小児全般

Q1 むし歯菌は子どもにうつるそうですね。どうすればうつさずにすむのでしょう?キスとかもしないほうがいいですか?
A1

スキンシップを制限して頑張るよりも、感染源であるママ・パパがむし歯を治しよくケアしてむし歯菌を減らしましょう。ストレスが減って子育てを楽しめますよ。

※参考書籍 「nico 2013.12 クインテッセンス出版株式会社」

Q2 小魚をよく食べると歯の丈夫な子が生まれるといいますが、これって本当なんでしょうか?それとも、たんなる言い伝えですか?
A2 本当のことです。赤ちゃんの歯は、お母さんのお腹のなかで、はやくも妊娠7週目頃から育ち始めます栄養のバランスのよい食事を心がけ、丈夫な歯を育ててあげましょう。

※参考書籍 「nico 2013.12 クインテッセンス出版株式会社」
Q3 子供の歯みがき嫌いを治すのはどうしたらいいですか?
A3

まずはお子さんの好きなキャラクターの歯ブラシを購入して歯みがき粉もお子さんの好きなものを選ばせてみて下さい。歯みがきもお母さんが無理やりしてあげるのではなく最初はお子さんとお母さんが一緒に歯みがきをしてみてはいかがですか?

歯みがきを嫌がったときには無理に歯みがきをしなくてもフッ素洗口フッ素ジェルなどで代用するのもいいでしょう。

出来れば週に1、2回はお母さんが仕上げ磨きをしてあげましょう。

Q4 小児の外傷について教えて下さい。
A4
●外傷後に見られる特徴

1.歯冠の変色

脱臼性の損傷後は歯冠の変色が起こりやすくなります。受傷当初は歯髄内の充血によるものが多く、やや赤みを帯びることがあります。受傷後3ヶ月以降には、歯髄壊死による灰褐色の変色が始まります。

2.歯髄の壊死

根未完成歯ほど発生しにくい傾向にあります。脱臼性損傷では、根尖部における循環障害に陥りやすく、歯髄壊死が生じやすくなります。

3.歯根の吸収

炎症性の歯根吸収は、感染歯髄を放置することで象牙細管を通過した壊死物質や細菌が歯根表面に達して炎症反応が起き、その結果出現する破骨細胞によって引き起こされます。歯髄壊死の早期発見と治療により、拡大を防止することができます。

●歯冠破折の治療法

(Sane J : Maxillofacial and dental injuries in contact team sports. Proc Finn Dent Soc, 84 : 1-45, 1998.

1.不完全破折(亀裂)

冷水痛がある場合には、エナメル質表面をレジンでコーティングします。

2.露髄を伴わない破折

破折片がある場合には、できるだけ破折片を接着します。
破折片がない場合には、接着性レジン修復により、歯冠形態を回復します。
また、重度な象牙質破折の場合には、水酸化カルシウム製剤で覆髄後、接着性レジン修復で歯冠形態を回復します。

3.露髄を伴う破折

根未完成歯では、露髄の程度と状況に応じて、直接覆髄か部分生活断髄法、あるいは生活断髄法を行います。そして、覆髄面を含めた破折面を封鎖性が確実なセメント、または接着性レジンで仮封します。破折片がある場合には、水に浸漬し冷蔵庫で保管します。1,2ヶ月後、仮封剤を除去し、歯冠形態を回復します。

根完成歯で露髄面が新鮮な場合(受傷後、おおむね24時間以内のもの)には、根未完成歯と同じ方法で治療します。露髄面が陳旧性である場合には、抜髄または根管治療を実施します。

●歯根破折の治療法

(Sane J : Maxillofacial and dental injuries in contact team sports. Proc Finn Dent Soc, 84 : 1-45, 1998.

1.歯根破折

受傷歯は隣在歯を固定源として2、3ヶ月間、しっかりと固定します。変色などの歯髄壊死の徴候が現れるまで根管治療は行いません。

2.歯冠・歯根破折

歯冠部歯髄まで達している場合には、歯冠破折の露髄を伴う治療法に準じて対応します。歯肉縁下深部にまでおよぶ場合には、歯の保存が難しくなり、抜歯することになります。

●脱臼の治療法

脱臼性の外傷に対する治療法はこちらをご覧下さい。
Q.歯に外傷をおったときはどうすればよいですか?

