だ液

Q1 口腔乾燥症について教えてください。
A1

口腔乾燥症は「ドライマウス」とも呼ばれています。

■口腔乾燥が進むとこんな症状があらわれます

・味覚異常

味を感じる味蕾(みらい)は、水に溶けるものを味として感じます。このため唾液分泌が低下すると、味覚の低下や味覚異常を引き起こすことがあります。

・食物摂取困難、嚥下困難

乾燥すると舌や頬粘膜を動かしにくくなり、さらに唾液量が低下すると咀嚼した食物の食塊を作ることが困難となり嚥下障害へつながります。

・義歯がガタつく

義歯は、唾液により義歯と粘膜の間の空気をなくすことで吸着しています。口腔が乾燥すると、適合の良い義歯でもガタつくことがあります。その他、舌苔の増加や虫歯、歯周病、口腔粘膜疾患が増えます。

・舌が痛い

唾液には抗菌作用や自浄作用があり、口腔内の細菌のバランスを保つ役割を果たしています。しかし、唾液が不足すると、カンジダ菌をはじめとする細菌類が増殖し、舌にピリピリとした痛みをもたらしたり、口角が切れたりします。

■口腔乾燥の原因は何だろう?

近年の研究では、従来言われていた加齢による唾液分泌低下が主要因ではなく、
・抗うつ剤や降圧剤、抗コリン剤などの薬剤性のもの
・飲水量の低下による脱水
・経管栄養摂取による唾液分泌減少
であることが明らかになってきました。
この他、口呼吸や挿管されている場合、十分な唾液量があっても口腔が乾燥している場合があります。またストレスや糖尿病、唾液性疾患、シェーグレン症候群等の疾患も原因となります。

■口腔乾燥症の見分け方はどうするの?

・舌の下に唾液が溜まっていない
・舌の上に唾液が見られず乾いている
・唾液が泡立ったり、ネバネバしたりしている
・口腔粘膜がツルツルしている
・水分摂取量や尿量の低下(脱水が疑われる時)
・義歯が外れやすくなる
などの症状があったら口腔乾燥症の可能性があります。

■対症療法

口腔の症状やその関連症状を緩和することが対症療法です。口腔乾燥症(ドライマウス)の症状が進むと口臭も強くなる傾向にありますが、唾液の分泌が促進されれば症状が和らぐことが多いため、よく用いられるのが「唾液腺マッサージ」を含むお口のストレッチです。その他、日頃のちょっとした心がけで唾液の分泌が促進され乾燥も緩和します。以下にそれらを対策としてまとめました。これらは、要介護者や寝たきりの方にはなかなか当てはめにくい項目ですが、少しでも実践を心掛けて頂ければ、看護の現場での口腔ケアや非経口摂取の方のドライマウス対策につながります。口腔ケアは難しいことではありません。歯科専門職と上手く連携して習慣化しましょう。

【対策】

1.口腔ケアを(用品を含め)全体的に見直す!

口腔ケアをすると多くの場合唾液分泌が増えます。歯磨剤の泡立ち成分(ラウリル硫酸ナトリウム等)や洗口液に含まれているアルコールは、口腔粘膜を刺激し口腔乾燥を進行させると言われています。従って、これらの成分を含まない製品がおすすめです。また歯ブラシは自分に合ったタイプを選び、歯と歯肉の境目をマッサージするように磨いて唾液分泌を促進しましょう。電動ブラシを使用すると、その振動が刺激となり唾液分泌促進に効果的な場合があります。また、口腔内が汚れやすい胃ろう等の経管栄養摂取者には口腔ケアが特に重要となります。

2.良く噛むこと!

