうまく利用することで症状の緩和にもっていきましょう。 口腔乾燥における局所治療の効果についてのシステマティックレビュー(その1)
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Q16 | ドライマウスが辛かったらどこへ行けばよいのですか? |
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A16 |
歯科医院で相談してみてください。
※参考書籍 |
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Q17 | 唾液にはすぐれた力があるそうですね。どんな効果がありますか? |
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A17 | 唾液には、魔法のようなたくさんの効用があります。 傷口のばい菌などを洗い流してきれいにしてくれる働きや、唾液のネバネバ成分ムチンによる傷を守る働きもあります。傷を作ると皮膚がやぶれ本来外に出てはいけないところがむき出しになります。ここに唾液をつけると保護してくれるのです。 また、唾液に含まれるリゾチームなどによるばい菌の力をおさえる働き、ムチンによるばい菌を集めて固める働きなども大切な効用です。 唾液には初期のむし歯を治す力もあります。これは「再石灰化」といって、唾液のなかのカルシウムやミネラルが、むし歯になり溶けはじめた歯を治してくれるのです。 一方、歯が溶けることを「脱灰」といい、口の中ではいつも「脱灰」と「再石灰化」がシーソーのようにバランスをとって歯を守っています。(ただし、歯みがきが足りなくて「脱灰」のほうが多くなると、唾液による「再石灰化」では治しきれなくてむし歯ができてしまいます。) 唾液は、傷口を守るように、歯も守ってくれているのです。
※参考書籍 |
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Q18 | 唾液はなぜ出るの? |
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A18 | おいしい食べ物を見たり、いいにおいを嗅ぐと「視覚中枢」「嗅覚中枢」がそれをキャッチして唾液核に「唾液を出して!」と伝えます。また、おいしい食べ物を思い浮かべると「海馬」にしまいこんである「前に食べたときおいしかった」という記憶が脳のネットワークを刺激して、唾液核に「唾液を出して!」と命令します。
※参考書籍 |
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Q19 | ドライマウスはどのように治療を進めていくのですか? |
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A19 | まずは、診療の手順を図にしましたのでご覧下さい。
他、原因にかかわらず行うべきことは次の2点があります。 1.唾液腺の刺激唾液腺刺激マッサージ 唾液腺周囲の筋肉を鍛える ガムを咀嚼する
2.歯科治療咀嚼に問題があれば、歯科治療を行う
※参考書籍 |
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Q20 | ドライマウスへの対処方法を教えてください。 |
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A20 |
1.薬を変える薬は必要があって服用しているのですから、原則的にはドライマウスがあっても、飲むのを止めるというわけにはいきません。3~5種類程度のどうしても内服せざるをえない循環器系の薬剤や脳血管障害に関する薬剤に関しては、変更や減量が不可能な場合が多いと思います。その場合は、唾液腺を刺激するなどの対症療法がメインとなります。 しかし、高齢者の場合、過剰な服用をしている場合もよく見られます。薬を飲むことで、かえって健康を損ねてしまっては困ります。大切なことは、不必要な薬を飲んでいないかのチェックをしてみることです。複数の病院への通院、多数の薬を投与されている場合には、特に確認が必要となります。必要な薬の場合は、どのくらいドライマウスの状態が辛いか、改善の希望の度合により、主治医と相談するか、対症療法だけにするのかを決めていきます。
2.保湿剤を使う原因によらず、ドライマウスに対しては保湿剤の使用をおすすめします。保湿剤を配合した洗口液、ジェル、スプレー、人工唾液など、さまざまな会社から保湿作用をもった製品がありますが、保湿作用のあるものであれば、どれでも構いません。 これらの商品、特に保湿ジェルを使うときは、まず、うがいをするか、水やお茶でお口を潤してください。いきなりジェルを舌の上に乗せて口の中で転がすようにして、それを飲み込んでしまうという方も多いようですが、効果的な使い方ではありません。お口を潤したら、しっかりとマッサージしてください。ジェルをつけるだけでは効果は限られます。マッサージによって唾液腺を刺激して、天然の保湿剤である唾液で口腔粘膜のコートをすることが大切です。
3.唾液腺・口腔粘膜マッサージ唾液腺マッサージについては色々方法が紹介されており、頬や顎、首のあたりを刺激するものがほとんどです。しかし、解剖学的な知識をもたずに顎下腺周辺の頸部をむやみに押さえるのは、脳梗塞などを誘発する恐れがあります。(頸動脈プラークの蓄積度から脳梗塞発症を予知できることが示唆されています)特に脳血管障害後の要介護者の顎下腺マッサージには注意が必要です。 そこで、比較的安心で、軽い刺激でも反応する唾液腺・口腔粘膜マッサージをおすすめします。 ●マッサージ11.うがいなどをして、十分に口の中をしめらせます。 2.保湿ジェルを人差し指あるいは中指の先に少し取ります。(1~2cm程度) 3.舌の表面、舌背をゆっくりとマッサージします。 4.舌の奥、付け根のところにも小唾液腺があるので、刺激するつもりでマッサージします。 嘔吐反射の強い方は、無理をしない程度の強さでよいのです。1回に5~10秒ぐらいかけて、2~3回繰り返してください。乾燥で舌の表面が固くなっている場合は、10回ほど繰り返してもよいでしょう。 5.口蓋部(上顎の内側)もゆっくりとマッサージします。 口蓋部には、口蓋腺という小唾液腺があります。また、口蓋部だけでなく、口蓋も1回に5~10秒ぐらいかけて、2~3回繰り返してください。 6.舌の下の部分をていねいにマッサージします。 舌の下には舌下腺があり、舌下小丘と舌下ヒダという唾液腺の開口部があります。 ●マッサージ2耳下腺を押さえながら、頬粘膜をゆっくりとマッサージします。 頬粘膜は、耳下腺乳頭部という唾液腺開口部や、頬線などの小唾液腺があります。左手で頬部から耳下腺を押すようにして、右手で頬粘膜をマッサージします。反対側も同じようにマッサージします。耳下腺からは漿液性のサラサラとした唾液が出るので、ていねいに刺激をしてください。1回に10~20秒ぐらいかけて、5~6回繰り返してください。ドライマウスの症状が強い方は、回数を増やして行ってもかまいません。
●マッサージ31.上口唇を内側からゆっくりとマッサージします。 2.下口唇を内側からゆっくりとマッサージします。 上下口唇には口輪筋という筋肉があります。口輪筋と粘膜の間に口唇腺があるので、小唾液腺を1つずつ刺激するつもりで、唇と歯の間(口腔前庭)に指を入れて、上下それぞれを30秒間ほどかけて、ゆっくりとマッサージします。かわいて唇がひっつくような方には効果的です。 ※参考書籍 |
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