審美全般

Q11 オールセラミックにするかメタルセラミックするか、どのような点に注意して選んだらよいですか?
A11
1.オールセラミックの色調を活かすために

土台の歯に金属が使われてないことが大切です。
使っていたとしてもゴールド系の合金で金色である必要があります。
銀色の金属を使用していると、オールセラミックを入れても黒ずんでしまいます。
重度の着色歯においても色の浮き上がりが出てしまいます。

2.色調の劣化を防ぐために

神経のない歯は時間の経過とともに色が黒ずんできます。
神経のある歯の治療には形成量の少ないオールセラミックのほうが適しています。

3.綺麗に見えるために

歯肉が少なくなると血液供給つまり栄養の供給が少なくなり、免疫力も低くなってしまいます。
歯ぐきの抵抗性も低くなってきて、歯ぐきが下がってしまい、見た目が悪くなります。
歯肉が薄い人については、歯ぐきの下まで形成する必要がないオールセラミックのほうが刺激も少なく適しています。

4.アレルギー反応を起こさないために

メタルセラミックは金属を含んでいるので、アレルギーのある患者様には利用できません。
オールセラミックは金属を使わないため、金属アレルギーのある患者様に最適です。

Q12 ハイブリッドセラミックって何?
A12

オールセラミックセラミック単体ですが、ハイブリッドセラミックはセラミックにファイバー(プラスチック)を混ぜた新しい材料です。

メリット

1.歯に近い硬さであるため、違和感が少なく、被せた歯だけでなく咬み合う歯を傷めない
2.保険の硬質レジンと比較すると、耐久性があり長期間使用することができる
3.費用を抑えることができる


 デメリット

1.オールセラミックと比較すると、透明感やツヤなど審美性がやや劣る
2.吸水性があるため、長期的に見ると変色してしまう
3.プラスチックが混在するため、摩耗したり細かい傷が入ったりしてしまう
4.汚れがつきやすい

以上のデメリットから、前歯には不向きとなります。

Q13 銀歯とセラミックの違いって何?
A13

詰めもの・被せものに使われる金属(銀歯)は、プラークが付着しやすく、金属アレルギーを起こす可能性があります。見た目の問題もありますし、化学的に作用して変色・変質します。異なる金属がある場合は「電池」として作用し体に微弱な電流が発生することがあります。

セラミックはプラークが付着しにくく、金属アレルギーを起こしません。審美的にも大変優れており、白い透明感で天然歯と自然な感じに調和します。変色もしません。

このように銀歯と比べるとセラミックは優位性が多くあります。唯一のデメリットは自費診療となりますので、窓口負担が高額になることです。

Q14 セラミックと銀歯、治療後にむし歯になりにくいのはどちらですか?
A14

もちろんセラミックです。
セラミックはプラークを寄せ付けません。銀歯のものに比べると、約10分の1ともいわれています。
自分自身のケアを怠らず、また歯科医院で定期的にメンテナンスを受ければ更にむし歯になりにくくなります。

Q15 オールセラミックの値段が高いのはなぜ?
A15

一般に金属材料に比べ製作に手間がかかる上、審美性を重視するほど微妙な色の調整に時間も必要です。
製作サイド(技工所)の腕の良さも大事で、有名なところほど材料代+製作料も必然的に高くなります。

※セラミックのブロック(塊)からコンピューター制御で削りだして作製する方法も開発されてきました。
ブロックが工業製品として高品質・均一状態で作製される為、手作業よりも不純物などが混入せず品質が一定しています。
世界的に有名なメーカーのものは高価格ですが、日本製で低価格・高品質のものも登場しています。
加藤歯科医院でもセレックを導入しています。

Q16 オールセラミッククラウンを入れる場合の流れは?
A16

必要な場合はまずむし歯の治療歯周病治療(歯の周りを健康に整える)から始めます。
状態によっては歯の神経を取り、経過の良くないものは再治療をします。
健全な口腔内状態を整えてから、オールセラミッククラウンを入れる治療に移ります。

治療の流れ

1.土台(歯の補強・維持)
2.削る・仮歯
3.型取り・色の確認
4.試適(適合や形態・咬み合わせ等の確認・修正)
5.完成・セット

Q17 昔入れた前歯の被せ物の歯ぐきのあたりに黒い線が見えて気になるのですが?
A17

むし歯ではないとすると、歯ぐきが下がって被せ物との境目が見えてきたために、黒い金属のラインが見えることが多いようです。新しく作り直せばきれいになると思われますが、金属を使った歯を入れるとまたいずれ見えてくる可能性があります。
当院では審美治療の1つとして金属を使わないセラミックで作る被せ物を取り扱っています。

河口

Q18 前歯を1本だけオールセラミックにしたいのですが、不自然になりませんか?
A18

オールセラミックにはコンピューター上で設計・製作するセレックがあります。セレックの場合、すべてのブロック(塊)を工場で製造しているため決められた色しか出来ません。しかし、グラデーションの位置を変更したり、色を付けたりすることで、その隣の歯の色に似せる事はある程度は可能です。

