小児・妊娠中の治療について
Q101 | 子どもはまだ歯医者に行ったことがありません。永久歯が生えてきましたが、まだ乳歯が少しグラグラするものの、もう1カ月抜けない状態です。抜きに行ったほうがよいでしょうか? |
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A101 | 乳歯があるために永久歯が本来生える場所からずれてしまうことがありますので、よかったらお越しになって見せてください。 |
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Q102 | 先天性欠如歯の原因は何ですか? |
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A102 |
先天性欠如歯とは、本来なら顎の中にできるはずの歯の芽(歯胚)ができなかったり、できても育たなかったことによって起こります。特定の病気や障害、放射線治療の影響などが原因の場合もなかにはありますが、ほとんどのケースでは原因は不明です。歯がないために噛み合わせや噛む効率が悪くなったり、見た目によくないなど、さまざまな問題が起こりがちなので注意が必要です。
※参考書籍 「nico 2015.9 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q103 | 妊娠中の歯科治療について教えてください。 |
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A103 |
妊娠・授乳中の患者さんが歯科治療を受けるとき、母子両者の安全性について考慮しなければなりません。周産期の時期、現在の体調などを的確に問診し、適切な対応が必要となってきます。時に、薬剤の使用やエックス線検査などは、慎重な対応となります。 しかしながら、歯科疾患によって食事摂取が困難になってしまうと、母体にも胎児や幼児にも悪影響を及ぼすことになります。不必要に薬の服用を避けたり、歯科処置を延期したりすると歯科疾患が悪化してしまいます。歯科医師は治療の必要性と危険性を照らし合わせるための十分な知識と、その裏づけによる的確な判断が必要とされます。 的確な判断をするためにどのようなことを問診でお聞きする必要があるのかをご紹介します。 1. 妊娠何ヶ月ですか?(産後どのくらいですか?)周産期の時期をよく把握し、処置の必要性と危険性を照らし合わせて対応します。 ●妊娠初期(1~4ヶ月)妊娠した月経周期が妊娠1ヶ月で、予定月経のなかった日から2ヶ月に入ります。受精・着床から胎盤完成までの時期です。流産や催奇性などの問題がありますので、歯科治療は緊急性がなければ回避するべきです。 ●妊娠中期(5~7ヶ月)胎盤が完成し、安定した時期です。ほとんどの歯科治療が可能です。 ●妊娠後期(8ヶ月以降)胎児の成長によって、横隔膜が押し上げられ、心臓への負担の増加や呼吸数の増加などが生じてきます。 ●産後1ヶ月生理的にも精神的にも不安定であるため、歯科治療は緊急性がなければ回避するべきです。 ●産後2ヶ月以降ほとんどの歯科治療が可能です。 2. 体調はいかがですか?妊婦は、ホルモンバランスの変化や胎児の成長にともない様々な体調変化が生じます。妊婦の現在の状態をよく把握し、歯科治療を施行することが大切です。また、妊婦は、歯肉炎や口内炎など口腔内に様々な変化をもたらします。体調に併せて、ブラッシング指導を含めた積極的歯科的管理が重要です。妊娠中毒症(血圧上昇、蛋白尿、初産婦に多い)の可能性も考慮し、最近の血圧やむくみの有無も確認します。 3. 食事をしっかり摂っていますか?妊婦にとって、食事の摂取は母体だけでなく胎児の成長のためにも重要です。 ※ 薬剤やエックス線の安全性について 妊娠中期および産後2ヶ月以降(授乳中)の安全な時期で、治療上の有益性が危険性を明らかに上回る場合であっても、薬剤やエックス線の使用については、患者さんに十分に説明し同意を得た後に使用します。各安全性については以下をご確認下さい。 ●抗生剤ペニシリン系、セファム系、マクロライド系のアジスロマイシンがより安全です。テトラサイクリン系、アミノグリコシド系、クロラムフェニコール、ニューキノロン系、サルファ剤は避けるべきです。 ●鎮痛剤可能な限り、非ステロイド抗炎症薬の使用は控えてください。アセトアミノフェンが比較的安全です。 ●局所麻酔胎盤を通過して胎児血中に移行、また乳汁中にも容易に移行しますが、悪影響を及ぼす可能性は極めて少ないものとなっています。 ●エックス線歯科での使用による被爆量は、問題にならないとされています。しかしながら、撮影回数は可能な限り少なくするように考慮しなければなりません。当然ですが、腹部の遮蔽は必ず行います。 ※参考書籍 |
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Q104 | 妊娠中に問題となる主な口腔内疾患・病態について教えてください。 |
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A104 |