唾液腺を刺激して活性化させるためには、何よりも噛むことが大事です。柔らかいものばかり食べていると唾液がだんだんと出にくい状況になり、顎や口の筋力も低下します。健康な状態の時から、介護が必要になってもできる限りよく噛んで食べる(柔らかいものでもよく噛みましょう)、柔らかめの煮物や味噌汁の具などは小さく切りすぎず少し大きめ(一口大)にする、水分で流し込むような食べ方をしない、歌を歌うなどしてはっきり口を動かす機会を作る、表情豊かに暮らす…、など生活自体を変えていきましょう。食べにくいだろうから細かくしてあげよう、歩けるけれど危ないから車椅子に乗りましょうというような行き過ぎた気配りは、過介護と同じなのです。
ガムの噛める方は、ガムを噛むことによる刺激で唾液分泌を促進することができるのでお奨めです。

3.規則正しい生活を送る!

唾液の分泌は自律神経でコントロールされています。規則正しい生活を送ることは自律神経のバランスを保つためにも大切です。喫煙やアルコール類も控えめに・・・。

4.鼻で呼吸する(口呼吸の回避)!

口を開けている状態が長いほど口は乾燥しやすくなります。鼻が詰まってなくても習慣的に口で呼吸をする方がいらっしゃいますが口を軽く閉じて鼻呼吸の習慣化に努めましょう。

5.定期的に歯科検診を受ける!

唾液は口の中を殺菌消毒する重要な働きがあります。そのため唾液分泌の少ない方は、よく歯を磨いていても虫歯や歯周病になりやすく、歯垢のチェックなど専門的な口腔ケアが欠かせません。口臭対策も兼ね3ヶ月に1回程度は、歯科医院でチェックしてもらいましょう。

6.ストレッチ・体操リハビリ!

唾液腺マッサージや舌のストレッチが効果的です。「舌の突出を繰り返す」「上下左右に動かす」など口腔体操の実施や、会話を増やす、歌う等も有効なストレッチとなります。 特に、舌であめ玉をつくる訓練(舌で頬の内側を押して、頬にあめ玉を含んでいるようにする)が非常に有効です。簡単にできるようになったら、舌で頬にあめ玉をつくりながら舌尖を片側ずつ上下・左右に動かしたりすると、さらに効果があります。その際、唾液が出たらゴックンと嚥下につなげましょう。
また、ただ何となく動かすのではなく、音楽に合わせて動かしてみると効果的。毎回同じ曲に合わせて行うことで、舌の動かしやすさや舌の持久力などの変化を感じることができ、評価につなげることが可能です。
その他、歯磨き時に歯ブラシで舌や頬を動かすように刺激するのも有効です。受動的な訓練しかできない場合には、口腔ケア時に積極的に歯ブラシや指で舌や頬に触れ、刺激していくとよいでしょう。開口したままの状態では口腔内はいっそう乾燥します。また閉口するための口輪筋への刺激もお忘れなく。
訓練のほか、唾液腺マッサージを行う場合は、耳周辺や下顎周辺を軽く圧迫するように触れていきます。方法は皆さん自身が自分の顔に触れてマッサージするときに、気持ちよい力加減や動かし方で行えば大丈夫です。

7.お口の保湿ケア!

水分補給に加え、うがいの回数を増やしたり、スポンジブラシ等で粘膜を湿潤させ、保湿してください。唾液腺マッサージやお口のストレッチ、及び上記の1.と2.を行ってもあまり効果がない場合は、その方のお口の乾燥状態に合った口腔保湿剤(口腔化粧品質)を必要に応じて使用します。ジェルやリキッドを使い分けて保湿し、症状を緩和させます。例えば、「夜、口が渇いて目が覚める」などの症状には、就寝前に保湿リキッドでのうがいを習慣化させることなどが効果的です。

●口腔保湿剤の使い分け

口腔保湿剤には色々なタイプがあり、使い方を誤ると症状が改善しない場合があります。一般的に販売されている口腔保湿剤には、ペーストジェル液状の3タイプがあります。

ペースト

(特徴と使用上の注意)
・定められた適量を調整しやすい。

(適応できる症状や使い方)
・乾燥の状態が強く、帯状の痰の付着が顕著な場合など。
・乾燥部に停滞し易いので、塗布後は暫く放置し、強固に付着した痰を柔らかくして除去する。

