入れ歯

Q41 金属床を一生使いたいのですが、使えますか?
A41

金属床は特殊な金属を使用しているので、たわみ、ゆがみ、破折などほとんどなく、保険の入れ歯と違い食べ物の温度も感じることができます。
しかし、この優れた金属床でもそのままにしておくといずれ合わなくなってしまいます。
年齢と共に歯ぐきはやせてきますし、バネを掛けている歯にはどうしても負担が掛かってしまいます。
万が一、合わなくなってしまった場合でも、裏打ちなど何らかの対応をしていきますが定期的なメンテナンスがとても大切になってきます。
当院では、半年に一度のメンテナンスをおすすめしております。お気軽にお越し下さい。

河口

Q42 金属床義歯の利点と欠点を教えてください。
A42

金属床とレジン床の最大の違いは強度です。

金属が薄くて強いので総入れ歯・部分入れ歯の厚みを減らすことができ、違和感が少なく強度を確保できます。上顎の入れ歯、特に総入れ歯で厚みがないというのは大きなメリットです。金属床熱を伝えるので食事の味をより自然に感じることができます。
下顎の入れ歯は一般に小さく強度に欠けるため金属床は変形や破損を防ぐ意味で効果が高くなります。

さらに保険のレジン床との大きな違いは設計の自由度が高いということです。

残った歯や顎などお口の中の状態に合わせて、バネや連結部分の取り回しといった構造上大事な部分の設計をいろいろと工夫することができます。より快適で無理のない入れ歯を作ることが可能です。

金属床義歯とレジン床義歯を比較しましたので、参考にしてください。

  金属床義歯 レジン床義歯
装着感 優れる 金属床義歯と比べると劣る
厚み 薄くできる(0.5mm程度でも可能) 補強線を入れて強度を得るため、厚くなりやすい
重さ 使用金属によっては重い。貴金属はCo-Cr合金の2倍、チタンの4倍程度になる。上顎の貴金属総義歯は25g以上になり、重くて落ちやすい。 比較的軽い。上顎義歯で20g以下であれば軽いと感じられる
温度感覚 伝わりやすいため、食べ物も味わいやすい 伝わりにくい
金属味を感じる場合がある 一般的に変化はない
アレルギー 金属アレルギーがあれば適応困難 レジンアレルギーがあれば適応困難。レジンアレルギーは少ない
強度 丈夫。高いため構造的なたわみは出にくい。変形しにくい。吸水性がないので短期間での破損や変化は少ない。薄い部分の破折はある 比較すれば低い。単独では強度の維持は困難で、補強線内蔵の必要がある
劣化・変色 一般的にはしにくい 吸水性があるため劣化・変色しやすいが、義歯洗浄剤によるデンチャープラークコントロールを徹底すれば、それほど差はない
清掃性 よい。付着したプラークは払拭しやすい 金属床と比較すれば悪い
審美性 場合によっては、金属部分が目立ってしまう 金属床と比較すればよい
設計 設計の自由度が高く、広い症例に対応できる 金属床と比較すれば、設計の自由度が低い
調整 削合作業は困難であり、薄い部分は破折しやすい。多くの調整が予想される部位は、設計時に若干厚みをもたせて製作する 削合作業は容易であり、即時重合レジンにて薄い部分を添付可能
修理 難しい。近年はレーザー溶接による修理も可能となったが、一般的には困難 やさしい。即時重合レジンにて、即日に修理も可能
リライン 最近は金属表面のサンドブラスト処理後の金属接着性プライマーや接着性レジンの使用で容易になった。しかし、口蓋部分は大きく変化しない部位であり、装着感のメリットは失われるので、慎重に行うべきである 金属床と比較すれば容易
価格 高価 安価

 

ゴールドのメリットは?