American College of Obstetricians and Gynecologists Women’s Health Care Physicians; Committee on Health Care for Underserved Women: Committee Opinion No.569: Oral health care during pregnancy and through the lifespan. Obstet Gynecol, 122: 417~422, 2013. ※参考書籍 「日本歯科医師会雑誌 2020 VOL.73 NO.2」 |
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Q105 | 10歳の子どもがいます。下の乳歯が1本残ったままでなかなか抜けてくれません。おかしいなと思い、歯医者に行くと、先天的に大人の歯がないと言われました。そんなことあるんですか? |
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A105 | 小児の先天性欠損の割合は10.1%であり、先天性欠損が1番多いのが第二小臼歯、2番目は側切歯です*)。先天性欠損は、むし歯や歯周病などの疾病による欠損と違い、生まれつきのものであるため、防ぎようがありません。 *)日本小児歯科学会学術委員会, 山崎要一, 岩﨑智憲、早﨑治明、齋藤一誠、徳冨順子、八若保孝、井上美津子、朝田芳信、田村康夫、嘉ノ海龍三、牧憲司、吉原俊博、船津敬弘、手島陽子、上里千夏、山下一恵、井出正道、栗山千裕、近藤亜子、嘉藤幹夫、渡邉京子、藤田優子、長谷川大子、稲田絵美. 日本人小児の永久歯先天性欠如に関する疫学調査. 小児歯誌. 2010; 48: 29-39. ※参考書籍 |
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Q106 | うちの子が先天性欠如歯でないかどうか歯科医院で調べてもらいたいです。何歳くらいに調べるとよいですか? |
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A106 |
永久歯の歯胚のあるなしは、パノラマエックス線写真を撮影すると、早くも3歳ぐらいからわかり、6歳後半になれば確実といってよいレベルの診断ができます。先天性欠如歯は、早期に発見できると、その後の治療に有利です。これは先天性欠如歯の場合、乳歯のむし歯予防がとても大切なためです。永久歯が下から生えてこない場合、乳歯は抜けずに残ります。定期的にメインテナンスを受けて大事に使っていけば、この乳歯を30歳、40歳と使い続けることもできます。お子さんが小学校に上がる前に、歯科医院でパノラマエックス線写真を撮り、永久歯の歯胚について調べてもらいましょう。
※参考書籍 「nico 2015.9 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q107 | 閉経後、女性ホルモンの低下によって口腔内に悪影響が出てくると聞きました。どういうことですか? |
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A107 | 閉経は、日本人では平均49.5歳と報告されています。もちろん口腔領域においてもホルモン(エストロゲン)レベルの低下は大きな影響を及ぼします。顎骨のみならず歯周組織や唾液腺にもエストロゲン受容体は存在しており、細菌叢の変化や毛細血管の拡張・透過性亢進を来たし、細胞角化やコラーゲン産生の抑制が生じます。エストロゲンは炎症を抑えることから閉経後には炎症が起こりやすくなり、さらに口腔内の免疫応答も低下することが知られています。唾液の分泌も低下させることから、口腔乾燥症、舌痛症(burning mouth syndrome)につながり、う蝕、味覚異常、歯周病などの罹患率が増えるといいます1)。 実際、閉経前は6%であった口腔関連の愁訴有症率が、閉経後には43%になり、頻度の高い順に口腔乾燥、潰瘍、口腔灼熱感、味覚異常であったという報告もあり2)、20~90%、平均すると全体の2/3が症状を有すると言われています3)。これらは相互に関連して、歯の喪失にもつながります。 また、このような変化は歯科治療にも影響を及ぼすことが知られており、上顎におけるインプラントの非生着率の比較では、男性においては50歳未満と50歳以上での比較では6.3%から7.6%とほとんど変化がなかったのに対し、閉経後女性では13.6%と、閉経前の6.3%と比較して有意に上昇していたという報告もあります4)。 1)Suri Vanita, Suri Varun: Menopause and oral health. J Midlife Health, 5(3): 115~120, 2014. 2)Wardrop RW, Hailes J, Burger H, Reade PC: Oral discomfort at menopause. Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 67(5): 535~540, 1989. 3)Paganini-Hill A: Hormone therapy and oral health. Menopause Management, 16(3): 31~40, 2007. 4)August M, Chung K, Chang Y, Glowacki J: Influence of estrogen status on endosseous implant osseointegration. J Oral Maxillofac Surg, 59(11): 1285~1289, 2001. ※参考書籍 「日本歯科医師会雑誌 2020 VOL.73 NO.2」 |