ジェル

(特徴と使用上の注意)
・少量でよく拡がる。
・量が多過ぎると咽頭に貯留しやすく誤嚥の危険がある。

(適応できる症状や使い方)
・頬粘膜や舌に乾燥した痰がからみついている場合など。
・スポンジブラシ等になじみやすいので、口腔内全体にまんべんなく塗布しながら、からみついた痰を除去する。

液状

(特徴と使用上の注意)
・ガーゼ等に含ませ清拭する。
・誤嚥の傾向のある方には不向きである。

(適応できる症状や使い方)
・オブラート状の痰の除去など。
・口腔乾燥の度合いによって量を調節しながら使用する。
・強い乾燥状態への使用には適していない。

口腔保湿剤は、口腔乾燥の日々の状態によって、上記のタイプを上手く使い分けると、早く改善する傾向にあります。また、含まれている成分によっても効能が若干異なるので、歯科専門職とうまく連携し、その時々に必要な対応を行いましょう。口腔乾燥は長期に渡っての対応が必要です。口腔ケアのプラニングを確立し改善を図りましょう。

唾液によって口腔内が潤うと、味も感じやすくなり、食事のおいしさが一層増します。
おいしく食べて楽しく語り、表情も豊かな生活はその方のQOLの向上そのものです。

※参考
 口腔乾燥症 (PDF形式 847KB)
 ドライマウス(口腔乾燥症)について – その2 (PDF形式 807KB)
 
ドライマウス(口腔乾燥症)について – その3 (PDF形式 795KB)
 
口腔乾燥の改善のためにできること (PDF形式 227KB)
 ライオン歯科材株式会社ホームページ

Q2 唾液の役割を教えて下さい。
A2

唾液は、食べる、飲む、話すといった人間にとって欠かすことのできない機能を営むうえで次のような重要な役割を果たしています。

1.抗菌作用

口は空気や食べ物などの入り口であり、常に外界の雑菌にさらされています。唾液には、細菌増殖を抑える「抗菌作用」があります。うまく作用しないと、むし歯歯周病にかかりやすくなるだけでなく、口からの細菌感染により、風邪を引きやすくなり、気管支炎肺炎を起こすこともあります。

2.消化作用

ごはんやパンなどのデンプン質を糖に変える「消化作用」もよく知られている唾液の効用です。唾液中に含まれるアミラーゼという酵素が、デンプンを分解して麦芽糖に変え、体内に吸収しやすくしてくれます。よく噛みしめて唾液で消化することは重要で、ここでの消化がすすまないと胃に負担がかかることにもつながります。

3.粘膜保護作用

唾液には「ムチン」というネバネバとしたタンパク質が含まれています。納豆やオクラに含まれるネバネバ成分と同じものです。フランスパンやクッキーのような硬い物が接触しても傷がつかないように、口の粘膜をコートしていますムチンが少なくなると、口に傷がつきやすくなります。

4.食塊形成作用

水だけでは食べ物をまとめることができず、誤嚥してしまったご経験のある方もおられると思います。唾液の粘り気であるムチンがうまく働くと、食塊がまとまりやすく、気管のほうへ流れずに、食道の入り口に入り、嚥下がスムーズになります。唾液のムチンは、食塊形成、摂食・嚥下に重要な働きをしていて、少なくなると誤嚥の原因にもつながります。

5.中和作用

食後にゲップが出て、酸っぱい胃酸を感じたことはありませんか?胃の粘膜は強い胃酸に対しても安定で、食物の消化を行っていますが、口や食道の中は、もともと中性で酸に対しては強くありません。唾液は天然の胃薬のような作用があり、胃酸を中和することができます。また、むし歯の菌が産生する酸を中和することも知られています。唾液が少なくなったり、なんらかの原因で胃酸の逆流が起こると、食道や喉の粘膜を痛めたり、歯を溶かすこともあります。

