インプラント

Q71 インプラント治療が終わったら、もう歯医者に行かなくてもよいですか?
A71

治療が終わるとホッとして「もう歯医者さんに行かなくていいんだな」と思ってしまいがちなのですが、インプラントの周りにもプラークや歯石がたまりますし、放っておくとインプラントを支える骨の周りで炎症が起きて今度は「インプラントの歯周病」がはじまってしまいます。

「インプラント治療後に定期的なメインテナンスを受けていない被験者では、インプラント周囲疾患の発症が早期に生ずる可能性が高くなる。」という研究報告があります。

Rokn A, Aslroosta H, Akbari S, Najafi H, et al: Prevalence of peri‐implantitis in patients not participating in well‐designed supportive periodontal treatments: a cross‐sectional study. Clinical Oral Implants Research, 28(3): 314-319, 2017.

せっかくの治療を長持ちさせるためかならず定期的に歯科医院へメインテナンスにおいでください。

補足

インプラント治療のメインテナンスは自費診療になります。これは、自費治療の場合、それに関する診療はその後も自費治療になるという保険制度上の規定があるからです。インプラント治療には、その後の定期的なメインテナンスが欠かせません。治療を選択する際には、メインテナンスの費用についても確認しておくとよいでしょう。

※参考書籍
 「海外文献120編から読み解く ペリオの世界」
 関野 愉  株式会社デンタルダイヤモンド社

 「nico 2018.1 クインテッセンス出版株式会社」

Q72 なぜインプラントを埋入する前の予備治療が大切なのですか?
A72

たとえば、歯周病で歯を失った場合、その周りの歯にも大なり小なり歯周病の炎症が起きています。そこで、まず歯周病をしっかりと治療し炎症を止めなければなりません。周りに細菌感染があっては、インプラントを埋入しても今度はその細菌がインプラントの周りの骨に感染しかねません。もしも感染が起きれば、インプラントとあごの骨は結合せず、どんなに巧みな術者でも、治療を成功させることは難しいのです。

また、歯を失うほど歯周病が進行した方のあごの骨は、炎症によって減ってしまっています。インプラントを安定させるための骨が足りない場合は、再生療法を行い骨を増やす必要があります。こうした予備治療は、インプラント治療を成功させるカギを握っているといっても過言ではありません。

予備治療が必要と診断された方は、予備治療の期間を含めた治療計画についてじっくり説明を受け、気がかりなことは遠慮なく質問して治療について検討しましょう。

※参考書籍 「nico 2018.1 クインテッセンス出版株式会社」

Q73 タバコを吸っているけど、インプラント治療は大丈夫?
A73

喫煙はインプラント治療の大敵です。インプラントを入れると決めたらぜひ禁煙しましょう。「禁煙はどうしても無理」というかたは、せめて術前・術後の数週間、喫煙本数を可能な限り減らしてください。喫煙は、歯ぐきの傷の治りを遅らせ感染のリスクを高めるばかりか、骨の結合を遅らせて知慮の邪魔をします。ぜひご協力をお願いします。

※参考書籍 「nico 2018.1 クインテッセンス出版」

Q74 歯周病で歯を失いました。インプラント治療は可能でしょうか?
A74

可能ではありますが、歯周病は多因子性疾患であり、不良なプラークコントロールだけでなく、喫煙1)や、肥満2)、糖尿病3)などがリスク因子となる生活習慣病の側面を合わせもちます。だからこそ歯周病の治療に際しては、単に原因因子を除去するだけでなく、患者さん自身の生活習慣から見直し、改善する必要があります。

適切な歯周治療を行った後にインプラント治療へと移行したとしても、インプラントの成功率が有意に低く、インプラント周囲炎の罹患率が有意に高いことが示されています4)

歯周病はインプラント治療の成功を妨げるリスクファクターの一つと考えられています。しかし、歯周病の患者さんに対し行われたインプラントの治療成績については、適切な歯周病治療およびメインテナンスプログラムを受けることにより、インプラントの残存率は歯周病既往のない患者さんと同等レベルを保つことができます。対して、歯周病既往のある患者さんは健常者に比べて、インプラント治療の成功率は有意に低下することが示されています5)

このように、日本人がインプラント治療を行った論文においても、歯周病の既往はインプラント周囲炎の罹患リスクを高めること、また、術前の歯周病治療、術後のメインテナンスを適切に行うことで歯周病のリスクが軽減されることが示唆されました。

 

1)Swierkot K, Lottholz P, Flores-de-Jacoby L, et al. Mucositis, peri-implantitis, implant success, and survival of implants in patients with treated generalized aggressibe periodontitis : 3-to 16-year results of a prospective long-term cohort study. J Periodontol 2012; 83: 1213-1225.

2)Chaffee BW, Couch ET, Ryder MI. The tobacco-using periodontal patient: role of the dental practitioner in tobacco cessation and periodontal disease management. Periodontol 2000 2016; 71 :52-64.

3)Amar S, Zhou Q, Shaik-Dasthagirisaheb Y, et al. Diet-induced obesity in mice causes changes in immune responses and bone loss manifested by bacterial challenge. Proc Natl Acad Sci USA 2007; 104: 20466-20471.