口の中は、食事で冷たいものや熱いもの、酸味の強いものなどをとるうえに、歯にもかなりの力がかかり大変過酷な条件下におかれています。

そのため、治療した材料は腐食やさび、溶解の危険にさらされます。さびたり、体に合わない金属はアレルギーの原因になると指摘されています。長期間使うものなので健康を考えると体に安全な貴金属が最適です。

また、歯を作る作業は型を取って作った模型の上で行いますが、精密さが要求されます。ピッタリしたものは歯との境目にすき間がなく、食べ物がたまりにくく、プラーク(歯垢=細菌のかたまり)がつきにくく、将来そこからむし歯や歯周病の問題が発生しにくくなります。

ゴールド(金)は物質的に安全性が高く、加工しやすく、変質しやすいという性質があり、歯科用材料として用いられているのは、アレルギー反応がなく、口の中で変質しにくい、口の中で溶けないことで味覚に影響を与えない、硬さが適当で違和感がないなど多くのメリットがあるからです。

違う種類の金属は化学的に作用して変色や変質を起こすので、できればお口の中は同じ金属で統一するほうがよいでしょう。

 

※参考書籍
 「聞くに聞けない補綴治療100」
 監修 河相安彦、鷹岡竜一 デンタルダイヤモンド社

Q43 神経をとっている歯が何本もあります。今後総入れ歯になるんでしょうか?
A43

必ずしも総入れ歯になるわけではありませんが、神経をとっている歯は健康な歯に比べてもろくはなっています。 なので、今まで通り固い物を噛んだりというのをあまりされない方がいいでしょう。 後は痛みがなくても定期的に歯科医院に行き、少しでも長くもたせるよう努力する必要があります。

Q44 ノンメタルクラスプデンチャーって何?
A44

日本補綴歯科学会では、「義歯の維持部を義歯床用の樹脂を用いて製作したパーシャルデンチャーの総称」という定義がなされています。

笛木賢治, 大久保力廣, 谷田部優, 他, 熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯(ノンメタルクラスプデンチャー)の臨床応用. 日補綴会誌 2013; 5: 387-408.

Fueki K, Ohkubo C, Yatabe M, et al. Clinical application of removable partial dentures using thermoplastic resin Part Ⅰ: Definition and indication of non-metal clasp dentures. J Prostho Res 2014; 58(1): 3-10.

Fueki K, Ohkubo C, Yatabe M, et al. Clinical application of removable partial dentures using thermoplastic resin Part Ⅱ: Material properties and clinical features of non-metal clasp dentures. J Prostho Res 2014; 58(2): 71-84.

つまり、一般のパーシャルデンチャーで歯に掛ける金属部分(クラスプ)が、義歯床用の樹脂でできている(レジンクラスプ)パーシャルデンチャーのことをいいます。ノンメタルクラスプデンチャーには全く金属を使っていないものだけでなく、部分的に金属が使われているものも含まれます。

ノンメタルクラスプデンチャー1

ノンメタルクラスプデンチャー2

ノンメタルクラスプデンチャー3

ノンメタルクラスプデンチャー4

 

※参考書籍
 「ノンメタルクラスプデンチャー 長く使える設計の原則からメインテナンスまで」
 谷田部 優 著  クインテッセンス出版株式会社

Q45 ノンメタルクラスプデンチャーのメリット・デメリットを教えて下さい。
A45

一般の義歯の材料である樹脂と異なる樹脂を使っており、以下のようなメリット・デメリットがあります。

●メリット

  1. 義歯を入れていると気づかれにくい
  2. 装着感がよい
  3. 食渣が詰まりにくい
  4. 歯を大きく削らない
  5. 金属アレルギーにも対応できる
  6. 臭いがつきにくい
  7. 壊れない・変形しない
  8. 適合がよい(熱収縮が小さい・ない)
  9. 劣化しない
  10. 着色・変色しない
  11. 修理ができる
  12. リラインができる

 

●デメリット

  1. 辺縁歯肉の自浄性に劣る
  2. 材料の耐久性が低い
  3. 剛性が低く、義歯の安定を得ることができない場合がある
  4. 噛みにくい、動きやすい
  5. レジンクラスプ部が接している歯頸部歯肉に炎症が起こりやすい
  6. 劣化しやすい
  7. 修理がむずかしい

 