6.修復作用

唾液には、傷を治す上皮成長因子(EGF)や、脳神経の老化を防止する神経成長因子(NGF)などが含まれていますが、これらは口の中だけでなく、体全体を守る意味でも重要な役割を果たしています。EGFは、上皮細胞の成長を促進させる働きがあり、1986年のノーベル賞で脚光を浴びたことで有名になり、最近ではアンチエイジングに効果があるということで、化粧品にも加えられています。動物が傷口をなめるのは、抗菌作用だけではなく、修復を促進させる働きも関連していると考えられています。また、NGFは、神経細胞の分化、維持に関与しています。海外ではアルツハイマー型認知症の治療へ応用する研究も進められています。

唾液が少なくなると、口の傷が治りにくくなり、神経の回復が遅くなることにもつながってきます。

 

このように、唾液は単なる水ではなく、身体の機能維持に重要な働きを有しています。

 

※参考書籍
 「ドライマウス 今日から改善・お口のかわき」
 阪井 丘芳 著  医歯薬出版株式会社

Q3 唾液には傷口を治す効果があるのですか?
A3

「傷口をなめる」ことが傷口にとって良いことをヒトは知っています。

唾液の効用としてまず「洗浄作用」が挙げられます。「洗浄作用」とは、傷口の雑菌や異物を洗い流す作用のことです。

つぎにムチンによる口腔内でみられる粘膜コート機能は、傷口では乾燥を防ぐ「保護作用」として役立ちます。

さらにリゾチームなどによる「抗菌作用」、粘液性糖たんぱく質であるムチンによる細菌の「凝集作用」などが知られています。

その他、炎症を抑える作用など多くのことが議論されています。

またヒトは子どもの時にすり傷を作ると親がそこをなめて「痛いの、痛いの、飛んでいけー。」などとおまじないをかけてくれたことを記憶しているものです。この記憶は、傷口をなめる動作から安心感を体中に呼び起こしてくれるのです。これも立派な効用です。

 

※参考書籍
 「口が元気なら、若い!ぼけない!口腔からウェルエイジング」
 著  阿部伸一  クインテッセンス出版株式会社

Q4 だ液が少なくなるとどんな影響が出ますか?
A4

だ液には、消化作用・抗菌作用・歯の再石灰化作用・粘膜保護作用・活性酸素の除去作用などがあり、唾液の量が少なくなると、むし歯・歯周病・味覚障害・異常乾燥感・不快感・舌痛症・口臭・摂食嚥下障害・上部消化器障害・感染症・肺炎などが起きやすくなります。

Q5 最近口がよく乾きます。今後この状態が続くとどうなりますか?
A5

そのような状態を口腔乾燥症(ドライマウス)といいます。

口が乾く原因はだ液が出ないためです。もちろん口をあけたままにしていても乾燥します。

 

ドライマウスになると以下のような症状が表れます。

1.喉が渇いて常に水分がほしくなる

2.口の中がネバネバし、カラカラになって不快

3.パンやクッキーなど、パサパサした質感の食品がうまく食べられない

4.味覚の異常

5.食べ物を飲み込みにくくなる

6.舌が痛い

7.入れ歯を入れていられない

8.むし歯や歯周病になりやすい

9.風邪をひきやすくなる

10.肺炎を発症しやすくなる

 

口の中には多くの微生物が存在し、微生物の集団を形成しています。すでに住み着いている微生物は、外から新しく入ってくる細菌が定着するのを嫌うので、そのことが感染を防ぐことにつながっています。

しかし、だ液が減少し、その性質が変わってしまうと、口の中の微生物のバランスが崩壊し、口での防御作用が損なわれてしまいます。高齢者や手術後の患者さんなどは、免疫力・体力が落ちているときにドライマウス状態になると、感染を防御することができずに、有害な細菌が繁殖して、それが口の中のみならず全身にも悪影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。

ドライマウス症状1

ドライマウスの症状1 水分がなくなっています

ドライマウス状態です。水分がなく、舌が乾燥しているのが分かります。白い斑点は舌苔です。細菌が繁殖しています。

ドライマウス症状2

ドライマウスの症状2 高齢要介護者は注意が必要

ドライマウス状態の高齢要介護者の口腔内です。口から食べない方の場合、特にケアが必要となります。口の機能が衰えたことに加え、口の中が不潔であると、肺炎発症のリスクが高まります。

