エナメル質形成不全症(MIH)

Q1 10人に1人のお子さんにあるという「エナメル質形成不全症(MIH)」って何ですか?
A1

エナメル質形成不全症(MIH)とは、おもに前歯と6歳臼歯(第一大臼歯)に発症するエナメル質形成不全をいい、MIHのMとは臼歯(Molar)、Iとは前歯(Incisor)、Hはエナメル質形成不全(Hypomineralisation)を指します。

従来知られてきた遺伝性のエナメル質形成不全や、全身疾患、歯のケガ、乳歯のむし歯などによって起きたエナメル質形成不全とは異なる疾患で、原因はまったく明らかになっていません

エナメル質形成不全症の歯はエナメル質がもろく、透明感のない白色や黄褐色をしているのが特徴です。とくに強い力のかかる奥歯は崩れやすく、放っておくとそこからむし歯がはじまるので、きめ細かい経過観察が欠かせません。痛いときだけ歯科治療にとどまりがち。原因がエナメル質形成不全症だとわからないまま、むし歯でつらい思いをしているお子さんもおられるかもしれません。

エナメル質形成不全症の歯であっても、放置せずに経過観察を続けていると、小さな治療で歯をなるべく長くもたせたり、タイミングを見てしっかりとした被せ物をするなど、患者さんの年齢や症例に応じた対策を取ることができます。乳歯の頃からお子さんの定期的なメインテナンスをはじめて、大切な永久歯を歯医者さんといっしょに守っていきましょう。

※参考書籍
 「nico 2015.7 クインテッセンス出版株式会社」

Q2 生えたばかりの歯なのですが、むし歯ができたような茶色い歯が生えてきました。これは何ですか?
A2

歯の形成異常(MIH)かもしれません。

MIHでは、第一大臼歯と切歯に限局して左右非対称な白濁や変色、時に実質欠損を生じます。

日本人小児の少なくとも10%以上は罹患していると考えられており、臨床での遭遇頻度は高いものとなっています。

MIH罹患歯では萌出当初に変色を認めるだけであっても、突然、歯質の欠損を生じることがあるため、定期的な経過観察が欠かせません。

MIHを生じた歯質は、コンポジットレジン修復に必要な接着が十分に得られず、脱離やさらに大きな範囲の実質欠損を招きやすいので注意が必要です。

軽度のMIHにはフッ化物などによる歯質強化と経過観察、実質欠損を伴うMIHの場合は可能であれば充填修復(コンポジットレジン修復)、顕著な実質欠損であれば全部被覆(被せもの)が主な対応となります。

乳歯についても、歯にMIHがみられる原因は明らかになっていません。遺伝要素は低く、妊婦や乳児の日光浴(ビタミンDが関係)や栄養、疾患、タバコ、薬剤などの後天的な環境因子との関連性が示唆されています。さらに、歯のMIHは低出生体重児との関連性も指摘されています。

 

※参考書籍
 「子どもの健やかなお口をつくる」
 監著 木本茂成/福本 敏  株式会社 松風

Q3 エナメル質がもろい(エナメル質形成不全症)とどんなことが起きるのでしょうか?
A3

おもに問題になりやすいのが奥歯のエナメル質の欠けや崩れです。また、エナメル質が失われることでむし歯も進行しやすいので注意が必要です。お子さん本人にとってはこれが通常の状態と思い、問題に気づいていないことがほとんどです。普段からかかりつけの歯科医院を持ち定期的に診てもらいましょう。

※参考書籍 「nico 2015.7 クインテッセンス出版株式会社」

Q4 うちの子はエナメル質形成不全症です。まだ低学年で歯医者さんが苦手ですが歯が崩れる前に神経を取って被せ物をしたほうがよいのでしょうか?
A4

歯が多少崩れてきても大丈夫です。レジンで小さく補修をし補強しながらできるだけ歯をもたせていきましょう。将来、本格的な治療が必要になるまでは可能な限り神経は保存しておきましょう。

※参考書籍
 「nico 2015.7 クインテッセンス出版株式会社」

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