小児・妊娠中の治療について

Q41 食物アレルギーの問題は、歯の問題って本当?
A41

食物アレルギーを専門にしている小児科医は、食物アレルギーの一番の予防は「よく噛むこと」と口をそろえて言います。

食物アレルギーは、抗原が腸管から侵入することで起こります。

「卵かけごはん」を例に考えてみましょう。
子供は「卵かけごはん」が好きですが、噛むことなく飲み込んでしまいます。噛まないので、たんぱく質を分解するペプシンが十分働かず、未消化のまま腸管へ流れていきます。もし腸に傷でもあれば、そこで食物アレルギー発症の原因となります。

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

Q42 埋まっている乳歯(埋伏乳歯)について教えてください。
A42

1歯または数歯の埋伏の原因

1)埋伏歯の歯胚の位置異常、萌出方向の異常

2)埋伏歯の大きさと形態の異常

3)埋伏歯の濾胞性膿疱または歯牙腫

4)隣接歯の歯根膿疱

5)顎骨の腫瘍

6)顎骨との癒着、骨の肥厚、歯肉の線維性肥厚

7)骨折

8)全身的疾患

くる病、先天性梅毒、内分泌腺障害、他

9)遺伝

常染色体優性遺伝

埋伏歯の頻度

乳歯は永久歯に比べ著しく少なく、永久歯では上顎犬歯および第三大臼歯が最も多い。
乳歯は乳臼歯に多い。

埋伏乳歯の特徴

1)口腔内に萌出せず、歯槽骨内部に滞留している。

2)低位乳臼歯のように咬合機能を営んだものと異なり、未だ機能を営むに至っていない。

3)X線的に埋伏乳臼歯の歯冠の位置が不正である。またその原因は、発育過程中における歯胚の位置異常が大きい。

埋伏乳歯の組織学的な所見

1)歯冠のエナメル質の表面に原生セメント質および第2セメント質の添加

2)歯根膜腔は狭く、シャーピー線維の発達および配列が悪い

3)歯周組織の機能構造が認められない

4)埋伏歯と周囲の顎骨との間に骨性癒着を起こす

埋伏歯による障害

1)埋伏歯が歯根を圧迫し、萌出している歯の転位をきたす

2)周囲の歯の歯根を吸収する

3)埋伏歯によって周囲神経の圧迫により、三叉神経痛を惹き起こす

4)口腔と埋伏歯との間に連絡が生じると、う蝕や顎骨骨髄炎を惹き起こす

多数の埋伏歯の原因

原因は不明ですが、全身的疾患および遺伝的な影響にあるとされています。

全身的疾患では、くる病、クレチン病、小児性粘液水腫、ダウン症候群、鎖骨頭蓋異骨症、外胚葉性異形症などの疾患にみられることがあります。

 

※参考書籍
 「月刊 小児歯科臨床 2016.5」 全国小児歯科開業医会(JSPP)

Q43 唾液の分泌と味覚には関係がありますか?
A43

高齢者を対象とした味覚調査で、唾液分泌量測定を実施し、味覚正常者(45名)と味覚障害者(26名)の総唾液分泌量を比較した結果があります。

味覚障害と唾液分泌

※グラフは参考書籍より引用・一部改変

対象 総唾液分泌量の平均値
味覚正常者 12.8±4.3ml/10min
味覚障害者 4.8±2.0ml/10min

 (正常範囲10.0ml以上/10min)

上記により、高齢者における味覚障害には唾液分泌量低下が関与することが明らかとなり、味覚障害の治療には唾液分泌改善が治療戦略として有効であると考えられています。

唾液分泌量の低下は口腔カンジダ症の発症とも深く関わっており、口腔カンジダ症の併発が味覚障害を憎悪させている可能性も考えられます。

※参考書籍
 「月刊 小児歯科臨床 2012.3」 全国小児歯科開業医会(JSPP)

Q44 小児・若年者の味覚障害について教えて下さい。
A44

高齢者の問題であると思われるかもしれませんが、味覚障害は若年者の間にも増加しており、偏った食生活、精神的なストレスなどが関係すると報告されています。

若年者の味覚障害の原因(東北大学歯学部新入生調べ)

・自炊者に多い

・朝食を摂らない者に多い

・食事内容(摂取する食品の種類等)に関連する

・食事に対する意識(気をつけている)に関連する

・体重減少と関連する場合がある

 