ドライマウス症状3

ドライマウスの症状3 カンジダ性口角炎

ドライマウスに伴い、カンジダ性口角炎を発症したケースです。ひび割れしやすく、自然治癒しにくい状態となっています。ステロイド軟膏を塗布し続けているケースが多く、注意しなければなりません。抗真菌剤が効果的です。

※参考書籍
 「ドライマウス 今日から改善・お口のかわき」
 阪井 丘芳 著  医歯薬出版株式会社

Q6 最近よく口が乾くのですが、病気でしょうか?
A6

近年、口の乾きや唾液が出ないといったドライマウス(口腔乾燥症)を訴える人が増えています。
ドライマウスを放置すると、むし歯、歯周病、口臭などが悪化し、お口の健康が損なわれます。

ドライマウスの判定は…?

安静時と刺激時の唾液分泌量を測定して判定します。

安静時唾液

1.5ml/15分間(15分間の唾液量)以下

刺激時唾液

10ml/10分間(ガムを噛んだときの唾液量)以下

ドライマウスの原因は?
  • 加齢による唾液分泌機能の低下
  • 薬の服用
    (高血圧、心疾患、免疫が働かない病気などで薬を常用)
  • ストレス
  • 口呼吸
    (口を開けていると唾液が蒸発します)
ドライマウス対応策
  • まめに水分を補給(熱中症対策にも!)
  • 保湿剤でお口の乾燥を防ぐ
  • 飲むお薬の種類について医者と相談
  • 夜更かし、深酒、喫煙など生活習慣を改める
  • 刺激の少ない洗口剤や歯磨き剤を使用
ドライマウス危険度チェック
  • 口で呼吸している
  • 噛めない、うまく飲み込めない
  • 口の中がカラカラ、ネバネバ
  • 舌がひび割れて痛い
  • 忙しい、飲酒の機会が多い
  • 歯磨きをしているのにむし歯や歯周病になる
  • 食べ物の味がしない、味覚が変わった
  • のどが詰まった感じがする
  • 口臭が強くなった
  • 舌がからまり話しにくい
  • 薬を常用している

上のリストで3つ以上当てはまる人は要注意です

Q7 居眠りすると“ヨダレ”を垂れるのはなぜですか?
A7

居眠りすると咀嚼筋のなかにある筋紡錘も眠ってしまいます。そうすると、下顎は重力のため、安静位よりさらに落ちた(開口した)状態になり、嚥下機能も働かなくなります。その上、居眠り状態では副交感神経が優位になるため唾液腺の活動が活発となり、口の中で溢れた唾液が“ヨダレ”として垂れてしまうのです。

 

※参考書籍
 「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
 姫野 かつよ 著  砂書房

Q8 口が乾く原因は何ですか?
A8

1.薬の副作用

口渇の副作用をもつおもな薬剤
薬効分類 おもな適応症 薬物名 商品名
催眠・鎮静薬 不眠症 トリアゾラム
ブロチゾラム
リルマザホン
ハルシオン
レンドルミン
リスミー
抗不安薬
(精神安定剤)
神経症、うつ病、心身症 エチゾラム
クロチアゼパム
ジアゼパム
デパス
リーゼ
セルシン
抗精神病薬 統合失調症、うつ病 スルピリド ドグマチール
抗うつ薬
(SSRI)
うつ病、うつ状態 マプロチリン ルジオミール
抗躁薬 躁病 リチウム リーマス
抗めまい薬 メニエル症候群 メクリジン ボナミン
抗てんかん薬

てんかん

三叉神経痛

フェニトイン

カルバマゼピン

アレビアチン

テグレトール

抗パーキンソン薬 パーキンソン病 トリヘキシフェニジル アーテン
抗高血圧薬

高血圧症、狭心症

 

狭心症、不整脈

ニフェジピン
アムロジピン

ジルチアゼム

アダラート
アムロジン

ヘルベッサー

抗ヒスタミン薬
(抗アレルギー剤)