それ以外のオールセラミックの場合は、事前にお写真などをお撮りさせて頂き、その写真を元に外注先の技工士が手作業で色を築盛していきます。

最近のセラミックの材質はとても優れているので天然歯とほぼ同じ輝きや色調を再現できるため、違和感のないものをお入れすることができます。 症例によって異なりますので、スタッフまで一度ご相談ください。

Q19 ガミースマイルってなに?
A19

ガミースマイルとは、文字通り歯ぐきが見えるスマイルのことです。

文献によると、ガミースマイルは上唇の下縁、上顎前歯の位置、上顎の位置および歯冠に対する歯肉辺縁との間における不適切な関係の結果であることが示されています1)

ガミースマイルは男性よりも女性に、老年層より若年層に起こりやすいものとされています。

判断基準の一つとして、フルスマイル(ニッと唇を上げて笑う)の時に、上の前歯の歯ぐきが3~4mm以上露出することとされています。

しかし、若干の歯ぐきの露出は若くて健康に見え、唇の位置は加齢によるたるみで下に移動して歯ぐきの見える量は少なくなる傾向にあるため、今すぐガミースマイルは必ずしも治さなければいけないものではありません。

ガミースマイルの分類

分類 歯肉の見える
距離
ClassⅠ 2~4mm
ClassⅡ 4~8mm
ClassⅢ ≧8mm

ガミー・スマイル

 

 

 

ガミースマイルの要因

ガミースマイルには1つまたは複数の病因があります。上顎の過度の垂直成長、受動的萌出の変化、前歯槽の突出、短い上唇、上唇の機能亢進、またはさまざまな要因の組み合わせが含まれます2)

ガミースマイルの治療法

1.口唇に対するアプローチ
  • 上口唇移動術、ボトックス注入、ヒアルロン酸注入など

これらは医科の整形外科領域です。

 

2.歯肉に対するアプローチ
  • 歯肉増殖に対しては、炎症の除去
  • 薬剤中止・変更
  • 他に歯肉切除など

 

3.骨に対するアプローチ
  • 矯正装置を用い、上顎歯列(特に前歯)の圧下及び舌側移動
  • もしくは骨切除
  • もしくは顎矯正外科手術

 

4.歯に対するアプローチ
  • 矯正装置を用い、上顎歯列(特に前歯)の圧下及び舌側移動
  • 他に、歯肉・歯槽骨整形、補綴治療

 

これらのアプローチを1つもしくは複合させて、ガミースマイルを治していくことになると思います。

 

1)Alpiste-lllieca F. Altered passive eruption(APE): A little-known clinical situation. Med Oral Patol Oral Ciro Buccal 2011; 16: 100-104.

2)Robbins JW. Differential diagnosis and treatment of excess gingival display. Pract Periodontics Aesthet Dent 1999; 11: 265-272.

 

※参考文献・書籍
 伝法昌広 the Quintessence. Vol.41 No.5/2022:1012-1042.

 「エステティックリハビリテーション 補綴治療のための審美分析」
 クインテッセンス出版株式会社

 「バイオプログレッシブ・スタディクラブ会誌 No19 2009
  開口の診断と治療に考慮すべき事項」
 根津 浩、Carl F.GUGINO

 「症例別治療戦略コース 開咬・ガミー症例コース」
 株式会社プロシード

 「プラスティックマイクロサージェリー」
 監訳 松川敏久、高山忠裕、田口洋一郎

Q20 ガミースマイルと言われますが、どうすればきれいな口元になりますか?
A20

軽度のものであればスマイルトレーニングで治りますが、ガミースマイルの状態によって治療法が異なります。下記を参考にしてください。

1.軟組織

a)口唇
状態 治療法
上唇の過挙上 ・上口唇移動術
・ボトックス注入
薄い上唇 ・ヒアルロン酸注入

 

b)歯肉
状態 治療法
歯肉増殖
・炎症性の増殖(肥厚)
・炎症物質の除去
歯肉増殖
・薬物による増殖
・薬物投与の中止、薬剤の変更
歯肉増殖
・遺伝的な疾患、全身的な状態による増殖
・歯肉切除、全身状態の改善

 

2.硬組織

a)骨
状態 治療法
上顎骨の垂直成分の増加
(下降)
・上顎歯列全体の圧下
矯正治療、顎矯正外科手術)
上顎骨の水平成分の増加
(前突)
・上顎前歯の舌側移動
(矯正治療、顎矯正外科手術)

 

b)歯
状態 治療法
上顎前歯の過萌出 ・上顎前歯の圧下
(矯正治療、顎矯正外科手術)
上顎前歯の叢生 ・叢生の改善
上顎前歯の萌出異常
・altered passive eruption
・歯肉除去
上顎前歯の萌出異常
・altered active eruption
・クラウンレングスニング
短い歯冠長 ・クラウンレングスニング、補綴治療
上顎前歯の咬耗による対処性の挺出 ・上顎前歯の圧下、補綴治療

 

※参考書籍
 「the Quintessence MAY 2022 vol.41」
 クインテッセンス出版株式会社

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