4)Sousa V, Mardas N, Farias B, et al. A systematic review of implant outcomes in treated periodontitis patient. Clin Oral Implants Res 2016; 27: 787-844.

5)Klokkevold PR, Han TJ. How do smoking, diabetes, and periodontitis affect outcomes of implant treatment? Int J Oral Maxillofac Implants 2007; 22(Suppl) : 173-202. Review. Erratum in : Int J Oral Maxillofac Implants 2008; 23: 56.

 

※参考文献
岩野義弘:重度歯周病患者におけるインプラント治療:歯の保存の可否とインプラント治療介入のタイミング:日本口腔インプラント学会誌 2020.9 vol.33 No.3 22-246

伊藤太一、法月良江、小田由香里、守源太郎、小笠原龍一、喜田晃一、古谷義隆、矢島安朝:日本人歯周病患者におけるインプラント治療の予後評価に関する臨床症例対照研究:日本口腔インプラント学会誌 2020.9 vol.33 No.3 63-287,64-288, 65-289

Q75 インプラントのアバットメントの選択について、チタン製がいいのか、ジルコニア製がいいのか迷ってます。どちらがいいですか?
A75

金属(チタン)と陶材(ジルコニア)では、プラーク(細菌)の付着量は明らかに違います。また、メインテナンス時において超音波スケーラーを使うこともあるかと思いますが、チタン製のものでは表面の傷の増加が見られたのに対し、ジルコニアでは傷がつかず問題がないと論文に記載があります。

 

※参考文献
岩崎美和、木津康博、牧野盛太郎、石井亮太、吉成正雄:超音波スケーラーチップがチタンおよびジルコニア表面へ及ぼす影響:日本口腔インプラント学会誌 2020.9 vol.33 No.3 67-291.

Q76 歯並びが悪くてもインプラント治療はできますか?
A76

インプラントは一度入れると場所は変えられません。もし後に矯正治療をする場合は取り返しがつかなくなるかもしれません。よく考えてから行うことをおすすめします。

Q77 歯ぎしりのクセがあるので、インプラントはやめたほうがいいですか?
A77

かつては、「歯ぎしりをする人にはインプラントをしない」という歯科医師もいました。強く噛みしめると奥歯には60キロ程度の力がかかるといわれていますが、寝ているときの歯ぎしりは、その3倍の力がかかるとされています。当然インプラントや、インプラントとかみ合う相手の歯に大きな負担がかかります。とくにインプラントは天然の歯と違ってクッションの役割を担う歯根膜がないため、噛んだときの力がストレートに伝わってしまいます。

そこで現在は、歯ぎしりのクセがある人への対策として、歯科医院でマウスピースを作製します。寝るときにマウスピースを装着することでインプラントや周囲の歯を守ることができるのです。歯ぎしりをする人は、歯科医院で必ず相談するようにしましょう。

 

※参考書籍
 『やっぱり大切!「かめる幸せ」をとり戻す』
 日本口腔インプラント学会  朝日新聞出版

Q78 20代でもインプラント治療を受けられますか?
A78

20代であってもアゴの成長が終わっているとはいえず、他の歯とのバランスが崩れていく可能性があります。当医院では20代後半からインプラント治療をおすすめしています。

Q79 インプラントの手術をした日に仕事に行けますか?
A79

一般的に手術当日は安静にする必要があります。手術の程度によりますが、からだを動かすことによって出血や腫れがひどくなることもあります。お酒や入浴、車の運転などは避け、食事もやわらかいめん類やスープなどにしてください。次の日以降は、デスクワーク程度でからだに負担をかけるような仕事でないのならば、仕事に行っても問題はないでしょう。

ただし、体力を使うような仕事の場合は、出血や腫れ、痛みがひどくなることがあります。ウォーキングやジョギングなどの軽い運動も糸を抜くまで避けるようにしましょう。

 

※参考書籍
 『やっぱり大切!「かめる幸せ」をとり戻す』
 日本口腔インプラント学会  朝日新聞出版

Q80 インプラントの手術の後、すぐに食事をすることはできますか?
A80

手術後、3時間ほどあければ、食事をすることはできます。

ただし、食べ物が傷の部分に当たると、傷口が開いてしまい、治りが悪くなったり、感染したりすることがあります。なるべくやわらかいものを反対側の歯で食べるようにして、食べ物が当たらないようにしてください。とくに傷の縫い目に食べものが当たらないように気をつけましょう。

とくに抜糸するまでの1~2週間は手術したところの絶対安静期間なので噛まないようにお願いします。なかでも再生療法を受けたかたは、歯ぐきで食べられる軟らかな食事を。治療の成功にかかわる重要なお願いなので、しばらく不自由をおかけしますがご協力をお願いいたします。

抜糸のタイミングで歯科医師に傷の状況を確認してもらい、問題なければ、いつもどおりに食事をすることができます。

 

※参考書籍
 『やっぱり大切!「かめる幸せ」をとり戻す』
 日本口腔インプラント学会  朝日新聞出版

 「nico 2018.1 クインテッセンス出版株式会社」

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