治療内容・方法について

Q421 ファイバーを用いた土台(ファイバーポストコア)って本当にいいの?
A421

ファイバーポストコアを用いた支台築造における歯根破折の発生率は金属ポストによる支台築造と比較して低いことが研究結果より明らかになっています。ファイバーポストの弾性係数は象牙質と同等に調整されているため、咬合力が歯根全体に分散し、歯根内部へ応力が集中しにくいためであると考えられています。

Pegoretti A, et al. Finite element analysis of a glass fiber reinforced composite endodontic post. Biomaterials. 2002; 23: 2667-2682.

天然歯・金属の土台(メタルコア)・ファイバーポストコアの力のかかり方の比較

 

ファイバーポストの応力分布

 

※参考書籍
 「エンド難症例 メカニズムと臨床対応」
 恵比須 繫之 編  医歯薬出版株式会社

Q422 歯周炎で歯がグラグラしはじめてとても困っています。よい治療法はありますか?
A422

歯周治療を目的とした再生療法をおすすめします。以前なら抜いていた歯もかなりの確率で保存できるようになってきています。ただし、 再生療法にも欠点がありますのでよくご確認下さい。

再生療法の欠点

1.治療結果が分かるまで時間がかかります(8~12ヶ月)
2.すべての症例に適用できるわけでありません
3.術後の患者さんのお口のケアの状態や健康状態に治療結果が
 左右されやすいです
4.健康保険が適用されず費用がかかります

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q423 GTR法ってどんな方法?
A423

再生療法としてのGTR法の歴史は古く、1976年にはすでに開発されていました。日本では1992年に認可され用いられるようになりました。
GTR法とは、GTRメンブレンという特殊な膜で隔壁を作って、歯槽骨が再生するスペースを確保し、再生しやすい環境を与えることで歯周組織の再生を誘導する方法です。

膜がない場合 膜がある場合
膜がない場合 膜がある場合
膜がないと、回復の早い歯肉が先に入り込んでしまい、歯槽骨が増えるスペースがなくなってしまいます。 膜があると、歯肉の侵入を防ぐことができ、歯槽骨や付着が回復しやすくなり、しっかりと再生することができます。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q424 歯内療法をすれば根尖病巣はできないのでしょうか?
A424

完璧な歯内療法を行っても根尖病巣はできます。歯冠修復物が予後に与える影響もあるためです。歯冠部からの感染に対し、長期的には根管充填だけでは完全に防御するのは難しいので、歯内療法の後はできるだけ早めに適合の良い歯冠修復を実施しなければなりません。

※参考書籍
 「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

Q425 前歯が重なっているのですが、抜かずに削って矯正すると言われました。削ってもよいのですか?また、どれくらい削ってもよいのでしょうか?
A425

歯の側面の部分を少し削り(ディスキング)、特にその方法をIPR(Interproximal Enamel Reduction)と呼びます。歯を並べるスペースを作るため、固定式矯正装置やマウスピース型矯正装置とともに行う治療方法です。軽度・中度の叢生はIPRで治療することができます。

IPRのメリット

1.歯を並べるためのスペースを作るができる
2.ブラックトライアングルを減少することができる
3.歯の形態を整えることができる
4.上下顎の噛み合わせを調整することができる
5.大きい歯を小さくすることができる

などがあります。

 

以下の図はFillionが考案したIPRチャートです。

IPRチャート

 

上記チャートを一部改変し、まとめたものが以下です。

IPRチャート改変 上顎

 

IPRチャート改変 下顎

 

これは、1つの歯に存在するエナメル質の幅から導き出したもので、可能なIPRの最大量を示しています。このプロトコールに従って隣接面のエナメル質を削合すれば、それによりカリエスリスクが増えることはありません。必ずしもIPRチャートと口腔内が完全に一致しているとは限りません。

計画した歯の移動を確認し、コンタクトがきつく実現が不可能と判断した場合には、IPRが必要となります。

 

 