※参考書籍
 「要説 スポーツ歯科医学」
 編集 石上惠一 上野俊明 川良美佐雄 前田芳信 安井利一
 医学情報社

Q5 子どもへの受動喫煙の影響について教えてください。
A5

確実な受動喫煙関連疾患としては、虚血性心疾患、肺がん、副鼻腔がん、低体重出生、乳児突然死症候群、中耳炎(小児)、急性下気道感染症(小児)、気管支喘息(小児)、慢性呼吸器症状(小児)の9種が知られています。

※参考書籍
 「月刊 小児歯科臨床 2006.2」 東京臨床出版株式会社

Q6 息子の口臭が気になり、口の中を見ましたが、舌が白っぽくなっています。これは何でしょうか?
A6

それは舌苔です。

■舌苔とは

舌表面に付着した細菌叢や剥離上皮、食物残渣、白血球などの総称です。

この舌苔が口臭症の一因と考えられるのは、その位置的関係が咽頭、鼻腔と接近しており、舌背部、舌根部に付着した舌苔が直接匂いの原因となるからです。その舌苔を取り除くことにより、う蝕、歯周疾患および口臭の予防と改善、同時に味覚の回復にもつながると考えられています。ちなみにカンジダなどの真菌類も舌苔中に存在しているため、ブラッシングの必要がないとされる総義歯の患者さんの場合も、舌ケアと義歯の清掃が不十分であれば、カンジダ菌による義歯性口内炎を発症させるのです。

 

■舌苔を形成する要因

舌の機能は、唾液の清掃作用、咀嚼の機械的作用、正常細菌叢および適当な栄養によって、正常に保たれていますが、口腔環境の変化、種々の疾病、薬物の常用などにより、この機能バランスが崩れることがあります。このような事態になると、瞬く間に舌苔が形成されます。

具体的な原因として、

 1.唾液の分泌量の不足

 2.咀嚼が不十分な時

 3.経管栄養で口腔をほとんど使わない時

 4.舌運動の麻痺

 5.正常粘膜の保持に必要なビタミンの不足

 などが考えられます。

■その他の口臭の原因

口臭の原因は必ずしも舌苔だけにとどまりません。う蝕、歯垢、歯周疾患、その他多くの口腔環境が、その原因となっています。胃腸障害などの消化器疾患に罹患した時、独特の口臭があることは、よく知られています。またその他の疾患でも、特有の口臭を放つことがあります。例えば、口腔、鼻咽頭器官の感染症、あるいは腫瘍、気管支拡張症あるいは肺腫瘍、肝臭を伴う肝硬変、糖尿病などです。

このような疾患によって生ずる口臭は、局所を原因としていないため、完全に取り去ることは難しいです。だからと言って舌ケアを諦めるのではなく、舌を清潔に保つという本来の目的を継続し、含嗽剤を利用することによって、口腔内の清潔を維持していかなくてはなりません。

 

■舌ケア用品の種類

数年前に比べると舌ケア用品の種類も増え、どこの店でも入手できるようになりました。ブラシ型、ヘラ型、板型などに分けられますが、使用感はそれぞれ異なるため、舌苔の付着部位やそのつき方により自分に合ったものを選びましょう。実際に使用してみると、使いやすさや使用感の違いが分かります。

1)ブラシ型

舌表面には極小の乳頭が存在するため、それらの細かな溝を清掃するのに適した形です。メーカーによりブラシの形状や厚み、植毛状態、毛の硬さなど数種類あります。耐久性は歯ブラシよりも長く、毎日使用した場合、約2ヶ月です。

2)ヘラ型・板型

舌背部の表面に付着した舌苔をはがし取るといった感じで、舌苔特有の滑りを除去するのには大変効果的です。しかし、乳頭の細かな溝には届かないため、舌の状態、滑りの有無などによりブラシ型と使い分けるとよいでしょう。

※参考書籍
 「月刊 小児歯科臨床 2003.5」 東京臨床出版株式会社

Q7 食物アレルギーの問題は、歯の問題って本当?
A7

食物アレルギーを専門にしている小児科医は、食物アレルギーの一番の予防は「よく噛むこと」と口をそろえて言います。

食物アレルギーは、抗原が腸管から侵入することで起こります。

「卵かけごはん」を例に考えてみましょう。
子供は「卵かけごはん」が好きですが、噛むことなく飲み込んでしまいます。噛まないので、たんぱく質を分解するペプシンが十分働かず、未消化のまま腸管へ流れていきます。もし腸に傷でもあれば、そこで食物アレルギー発症の原因となります。

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

Q8 うちの子は食べる意欲に乏しいのですが、なぜですか?
A8

最近、幼稚園や保育園の現場で「噛めない子」・「噛まない子」が問題になっています。現場の先生から、子どもたちの様子を診ていると「硬いものを噛むのを嫌がる」「軟らかいものしか食べない」「噛まないで丸飲みしてしまう」「いつまでも口にためたまま、飲み込まない」などの問題があり、どうしたらよいかとの相談を受けます。「噛めない」とは、むし歯で噛めない場合や、障害や離乳食の進め方が原因で口の機能が十分発達していないのです。もうひとつの「噛まない子」とは、噛む力があるにも関わらず噛まないのです。

 

例えば、お母さんが「よく噛んで食べなさい!」と言い、そのすぐ後には「早く食べなさい!」などと言います。これでは子どもが混乱します。あるいは、常に周りに食べ物があり、お腹をすかせた経験がなく、食べることに対する欲求が低下していると考えられます。要は、食べることが楽しくないのです。これは、現代の食環境が作り出した問題です。

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

Q9 よく噛むとガンの予防になるって本当?
A9

例えば、食物繊維を多く含む食べ物は、便通をよくして大腸ガンの予防になると言われています。

しかし、歯が悪くて噛めなかったらどうでしょうか?