※参考書籍
 「ノンメタルクラスプデンチャー 長く使える設計の原則からメインテナンスまで」
 谷田部 優 著  クインテッセンス出版株式会社

Q46 ノンメタルクラスプデンチャーはどんな方にすすめられているんですか?
A46

加藤歯科医院ではこんな方にすすめています。

  1. 外観を気にする方
  2. 金属を使えない方
  3. 歯を削りたくない方

 

※参考書籍
 「ノンメタルクラスプデンチャー 長く使える設計の原則からメインテナンスまで」
 谷田部 優 著  クインテッセンス出版株式会社

Q47 ノンメタルクラスプデンチャーなのに金属が入っています。なぜですか?
A47

ノンメタルクラスプデンチャーには、剛性を与えるため金属のフレームを用いたものと全く金属を使っていないものの2種類があります。

金属のフレームを用いたノンメタルクラスプデンチャー

基本的には広い範囲で適応可能ですが、以下の症例では難しくなります。

1.片側に偏在する少数歯残存症例

2.すれ違い咬合

3.臼歯の咬合支持がない

4.支台歯にアンダーカットが少ない

5.う蝕や歯周疾患がコントロールできない

6.ブラキサー

7.レジンアームの幅を確保できない

 ●全く金属を使っていないノンメタルクラスプデンチャー

装着当初は大きな問題はありませんが、残存歯や顎堤の保全という点では問題が起こることがありますので、以下のような特別な場合に適応します。

1.暫間義歯

2.金属アレルギー

3.前歯部の少数歯欠損

4.義歯の機能力の負担がかからない症例

5.審美性を優先せざるを得ない症例

6.歯の切削(前処置)に同意が得られない症例

※参考書籍
 「ノンメタルクラスプデンチャー 長く使える設計の原則からメインテナンスまで」
 谷田部 優 著  クインテッセンス出版株式会社

Q48 ノンメタルクラスプデンチャーの清掃方法を教えて下さい。
A48

通常の義歯の材料であるレジンと異なり、樹脂表面の硬度が低いもので作製されています。そのため、使用する義歯用ブラシは比較的柔らか目のブラシを使うとよいでしょう。しかし、柔らか目のブラシでは汚れが残ってしまいがちなので、義歯用の洗浄剤を毎日必ず使いましょう。その際、樹脂によって強アルカリ性洗浄剤は使えなかったり、金銀パラジウム合金などの銀合金は酸性洗浄剤で変色したりするので、中性の義歯洗浄剤をおすすめします。

※参考書籍
 「ノンメタルクラスプデンチャー 長く使える設計の原則からメインテナンスまで」
 谷田部 優 著  クインテッセンス出版株式会社

Q49 ノンメタルクラスプデンチャーのメインテナンスってどんなことをするのですか?
A49

パーシャルデンチャーを装着すると、残存歯や顎堤、咬合関係を保全することに十分配慮しなければなりません。メインテナンスでは、義歯の動きを必ず確認し、早めのリラインを心がけていきます。当初1~2ヶ月は短期的なメインテナンスを行い、研磨面に傷はないかゆるみはないか義歯の清掃に問題ないか歯頸部歯肉の発赤・炎症はないかなどをチェックします。安定していれば、3ヶ月から半年程度のメインテナンスに移行します。

なお、レジンクラスプを新たに製作して義歯に組み込む場合、メタルクラスプよりも複雑になってきますので、コストを考えると再製作したほうがよいときもあります。(技工作業も難しくなります)

義歯の材料もアクリル系レジンと比べると変色しやすく、傷もつきやすい特徴がありますが、日々の患者さん自身の手入れも大切です。柔らかめのブラシでのデンチャープラークの除去と、義歯洗浄剤の継続使用を徹底しましょう。レジンクラスプは曲げなおすことができないため、継続使用で徐々に維持力が低下してしまいます。

※参考書籍
 「ノンメタルクラスプデンチャー 長く使える設計の原則からメインテナンスまで」
 谷田部 優 著  クインテッセンス出版株式会社

Q50 ノンメタルクラスプデンチャーは有効ですか?
A50

金属構造を併用したノンメタルクラスプデンチャーはおすすめできますが、柔軟なノンメタルクラスプデンチャーについてはあまりおすすめできません。

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