歯内療法

Q41 歯髄(歯の神経)を失うと何が起きますか?
A41

1.歯髄防御機構の喪失

2.警告信号(痛みの信号)の喪失

3.抜髄失敗のリスク

4.歯冠側からの漏洩(coronal leakage)

5.垂直性歯根破折

6.審美性の喪失

※参考 「下野正基エンドセミナー」

Q42 なぜ神経を取っても痛みを感じるの?
A42

根っこの治療にともなう痛みの詳細は、いまだ解明されていません。根の先の急性的な炎症が原因で、おそらくは、歯のなかを掃除するときに細菌が一時的に活性化してあばれたり、つつく刺激や噛む刺激、消毒薬の刺激が加わったりするからではないかと考えられています。神経(歯髄)を取ったあとも、歯をつつんでいる歯根膜など、歯の周りには痛みを感じる敏感なセンサーが張り巡らされています。そうしたセンサーが急性症状を感じとっているのです。

※参考書籍 「nico 2017.6 クインテッセンス出版株式会社」

Q43 神経をとると歯質は変色するのですか?
A43

抜髄後に血色素が象牙細管内に侵入することが、歯の変色の原因となると言われています。また、シーラー(根管充填材料)も歯の変色の原因となりますので、歯冠歯髄腔のシーラーは丹念に除去することが必要です。

Ingle JL, Barkland LK, Endodontics. 5th ed, B.C. Decker, Halmilton, 2002, 845.

※参考書籍
 「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

Q44 神経をとったら歯は弱くなるのですか?
A44

 歯内療法の剛性について

  • 歯内療法処置歯は生活歯と比較して脆くない
  • 根管治療ではほんの少し咬頭の弾性がおちる
  • 累積的な歯質の喪失が歯牙破折を起こしやすくする
  • 痛み閾値が上がる事によって、より強く咬んでしまう
  • 咬頭を被覆することによって破折抵抗はベースラインよりも上がる

 

研究論文により、以下のことが証明されています。

  • 根管治療歯と生活歯の含水率の違いは2%以下

    Papa etal, Endod Dent Traumatol 1994y

 

  • 根管治療歯と生活歯の生物学的特性の変化は殆どない  

    Sedgely and Messer, J Endod 1992y

 

根管治療で歯質を多く削除して残存歯質が少なくなっているため、弱くなっているのは確かです。

(原因)
  • 髄腔開拡によって歯質が削除される
  • 根管形成によって歯質が削除される
  • 誤った根管形成によって根尖孔が拡大される
  • ポスト窩洞形成時にさらに歯質が削除される
  • メタルポストによって咬合時の衝撃が根管象牙質に伝わりやすくなる

 

※「石井歯内療法研修会 2日間セミナー」より

※参考書籍
 「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

Q45 どのようなときに神経をとるのですか?
A45

以下のような場合は、神経を取ることになります。

  1. レントゲン上で虫歯が神経に達しているもの

  2. 現在症状がある歯
     ・自発痛が強いとき
     ・誘発痛が長く持続するとき
    (ズキズキ痛む、温かい物が染みてその後持続痛が出る、冷たい物が強く染みて生活に支障が出ている)

  3. 過去にさかのぼって大きな痛みが継続して出た歯

  4. 削ってみると既に虫歯が神経に達していたもの

  5. 明らかに露髄しているとき

  6. 象牙質知覚過敏で、レジン充填などを行っても症状が軽快しないとき

  7. 支台歯形成すると歯髄の損傷が大きいと考えられるとき

  8. 内部吸収の認められた歯

  9. ポケットが根尖近くまで達している歯

 

※参考サイト 「E.E.デンタル ブログ」

※参考書籍
 「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

Q46 数年前にオールセラミッククラウンを装着しましたが、いまだに歯肉の周りの赤みがとれません。ブラッシングも行っているのに、どうしてですか?
A46

そのような状態のことを「レッドバンド」といいます。レッドバンドの理由はいくつか考えられます。

・ブラッシング不良

・マージン不適合補綴物

・歯石、セメント残留

・生物学的幅径の侵襲(マージンの深すぎ)

・咬合性外傷

・カントゥア

 

重度の症状であれば急ぎの対応が必要になってきますので、まずは歯科医院で診てもらいましょう。

 

※参考書籍
 「天然歯審美修復のセオリー 図解Q&A」
 監著 北原 信也 クインテッセンス出版株式会社

Q47 根の治療をしてもらっていますが、なかなか歯ぐきからの膿が止まりません。なぜでしょう。
A47

歯茎からの膿が止まらない原因は歯根と歯周病の2つに大別されます。
歯根が原因であれば、その内外に細菌が存在しているということになります。
例えば、殺菌消毒の不可能な解剖学的に複雑な形態の部位、破折部、医原性に穿孔させてしまった部位、根尖孔以外バイオフィルムをつくってしまった場合などがあげられます。
歯周病が原因であれば歯周病に関する治療を同時に行う必要があります

Q48 ファイバーを用いた土台(ファイバーポストコア)って本当にいいの?
A48

ファイバーポストコアを用いた支台築造における歯根破折の発生率は金属ポストによる支台築造と比較して低いことが研究結果より明らかになっています。ファイバーポストの弾性係数は象牙質と同等に調整されているため、咬合力が歯根全体に分散し、歯根内部へ応力が集中しにくいためであると考えられています。

Pegoretti A, et al. Finite element analysis of a glass fiber reinforced composite endodontic post. Biomaterials. 2002; 23: 2667-2682.

天然歯・金属の土台(メタルコア)・ファイバーポストコアの力のかかり方の比較

 

ファイバーポストの応力分布

 

※参考書籍
 「エンド難症例 メカニズムと臨床対応」
 恵比須 繫之 編  医歯薬出版株式会社

Q49 歯内療法をすれば根尖病巣はできないのでしょうか?
A49

完璧な歯内療法を行っても根尖病巣はできます。歯冠修復物が予後に与える影響もあるためです。歯冠部からの感染に対し、長期的には根管充填だけでは完全に防御するのは難しいので、歯内療法の後はできるだけ早めに適合の良い歯冠修復を実施しなければなりません。

※参考書籍
 「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

Q50 以前、根っこの処置をしました。現在痛みもないのですが、再び根っこを処置するといわれました。なぜでしょうか?
A50

無症状の歯に対する再根管治療着手の基準は以下のとおりと考えられています。

1.根尖部エックス線透過像があり、歯冠補綴装置の再製作が必要

根尖部エックス線透過像

2.根尖部エックス線透過像が増大傾向

3.前回の歯内療法の質を高めることが可能

4.根管内所見;根管充填材(剤)の腐敗臭や汚染
(補綴装置除去後に視診、嗅診により判断可能)

※参考書籍
 「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
 小林 千尋 著  医歯薬出版株式会社

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