気管支喘息

エピナスチン

クロルフェニラミン

アレジオン

ポララミン

抗潰瘍薬

胃・十二指腸潰瘍

ランソプラゾール
フェモチジン

タケプロン
ガスター

抗コリン薬

過活動膀胱(頻尿)

プロピベリン
オキシブチニン

バップフォー
ポラキス

 

他にも、風邪薬(消炎酵素剤など)花粉症に対する薬胃酸を抑える胃薬(H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害剤)や、降圧剤(カルシウム拮抗剤)骨粗鬆症に対する薬抗がん剤免疫抑制剤、利尿薬、抗炎症薬など700種類以上あるといわれています。

しかしながら、ご自分の判断で治療薬を飲むのを止めないでください。必ず主治医との相談が必要です。減量する場合や、同じような効能の薬に変えてもらえる場合もありますが、ドライマウスよりも病気の治療を優先しなければならない場合もあるためです。また、酒類や麻薬や覚醒剤も、ドライマウスを引き起こします。

 

2.ストレス

人はストレスを感じると口や喉に渇きを覚えます。大勢の聴衆の前で話をする人のために、水差しが用意されるのもそのためです。唾液を分泌する唾液腺は「自律神経」に支配されています。緊張すると、交感神経が優位になり、サラサラとした唾液の分泌を止め、ネバネバとした唾液を少し分泌します。口の中が粘つくのはそのためです。リラックスした状態では、サラサラした唾液が多くでます。スポーツや仕事をやり終えたとき、温泉に入ったり、映画を見たり音楽を聴いたりなど、心がくつろいでいるときは、サラサラの唾液です。

 

3.能力低下と老化

老化も唾液分泌を低下させるとされていますが、唾液分泌の良好な高齢者も大勢おられます。

筋肉量の減少(サルコペニア)は30歳頃から始まり、生涯を通じて進行し、筋力が低下します。唾液腺は筋肉に囲まれていて、その刺激を受けて唾液を分泌しているため、筋力低下は直接、唾液の減少につながります。また、筋力低下した舌が重力により下がるため、就寝時に舌が気道を閉塞すると口呼吸が進み、口腔乾燥が生じます。老化により唾液腺も萎縮することも考えられますが、むしろ筋力低下が大きな原因だと言われています。しっかり食べるなどして、筋肉量の減少を予防すれば、高齢者でも十分に唾液が分泌されます。

 

4.シェーグレン症候群

シェーグレン症候群は自己免疫疾患の1つで、自分のリンパ球が外分泌腺を破壊する疾患であり、唾液腺と涙腺の分泌低下から、ドライマウスやドライアイを引き起こします。リンパ球は白血球の一種で、免疫の中心的役割を担っています。攻撃対象は、唾液腺だけでなく、その他外分泌腺、すなわち涙腺や鼻腔、消化器などに及びます。そのため、目や鼻の乾燥、胃酸の分泌低下による胃炎などを引き起こすこともあります。

現在、唾液腺の機能を回復させるような根本的な治療法は開発されていません。対症療法として、塩酸セビメリンや塩酸ピロカルピンなどの唾液腺分泌刺激剤を処方し、症状の軽減をはかることが可能となってきていますが、重篤な症状の場合には効果が乏しいこと、消化器症状や発汗の副作用があり、シェーグレン症候群であっても処方できない場合があります。

唾液分泌刺激剤を保険適用で投与できる以外は、通常のドライマウスに対する対症療法と同じです。リウマチなどの自己免疫疾患を合併していることもあり、注意が必要です。

 

5.放射線治療を受けた方

口や顔面のがん治療や、甲状腺の病気などで放射線を照射された場合、唾液腺が障害を受け、ドライマウスの症状が出ることがあります。唾液腺や涙腺などの腺組織は、放射線に対して感受性が高く、破壊されやすいことが知られています。医療の進歩により照射法が工夫され、症状の軽減化がはかられていますが、病変の位置や大きさにより、唾液腺機能を復活させることはできなくなります。

