学校歯科健康診断

Q1 学校歯科健康診断って何ですか?
A1

学校歯科健康診断とは、「学校保健安全法」に定められ、文部科学省の指導のもとで行われている児童や生徒のためのお口の健康チェックです。

その目的は、お子さんたちのお口の健康度をスクリーニングし、その結果をお子さんと保護者の方にお伝えして、お子さんのお口の健康の保持・増進に役立てていただくことにあります。

 

また、学校の健康診断は、学校という教育の場で行われるだけに、その最終目標は子供たちの健康教育に置かれています。もしも「むし歯」という課題を持っているなら、「歯医者さんに診てもらわなくちゃ」とか、「おやつのダラダラ食べはやめよう」といった、問題を解決するために行動できる力、つまり、自分の健康を自分で守っていく「生きる力」を養うことが、学校歯科健康診断の最終的な教育目標とされています。

 

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q2 学校から歯科健康診断の結果の紙がきました。うちの子はむし歯の検査が必要だそうです。学校で歯医者さんにもう診てもらっているのに、なぜ歯科医院でも検査を受けるのですか?
A2

学校歯科健康診断は、病気の確定診断ではなくお口の健康度のスクリーニングだからです。経過観察でよいか、詰める必要があるかといった確定診断には、歯科医院の精密な検査が必要です。

 

学校歯科健康診断は「お口の健康度のスクリーニング」

 

お口の健康度を「とくに問題なし」「軽度の問題があり経過観察が必要」「歯科医師による精密検査と診断、適切な治療や相談が必要(受診のおすすめ)」の3つに分けてお知らせします。

 

歯科医院の検診は「治療方針の決定と必要な精密検査と確定診断」

 

エックス線写真を撮ったり、う蝕探知機でむし歯の進行度を測定したり、歯周ポケット検査を行って歯周病の進行度を測定するなどして精密に調べます。

 

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q3 学校歯科健康診断の流れを教えてください。
A3

事前準備 保険調査票(アンケート)の記入

2016年から毎年全学年の保護者の方に、学校歯科健康診断のための事前準備として保険調査票(アンケート)をお願いすることになりました。お子さんのお口の健康度のスクリーニングをより効果的に行うために役立てますので、気になることなどありましたらお教えください。

学校歯科健康診断 保険調査票を確認しながら診断

・骨格のゆがみ

・顎関節

・歯並びや噛み合わせ

・歯垢の付着度

・歯ぐきの状態

・歯の状態

・その他気になっていること

 

学校は保護者あてに「健康診断結果のお知らせ」を作成し、クラス担任を通じてご家庭に通知します。

また、学校歯科医は健康診断の結果を分析して、歯科の健康教育や保健指導を校内で行うように提案します。

 

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q4 学校歯科健康診断結果にある「CO(シーオー)」、「GO(ジーオー)」って何ですか?
A4

「CO」は、まだ穴が開いていない初期むし歯のことです。食習慣や歯みがきを改善すれば進行を止められるのでそのための指導と経過観察が優先されます。上手に管理すれば健全歯に戻ることもあります。

「GO」は、歯ぐきに軽度の炎症がある状態のことです。歯みがきをていねいにすれば改善します。

また、「G」とは、治療が必要な歯周病のことです。歯ぐきにかなりの腫れがありますので、歯科医院で歯石を取り治療しましょう。

 

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q5 「むし歯は一度できると進む一方だ」とこれまで思い込んでいましたが、止まったり、治ったりするのですか?
A5

穴が開いてしまったら難しいですがCOの段階なら止めることができますし、うまくいけば健全歯にもどすこともできます。むし歯には慢性型と急性型があり、慢性型は進行しにくく管理しやすいです。

 

少し前まではむし歯は「一度できてしまったら悪くなる一方だ」「早く削って詰めたほうがいい」と信じられてきました。しかし現在ではむし歯学の研究が進み、むし歯の抑制法のエビデンスが確立されています。その結果、軽々に削って詰めたりしないほうがいいことが明らかになっています。

 

ある地域の児童生徒(小学1年生~中学1年生)のCOを2年間追跡した調査結果があります。

「COと診断され経過観察を続けた結果、2年後には53%はCOのまま進行が停止しており、35%は健全歯に戻っていた。削る治療が必要になったケースは12%にとどまった。」