消化不良を起こすだけで、百害あって一利なしです。一方、合成保存料や食品添加物などは発ガン作用をもつとされています。

しかし、多くの発ガン物質を唾液に30秒間漬けると、発ガン作用(変異原性)が低下すると言われています。これは、唾液に含まれるペルオキシターゼという酵素によるものです。この研究を根拠に「よく噛むとガンの予防になる」と言われています。

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

Q10 子どもの肥満はどのように評価したらよいのですか?
A10

肥満とは、一般的に「正常な状態に比べて体重が多い状況、あるいは体脂肪が過剰に蓄積した状況」のことを言います。

 

成長期の子どもの肥満の評価は、身長と体重のバランスにより指標の値が異なるため、活用した指標について慎重に評価しなければなりません。小さい頃は太っていても成長とともに解消される子どもたちもたくさん目にします。このような意味では、生涯にわたり生活習慣病を予防できる素地を確立するために、好ましい生活習慣の確立を重視することが大切かもしれません。

 一般的に使用されている指標

1.ローレル指数

学童期の肥満度を評価する場合に適しているが、成長の過程において個人差があることに注意。

「ローレル指数=体重(kg)÷身長(cm)3×107

100以下 やせすぎ
101~115 やせぎみ
115~144 標準
145~159 太りぎみ
160以上(身長150cm) 太りすぎ
170以上(身長130~149cm) 太りすぎ
180以上(身長110~129cm) 太りすぎ

2.肥満度

男女差や年齢差が考慮されており、成長の過程に個人差のある学童期に適しています。

まず、身長別標準体重を以下の表から求めます。

「身長別標準体重=a×実測身長(cm)-b」

 男子

年齢/係数 a b
5歳 0.386 23.699
6歳 0.461 32.382
7歳 0.513 38.878
8歳 0.592 48.804
9歳 0.687 61.390
10歳 0.752 70.461
11歳 0.782 75.106
12歳 0.783 75.642
13歳 0.815 81.348
14歳 0.832 83.695
15歳 0.766 70.989
16歳 0.656 51.822
17歳 0.672 53.642

 女子

年齢/係数 a b
5歳 0.377 22.75
6歳 0.458 32.079
7歳 0.508 38.367
8歳 0.561 45.0006
9歳 0.652 56.992
10歳 0.730 68.091
11歳 0.803 78.846
12歳 0.796 76.934
13歳 0.655 54.234
14歳 0.594 43.264
15歳 0.560 37.002
16歳 0.578 39.057
17歳 0.598 42.339

 

※「児童生徒の健康診断マニュアル(平成18年3月31日改訂版) 日本学校保健会発行」より引用

次に、肥満度を求め、下記の肥満度判定基準表から判定します。

「肥満度=(実測体重(kg)-身長別標準体重(kg))÷身長別標準体重(kg)×100」

-30%以下 高度痩身
-20%以下 痩身傾向
20~30%未満 軽度肥満
30~50%未満 中等度肥満
50%以上 高度肥満

 

3.BMI

身長の変化で判定結果が大きく変わるため学齢期には向かず、成人での使用が一般的です。

「BMI=体重(kg)÷身長(m)2)」

18.5未満 やせぎみ
18.5以上 標準
25以上 肥満度1
30以上 肥満度2
35以上 肥満度3
40以上 肥満度4

 

※「日本肥満学会による肥満の判定基準(1999.10 新基準)」

4.子どものメタボリックシンドローム

上述のように、成長期の子どもの肥満の評価は難しいのですが、一方で子どもの肥満の多くは成人肥満に移行すると言われており、高度な肥満は小児期からでも生活習慣病に罹患しています。

厚生労働省の研究班により、6~15歳を対象とした「メタボリックシンドロームの判定基準」が作られました。

1 赤信号

小学生:胴囲75cm以上

中学生:胴囲80cm以上

1 黄信号 ウエスト÷身長(cm)=0.5以上
2 血圧

収縮期 125mmHg以上

拡張期 70mmHg以上

3 空腹時血糖値 100mg/dl以上
4 高脂血症

中性脂肪 120mg/dl以上

HDLコレステロール 40mg/dl未満

 

・1(赤信号・黄信号)に該当し、かつ2~4の血液検査項目が2項目以上該当する子ども

→小児メタボリックシンドローム

・1(赤信号・黄信号)のみ該当する子ども

→小児メタボリックシンドローム予備軍

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

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