現在、シェーグレン症候群と同様な唾液分泌刺激剤の処方により唾液分泌を促すことができるようになり、治療の幅が広がりつつありますが、薬剤の効果を実感できないほど、腺組織にダメージを受けている場合もあります。

しかしながら、実際には照射領域すべての唾液腺が破壊されているとは限りません。通常のドライマウスの原因が重なっていることも多いのです。

放射線の影響だからとあきらめずに、副作用のある内服薬を飲んでいるストレスや筋力低下口呼吸など、原因となる事項を確認し、あわせて積極的に口腔ケアを含めた対症療法を行うことが大切です。

 

6.糖尿病

糖尿病の患者さんの尿には糖が含まれています。糖を含んだ尿は浸透圧が高くなり、水を尿管のほうに引っ張る力が強くなります。その結果、多量の尿が排泄され、脱水症状とともにドライマウスが生じることになります。対策として、糖尿病の治療が先決ですが、完治までに時間もかかりますし、治療することが難しい疾患です。関連性も高い歯周病を予防する意味でも、積極的な口腔ケアが必要になります。

また、余談ですが、糖尿病は感染症にもかかりやすくなり、歯周病との関連も報告されています。

健康な方でも知らないうちに唾液を誤嚥している(不顕性誤嚥)こともあるのですが、身体の免疫機構が働いて感染を制御したり、気管に存在する小さな毛が動いて汚れを押し上げる線毛上皮運動が起こり、細菌とともに喀痰として吐き出しています。これらの機能が低下するとさらに感染が進行しやすくなります。

 

7.脳血管障害

脳梗塞・脳出血などにより口の機能に麻痺が生ずると、唾液が減少することがあります。口に関連する機能には、脳のさまざまな領域がかかわっていることが知られています。脳血管障害の患者さんには、嚥下障害(食べ物を飲み込みづらい)や構音障害(うまく話ができない)という症状が出ることがあります。唾液腺自体の機能は正常であっても、咀嚼機能が衰えたり、筋力が低下したりすると、唾液腺が刺激されないのでドライマウスになります。

また、唾液分泌は脳幹の一つである間脳の視床下部の支配を受けています。脳幹は自律神経やホルモン、呼吸にまで影響を及ぼしているため、障害を受けると、命そのものが危機にさらされます。当然、唾液分泌も障害されることになります。

脳血管障害でも唾液腺自体の機能はいくらか残っているケースも多くあります。脳血管障害だけでなく、他の要因も関連していることが予想されます。対応法は、病態によりさまざまですが、唾液腺マッサージ口腔ケアが有効です。このことは医療機関だけでなく、さまざまなメディアや論文でも取り上げられています。

 

1~7の他にも、更年期障害や腎不全などが原因となることもあります。

また、年齢によって、ドライマウスの原因候補は異なってきますので、以下を参考にしてください。

●特に年齢の高い方

1.不必要な薬

高齢者の場合、なんらかの病気をもっていて、何種類もの薬剤を服用している方が多いことと思います。60歳以上の初診の患者さんの内服薬の種類は、62人中47人がなんらかの薬剤を内服しており、その数は平均4.5種類という調査報告があります。降圧剤、抗不安薬、胃薬、睡眠薬、高脂血症治療薬、骨粗鬆症治療薬などが使用頻度の高い薬です。

このような場合、多剤服用に伴う薬剤の副作用が出現します。文献によると、5種類以上の薬剤を内服する場合の副作用出現率は、4種類以下の場合に比較して著しく上昇することが知られています。

高齢者は身体組成が変化します。すなわち、体重あたりの筋肉量が減少し、体脂肪率が高まることにより、実際の体重よりも薬剤の適応量が低下し、臓器の老化に伴い、代謝速度が低下することが知られています。