上記を見ると、高齢者にみられるような全身新刊や服用薬剤の影響、唾液分泌量低下、生活環境(ストレス、昼夜逆転、睡眠不足など)ではなく、食事に対する意識や食事の内容との関連性が高いことが分かります。

つまり、味覚正常者は、「多種類の食品をとる」や「バランスよくとる」など食生活に対する配慮がみられたのに対し、味覚障害者は食生活への関心が少ないことがうかがえます。また、味覚障害者には朝食の欠食や偏食が多く、体重減少や貧血様症状が多くみられたとのことです。

 

味覚障害者に対して食事指導を行った結果、多くの味覚障害者に食生活の改善がみられ、味覚検査値に加え体重減少や貧血様症状も改善されたという報告もあります。

これらの結果から、若年者の味覚障害には食事が大きく関係しており、食育の重要性が示されたことになったと思います。健全な味覚を維持するためにも、小児からの食育についての取り組みも大切になってきます。

 

※参考書籍
 「月刊 小児歯科臨床 2012.3」 全国小児歯科開業医会(JSPP)

Q45 歯並びとしつけの厳しさは関係するの?
A45

食事中の姿勢が悪い子供は、大人になって歯並びが悪くなります。

「椅子に腰かけて足をブラブラさせた状態と正座とで、食事中の咀嚼回数を調べたところ、正座した方が回数が多いことがわかりました。」
咀嚼回数が少ないとアゴが未発達で歯並びが悪くなります。また、顔を横向きにしてテレビを見ながら食事をするのも、咀嚼が乱れるのでタブーです。歯並びの良し悪しが分かれる原因は、実は幼少時の親のしつけの違いにあるのです。

※参考書籍
 「anan(アンアン) 2004年 9月29日号」
 丸茂 義二先生 株式会社マガジンハウス

Q46 歯科健康診断の結果のお知らせが来たのですが、専門用語がたくさんあってわかりません。
A46

歯科健康診断の結果のお知らせでよく使われる歯科の専門用語について解説します。

エナメル質形成不全

 エナメル質形成不全

生まれつきエナメル質が弱い歯で、むし歯のリスクが高く、噛む力で欠けやすいなどの問題が起きがち。かかりつけの歯科医院で経過観察や治療を受け、大切に守っていきましょう。

過剰歯

過剰歯

本来必要のない余分な歯が生えています。周りの歯の萌出を邪魔したり、傷めてしまうことがあるので、早めに歯科医院で検査を受け、抜歯を検討しましょう。

中心結節

中心結節

歯に円錐状の突起があります。折れやすいので、かかりつけの歯科医院で検査を受け、周りを樹脂で固めたり、少しずつ削り、フッ素塗布を受けて知覚過敏やむし歯から守っていきましょう。

癒合歯

癒合歯

隣り合った歯が発育途中でくっついて生えたものです。生え替わりの時期に影響したり、境目がむし歯になりやすいので、かかりつけの歯科医院で経過観察を受けましょう。

先天性欠如歯

先天性欠如歯

本来は、右側の歯列のように永久歯に生え替わるのですが、生まれつき永久歯が足りないと、乳歯がそのまま残ります。エックス線を撮ってはじめて確定診断できるので、かかりつけの歯科医院で調べてもらい、予防をして残った入試を大事に守っていきましょう。

叢生(乱ぐい歯)

叢生(乱ぐい歯)

あごの骨に歯が並ぶスペースがなく、乱ぐいになっています。前歯が永久歯に生えかわる頃から急に目立ち、小学校低学年の歯科健康診断で指摘され始めます。骨格が完成に近づく思春期成長期より前の治療が効果的。むし歯や歯肉炎のリスクが高くなるので、気になる場合はかかりつけの歯科医院で相談を。

上顎前突(出っ歯)

上顎前突(出っ歯)

前歯が並びきらず前に迫り出す、あるいは上あごの骨格が前に出過ぎる、または下あごの骨格が奥に引っ込みすぎることが原因です。前歯が永久歯に生えかわる頃から目立ち、小学校低学年の歯科健康診断で指摘され始めます。骨格性の場合は、とくに思春期成長期前の治療が効果大。気になる場合はかかりつけの歯科医院で相談を。

