筋肉・力

Q1 歯がなくなると身体運動に何か影響がありますか?
A1

人の身体運動の中で、動きを停止するなど関節を固定したい時に、筋は等尺性の筋活動(筋力=負荷の状態)を行います。このようなとき、歯を噛みしめることによって顎の関節は固定され、この固定感が等尺性の筋活動を行いやすくさせます。

上腕二頭筋(屈筋)を例にした図

筋活動(上腕二頭筋)

 

①短縮性筋活動(concentric muscle action)

筋の発揮する力>外部の力 筋長が短縮する

②等尺性筋活動(isometric muscle action)

筋の発揮する力=外部の力 筋長には変化が生じない

③伸張性筋活動(eccentric muscle action)

筋の発揮する力<外部の力 筋長が伸ばされる

 

もし、歯が全部なくなると、足を踏んばる、重いものを持ち上げるなど、ゆっくりとした力発揮に悪影響がでます。また、片顎の歯列が失われた場合には、左右の平衡感覚が低下します。しかしながら、このような影響はすべての人に現れるわけではありません。というのは、等尺性筋力発揮時に噛みしめのかわりに、顎を前方位や開口位で固定する人が1/3ほどいるためです。

 

※参考書籍
 「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
 姫野 かつよ 著  砂書房

Q2 噛みしめると力が出るというのは本当ですか?
A2

噛みしめは静的筋力を増強し、動的筋力を低下させます。

噛みしめの筋生理学的本態は筋の共縮であるため、ウェイトリフティングの初動綱引きのパワーホールドなどスポーツ動作において身体を固める(一定の姿勢を強く保持する)場合などの、静的筋力を発揮する時には有用です。

 

しかしながら、それ以外のスポーツ動作では、

1.拮抗筋を収縮させて競技スピードの低下を招く
2.呼吸リズムを乱してスキルを落とす
3.筋の弛緩を妨げ過緊張を誘発する

など、動的筋力の発揮にはマイナスの影響を及ぼします。

 

日本歯科医師会の広報誌のインタビュー記事の中で、世界陸上大会やオリンピックで金メダルをとったハンマー投げの室伏広治選手は「渾身の投げの基本は歯をくいしばらないこと」と言っています。

 

また、強い噛みしめは体幹の筋肉を緊張させて関節を固定するため、身体の柔軟性を低下させるということもわかっています。

 

他にも、噛みしめは高齢者や女性では役に立つこともあります。

詳しくはこちらのQ&Aを参照して下さい。

歯がなくなると身体運動に何か影響がありますか?

 

※参考書籍
 「筋の生理から運動指導・手技療法まで 歯科臨床が変わる筋機能学こと始め」
 竹内 正敏  砂書房

Q3 居眠りすると“ヨダレ”を垂れるのはなぜですか?
A3

居眠りすると咀嚼筋のなかにある筋紡錘も眠ってしまいます。そうすると、下顎は重力のため、安静位よりさらに落ちた(開口した)状態になり、嚥下機能も働かなくなります。その上、居眠り状態では副交感神経が優位になるため唾液腺の活動が活発となり、口の中で溢れた唾液が“ヨダレ”として垂れてしまうのです。

 

※参考書籍
 「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
 姫野 かつよ 著  砂書房

Q4 「筋肉が硬くなる」とはどんな状態をいいますか?
A4

一つは器質的な変化で、実際に筋肉を触ってみると硬く感じられるものです。これは「凝り(硬結)」といわれ、筋肉を過負荷で長時間使って疲労がたまると生じます。その作用機構はまだ十分に解明されていませんが、組織損傷に伴う局所的硬縮や神経の機能不全、それに加えて深部組織における浮腫の可能性が高いといわれています。

もう一つは機能的な変化で、関節可動域が狭くなったり、筋収縮のスピードが低下したりします。これは筋に共縮のクセがついて、十分な筋の弛緩が得られないときに起こります。

 

※参考書籍
 「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
 姫野 かつよ 著  砂書房

Q5 筋肉は年齢とともにどのように変化しますか?
A5

骨格筋の筋力は、一般に30歳前後まで増加し、50歳頃まで比較的一定に保たれ、それ以降徐々に低下するといわれています。筋量に関しては、20才前後を最大とすると50歳ではその85%前後、80歳では60%前後になるようです。

しかしながら、近年高齢者においても筋力トレーニングで筋肥大を認めた報告もあります。努力すれば筋量の低下も少しは防げるかもしれません。

 

※参考書籍
 「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
 姫野 かつよ 著  砂書房

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