レーザー治療

Q1 レーザー治療って?
A1

レーザー治療とは、強いエネルギーをもった特殊な光を患部に照射して行う治療です。組織に吸収された光が熱エネルギーに変化し、分子構造を破壊して患部に作用して、治療効果をもたらします。

強いレーザー光線は、患部をメスのように切開したり、蒸発(蒸散)させて取り除いたり、殺菌効果や、切開した粘膜を瞬間的な熱効果で固める止血効果があります。術後の痛みが少なく、しかも処置中の痛みの伝達を抑制する効果もあるため、患者さんの負担を減らす治療に大活躍しています

レーザー治療は、外科領域の切開や蒸散などに用いられるだけではありません。光の出力を調整したり、少し離してやわらかくレーザー光線を照射すると、細胞を活性化して治癒を早める効果が期待できます。そこで、消炎に、治癒の促進にと、さまざまな治療に用いられています。さじ加減が難しく、機器を使いこなすには高度なテクニックが必要ですが、一台あるとさまざまな効果を生み出すスグレモノなのです。

レーザー治療は、歯科では1980年代の後半から、歯ぐきなどの粘膜の治療にまず使われるようになりました。90年代からは、歯などの硬組織や歯石にも使えるタイプの歯科用レーザーが誕生し、さらに現在では、骨の手術に適した機種も登場するなど、新たなタイプの歯科用レーザーが実用化されています。

現在国内で使われている主要な歯科用レーザーにはいくつかのタイプがあり、それぞれがたいへんすぐれた機能を持っていますが、得意な治療分野や持ち味が異なるため、歯科医師は各歯科医院に合った歯科レーザーを選んで導入しています

 

※参考書籍 「nico 2014.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q2 レーザー治療のメリットって?
A2

例えば、「すべての治療で麻酔が必要ない」というわけにはいきませんが、レーザーには傷みの抑制効果がありますので、麻酔なしで治療することも可能です。

ただ、レーザーならではの効果は、痛みの抑制だけではありません。たとえば歯ぐきを切開するとき、レーザーを使うとほとんど出血せず、術後の疼痛を格段に減らすことができます。しかも傷口の治りが格段に早くなります。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

それは、レーザー治療には痛みの抑制効果のほかに、止血効果殺菌効果細胞を活性化させる効果などがあるからです。非常に強い光線のエネルギーで切開をしながら、レーザーは同時に切開した傷口を熱効果で処理してふさぎ、止血をすることができます。そして傷口の殺菌もします。
これだけでも術後の疼痛が格段に減って傷の回復が早いのですが、拡散してやわらかくなったレーザー光線には、細胞を活性化して新陳代謝を促す効果(賦活作用)があります。そのおかげで、照射した周囲の治癒はますます早くなるというわけです。

レーザー治療には副作用と指摘されるようなものがほとんどなく口内炎治療にも、歯周病の治療にも、入れ歯の傷の治療にも、抜歯後の止血にも、歯ぐきの手術にも、最近ではむし歯の処置インプラント治療にもと、あらゆる治療で応用できるのが強みです。患者さんにたいへん喜ばれ、ときには、治りが早くて治療をした私たちまで驚いてしまうようなケースもあるほどです。

※参考書籍 「nico 2014.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q3 レーザー治療のデメリットや限界って?
A3

レーザー治療は、従来の治療法にくらべさまざまなメリットがありますが、使用されているレーザーは種類もさまざまで認められている使用範囲や効果・効能にはおのずと制限や限界もあります。治療を受ける際には歯科医師からしっかりと説明を受けておきましょう!

1.ほとんどの場合自費治療になります。

小さなむし歯などで健康保険の診療が認められる場合(Er:YAGレーザーでの小さなむし歯除去と、歯ぐきを切開して行う歯周病の治療の歯石除去)もありますが、レーザーを使う治療のほとんどは、自費治療になります。それほど高額にはならず、たいへんメリットが大きい治療法ですので、ぜひお気軽にお尋ねください。

2.従来の治療より時間がかかります。

光線の照射で粘膜を蒸散させたり、切開したり、歯を削ったりするため、メスやドリルを使う従来の治療にくらべて治療に時間がかかります。大きなむし歯の穴を削って掃除するには、レーザーだけでなく麻酔注射やドリルを併用するほうが向いている場合もあります。