このことからも分かるように削って詰める前に、指導と経過観察を受けることがとても重要です。

 

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q6 歯科健康診断の結果のお知らせが来たのですが、専門用語がたくさんあってわかりません。
A6

歯科健康診断の結果のお知らせでよく使われる歯科の専門用語について解説します。

エナメル質形成不全

 エナメル質形成不全

生まれつきエナメル質が弱い歯で、むし歯のリスクが高く、噛む力で欠けやすいなどの問題が起きがち。かかりつけの歯科医院で経過観察や治療を受け、大切に守っていきましょう。

過剰歯

過剰歯

本来必要のない余分な歯が生えています。周りの歯の萌出を邪魔したり、傷めてしまうことがあるので、早めに歯科医院で検査を受け、抜歯を検討しましょう。

中心結節

中心結節

歯に円錐状の突起があります。折れやすいので、かかりつけの歯科医院で検査を受け、周りを樹脂で固めたり、少しずつ削り、フッ素塗布を受けて知覚過敏やむし歯から守っていきましょう。

癒合歯

癒合歯

隣り合った歯が発育途中でくっついて生えたものです。生え替わりの時期に影響したり、境目がむし歯になりやすいので、かかりつけの歯科医院で経過観察を受けましょう。

先天性欠如歯

先天性欠如歯

本来は、右側の歯列のように永久歯に生え替わるのですが、生まれつき永久歯が足りないと、乳歯がそのまま残ります。エックス線を撮ってはじめて確定診断できるので、かかりつけの歯科医院で調べてもらい、予防をして残った入試を大事に守っていきましょう。

叢生(乱ぐい歯)

叢生(乱ぐい歯)

あごの骨に歯が並ぶスペースがなく、乱ぐいになっています。前歯が永久歯に生えかわる頃から急に目立ち、小学校低学年の歯科健康診断で指摘され始めます。骨格が完成に近づく思春期成長期より前の治療が効果的。むし歯や歯肉炎のリスクが高くなるので、気になる場合はかかりつけの歯科医院で相談を。

上顎前突(出っ歯)

上顎前突(出っ歯)

前歯が並びきらず前に迫り出す、あるいは上あごの骨格が前に出過ぎる、または下あごの骨格が奥に引っ込みすぎることが原因です。前歯が永久歯に生えかわる頃から目立ち、小学校低学年の歯科健康診断で指摘され始めます。骨格性の場合は、とくに思春期成長期前の治療が効果大。気になる場合はかかりつけの歯科医院で相談を。

受け口

受け口

上あごの前に下あごが出た状態で、しっかり噛むことができません。下あごが上あごにかぶさって、上あごの成長を邪魔するため、成長するとさらに目立ってきます。骨格が完成する思春期成長期の前ならば骨格の誘導で改善されますが、できれば低学年の早い時期からの治療が有利。お早めにかかりつけの歯科医院で相談を。

開咬

開咬

奥歯を噛んでも前歯が閉じず、飲み込みや発音に支障が出やすくなります。舌を前に出すクセがあると成長と共に問題が拡大するので、思春期成長期前の骨格誘導と舌のトレーニングが効果的。低学年の早い時期からの治療が有利です。舌のクセについて3歳児健診で指摘を受けることも。かかりつけの歯科医院でお早めの相談を。

交叉咬合

交叉咬合

上下の奥歯が、本来とは反対の噛み合わせになっています。しっかりと噛めず、成長と共にあごの骨格のゆがみが拡大しがち。永久歯の交叉咬合は小学校低学年の歯科検診で指摘されはじめます。低学年の早い時期からの治療が有利ですので、かかりつけの歯科医院でお早めに相談を。

正中離開

正中離開

前歯のあいだに隙間ができています。歯ぐきとくちびるをつなげている小帯や過剰歯の影響も考えられるので、まずはかかりつけの歯科医院で検査を受けましょう。とくに問題がなければ経過観察を。永久歯の犬歯が生えると歯が横から押されて自然に隙間が閉じてくるケースも多いです。

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q7 歯の予防処置は保険適用外となるので、COの進行を止めるための処置が高額にならないか心配なのですが・・・。
A7

2016年春から、COの非切削治療が保険適用になりました。なりかけのむし歯を停止させるために、歯科の非切削治療を受け、定期的に歯科医院に通いむし歯や歯周病を防ぎましょう。

 

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

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