受け口

受け口

上あごの前に下あごが出た状態で、しっかり噛むことができません。下あごが上あごにかぶさって、上あごの成長を邪魔するため、成長するとさらに目立ってきます。骨格が完成する思春期成長期の前ならば骨格の誘導で改善されますが、できれば低学年の早い時期からの治療が有利。お早めにかかりつけの歯科医院で相談を。

開咬

開咬

奥歯を噛んでも前歯が閉じず、飲み込みや発音に支障が出やすくなります。舌を前に出すクセがあると成長と共に問題が拡大するので、思春期成長期前の骨格誘導と舌のトレーニングが効果的。低学年の早い時期からの治療が有利です。舌のクセについて3歳児健診で指摘を受けることも。かかりつけの歯科医院でお早めの相談を。

交叉咬合

交叉咬合

上下の奥歯が、本来とは反対の噛み合わせになっています。しっかりと噛めず、成長と共にあごの骨格のゆがみが拡大しがち。永久歯の交叉咬合は小学校低学年の歯科検診で指摘されはじめます。低学年の早い時期からの治療が有利ですので、かかりつけの歯科医院でお早めに相談を。

正中離開

正中離開

前歯のあいだに隙間ができています。歯ぐきとくちびるをつなげている小帯や過剰歯の影響も考えられるので、まずはかかりつけの歯科医院で検査を受けましょう。とくに問題がなければ経過観察を。永久歯の犬歯が生えると歯が横から押されて自然に隙間が閉じてくるケースも多いです。

※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q47 うちの子は食べる意欲に乏しいのですが、なぜですか?
A47

最近、幼稚園や保育園の現場で「噛めない子」・「噛まない子」が問題になっています。現場の先生から、子どもたちの様子を診ていると「硬いものを噛むのを嫌がる」「軟らかいものしか食べない」「噛まないで丸飲みしてしまう」「いつまでも口にためたまま、飲み込まない」などの問題があり、どうしたらよいかとの相談を受けます。「噛めない」とは、むし歯で噛めない場合や、障害や離乳食の進め方が原因で口の機能が十分発達していないのです。もうひとつの「噛まない子」とは、噛む力があるにも関わらず噛まないのです。

 

例えば、お母さんが「よく噛んで食べなさい!」と言い、そのすぐ後には「早く食べなさい!」などと言います。これでは子どもが混乱します。あるいは、常に周りに食べ物があり、お腹をすかせた経験がなく、食べることに対する欲求が低下していると考えられます。要は、食べることが楽しくないのです。これは、現代の食環境が作り出した問題です。

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

Q48 子どもが前歯をぶつけてしまい、前歯が埋もれてしまいました。そのままにしてもよいのでしょうか?
A48

次のような報告があります。

「外傷により乳前歯が埋入した場合、再萌出が期待され、整復固定処置により再度歯周組織に重篤な損傷を与える危険性も懸念されることから、後続永久歯胚以外の方向に埋入した乳前歯を整復固定せずに経過観察した。

その結果、被験24歯はすべて受傷後1カ月以内に再萌出を開始し、完全埋入群も含めて、受傷後半年までには80%以上の症例で歯冠全体が萌出した。受傷歯自身の予後では、臨床的に無症状に経過したものが6歯であり、歯髄腔狭窄が7歯、慢性根尖性歯周炎が9歯、歯髄腔狭窄と慢性根尖性歯周炎が合併して2歯に認められた。これらは埋入後整復固定処置を行った乳前歯の予後よりも幾分良好な成績と考えられた。

※参考書籍
 「月刊 小児歯科臨床 2000.4」 東京臨床出版株式会社

Q49 うちの子は食べるのが遅いと言われます。どうしてでしょうか?
A49

食べるのが遅いのではなく、食べ物を飲み込めないから、食べるのが遅くなるのです。小臼歯でクチャクチャ食べて、大臼歯での臼磨運動をしなければ食塊は舌の舌咽神経を刺激せず、嚥下反射が起こらないからです。

※参考 床矯正研究会

Q50 うちの子は食べるのが早いと言われます。どうしてでしょうか?
A50

食べるのが早いのは、咀嚼をしなくても嚥下をしているからです。理由は、飲み物で流し込んでいるか、食べ物の味が濃いため咀嚼をしなくても、食材の味を楽しんでいないからです。今の子供の30%は味覚音痴です。

※参考 床矯正研究会

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