3.歯を精緻に削るのが少し苦手です。

水分に吸収された光が熱エネルギーに変化し、微細な爆発をする力で歯を削るため、歯を精緻に削るのが少し苦手です。そのため、被せ物や詰め物をピタリとはめるために歯を形成する仕事には不向きで、小さなむし歯をレジンで詰めるときなどによく使われます。

4.重度の歯周病では歯ぐきの切開が必要。

重度の歯周病を治すには、レーザーを歯周ポケットに差し入れて照射するだけでは不十分な場合があります。歯根の分岐部など、歯周ポケットのさらに奥へのレーザーの到達度や除菌効果に限界があるからです。その際にはレーザーで歯ぐきを切開して、歯周ポケットの奥深くに隠れたプラークや歯石、汚れた根面を掃除し、ただれた粘膜をきれいに除去して治療をします。

5.麻酔を併用する場合もあります。

小さなむし歯を削ったり、中等度程度の歯周病や、歯ぐきのメラニン色素の除去などの治療の際には、通常麻酔を使わずに治療ができますが、歯ぐきの切開など大きな治療をする場合は、麻酔を併用して行います。ただし、レーザーの鎮痛効果のおかげで麻酔の使用量を通常より減らすことができ、また術後の痛みも少なくできます。

6.レーザーの種類はいろいろ。治療には向き不向きが。

レーザー治療の機器はたいへん高価なので、1医院がいろんなタイプのレーザーをそろえるというわけにはなかなかいきません。歯科医師は、治療方針や得意分野に合ったレーザー機器を導入しています。患者さんのご希望の治療に医院のレーザーがたまたま適していない場合もあるかもしれません。レーザー治療をご希望の際には、まず歯科医院にご相談ください。

鎮痛、止血、消炎、賦活効果と、メリットの多いレーザー治療。ただし万能というわけではないことは知っておきましょう。 

※参考書籍 「nico 2014.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q4 レーザーで歯石が取れるって本当ですか?
A4

Er:YAGレーザーによる治療は術後6か月において超音波スケーラーと同様な臨床的改善を示したことが報告されています。

A. Sculean, F. Schwarz, M.Berakdar, G.E. Romanos, N.B. Aweiler, and J.Becker: Periodontal treatment with an Er:YAG laser compared to ultrasonic instrumentation: a pilot study. J Periodontol, 75: 966-973, 2004.

術後1年と2年においてEr:YAGレーザー超音波スケーラーより有意に高い臨床的改善を示したことも報告されています。

R. Crespi, P. Cappare, I. Toscanelli, E. Gherlone and G.E. Romanos: Effects of Er:YAG laser compared to ultrasonic scaler in periodontal treatment: a 2-year follow-up split-mouth clinical study. J Perodontol, 78: 1195-1200, 2007.

このように、Er:YAGレーザー治療が従来法より有意に高い、あるいは同等以上の長期的な臨床的改善効果を示すことが複数の論文で示されています。

欧州歯周病学会でのシステマティック・レビューでは、Er:YAGレーザーは慢性歯周炎の治療に最も適した特性を有し、安全性と効果は従来の機械的治療の範囲内と考えられるとしています。

F. Schwarz, A. Aoki, J. Becker and A. Sculean: Laser application in non-surgical periodontal therapy: a systematic review. J Clin Periodontol, 35: 29-44,2008.

 

※参考文献
Mizutani K, Aoki A, Ishikawa R, Izumi Y: Application of Er:YAG Laser in Periodontal Therapy. JJSLSM Vol.32 No.1: 43, 2011.

Q5 メタルタトゥ-と診断されました。Yagレーザ-で除去できると聞いた事がありますが、歯肉の形態は変化しないでしょうか?
A5

メタルタトゥーについては、私の経験上、表在性のものは少ないと考えています。

表在性のものであれば、Yagレーザーを用いて除去することは可能です。

深部に渡ってみられる場合、歯肉移植を行った後に着色部をレーザーで取り除くことになるでしょう。そのままレーザーをあててしまうと言われているように歯肉退縮がおきてしまい、審美的に問題が起きてしまうので、上記の手順で除去していきます。

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