※参考書籍
 「アライナー矯正治療」
 ワーナー・シュープ、ユリア・ハウブリッヒ 著
 丸善プラネット株式会社

Q426 GTR法の治療の流れを教えてください。
A426
歯槽骨に大きな欠損ができています。 歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。 欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。 横からみるとこんな感じです。
1.歯槽骨に大きな欠損ができています。 2.歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。 3.欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。 4.横からみるとこんな感じです。
歯槽骨がしっかりと増えました。 膜を取り除きます。 縫合して終了です。。
5.歯槽骨がしっかりと増えました。 6.膜を取り除きます。 7.縫合して終了です。
歯槽骨に大きな欠損ができています。
1.歯槽骨に大きな欠損ができています。
歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。
2.歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。
欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。
3.欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。
横からみるとこんな感じです。
4.横からみるとこんな感じです。
歯槽骨がしっかりと増えました。
5.歯槽骨がしっかりと増えました。
膜を取り除きます。
6.膜を取り除きます。
縫合して終了です。。
7.縫合して終了です。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q427 以前、根っこの処置をしました。現在痛みもないのですが、再び根っこを処置するといわれました。なぜでしょうか?
A427

無症状の歯に対する再根管治療着手の基準は以下のとおりと考えられています。

1.根尖部エックス線透過像があり、歯冠補綴装置の再製作が必要

根尖部エックス線透過像

2.根尖部エックス線透過像が増大傾向

3.前回の歯内療法の質を高めることが可能

4.根管内所見;根管充填材(剤)の腐敗臭や汚染
(補綴装置除去後に視診、嗅診により判断可能)

※参考書籍
 「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

Q428 エムドゲイン法ってどんな方法?
A428

特殊なタンパク質によって歯周組織を再生させる治療です。1997年より臨床応用されて以来副作用の報告もなく安全性の高い治療法として世界中で用いられています。ただし残念ながら健康保険適用ではありません
おもに楔形に切れ込むように失われた歯槽骨の欠損箇所に塗布されます。ゲル状なので、欠損が楔形ではなく、こぼれてしまうような形状の欠損箇所には向きません。このような場合はGTR法や骨移植法などと併用することで効果が得られます。骨欠損の部位や形状にあわせて、治療法の組み合わせを選択します。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q429 エムドゲイン法の治療の流れを教えてください。
A429
鋭く切れ込んだように歯槽骨が失われています。 歯肉を切開します。 歯石やプラークや汚染された歯周組織を取り除きます。
1.鋭く切れ込んだように歯槽骨が失われています。 2.歯肉を切開します。 3.歯石やプラークや汚染された歯周組織を取り除きます。
エナメル基質タンパクを欠損部に塗布します。 ゲルを包み込むように歯肉を縫合します。
4.エナメル基質タンパクを欠損部に塗布します。 5.ゲルを包み込むように歯肉を縫合します。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q430 MTAセメントって何?
A430

歯科用MTAセメントについてご説明します。

用途

●発的穿孔
●逆根管充填
●直接覆髄
●apexification
●根管充填
保険診療には用いることができません

原材料

ポートランドセメント(建築用セメント)に造影剤として酸化ビスマスを加えたもの

特徴

●水・組織液・血液があっても硬化します。(親水性)
●水酸化カルシウムを生成するため、持続的制菌性があります。
(練和後のpHは10.2で、3時間には12.5となります)
生体親和性が高い。
●表層にハイドロキシアパタイトを生成します。
●強度は1日以降に発現し始め、3ヶ月には最終に近い強度を発現します。
●適度の混水比(重量比で3:1)で練和し、的確にコンデンスした後、十分な水を
 置かなければしっかり硬化しません。
 また、コンデンス不足で硬化後に気泡が多くなることも多い。
●歯質と色が近似しているので除去はかなり難しい。
●硬化時膨張するため、封鎖性が良好です。

※参考書籍
 「MTAの臨床 よりよいエンドの治癒を目指して」 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

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