Question

親知らずは抜歯するべきでしょうか?

Answer

親知らずの抜歯で考えるべき要素は3つあります。

①全身的な要因

まず、痛み・炎症があるときは抜歯をしたほうがよいです。

では、痛み・炎症がない歯を抜く必要があるのでしょうか?

全身的な基礎疾患がないうちに、抜歯をしたほうがよいと考えられています。

将来的なことについて、今抜歯したほうがよい理由は、(1)心筋梗塞、脳卒中、高血圧などの抜歯後出血のリスクがあるため、(2)糖尿病やがんなどの抜歯後感染のリスクがあるため、(3)肝硬変や腎不全などの抜歯後投薬困難なリスクがあるため、などがあげられます。

平成29年 厚生労働省 「疾患調査」によると、基礎疾患は35歳以上から増え、65歳以上だと130万人近く罹患するという報告があります。また、出血性素因のある内服薬を飲んでいる人は基礎疾患が増えているという大森赤十字病院のデータもあります。高脂血症、脊柱管狭窄症、動脈閉鎖症などの方は、出血性素因のある内服薬が関係しています。

 

②局所的な要因

加齢とともに、30歳以上で親知らずと顎骨の癒着が進行します。癒着があれば、抜歯の際に骨を多く削る必要があり、時間がかかったり、腫れたりします。

隣在永久歯のむし歯に関しては、「近心傾斜している親知らずに隣接している永久歯の36%にむし歯を認められた」という報告があります。(BMC Oral Health volume 13, Article number: 37(2013))

他にも、「近心傾斜した下顎親知らずに隣在する大臼歯の49%に歯根吸収が認められた」という報告もあります。(Mesial Inclination of Impacted Third Molars and Its Propensity to Stimulate External Root Resorption in Second Molars—A Cone-Beam Computed Tomographic Evaluation. Journal of Oral and Maxillofacial Surgery. Volume 73, Issue 3, March 2015, p379-386)

これらの報告より、歯と顎骨が癒着進行する前に抜歯したほうがよいと考えられます。また、近心に傾斜して、歯冠が一部露出している場合には、隣在歯のむし歯のリスクがあるため抜歯したほうがよいと考えられます。

 

③精神的な要因

通常の抜歯と違い、顎の骨を削るなどの操作があるため、抜歯は非常に恐怖を感じます。しかしながら、手術内容をよく理解し、メリットが上回れば抜歯したほうがよいでしょう。 

抜歯は非常に怖いイベントですが、抜歯後の知覚麻痺のリスクは低ければ許容できるのではないかと考えられます。

 

※参考
 「九州歯科大学 ポストグラデュエートセミナー 口腔外科小手術の基本」
 九州歯科大学 顎顔面外科学分野 助教 高橋 理

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