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Q108 | 閉経に伴う女性ホルモン低下の対応策を教えてください。 |
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A108 | 最も有効な方法は、低下したホルモン(エストロゲン)を補うホルモン補充療法(HRT)です。 HRTは歯周炎の予防に効果がある可能性があると報告されています1)。さらにHRT施行女性では歯肉出血やプラークが有意に少なかったと報告されています2)。加えて、口腔内の不快感も有意に減少するといいます3)。韓国での検討ではHRT施行女性では歯周病が有意に少ないことも報告されています4)。また、骨量についてはHRTが骨量を増加させることはすでに知られており、顎骨においても例外ではありません。 これらの結果により、HRTは残存歯数を増加させ、義歯や無歯顎のリスクを下げます。 1)Haas AN, Rosing CK, Oppermann RV, Albandar JM, Susin C: Association among menopause, hormone replacement therapy, and periodontal attachment loss in southern Brazilian women. J Periodontol, 80(9): 1380~1387, 2009. 2)Norderyd OM, Grossi SG, Machtei EE, Zambon JJ, Hausmann E, Dunford RG, Genco RJ: Periodontal status of women taking postmenopausal estrogen supplementation. J Periodontol, 64 (10): 957~962, 1993. 3)Streckfus CF, Baur U, Brown LJ, Bacal C, Metter J, Nick T: Effects of estrogen status and aging on salivary flow rates in healthy Caucasian women. Gerontology, 44(1): 32~39, 1998. 4)Lee Y, Kim I, Song J, Hwang KG, Choi B, Hwang SS: The relationship between hormone replacement therapy and periodontal disease in postmenopausal women: a cross-sectional study the Korea National Health and Nutrition Examination Survey from 2007 to 2012. BMC Oral Health, 19(1): 151, 2019. ※参考書籍 「日本歯科医師会雑誌 2020 VOL.73 NO.2」 |
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Q109 | 赤ちゃんの骨や歯は、いつ頃できるの? |
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A109 | 歯の種類(歯種)によって多少の差はありますが、乳歯の歯胚の形成がはじまるのは胎生7~10週頃から、歯の石灰化がはじまるのは胎生4~6ヶ月頃からです。 乳歯の前歯(乳切歯)は、出生時には口腔内に生えてくる部分(歯冠)の4/5くらいまでは形成されていますが、乳歯の奥歯(乳臼歯)は歯冠の一部しか形成されていません。乳歯は出生後に歯冠が完成し、続いて歯根が形成されてくると、徐々に口腔内へと移動してきて、生後半年頃から生え始めます。 また、永久歯の歯胚も胎児の頃からつくられはじめます。6歳頃から生える永久歯の奥歯(第一大臼歯)の歯胚は胎生4ヶ月頃から、永久歯の前歯(永久切歯)の歯胚は胎生5ヶ月頃から、それぞれ形成がはじまります。ただし、永久歯の石灰化がはじまるのは出生時頃からです。 ※参考書籍 |
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Q110 | 味覚障害には亜鉛の投与は有効ですか? |
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A110 |
味覚障害に亜鉛を投与しても、投与しない場合と比較して効果に違いがありません。 亜鉛欠乏性または突発性味覚障害に対する亜鉛投与の効果についてのランダム化比較試験
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