日常生活での注意について
Q21 | 20年前に金属アレルギーの疑いでパッチテストを行い、ニッケル(Ni)にアレルギーがあります。今回、金属をたくさん使った歯科治療を受ける予定です。治療前に改めてパッチテストなどを行ったほうがよいですか? |
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A21 |
一度ある金属に対しアレルギー反応が出た場合、一生その金属には接触しないのが大前提です。もともとアレルギー体質の方で、日常生活で金属によく触れたり、お口の中に金属を使用したかぶせ物やつめ物が多数ある場合は、新たに他の金属にもアレルギー反応を引き起こす可能性はあります。まずは、パッチテストや血液検査などをお勧めします。
◆加藤歯科医院ではパッチテストを実施しておりません。
※参考書籍 |
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Q22 | 歯科でのパッチテストは、なぜ7日目の判定まで見る必要があるのですか? |
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A22 |
歯科で扱うパッチテスト品目には、金属やレジンなどがありますが、パラジウム(Pd)のように遅延反応を起こすものや、ニッケル(Ni)や各種レジン類のように、初期に刺激反応を起こすものがあり、これらを見極めるため、7日目、もしくはそれ以降の皮膚の反応が重要となります。このため、歯科でのパッチテストは試薬貼付後7日目の判定を行います。
◆加藤歯科医院ではパッチテストを実施しておりません。
※参考書籍 |
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Q23 | パッチテストが終わった後から、テープを貼った部位に湿疹が出てきました。どうすればよいですか? |
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A23 |
遅延型アレルギー反応の可能性があります。可能であれば、ただちに反応部位を判定することが望ましいですが、患者さんの来院が難しいようであれば、患者さんに写真で記録を残してもらい、後日、早めに来院していただき、判定をします。検査後1週間経ってから反応が出る場合もあり、部位がはっきりしない場合は、疑わしい元素の身を再検査することも検討しましょう。
◆加藤歯科医院ではパッチテストを実施しておりません。
※参考書籍 |
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Q24 | アナフィラキシーショックって何? |
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A24 | アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に漸新世にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」です。この過敏反応により、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、生命を脅かす危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。 厚生労働省の調べでは2017年では50名の死亡症例があり、食べ物は4名であるのに対し薬物では死亡者数は24名です。また、摂取からアナフィラキシー発症までの時間は、食べ物では30分かかるのに対し薬物では5分程度で発症すると報告1)されています。また、二相性にアナフィラキシーが発現することもありますので、十分な注意が必要です。 アナフィラキシーはさまざまな症状を示し、最も多いのは蕁麻疹やかゆみなどの皮膚・粘膜症状です。次に多いのは呼吸器症状で、呼吸困難感や喘鳴、気道の狭窄などを認めます。 鑑別のすべき疾患として、喘息、不安・パニック発作などがあげられます。喘息と共通する症状としては、喘鳴や息切れがあげられます。しかし喘息発作では掻痒感や蕁麻疹、腹痛、血圧低下は起こりません。不安・パニック発作では息切れや皮膚の紅潮、頻脈、消化器症状が起こりますが、蕁麻疹や喘鳴、血圧低下は生じません。 アナフィラキシーの主な症状と出現率(Lieberman et al, 20052)をもとに作成)
1)Pumphrey RS. Lessons for management of anaphylaxis from a study of fatal reactions. Clin Exp Allergy. 2000; 30: 1144-1150. 2)Lieberman P, Nicklas RA, Randolph C, Oppenheimer J, Bernstein D, Bernstein J, Ellis A, Golden D, Greenberger P, Kemp S, Khan D, Ledford D, Lieberman J, Metcalfe D, Nowak-Wegrzyn A, Sicherer S, Wallace D, Blessing-Moore J, Lang D, Portnoy JM, Schuller D, Spector S, Tilles SA. The diagnosis and management of anaphylaxis: an updated practice parameter. J Allergy Clin Immunol 115; S483-S523, 2005.
※参考書籍
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Q25 | 検査によるアナフィラキシーショックが心配なのですが・・・ |
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A25 |
歯科治療の際にアナフィラキシーショックを起こす可能性があるものは、ラテックス、局所麻酔薬、抗生物質、非ステロイド性抗炎症剤、根管貼薬剤、消毒薬、造影剤、生物学的製剤などがあります。薬剤によるパッチテストでアナフィラキシーショックが生じたという報告はあるものの、可能性は低いと思われます。しかし、可能性はゼロではないので、問診により注意が必要と判断された場合には、試薬を貼った後は30分ほど待合室で待っていただき、患者さんの様子を診るなどの対応をとることが望ましいと思われます。
◆加藤歯科医院ではパッチテストを実施しておりません。
※参考書籍 |
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Q26 | 薬をとめると皮膚症状が強く出るので休薬したくないのですが・・・ |
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A26 |
免疫抑制剤や抗アレルギー薬を服用している場合は、パッチテストの反応も抑えられてしまう可能性がありますので、本来であれば、休薬していただくのが望ましいですが、休薬可能かどうかは処方した医師に確認する必要があります。休薬が困難な場合には、正しい判定が得られない可能性があることを患者にご理解いただいた上で、検査を行うこととなります。
◆加藤歯科医院ではパッチテストを実施しておりません。
※参考書籍 |
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Q27 | なぜ歯ぎしりが「問題」になるのですか? |
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A27 |
歯を失う原因として、一般的によく知られているのはむし歯と歯周病です。でももうひとつ大きな原因があります。それは「過剰な力」です。 |
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Q28 | ニッケル(Ni)にパッチテスト陽性があり、義歯は入れておらず、すべて自費の補綴物を装着したので、ニッケルは口腔内に含まれていないと思ってよいでしょうか? |
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A28 |
義歯による欠損補綴がなく、インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)、ブリッジなどの治療がされている口腔内では、特にメタルボンドクラウン(MB冠)が存在する口腔内で、時としてそのメタルフレームにニッケルクロム合金が使用されているものが発見される場合があります。見た目や金属だけでは判断できませんので、メタルボンドクラウンは注意が必要です。その場合、金属成分分析検査をすることなく、合金の金属組成を判断することは困難です。
※参考書籍 |
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Q29 | 「金(Au)」はアレルギーにならないと聞きましたが、本当ですか? |
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A29 |
金(Au)は、金属アレルギーになりにくい金属元素ではありますが、必ずしもアレルギーにならないわけではありません。金は展延性に優れ、古くから歯科用金属として用いられる金属です。金に対するアレルギーの患者数は年々増加傾向にあるので、注意が必要です。
※参考書籍 |
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Q30 | コバルト(Co)、スズ(Sn)にパッチテスト陽性がありますが、金銀パラジウム合金にこれらのアレルゲンは含まれていますか?含まれていないでしょうか? |
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A30 | 治療で使用した金属のメーカー名、材料名が明らかで、適切な金属の管理のもとで製作された修復物の場合、メーカー指示の成分表どおりの含有元素と考えられますが、実際にはどのように製作されたものかを確認することは難しいです。材料名が不明な場合や、同種の合金であっても他の銘柄の金属を混ぜて鋳造したり、他の合金と共用のルツボを使用して鋳造するなどにより、不純物が混入することが考えられます。可能であれば、口腔内の装着物から直接削片を採取して金属成分を分析する検査法により、より正確に含有元素やアレルゲンの有無を確認しましょう。
※参考書籍 |
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