2.筋力の衰え

筋肉量の減少(サルコペニア)は30歳頃から生涯を通じて進行し、筋力が低下します。唾液腺は筋肉に囲まれていて、刺激を受けて唾液を分泌しているため、筋力低下は、直接、唾液の減少につながります。また、筋力低下した舌が重力により下がり、舌が気道を閉塞すると口呼吸が進み、口腔乾燥が生じます。筋力を鍛えることにより、筋肉量の減少を予防すれば、高齢者でもドライマウスの進行を予防することができます。

3.睡眠

高齢者の場合、睡眠の質も変化し、幼児期と同じような睡眠のパターンになり、夜間に深い眠りをとることが自然に困難になってきて、昼間に仮眠をとることが増えます。「夜眠れない」と気にして睡眠薬を毎晩服用すると、ドライマウスが強くなります。夜間に眠りが浅くても、日中の昼寝で睡眠時間を補えば問題ありません。

現在の医学では、身体に耐性を作らない夢のような「睡眠薬」は存在しません。薬の服用を続けると量をどんどん増やさないと、「飲んでも効かない」ようになります。睡眠薬の量が増えても薬が効かなくなり、その副作用で口が乾くことになります。睡眠薬を服用せず、運動をして生活のリズムを一定にし、朝できるだけ日光にあたるなどの薬以外で対処する方法がよいでしょう。質のよい快適な睡眠がとれることも知られています。

 

●若い方

1.ストレス

ストレスが蓄積すると交感神経が優位になり、ドライマウスの状態が続きます。楽しくスポーツをしたり、好きな音楽を聴いたり、リラックスした時間をもつことが大切です。

2.花粉症

鼻が詰まると口呼吸を行う機会が増え、口が渇きやすくなります。また、アレルギー症状を抑える薬も、ドライマウスを引き起こします。できれば、点鼻薬や点眼薬、マスクなどの局所に対する方法で症状を緩和できるとよいでしょう。早めに予防対策をすることが大切です。

3.うつ

うつはSSRI(抗うつ剤)という薬の導入により、治療可能となってきています。うつはストレスが原因であるため口がかわきますが、抗うつ剤の副作用にも口渇があり、ドライマウスを引き起こします。

4.開口

開口の習癖があるとドライマウスになりやすく、むし歯もできやすくなります。生活環境の変化や学校受験などがストレスとなりドライマウスを訴える子どもも増えてきています。鼻呼吸に切り替え、状況によっては室内の加湿やネブライザー、マスクを用いるとよいでしょう。

 

※参考書籍
 「ドライマウス 今日から改善・お口のかわき」
 阪井 丘芳 著  医歯薬出版株式会社

Q9 口腔乾燥症(ドライマウス)に含嗽剤は有効なのでしょうか?
A9

含嗽剤は効きません。むしろ逆効果のこともあります。

口腔乾燥症は、原因がわかっても改善はきわめて困難な慢性症状で、対処療法がほとんどです。加齢変化でも唾液分泌量の減少は起こるため、これを増加させようとするのは、若返りを求めるのと同じことの場合もあります。この分野の臨床研究は、十分に行われていないのが現状で、今後よくデザインされたランダム化比較試験により、臨床のガイドとなる結果が得られることが望まれます。

口腔乾燥症は中高年に集中しており、不定愁訴が多いことが特徴です。治療に当たっては、漫然とした薬剤投与は避け、唾液代用剤などをうまく利用することで症状の緩和にもっていきましょう。

口腔乾燥における局所治療の効果についてのシステマティックレビュー(その1)
Furness S, Worthington HV, Bryan G, Birchenough S, McMillan R. Interventions for the management of dry mouth: topical therapies. Cochrane Database Syst Rev 2011 Dec 7; (12): CD008934. 

※参考書籍
 「抜歯・小手術・顎関節症・粘膜疾患の迷信と真実」
 湯浅秀道、安藤彰啓 編著  クインテッセンス出版株式会社

Q10 ドライマウスが辛かったらどこへ行けばよいのですか?
A10

歯科医院で相談してみてください。

 

※参考書籍
 「ドライマウス 今日から改善・お口のかわき」
 阪井 丘芳 著  医歯薬出版株式会社

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